転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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月面にて

「おい、なんか俺まで悪目立ちしちまったじゃねーか……」

 

 不満そうなアンシェが、ハロボディで地面をポンポン跳ねている。

 

 その跳躍力は普段の6倍はありそうだった。

 

「だって! バルバトスであれ以外どうやって戦えばいいんだ!」

 

「……まぁ武器がメイスだしな」

 

「力の限りぶん殴って、スピード解決以外の戦闘方は逆にバルバトスっぽくないと思う」

 

「それはそれでうがった見方過ぎねぇか?」

 

 俺はムムムと唸り、そうかな?っと項垂れた。

 

 チラリと傍らに立つリリネットに視線を送ってみたが、リリネットは視線を逸らしてすまし顔である。

 

 いやでも、少なくともプレイしていて楽しいのはこの雑さなのだが?

 

 アバターで軽い体を体感しながら、我ら『モルガーナ』はフォースネストで反省会中だった。

 

 そして目の前で浮いている紫ハロアバターのアンシェは簡素な顔のくせに若干不機嫌そうに見えた。

 

「それで? なんでこんな茶番に俺を付き合わせた?」

 

「楽しんでもらいたくて……というと怒りそうだからあれだけれども」

 

「あぁ?」

 

「リリネットと楽しくお茶会でもよかったんだよ? そっちが良かったかな?」

 

「……つまり、コミュニケーションをとらせたかったって?」

 

 ハロが不機嫌そうな声を出すが、まさにそう言うことだ。

 

 まずはリリネットが、単純なNPCなんかとは違うと認識してもらうこと。

 

 そうして初めて、用意した数々のデータが価値を持つことになる。

 

「まぁ趣味が全然なかったとは言わんけどね。単純に月に拠点を持てるのは悪くない。ELダイバーがどこに発生するかはわからない。俺の時は救難信号を受信したから、網を張っておけば遭遇の確率は上がる。この基地を使えば逆に呼びかけることもできるかも」

 

「……それで俺に何をしてほしいんだ?」

 

「そりゃあもう色々お手伝いを」

 

「……帰る」

 

「いやマジでだって。当面の俺の目標はELダイバーのサルベージと解析だ。今は根こそぎデータを引っこ抜いてくるような大雑把な仕事なんだよ。これからELダイバーはきっとどんどん増える。アンシェの力を借りたら、こうもっとコンパクトに……例えばガンプラを動かすように、データを入れられるかもしれない」

 

「そんなことに何の意味がある?」

 

「意味があるのかどうかもわからん。でも見つけたからどうにか助けたい。頼むよ。もうリリネットさんは友人なんだ」

 

 実際彼にはそれ以上言いようのない話だった。

 

 放っておいたらGBNが崩壊しちゃう!なんて言ってしまったら、それは最高だ放っておけという男であるシバ君は。

 

 でも、彼はこれでも情に厚い男でもある。

 

 それがGBNを崩壊させる決定打になるとしても、幼気な女の子が消滅すると言うのなら手を貸してしまうほどに。

 

「……正直、お前から色々見せられても、俺にはそいつが電子生命体かどうかなんてわかんねぇ。それでもか?」

 

「それでも話を聞いてくれる程度には、理解してくれたんだろう? 今はそれだけでも十分すぎるんだ」

 

 まぁ、彼も今はまだ大人というには早い年齢だ。

 

 ビルドデカールのような高度な仕事を今すぐに要求するのは無理だろうが、手伝いをしてくれるだけでも大変助かる。

 

 そこは未来のビルドデカール製作者に大いに期待しない方が無理というものだった。

 

 目を輝かせ頭を下げる俺に、忌々しい視線を向けながらもアンシェは最終的に非常に面倒そうにだが、肯定の返事を返してくれた。

 

「……半信半疑だが。まぁ少しなら付き合ってやるよ」

 

「ありがとう! いやぁ本当に声をかけてよかった!」

 

「うるせぇよ。その代わり、GPDの改造には俺も一枚かませろ。サーバーまで用意してる環境は魅力がある」

 

「了解了解。まぁ自由にやってくれ。たぶん……そっちの方が面白くなるよ。お互いに」

 

「……そうかい」

 

 正直本当に面白くなるかどうかの保証は出来かねるけど。

 

 それはそれで楽しみであると言うのが、俺の思うところだった。

 

「まぁGBNにしても、せっかく狭き門を通過して、月の砦は手に入れたんだ。遊ばないともったいない。ゆくゆくは地球圏のやつらに、面白い話題を色々と提供してやろうじゃないか。この拠点はその第一歩ってところだね」

 

 さっきまで足跡を沢山つけた月面の向こうには、青い地球が輝いている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 俺の言葉を聞いたアンシェの赤い目もピコピコと輝いていて、笑っているようにも見えた。

 

「ああ……そいつはいいな。こんなまやかしの偽物が大したことないって教えてやりてぇ」

 

「ハハハ、大したことがないかはともかく、楽しみ方は人それぞれだとも。まぁ、参加してくれるんなら今度家の店で非公式GPD大会でも開催しよう。GBNの中で参加者募集すりゃいくらでも人集まるでしょ。くすぶってるガンプラデュエラーが」

 

「! いいなそれ!」

 

「だろぅ? まぁ、何事もゆっくりとだ。せっかくのガンプラだ。楽しんでやらなきゃもったいない」

 

「……では、次の目標は何にしますか?」

 

 今まで黙って俺の横に佇んでいたリリネットは唐突に訊ねてくる。

 

 俺は軽く考え、そうだなと人差し指を一本立てた。

 

「色々あるけど……GBNの目標は分かりやすい」

 

「何でしょう?」

 

「ガンプラバトルでとにかく勝つ。トップランカー目指していくぞ」

 

「……そっちは俺は手伝わねーからな」

 

「なんだいバトル好きなくせに」

 

「うるせぇよ。色々あんだよ……色々」

 

 まぁ色々もやもやはするだろうけれどもさ、彼も所詮はガンプラビルダーであり、ガンプラファイターだ。

 

 バトルの誘惑には抗えないと俺は知っていた。

 

「何だよ?」

 

「いや、ホントに面白くなってきたって思っただけさ」

 

 きっと俺のガンプラも戦いたくってうずうずしているに違いない。

 

 試してみたいギミックもまだまだ沢山あるのだから。

 

「さぁ、もう少し月面基地を探索しよう! この基地広すぎだ!」

 

「……まぁそうだな。せっかく色々と犠牲を払って手に入れたネストだ。頑張れ、『月の悪魔』」

 

「……その二つ名確定なの?」

 

「「確定だな(でしょう)」」

 

「うぅ」

 

 ……変な二つ名もついてしまったけれど、俺は楽しくやれそうな気がした。

 

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