魔法科高校の大罪と美徳   作:時雨nnu

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入学式編
入学式編 1


???「入学式までは……もう少し時間があるな」

 

 

国立魔法大学付属第一高校。毎年、国立魔法大学へ最も多くの卒業生を送り込んでいるエリート校。そんな第一高校の敷地内を一人の男子生徒が歩いている。

 

 

???「それにしても……二科生なだけでここまで注目を集めるとは……」

  

 

二科生。それは国立魔法大学付属第一高校で導入されている学生の振り分け制度である。新入生200人の内、魔法力の高い100人を一科生とし、残りの100人を二科生としている。普通の振り分け制度のように思えるが、第一高校の一科生の中には、自分たちより魔法力の低い二科生を『雑草(ウィード)』などという蔑称で呼び、見下す人間もいる。

 

 

???「どこか落ち着ける場所で時間を潰すか……」

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

???「あー、入学式めんどくせー」

 

 

第一高校の敷地内のベンチで、一人の男子生徒が寛いでいた。

 

 

???「祭りとかのイベントは好きだけど、畏まった場ってのはどうにも慣れないんだよな……」

 

 

水色の長髪に、金色の瞳。ただベンチに座っているだけの姿は、一つの絵画のように見えた。

 

 

???「ていうか、首席合格だと思ったんだけどな。《智慧之王(ラファエル)》さんのおかげで筆記の対策は完璧だったし、実技も……ああ、そういうことね」

 

???「すまない。隣に座ってもいいだろうか」

 

 

そこに、黒髪のイケメンがやってきた。

 

 

???「ん?別にいいよ」

 

???「ありがとう。君も新入生か?」

 

天「ああ。俺は亜魔乃天。よろしくな」

 

達也「司波達也だ、よろしく。……気になったのだが、『亜魔乃』って、あの『亜魔乃』か?」

 

天「司波がどういうイメージを持ってるのかは分からないけど、十数年前に話題になった『亜魔乃』で間違いないよ」

 

達也「そうなのか……(『亜魔乃』か………。『降魔魔法』と『降天魔法』の開発で有名になったが、10年程前に当時の当主を含む亜魔乃家の人間が十数人消えた謎の一族。そしてその後に当主として台頭したのが………亜魔乃天)」

 

 

天に視線を向けながら、達也は考える。

 

 

達也「(それに……『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』が効かない……何かに妨害されたかのようにノイズが走る………)」

 

『精霊の眼』で天を捕捉しようとする達也だったが、何故か妨害されていた。そして、達也の『精霊の眼』の使用と同時に………

 

 

???《告。個体名:司波達也より、解析・鑑定の類の干渉を確認。妨害に成功しました》

 

天「(ありがとう《智慧之王》さん。それにしても……解析・鑑定の類の干渉、か………。今まではそんな魔法受けたことも見たこともなかったけど、そんな魔法があるのか………?)」

 

智慧之王《反撃しますか?》

 

天「(いや、別に何か害されたわけでもないから大丈夫だ)」

 

 

天は『七天魔法』の能力の一つである《智慧之王》により、『精霊の眼』の干渉を妨害していた。

 

 

天/達也「「((こいつは一体何者なんだ?))」」

 

 

互いに互いを警戒する二人に、一人の女子生徒が近づいていた。

 

 

???「新入生ですね?開場の時間ですよ」

 

達也「わざわざありがとうございます。これから向かいます」

 

真由美「私は一高の生徒会長を務めています。七草真由美って言います。『ななくさ』と書いて『さえぐさ』って読みます。よろしくね」

 

 

どこか蠱惑的な雰囲気を醸し出していて、入学したての普通の男子高校生なら勘違いしそうだが、達也と天はその事とは別の事が気になっていた。

 

 

天「(数字付き(ナンバース)か……)」

 

達也「(しかも『七草』……)」

 

 

遺伝的な素質に左右される魔法師の能力。そしてこの国において魔法に優れた血を持つ家は、慣例的に苗字に数字を含むのだ。

 

 

達也「俺は、いえ自分は司波達也です」

 

天「亜魔乃天です」

 

真由美「え!?あなた達があの『亜魔乃天』くんと『司波達也』」くん!?」

 

 

自分の異常性を自覚している二人は、この発言で互いに更に意識するようになった。

 

 

真由美「先生たちの間では貴方達の話題で持ちきりよ!」

 

 

真由美はなにかスイッチが入ったのか、熱弁を始めた。「(この人会長なのにリハーサルはいいのだろうか)」と天と達也が思い始める。

 

 

真由美「入試七教科平均、100点満点中98点。特に圧巻だったのは魔法理論と魔法工学ね。合格者の平均が70点にも満たないのに、両教科とも小論文を含めて文句なしの満点! 前代未聞の高得点を叩きだした達也くん」

 

天「達也……お前、頭良いんだな」

 

達也「実技はからっきしだけどな」

 

真由美「天くんは入試七教科、全て100点満点!記述式の問題でも模範解答に殆ど差のない解答はどの先生も絶賛だったわ!」

 

達也「……嫌味か?」

 

天「いやいや、偶然だって……」

 

真由美「ち・な・み・に!達也くんの妹さんと同率で首席合格だったのよ?」

 

 

真由美の発言に達也は驚きを隠せなかった。

 

 

天「あ、そうなんですね」

 

達也「では何故自分の妹が総代を?」

 

真由美「分からないわ。ただ、一部の先生が『首席の二人はどちらも素晴らしい実力の持ち主だった。だけど亜魔乃の魔法は常識からかけ離れすぎている』と言ってるのを偶々聞いたけれど……」

 

天「いいんですよ。実技は精一杯やりましたし、その先生がそう言うの理由も多分分かります」

 

真由美「……その理由を今聞いてみたいところだけど、そろそろ入学式が始まるわ。また機会があったらお話しましょ」

 

 

そう言って真由美は講堂に向かい、二人も少し遅れて講堂へ向かった。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

講堂に入り、室内全体を見渡す天と達也。講堂内の新入生たちは、綺麗に一科生と二科生で分かれていた。

 

 

達也「……ここまで綺麗に分かれていると壮観だな」

 

天「アホくさ。されてる側も自覚があるからなくならないんだよ、差別ってのは」

 

 

そう言うと、二人は隣に座った。一科生の天がニ科生が座っている列に座ったことで入学式中も注目を集めたが、達也の妹だという司馬深雪の新入生代表挨拶が始まると、みんなの視線は壇上へと釘付けになった。

 

その後二人が座っていた隣に座った千葉エリカと柴田美月と話すようになり、天はA組の教室へ、達也とエリカと美月の3人はE組の教室へと向かっていった。

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