会合部分は書けませんでした。ユルシテ
蛇の林檎水晶街支店、その一室にて介していた四つのクランの内、三つのクランが部屋から退室したのを見届けたサンラクとオイカッツォは、二人そろって大きく息を吐いた。
「つっかれたぁ~……」
「いやお前はただ座ってただけだろ」
「その座ってるだけ、ってのがどれだけ疲れるかわかんないのかなぁ、この鳥頭は」
「なんだとユニーク自発できないマン」
ガルルル、と先ほどまでの倦怠感はどこへやら。すかさず煽り合いだしたバカ二人にため息を吐きながら、ペンシルゴンは先ほどまでの会合の結果を軽くまとめたメモを閉じた。
「はいはい、そこまでにしときなよ。ツチノコサンラクくんを捕まえた甲斐もあって、なかなか有意義な時間にできたんだから」
「どっから出てきたんだそのツチノコは」
「お前のネットネームだよ」
あまりに見つからないせいでネット掲示板で未確認生物扱いされだしている事実を本人が知ったところで、気を取り直すようにペンシルゴンは話を切りだした。
話す内容はもちろん、先ほどまで話していた
「なんだかんだあったけど、当初の目的は達成。まぁ「
「そうか?「リュカオーンの情報」っていっても行動パターンくらいだし良いだろ?」
「それは違うよサンラク」
サンラクの言葉に待ったをかけたのは、プロゲーマーたるオイカッツォだった。
フルダイブ型のゲームが主流のこの時代で、ゲームを仕事とし、その最前線で戦う男はサンラクに彼が渡した「情報」の重要さを説いていく。
「この
「なるほど……言われてみれば……」
プロゲーマーとして一挙手一投足を見られている男の言葉にうなずくサンラク。
確かにそう考えれば軽率に与えていい情報ではなかったと彼が聞きいっているとペンシルゴンが再び話を切りだした。
「カッツォくんの言う通り、情報っていうのは貴重なわけで。サンラクくんの抱えてる「情報」が他のクランに漏れ出たりするのは気を付けてほしいんだよね」
「……ああ、気を付けるよ」
ペンシルゴンからの忠告に、そう答えるサンラク。今まで以上に出す情報は気をつけなければとサンラクが気を入れ直すのを横目に、ペンシルゴンはパッと笑顔になって手を叩いた
「ま、この話はここまでにして。あと気を付けてほしいのが「商連」とのつながりだね」
「あぁそれ、結局どことの話なの?」
「やっぱカッツォも知らないよな、俺だけかと思ったぜ」
二人に思い出されるのは、先ほどの会合でのこと。クラン連盟の取り決めを詰めている際にペンシルゴンが発した「商連」にやたらと反応していた
その時はさも仲間ですといった感じでペンシルゴンが話していたので、邪魔するまいと口を閉じていたのだが、どうやら旅狼ではペンシルゴンしか知らない存在で間違いなかったようである。
「あれ?言わなかったっけ?アンちゃんのとこのクラン発のものだよ」
「へぇー、アンバーってクラン入ってたんだ」
「そうそ……ん?いま
さらっと呼び捨ての仲にまで発展しているオイカッツォに残り二人が驚愕するが、当の本人は意外ですといった顔のまま余っていたケーキをかじっている。
あとでこのスケコマシには聴取が必要だな。二人の心は一つになった。
「正確には、「商業相互連盟」っていってね。最初は馬鹿みたいにキツイ商人ジョブの初心者を援助しようっていう取り決めみたいなものだったらしいけど」
「最初は?」
「そう、最初は“初心者商人の露店を見つけたらなるべく買ってあげよう"くらいのものだったんだけど、それがドンドン大きくなっていってね。気づいたら他の生産職も巻き込んだ一大連盟になってたんだよね」
「そりゃすごいわ」
「今じゃあ結構な数のクランが参考にしてるんだよ、プレイヤー同士の価格決定なんかは大抵ここが基になってるね」
事の発端から考えればとてつもない大事になっている。そうサンラクは思う。
生産職とは攻略を主とするプレイヤーにとっては切り離せない存在である。武器一つ、アイテム一つ手に入れるのにも少なくない労力をかけることになるシャンフロにおいて、そういった手間を簡略してくれる存在は大きい。
特にNPC商店では売り切れも多発するため、受注生産とはいえ確実に数が揃う生産職とのつながりは、攻略の最前線を走る者にとっては喉から手が出るほどほしいものだろう。
「ん?じゃあなんで
「ライブラリは、いってしまえば攻略の後方を歩く側だから。大口入荷の
「あー、なるほど。後回しぎみってわけね」
ライブラリは考察クランとはいえ、攻略しないというわけではない。気になる要素が生まれれば、検証の為に自分たちで動くこともあるだろう。
そういったときに必要なものが足りない。という悩みから解放されやすくなると考えれば、あの食いつきっぷりも納得と言える。
そうサンラクが頷いていると、そこに疑問を呈したのはオイカッツォである。
「でもさ、別に俺たちって商連関係者って訳じゃないよね。どうやって交渉材料にしたの」
「確かに。天秤商会のVIPってのはさすがに関係ないだろ?」
その言葉に、おいおい何を言っているんだと大きく肩をすくめるペンシルゴン。
海外の通販番組を彷彿とさせるような動きにそっと二人が武器を構えようとしていると、しょうがないなといわんばかりにペンシルゴンは答えを述べた。
「別に私は「商連と繋がりがある」なんて一言も言ってないよ。「商連に関わりのある人物の協力も得れてる」とは言ったけどね」
「こいつマジか」
「嘘は言ってないところが腹立つよなー」
てへ、ととぼけるペンシルゴンにジト目になる二人。その言い方だと、さもこれから最前線を走るであろう旅狼のバックアップとして商連がいる、と聞こえなくもないが、実際は商連の発起人のクランの一人につながりがある程度である。連盟との協力、などは見込めるわけもない。
しかしウェザエモン討伐の為、天秤の持ち出しに商連関係の商人との個人間の協力を得たのは間違いないし、これからも取引をおこなってくれるのは一度のつきあいとはいえ間違いないことであるとサンラクたちは感じている。
感じてはいるが……それを協力を得てる、と言えるかは人それぞれ、といったところだろう。
「でもま、おかげで満場一致でOKされたわけだし……いいのか?」
「そうそう、これで連盟相手の所有する設備なんかは使い放題!向こうからすれば情報の対価ってことになるんだろうけど――当然、そう簡単に渡すつもりはない」
そういったペンシルゴンの顔に、サンラクたちは見覚えがあった。
それは
「情報は私たちの切り札。匂わせるだけで力になるし、人だって操れるような力。それを駆使して結成したてでメンバー数三人の私たちが
にぃ、とペンシルゴンの口の端が吊り上がる。
「―――それって、最っ高に楽しいと思わない?」
その笑顔はかつて「