BLUE ARCHIVE ZERO~THE BELKAN SCHOOL WAR 作:神宮寺志狼
「....ッ...」
「...........」
私がアビドス高校に着いた時にはもうその状況だった。
グラウンドでアルとサイファーが互いに向かい合っている。
まるで、西部劇の果たし合いだ。
「.....ごめん、先生。」
そう謝ったのはカヨコだ。
「まぁお互い1発くらいなら、なんて事ないでしょ!」
そうセリカは言っている。
「"ねぇ、ホシノ。何があったの?"」
私の質問をホシノは誤魔化した。
「この状況?
うん、めんどい。
話せば長くなるよ。
そう、古い話───」
「"ホシノ?"」
私が半ば問いつめるとホシノは縋ってきた。
「だって~!!サイファーちゃんのせられちゃって昼寝してたらこんな事になっちゃったんだよ!!
そこにいるムツキちゃんに!!」
話は、数週間前に遡るらしい。
──────────────────────────
サイファーが居なくなり、ホシノたちが件のメッセージを聞いた数日後。
アビドス高等学校に来客があった。
「ホシノ先輩。校門前に誰かいるわよ?」
セリカにそう言われホシノが窓から顔を出せば底には4人の生徒。
「ねぇ!!貴女達!!
鬼神を───
サイファーを出してちょうだい!!」
そう、便利屋68の面子であった。
「ってな訳でさ~。」
ホシノが対策委員会の教室に招き、現状を説明した。
「な、なんですってー!!?」
アルの叫び声に、対策委員会全員が耳を塞いだ。
「ちょっと!声落としなさいよ!!」
セリカが文句を言う。
「ご、ごめんなさい。
でも驚いちゃって....あのサイファーが行方不明....」
「って言ってもさぁ?アルちゃん。元々彼女行方不明だったんでしょ?もう今更だよ?」
「....ふふっ...確かに。」
ムツキの言葉にカヨコも笑う。
「か、揶揄うのもいい加減になさい!!
で、?あの狼の子と、胸の大きなゆったりした子は?」
ここにいないシロコとノノミの事をアルがホシノに聞いた。
「配達とかの仕事しながらサイファーちゃん探してるよ。
特にシロコちゃん、やばかったなぁ.....」
アヤネもホシノの言葉に賛同した。
「そうですね....。あんなに怒っている2人は初めて見ました。」
「でもさ、」
ホシノがアルを見る。
「なんでサイファーちゃんを『便利屋68』が狙ってるのかな。」
アヤネはホシノの手を見た。
アル達からは隠れて見えないが、ホシノはショットガンのグリップを握っている。
カヨコとムツキはホシノの態度が急変したことを察したようだった。
しかしホシノは次のアルのセリフに毒毛を抜かれることになる。
「命の恩人にもう一度しっかりお礼を言いたかったのよ!」
「.......どゆこと?」
彼女の経営する事業、『便利屋68』。
そのモットーの「金さえ貰えれば何でもする。」であったり、
彼女の憧れる「ハードボイルドなアウトロー」像から陸八魔アルという人物がだいぶズレている、という事自体、ホシノは理解していた。
とは言え、仕事と私情は分けて行動できることも確かだった。
裏の世界でサイファーにはかなりの賞金が掛けられているという情報。
彼女を探していたこの数ヶ月で判明した事実だ。
故にホシノは警戒していたのだが、陸八魔アルの目の輝きと、彼女の性格上狡い手段は取れない事を知っていた為、その言葉を聞いて呆気にとられてしまった。
「.....私と社長はベルカ戦争─ベルカ戦役の時に彼女に助けられたの。」
目をパチクリさせているホシノにカヨコが昔の話をした。
.......
「へぇ、私達と別れた後にそんな事になってたんだねぇ。」
ホシノは例のゲームをプレイした為、B7Rの総力戦においてのサイファーの鬼神の如き活躍は知っていたが、アルやカヨコが参加していたのは初耳だった。
「こ、これ .....粗品ですみません...。」
ハルカがホシノに手土産を渡す。
「これサイファーちゃんに?ありがとね~。」
ホシノは渡された箱をそっと割れ物を扱う様に机に置き、耳を当てた。
「あははっ!爆発物なんて無いよ~!」
とムツキが疑り深いホシノの様子を見て素で笑った。
対称的に深刻な面持ちでカヨコが聞いた。
「もしかして....もう襲撃が?」
その言葉にホシノは頷く。
「.....2~3度ね。
あのゲームの影響かなぁ....
サイファーちゃんがアビドスに居るって情報結構出回ってるみたいでさぁ。
もしかしたらサイファーちゃんの伝言メッセージ聞いたのは私達だけじゃなかったのかも。」
ま、あのゲームが悪いわけじゃないけどね、とホシノは付け足す。
「あんた達はあのゲームやったの?」
セリカがそう問うと、アルは残念そうに首を横に振った。
「......そもそもゲーム機なんて持ってないもの...。
で、でも私はサイファーの戦いをこの目で見たわ!!
それで充分よ!」
完全な強がりにアヤネとセリカは苦笑いする。
アヤネにムツキが寄ってそっと耳打ちした。
(ココ最近、『円卓の鬼神』の再来の話を聞いてからアルちゃんのやる気が跳ね上がっててさぁ。
まぁそれはそれとして依頼失敗し続きでまともに収入がないんだ♪)
(....な、なんとなく想像できてしまいますね...)
(これはアレだね~。)
ホシノはアルに問う。
「アルちゃんから見たサイファーちゃんってさ、どんな子なの?」
「えっ...?
そ、それは当然、
与えられた任務遂行を第一として、使える物は人でも銃でも道具でもなんでも使う冷徹さ!
目的のためなら手段を選ばず、果てには街を火の海にすることすら躊躇わない冷酷さ!
完璧無敗の伝説の傭兵よ!!」
「.....ふぅん....。」
「...なんにも知らないじゃない....。」
「まぁ、そんな事だと思ってましたけど。」
ホシノ達は呆れ果てた。
「えっ!?違うの!?」
アルの質問にホシノは不機嫌に答えた。
「......サイファーちゃんはそんなに強くないよ。」
「いいえ!サイファーは強いわ!それはこの目でしっかり──」
ホシノが少し声を荒立てる。
「そうじゃないよ。私が言ってるのは実力じゃなくて心の話だよ。」
「 ....ぇ」
アルはホシノの反応を見て自分が失言をした事を悟るが、何処がおかしかったのか分からない。
「ご、ごめんなさい。
でも、貴女達、何を知っているの?
.....そういえばさっき、『私達と別れた後』って言ってたわね?!
まさかっ!」
アルが机に両手をおいて前のめりにホシノに顔を近づけた。
「あ、う、うん。
私たちはB7Rの任務の前までサイファーちゃんと一緒に戦ってたんだよ。」
「.....それホントの話!?」
アルの勢いに調子を崩されるホシノ。
「落ち着いて、社長。」
「聞かせて!もらえるかしら!?
サイファーについて!」
「えぇ ....?他人の過去をベラベラ喋る程おじさん腐ってないよ?」
ホシノは手を振って断るが、アルはその手を逆に掴んだ。
「話してくれたらサイファーを探すのを手伝うし、今後どんな依頼でも無償で受けてあげるわ!!」
「「え゛!?」」
金がない!と言っているにも関わらず請け負うとする。
ビジネスに関してしっかりしているアルらしからぬ発言にカヨコ達3人は驚愕する。
「社、社長、いくらなんでも無償は───」
カヨコの声はかき消される。
「なんならアビドス高校の復興にも協力するわ!!
困った時はお互い様ってよく言うでしょ!!」
「うへ.....そこまで....?
しつこすぎない?....」
アルは30分以上喰らいついた。
その度追加条件を出していくアル。
こうしてホシノは根負けし、アル達に自分たちが知っている限りのサイファーの人物像について話した。
「まずね、サイファーちゃんは10年前のアリウス紛争における半ば戦災孤児だったんだ。
長年戦う理由が分からず、ただ生きるために戦場に身を置いていて、他人と関わりを持たなかった。
冷酷じゃなくて不器用だけで、本当は他人の痛みがわかる正義感に溢れる優しい子。
街を焼いたのはサイファーちゃんではなく当時の連邦生徒会。
サイファーちゃんは防衛室長に脅されていて命令に逆らえなかったんだ。
その戦闘中もずっと相手の武器だったり、腕だったり.....撤退するベルカ生徒は決して狙わずに戦う姿勢を止めない生徒だけ無力化してたみたい。
でも、素直になれず、人間不信に陥った結果、相棒と大喧嘩して、別れて。
次にあった時は敵同士。
サイファーちゃんは部隊の仲間をその親友に殺されて....
最終的に、引き金を引いて元相棒を、撃ったんだ。
キヴォトスは守られたけど....その、心はボロボロだった。
友人は目の前で2人倒れて、自身が数多くの生徒の居場所を奪った事で彼女の心は壊れてしまった。
シスターフッドに保護されて、言葉を失って数ヶ月入院してたけど───
エデン条約調停式が襲撃されて、それに巻き込まれた。
ううん、首を突っ込んだ、が正解なんだろうね。
アリウススクワッドとアリウス生徒を止めるために彼女はボロボロな身体で立ち上がった。
あの事件では『学籍なき世界』の生徒がアリウスに協力してて、サイファーちゃんは襲われて。
最後はアリウススクワッドのリーダーに殺されかけて────
救援が来たから助かったけど、少し前までほとんど寝たきり生活だった。
そして、またシスターフッドに匿ってもらってたんだけど、スパイのせいで、彼女の居所がもれて、この前の騒ぎが起きたんだ。」
「.....あの騒動って、サイファーが中心になってたんだ。」
「何よ、知らなかったの?」
カヨコの納得の言った表情にセリカが質問する。
「そう。D.Uとトリニティで大規模事件があったことまではしってた。
拘束されてた生徒が矯正局から集団脱走して、って言う所までしか。
あとはトリニティ側が情報を広げていなかったからね。」
カヨコの言葉にホシノが頷いた。
「まぁ、妥当な判断とは思うけどねぇ~。」
一通りの話を聞いたアルが涙目で言った。
「...約束通り、探すわ!
全力で!!」
──────────────────────────────
時は過ぎ、
サイファーがクロコと合う10日ほど前。
立ち入り禁止区域:ヴァレー駐屯地
「.....やはり、ないか。」
閑話
遺品
私は今立ち入り禁止となっているヴァレー駐屯地に来ている。
チャフグレネードを投げ、警備のロボットの目を欺いて内部に入った。
「......」
建物の中は当時と同じで、片付けられていなかった。
私は自分の部屋にたどり着く。
「......」
今見れば本当に何も無い部屋だ。
しいてあるものといえば、あのB7Rの戦闘で回収したスナイパーライフルと整備部品。
それと今使っているハンドガンの予備二丁。
〈ガシャッ、〉
「あぁ、動くな。」
回収して、私は昔の自室を後にした。
次に寄ったのはフェリの部屋だ。
彼女の部屋に入る。
「.....」
彼女の部屋には高そうな装飾や茶器。
陶磁器だったり色んなものがある。
一応彼女の予備マガジンなども。
せめて、なにか回収していこう、と机の上を見た。
そこには後輩たち3人、同期2人、計6人で集まって撮った写真がある。
.....悩んだ結果私はこれを回収した。
部屋を出ようとすると、ロッカーが目に入る。
悪いと思ったが彼女のロッカーを開ける。
「....全く...。」
そこにはいつぞやに渡したハズのホルスターがあった。
一時的にブレザーの下にホルスターを付け、自らの部屋から回収したハンドガンを収納する。
そして、私は今回の目標の部屋へたどり着く。
P.Jの部屋だ。
「........っ」
私は1呼吸おいてP.Jの部屋に入る。
『あぁ、モモフレンズね。
ほんとに好きね、P.J。
貴女、部屋ほとんど埋まってるじゃない。
配達の子も呆れてたわよ?』
彼女の部屋は聞いていた通りの状態だった。
棚という棚にペロロぬいぐるみが置かれている。
200以上だろうか。
ひとつ持ち上げればかなり埃を被っていた。
「.......さすがにこの量は1人で持って帰れない。」
そして、目的のものがない。
「........ダメか。」
私は自身がプレゼントしたインテリペロロだけを回収した。
P.Jの部屋を出る。
〈ウィーン....?〉
「....っ!
そこには
〈ダダダダダダダダッ!!!〉
〈ボンッ!!〉
目の前の
〈ウーーーーーーーー、ウーーーーーーーーー〉
基地のサイレンが鳴りはじめる。
「チッ....1人ではあれは回収できない....クソッ!」
私はヴァレー駐屯地から脱出して警備ロボを撒いて撤退に成功した。
───────────────────────────────
さらに遡り、数日前。
D.Uのとある公衆電話から私はとある生徒と話していた。
「つまり、貴女はP.Jの遺品、何一つ回収されていないし、渡されていないんだな?」
『えぇ.....申し訳ありません。こんな事本当なら───』
「いや、私も回収して渡そうと思っていた。
あいつの使っていた
あいつ自身が生まれた頃から一緒のあの銃は、貴女にとってはもう1人のP.Jそのものなんだからな。
回収したいと思うのは当たり前だ。」
『ありがとう...ございます。』
少し、声が涙ぐんでいる。
「.....すまない。」
私は謝った。
『何がです?』
「貴女に会いに行き直接謝る事はおろか、こんなことしか出来ない。」
何を謝るのか、言うまでもない。
『....フェリ様と同じことを仰るんですね。』
「......あいつは、
私が、フェリとしっかりと意思伝達できていれば最後の戦いだって、起こることは無かったんだ。
あいつは、私とフェリの喧嘩に、巻き込まれた──違う、私達が巻き込んだんだ。
そして、私を庇って死んだ。」
私が謝ると、彼女は厳しめな言葉を使った。
『......2つ、申し上げます。
1つ目、『巻き込まれた』、それは私の妹に対しての侮辱です。
あの子は、貴女方の戦友─友人では無かったのでしょうか?』
「────ッ!!」
確かに、共に戦ったP.Jに対して、「あいつは関係無かった」と言われれば侮辱に感じるのは当たり前だった。
『2つ目。
貴女は動いてくれています。
私からの依頼ではなく、自らの意思で。
それで充分です。
────それでも、貴女が自身を許せないと言うのでしたら。
絶対に、私の
「......了解した。」
───────────────────────────────
便利屋68、事務所。
「....依頼、来ないわねぇ.....」
アルがそう呟けば、事務所のドアがノックされる。
「ハルカ。お迎えして。」
「は、はい!!!」
ドアを開けたハルカは相手を見るや否や気迫を感じてショットガンを構えた。
「ハ、ハルカ!!?」
ハルカは引き金を引く。
しかし、
「えっ....!?」
相手はかがみ、ハルカのショットガンを蹴り飛ばす。
そのまま鳩尾に拳を2度ほど叩き込む。
「うっ....!!まだっ....!」
ハルカが出した手榴弾のピンを抜く。
それまた手刀で弾き飛ばされ、窓ガラスを突き破り空中で爆発した。
そのまま懐からハンドガンを額に突きつけ、窒息しないように首を二の腕で締め上げて拘束した。
「.....これが便利屋68の出迎え方か。
警戒心が高いのはいい。
ただ、いきなり銃を突きつけるな。
相手が格上なら、それは悪手になる。」
「う....嘘。」
アルの驚く声。
それはハルカがあっさりと手玉に取られたからだけではなかった。
「.....で、どうする。」
アルは喜びの表情から一転して目つきを険しくした。
「会えて嬉しいわ。
サイファー。
不手際は謝罪するから、ハルカを離して頂戴。」
サイファーの隣から気配を消したカヨコがハンドガンを突きつけた。
ムツキも銃を構えている。
「......私はただ依頼をしに来ただけだ。」
「.....ハルカを離して、サイファー。」
〈カシャッ〉
カヨコは眉間に皺を寄せ3度サイファーの額に銃を突きつける。
サイファーは苦笑いしながらハルカを解放した。
「ゲホッゲホッ....!」
開放されたハルカはゼェゼェと息をする。
「....大丈夫?ハルカ。」
カヨコがハルカを介抱する。
「......済まない。」
「....い、いえ、申し訳ありません....べ、勉強になりました...。 」
サイファーとハルカは互いに謝ったが、ハルカの方は完全にサイファーに対して苦手意識を持ってしまったようなのか、
サイファーが手を差し伸べるが、後ろずさり、カヨコの手を借りて立ち上がる。
「......」
少し悲しそうな顔をしたサイファーにアルが話しかける。
「では手打ち、ということで。
仕事の話をしましょう?サイファー。
カヨコ、茶を淹れて頂戴。」
少し落ち着いてから話が始まる。
「........依頼だ、便利屋68。
現在、立ち入り禁止区域のヴァレー駐屯地で物資の奪取を行っている。
それの手伝いだ。
又、とある品物の場所と回収も手伝ってもらう。」
エスコン×ブルアカの小説で読みたいナンバリングを教えてください(04、5、6、7)
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もう満足
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