転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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こだわりはビルダーの性

 GBNの最も華々しい遊び方は何か?

 

 そう尋ねられたら、もちろん対人戦だと答える者は多い。

 

 しかし対人戦を行うにしても、相手がいないと成立しないわけだ。

 

 条件を設定してランダムバトルで延々戦うのも楽しいが、やはりリターンが多く、真剣勝負になるのは公式ミッションや、何か所有物をかけて戦うバトルだろう。

 

 その点でいえばフォースネストを商品にするのは分かりやすく、価値がある。

 

 そして一般的な華々しい楽しみ方を、今自分はこれ以上ない頻度で堪能している実感があった。

 

 

 

 

 赤い機体が、宇宙の闇の中を真一文字に横切っていた。

 

 ブースターを焼ききれんばかりに使い、大いに加速してこちらに向かって突撃してくるモビルアーマーはヴァルヴァロと呼ばれていた。

 

 モビルスーツよりはるかにデカい質量の塊から繰り出される突撃は、それだけで脅威だ。

 

「だが……体当たりって結構難しいんだぞ?」

 

 俺は月面に砲弾をバラ撒いて、砂を広範囲に巻き上げた。

 

 視認はできまい。

 

 そしてレーダーの感度が悪いのは、この世界の常識だった。

 

 ヴァルヴァロが最大加速でぶつかったのは俺がいい感じに地面に突き刺した大型メイスの先端である。

 

「……!」

 

 大事故は完成する。

 

 まんまと誘導されて地面に激突したヴァルヴァロは、陸でひっくり返されたカニに他ならない。

 

 アームを振り回し、放ったメガ粒子砲は月の岩を削るが、そんな悪あがきは超大型メイズで粉砕だ。

 

 

 月面でヴァルヴァロの装甲を叩き割りながら、俺はしみじみと呟いた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「いやーでかいネストを持ってると、向こうから吹っ掛けてくれるからいっそ楽かもしれない」

 

 しかし場所が月とはいえ、このGレクスにモビルアーマーで挑んでくるのがそもそも無謀の極みではないだろうか?

 

 我、対MA機ぞ?

 

 宇宙空間や月ではMAの使用率はぐんと上がる。

 

 デカいと強いのは否定すべきところではないが、俺としては必ずしもそれで勝たせるつもりはなかった。

 

「体感、モビルアーマーはGPDの時より強いな。フィールドが広いからかな?」

 

「確かにそれはあるかもしれません。MAは推進力も大型ですし、強力な長距離砲も豊富ですので、フィールドが広ければ真価を発揮しやすいのでしょう。今回賞品でいただけるフォースネストは海の島のようですから、戦場の変更を検討してみては?」

 

「確かに地球の重力があるとこう……メイスの重量感が違う気もする。ああでも、テイルブレードのスピード感は宇宙の方がキレがいい、悩ましいな」

 

「ふむ。私の機体もスピードは宇宙の方が出ますね」

 

『すっかりリリネットも適応してんだな……』

 

 俺とリリネットが対戦について語り合っていると、通信が入る。

 

 今現在リアルから話しかけてきたのは、シバ君だった。

 

「あ、そっちも終わった?」

 

「……ああ、終わったぜ。まぁ、色々すり減ったが……」

 

「どういうことよそれ?」

 

「いや、素体の制作に昔の知り合いを頼ったんだよ。……美プラ頼んだら驚愕されてな」

 

「…………自分で作ろうとは?」

 

「普段美プラは作らねーからノウハウがねぇんだよ! ロボットと人間じゃ全然ちげぇから! 使用目的から言って長く使うもんだし半端なもん渡せねぇだろうが!」

 

 俺はチラリとリリネットを盗み見る。

 

 確かに体を提供しようって言うのに、適当なものは渡せまい。

 

 リリネットは深々とシバ君に頭を下げた。

 

「お気遣いいただいたようで、ありがとうございます」

 

「はぁ!? お気遣いなんてしてねぇよ!」

 

 いや、完全に気を使っているだろう。

 

 それも自らの尊厳もいくらかすり減らして。献身的な奴である。

 

 俺は裏返るシバ君の声を聴いて、根が真面目なんだろうなとほっこりした気持ちになった。

 

 

 

 ではログアウトして俺はシバの元に向かった。

 

 今回シバと共同制作したのは、端的に言えばリリネット用のGPD機体だった。

 

「で……出来上がったのがこの素体だ」

 

「いやぁ、仕事が早い。器用だなぁやっぱ」

 

「……器用というか、このプロトビルドデカールってやつ、大体お前が基礎設計は済ませてたじゃねぇか。俺は少し弄っただけだ」

 

「何言ってんだ、俺はその少しが出来なかったんだぜ? それに少々の手間も省けないなら、何のために長いことかけてリリネットに協力してもらったかわからないじゃないか」

 

 このプロトデカールはGPDの筐体上でリリネット用のガンプラに張り付けて使う。

 

 いつまでも立体映像では、リリネットもリアルの実感が得られないだろうとELダイバーのデータを入れて動かせる素体を作ったわけだ。

 

 ぶっちゃけ立体映像のままでもいいんだが、これからのための試作にもなる。

 

 作中で見る限り、完成形の素体はそのまま外に出て、生活までしていたからそう言う意味では完成度の低いまがい物というのが現状の俺の評価だった。

 

「……後でもう少し詳しく教えろ。正直ELダイバーってやつは思ってたより難物だ」

 

「そうだよなぁ。まぁ期待しているよ」

 

「……言ってろ」

 

 では早速、配線とか色々むき出しだが、そこは企業じゃないので勘弁してほしい。

 

 肝心の使ってみる本人は、初めての物にもひるむことなくワクワクとした表情を浮かべていた。

 

「それじゃあ、リリネットさん、試してみる?」

 

「もちろん。非常に楽しみです」

 

 専用の台座にセットした素体に膨大なデータが流れ込んで、リリネットの立体映像が消える。

 

 特殊な処置がされた素体はそれそのものがELダイバーの第二の肉体となる。

 

「……」

 

 パチリとリリネット専用に調整された素体の目が開いた。

 

 俺はにやりと笑みを浮かべて、シバは自分のやったことに戸惑いながらも驚きが隠せていない。

 

 リリネットは鏡を渡すと、新しく出来た体をしげしげと眺め、ひとしきりポーズを決めた後、一応の納得を示していた。

 

「素晴らしい造形です。私はあなた方を尊敬します。マイマスター」

 

「「マスターは止めろ?」」

 

「なぜですマスター」

 

 よし転送は成功だ。

 

 これはリリネットだと思う。

 

 また一歩進んだELダイバーへの理解は間違いなくシバ君の貢献が大きい。

 

 強引に仲間に引き入れて正解だったと、俺はようやく確信していた。

 

 

 

 

 諸々見栄えは、俺達もビルダーの端くれ。

 

 クオリティの低い仕事は許せねぇと現在主にシバ君も奮闘中である。

 

 グラインダーまで持ち出して、ギャンギャン組み立てては削り、組み立てては削り、かっちょよい外装を組み立てているはずである。

 

 俺はその間、多少罪悪感がないわけではないが、GBNを楽しんでいた。

 

 フォースネストの基地の一室にて、俺は傍らに置いてある壺をチーンと指で鳴らして呟いた。

 

「ああ……。これはいいものだ―――」

 

「同意見です。月基地の整理は進んでいます。いかがですか?」

 

「あーいいね。実にいい仕事だ。それに月基地から見下ろす地球は最高だなぁ……」

 

 ふかふかのソファーに座り、俺はすべて透明の天井を見上げる。

 

 その傍らには、すっかり安定したリリネットが静かに立っていた。

 

「確かに、素晴らしい光景です。GBNとはここまで広大なのですね」

 

「そうとも。ところで今更かもしれないけど、……何でメイドっぽいのかそろそろ聞いてみてもいいだろうか?」

 

 そしてついに我慢できずに尋ねると、リリネットはじっと無表情で俺の顔を見ていたが、コテンと首を傾げた。

 

「……落ち着くから?」

 

「理由ふわっふわだなぁ」

 

「と言われましても、こちらで目を覚ました時からですので深い意味はありません。しかしこだわりがあるのもまた事実ですね。無理に変えようとも思えませんし」

 

 リリネットからこだわりという言葉が出るのも感慨深い。

 

 まぁ確かに外観の話をするなら、好きを形にするのがGBN。そこは心の赴くまま生きる権利がELダイバーにもあるはずである。

 

 もうすでにこの月基地のハウジングも、見慣れないメイド服に合いそうな、西洋風の調度品が少しずつ増えていて、リリネットが独自に動いていることもうかがい知れた。

 

「なるほどなぁ……もうそんなに成長したかリリネットさんも。でもさ……せっかくだから、こういうこだわった場所って、意味もなく見せびらかしたいよね?」

 

「わかります」

 

 おや? それは話がわかる。

 

 ならば素直にフレンドを我がフォースネストに招待しよう。

 

 そう決めると、俺はさっそくヒロトにスケジュール確認のメッセージを送ることにした。

 

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