シャンフロで商人プレイする奴の話   作:白詰

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書きたいことが書けて満足です


シャンフロで商人プレイする話その3

 

 

「すっげぇなシャンフロ!やっぱこういうのは何回見てもテンション上がるぜ!」

「見ろよサンラク!この秘術書、店売りの半額だぜ!?あっちのもじゃないか!?」

「まてオイカッツォ、武器系もあるぞ!ペンシルゴンが使ってたやつは……たけぇなおい!」

(ロープ)が100マー二……!?いままで500マー二とかだったのに……!?」

 

 

「元気だねぇ」

 

 

プルプルと震えていた男性陣が興奮のまま店内を駆け巡っているのを見ていると、なんとなく微笑ましくなってくるもので。

最近は新規でお客を取ったりしていなかったので、ああいう初見の反応をしてくれるのはこちらとしてもうれしい限りである。

とくにオイカッツォのほうはジョブの「考古学者」を取っているらしく、消耗品の棚の前で縄をうはうはで吟味している。考古学者だとめちゃくちゃメインで使うのに、よく品薄になってる(生産ジョブで使う)せいでNPCからだと地味に高いんだよね、縄。耐久度高いのはその分お値段も高いし。

 

そんな初心者特有の少ない予算でやりくりする二人を見守っていると、ヌッと満面の笑顔を浮かべたペンシルゴンがいつの間にか近くに立っていた。その手に握られているのは一本の黒い槍……どうやら、ようやく見つけたらしい

 

「ね~えアンちゃん?ちょぉっと聞きたいんだけどぉ?」

「なぁにペンシルゴン?そんなお高い槍なんか持ってきちゃって?」

「どおしてこれが二割引になってんのかなぁ?今までそんなことなかったよねぇ」

「私の気分(いやがらせ)だよ。()()()()の大サービスってとこかなぁ?」

「この鬼!!」

 

 

お金がないのは知ってんだよねぇ……!日ごろの恨みをくらうがいい、因果応報ってやつである。

ここぞとばかりに安くしておいたプレイヤー(メイド)の槍を悔しそうに棚に戻しに行くペンシルゴンの後ろ姿に愉悦を感じる。今ならオイカッツォくんにプレイヤー産の縄を何本かおまけしてあげてもいいかもしれない。サンラクくんのほうは何が欲しいのかわからんので保留で。

 

 

「ほら二人とも、いつまでやってんの。はやく持ってきなよ」

「いやぁ買う物の選択肢が多い(お金がある)と困りますなぁサンラクさん!」

「そうですわねオイカッツォさん!なにせユニークモンスター討伐でお金があるものでねぇ!」

「アンちゃーん!この槍、二人が買ってくれるってー!」

「「まてこらぁ!」」

 

 

(―――ほんと、よかったねぇペンシルゴン)

 

 

普段からはありえないほど喧々諤々という言葉が似あう店内で、ここしばらく見なかった和気藹々としたペンシルゴンに心の中でそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「んで、これをどうすりゃいいんだ……?」

「とりあえず、言われたとおりに正面の受付に行ってみようぜ」

 

 

私はここでアンちゃんと待ってるよー。とアンバーさんの肩をガッツリ捕まえながら手を振るペンシルゴン見送られながら、お店の扉から外に――訂正、天秤商会()の中に出たサンラクとオイカッツォ。

迷路みたいになってるから迷わないでねと注意されたとおり、やたらと入り組んでいる商会内をあっちか、いやこっちかと雑談しながら進んでいく。

 

 

「それにしてもすごかったな、アンバーさんの店」

「ほんとなー。ペンシルゴンが楽しみにしてろっていうだけあるよ、まさかオマケも貰えるとは……!」

「言ってた本人はなんにも買えてなかったけどな!」

 

 

アッハッハッハと人通りの少ない通路を笑いながら進む二人。本人に聞かれたら絶対にタダではすまないが、居ない今なら言いたい放題である。シャンフロを始めて間もない二人にとって、シャンフロ内でかのペンシルゴン(魔王)にマウントを取れる機会は、ここまで取られたマウントの鬱憤をはらす良いチャンスである。

遠くからさっき聞いたばかりの声に似た悲鳴が聞こえた気がするが、二人はスルーした。

 

 

「それで、お前はなにオマケしてもらったの。」

「ふっふーん、俺はこの使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)だ!中身はひ・み・つ。」

「うっざ……。でも俺もプレイヤー産の縄、しかも五本もだぜ!」

「こうなってくると、「招待状」のほうにも期待しちまうよなぁ」

 

 

そういいながらサンラクが取り出したのは、オマケと共に二人とももらった黒い封筒である。ところどころに金の装飾が入っており、いかにも高級といった見た目だ。ひっくり返せば、さきほどのアンバーの店の模様入りの封蝋が押してある。

これを受付に持っていけば、後はだいたいわかるよ。というのはペンシルゴンの言葉だったか。同時に肩に手を置かれた店主からは情けない悲鳴が上がっていたが、さっきの悲鳴とは何の関係もないはずである。たぶん

 

 

「おっ、着いたんじゃない?」

「ちょうどプレイヤーもいないみたいだな、変装しなくていいのは助かるぜ」

 

 

何度目かの開いた扉でようやく目的地である受付にたどり着いた二人は、他のプレイヤーがいないことを素早く確認すると受付NPCへと向かう。

『お前行けよ』というオイカッツォの視線を受けて前に出るサンラク。びくっと肩が上がったNPCを務めて華麗にスルーして話しかける。

 

 

「い、いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか」

「あー、招待状をもらったんで来たんだが……」

 

 

若干引き気味の対応をするNPCに貰った紹介状を差し出すサンラク。少々お待ちを、と対応してくれるNPCの笑顔が引きつっているのはリュカオーンの呪いのせいであって、俺のせいではないはずだ……とりあえず後ろで声を潜めて笑っているオイカッツォをはたしてどうしてくれようか。

 

そんなことを考えていたせいで、サンラクは招待状を確認していたNPCの雰囲気が別物に切り替わっているのに気付くのが遅れた。なんとなくだが、商会自体が騒がしくなっているような気もし始めている。後ろで笑っていたオイカッツォも異変に気付いたらしく、彼も持っていた招待状を受付へと渡す。すると、受付嬢は目に見えて真剣な顔つきになって扉の中へと引っ込んでいった。

 

 

「ねぇ、もしかしてこれ、けっこう大事(レア)な気がするんだけど」

「奇遇だな、俺もそう思う」

 

 

そんな感想をサンラクたちがいうと同時に、受付嬢が引っ込んでいった扉から明らかに責任者ですといった身なりのいい紳士が出てくる。

 

 

「お待たせいたしました、サンラク様、オイカッツォ様。遅れましたこと心より謝罪いたします」

「あー、いや。気にしてないっす!なぁオイカッツォ(どうすりゃいいんだ)!?」

「そうですよ!気にしないでホント!ねぇサンラク(俺が知るか)!?」

「ありがたいお言葉……。それでは、ご案内させていただきます」

 

 

恭しい態度で扉を開き、どうぞこちらへと案内してくれる紳士についていきながら、さりげなくお互いに前を譲り合う(押し付ける)二人。アイコンタクトと巧みなステップで紳士の後ろを押し付け合う二人の姿は、この場にペンシルゴンが居ればきっと大笑いしていたことだろう。

結局互いに譲り合うせいで横並びになってしまい、明らかに厳重な警備のついた扉の前で振り返った紳士に二人そろって背筋を伸ばして立ち止まってしまう。

ゴゴォン…と重厚感マシマシの効果音とともに開けられる扉とそこからのぞく高価そうなアイテムの数々を見ながら、サンラクとオイカッツォは同じことを思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

…………そりゃあ対価の天秤も借りられますわ。と

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ちなみに今更ですが、時系列はウェザエモン撃破後~ビィラック加入までの間を想定してます
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