リなんちゃらさんが可哀そうな感じになってしまった……。
いやでも元からこんなもんかもしれない
「よっしゃあ!やってやりましょうよリーダー!」
「俺らの実力を見せてやりましょうよ!」
「新興クランが生意気言ってんじゃねーぞ!!!」
(いいぞいいぞー!いやぁ素直な子たちはおねーさん大好きだなー!)
サンラクという、おそらくリベ、リベ………なんだったか。とにかく「黒狼」にとって特大の火種によって盛大に燃え上がったその一派が面白いぐらいに想定通りに動くのを眺めながら、ペンシルゴンは零れそうになる笑みを必死に堪えながらその言葉を待つ。
最悪の場合は
思った以上の
もし言わなかったら――その時は大根を盛大に弄ることになるだろう。ストレスは肌の天敵なので、彼も喜んで受け入れてくれることだろう。
「わかりました。その代表戦の提案、お受けしましょう――いいですよね、リーダー!」
「ああ」
「おっけー。んじゃ、対戦成立ってことで」
そう言って話を閉じようとしたオイカッツォを遮るように、リガリオスは声をあげた。
「――ですが!受けるにあたってこっちからも要求があります」
「ふぅん、いいよ聞いたげる」
(きたきたきたきたぁ!いいよぉ鰹節で鮪が釣れたよぉ!)
燃え上がる打倒旅狼の気運を幸いと、それが誰によって煽られたのかも考えることもなくリベなんちゃらが声をあげるのを見て、ペンシルゴンは内心ガッツポーズ。
しかも誰が何を言わずとも勝手に要求を増やそうとするあたり、完璧に策に嵌ってくれている。
さりげなくオイカッツォではなくペンシルゴンが返事をすることで話相手を元に戻しながら、熱弁を振るうリンリクスの内心をペンシルゴンは推察する。
きっと彼は今、新参者の弱小クランに良いように煽られてキレ散らかして恥をかいたせいで内心冷や汗でいっぱいだ。おまけに自分から名乗り出ているから、このままでは終われない――そんな時に、なんと相手から直接対決のお誘いだ。
名誉挽回、汚名返上、一発逆転――まぁそんな感じの誘惑がリべリリリのなかで巻き起こったことだろう。しかも周りもやる気だ。戦いを承諾するのは難しくないだろう。
さらに、相手はユニークを倒してるとはいえまだ結成したて。対して、こちらはトップクランで人数に始まりステータス、装備ともに有利。
さらにリーダーはあの剣聖――とくれば、万が一にも自分たちが負けることなどない。
そんな皮算用がリベロースのなかで出来上がったことだろう。
――で、あるならば。
そんな状況で負けるはずのない相手、恥を塗られた相手に対して、
「この勝負には互いに同額のマー二を賭けることを要求します!」
自分の手柄と言えるだけの、プラスアルファを求めだすのだ。
「ふーん、でもうちは弱小でさぁ。あんまりお金とかないんだよねぇ」
(―――だ、ダメだ………!まだ笑うな……!)
あまりに筋書き通りに動きすぎるせいで、笑いをこらえるのに必死になりながらも、表面上は何食わぬ顔で言葉を返す。
もう一声、もう一声あれば完璧だ。
「えぇ、そうでしょう。ですから、その際には
「いや、だからしようよ。同額分を互いに賭けあってさ!いやー楽しみだなー!」
呆気にとられるリベ何某の後ろで、こっそりサイガ-100がため息を吐いているのが見える。そりゃあため息の一つも出るだろうなとペンシルゴンは心の隅で同情する。
なにせペンシルゴンが会談前に予想した通りに話が進み、黒狼としては最悪な結末になりつつあるのだから。
だが、そこでやめるようならばペンシルゴンにあらず。嬉々として彼女はとあるメールを送りながら、いまだ混乱から抜け出せていないリ何某に、ある秘密を教えることにした。
「そういえば、さっきの6クラン同盟の時に伝え忘れてたことがひとつあったんだよねぇ」
「は?」
「いやいや、大したことじゃないんだけどね。同盟とは関係なく、
後ろからガチャン、とロックが外れる音がする。少し重い音を立てながら扉が開く音が続くなかで、ペンシルゴンは言葉をつづける。
「ご紹介しとくね、こちらが旅狼の
足音が隣で止まる。完璧なタイミングだと自画自賛しながらペンシルゴンは告げた。
「――『商い琥珀店』のアンバーちゃんだよ!」