転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
あらゆるところからミサイルが飛来して、メガ粒子砲のゴン太ビームが、全てを薙ぎ払う。
空一面、爆炎の地獄のような状況は、まだまだ続くことだろう。
アプサラスIIIに無理やり接近したら被弾の可能性がある、確かにそれはその通り。
アプサラスIIIは耐久力は鬼のようだが、バリアもない様子。
着弾の瞬間に機体にとりついていれば、アプサラスIII共々スクラップ。
いや、耐久力ではるかに劣る小さな機体は一斉攻撃の余波でバラバラに何かねない。
しかし―――だからなんだって話だった。
「その装甲を貫く!」
でっかい敵に致命傷を与えるなら、弱点を狙うのが一番だ。
そして弱点を狙うなら、近い方が当たりやすい。
古来より、でかい大砲を無力化するなら発射口を叩かねば。
いかにアプサラスIIIがデカかろうが、我がGレクスの大型メイスの先っちょのとんがりは伊達ではないのだ。
ロボものロマンの一つ、パイルバンカーを叩き込めば、アプサラスIIIだって串刺しである。
ようやく山を駆けあがり、節約した推進力を爆発させて装甲にとりつくまさにその時、俺が咄嗟に動きを変更して回避したのは勘に近いものだった。
GN粒子の砲が叩き込まれ、爆発の中に俺がいないのは、運の要素がとても大きい。
「……アレを避けるか。いいね」
「セラヴィーガンダム! 来たか!」
「いい判断だ。それになかなか愛の籠ったいい機体だね……」
見上げた位置に水色系のデカい機体が浮いていた。
機体のパイロットはシャフリヤール。
近い将来トップランカーに上り詰めるビルダーは完全にこちらをロックオンしている。
さて、どう立ち向かおうか?
アプサラスIIIのミノフスキークラフトの振動も徐々に激しくなってきている。
倒すにしても、逃げるにしても、ぐずぐずしてはいられないようである。
するとシャフリヤールはわざわざ俺に通信を送ってきて妙な提案をした。
「どうだろう? どちらがこいつを仕留めるか……勝負しないか?」
「望むところだね」
「フフフッ……いいね。噂の月の悪魔の実力、見極めさせてもらおうかな!」
止めてその呼び方!
なんて心の叫びは、いきなり急上昇したアプサラスIIIの大型メガ粒子砲の拡散攻撃の光に呑まれて、言う暇がなくなった。
「無茶するなこいつ!」
流石に振り落とされたら攻撃できない。空中での機動はさすがだった。
そもそもアプサラスIIIは強力な大砲で基地を強襲なんてコンセプトが無茶な機体である。
だがよく考えるとこいつはモビルスーツ戦にはあまり向いていない機体にも思えた。
でっかいビーム砲を備えた大型のモビルアーマーは、その実、宇宙戦艦と大差がない。
そんな宇宙戦艦を落すために設計されたのがモビルスーツのはずだ。
作品ごとに多少の、設定ブレはあるものの、鉄血なんかはそのままMAを倒すために作られたところがある。
油断はできないが、決して不利ばかりではない、そんな相手だ。
「勝負は受けたことになったのかな? まぁ、モビルアーマー潰し勝負って形なら……最高だな!」
少なくとも強力な外敵を意識しなくていい分、やりやすい。
俺は操縦桿を深く倒して再びアプサラスIIIに接近すべく、山の斜面を飛んだ。
あの図体だ、足元の方が狙いはつけづらかろう。
現状先ほど俺ごと吹き飛ばそうとした大火力の一撃でアプサラスIIIのターゲットはシャフリヤールに移っていた。
「存分に敵を引き付けてくれ……次は確実に仕留めてやる」
俺が狙うべきは、コックピットか、はたまたメガ粒子砲の射出口か。
なんならミノフスキークラフトの発生装置に、パイルバンカーを打ち込むのも捨てがたい。
今回狙うのは―――。
「いや……ここはミノフスキークラフトだろう!」
アプサラスIIIは2基のミノフスキークラフトという浮遊装置で、バカでかい巨体を安定させているはず。
つまりそいつを破壊すれば、勝手に自壊する。
「さぁ、アプサラス……コレに耐えられるかい!」
だが先に動いたのはシャフリヤールだった。
空中からとにかく撃ってくる砲撃は、容赦なくアプサラスIIIの装甲を焼いて行く。
セラヴィーガンダムシェヘラザードはGN粒子を利用した大火力が売りの機体だ。
流石に大型ボスだけあって、数発でやられたりはしないが、あまり悠長にやっているとアプサラスIIIだって撃ち落とされかねない。
俺は大慌てでアプサラスIIIのミノフスキークラフトに該当する装置に狙いを定めた。
「やらせるかぁ!」
そしてシェヘラザードが撃つより先に命中させるべく、俺はやり投げの要領で超大型メイスを投擲した。
「……!」
踏み込みで地面が砕けるほどの力強い投擲がアプサラスIIIを襲う。
メイスはいい感じにミノフスキークラフトに命中すると、巨大な爆発が起こってアプサラスIIIはガクンと機体を傾けた。
「なに!」
驚いたのはシャフリヤールである。
一斉射の的が突然傾いたのだから当然だろう。
武装の半分が空を切れば威力ももちろん半減。
そして、アプサラスIIIには、俺に好都合にいいダメージが残ってくれたようだった。
「きたきたきた!」
落ちて来たアプサラスIIIに俺がダッシュすると、シャフリヤールもこちらに気が付く。
そして何が起こったのか正確に把握して、GNバズーカを構えた。
「やってくれるね!」
「まだまだこれからさ!」
ではここで意表をついてやろう。
俺はそのまま落ちてくるアプサラスIIIを踏み台にして、シェヘラザードの方に飛び掛かっていた。
「な!」
「悪いけど……狙いはあんただ!」
「甘いね……メイン武装なしで、私に勝てると? 舐められたものだね!」
工作技術が高いと言うことは、機体の性能が高いのと同義である。
不意を突いて接近出来たのは僥倖だが、戦っても圧勝とはいかないだろう。
「でもこれはミッションなんでね……確実に勝つ」
俺はテイルブレードのワイヤーで、シェヘラザードを絡め取って体当たりをぶちかます。
「なに!」
「そしてそのまま!」
もつれながらアームで機体を抑え込むと、そのまま一緒に墜落した。
「正気か! アプサラスはまだ機能停止していないんだぞ! これでは……!」
「そうとも。とどめを刺すのは俺じゃない。ここに来る道すがらちゃんと掃除はして来たんだ」
たんだ」
「は?」
「そのまま……足止めをお願いします。ようやく追いつきましたね」
主にライフルを持った敵を中心に念入りに狩ったのは、彼女の通る道を作るため。
そしてうちのフォースメンバーは、道が出来ればわき目も降らずここにやって来る。
「素晴らしい。では全部撃ち尽くします」
「援軍か!」
ハロ・クタンは砲撃の雨を巧みな操縦でかわしながら突っ込んで来た。
そして最後に、アプサラスIIIの悪あがきである特大のメガ粒子砲も華麗にかわして過剰に盛られた兵装のそのすべてを、地に落ちたアプサラスIIIに叩き込む。
「ファイア」
すでに深いダメージを負ったアプサラスIIIでは、同じMA並みの火力に耐えられるはずもなかった。
「……アレはずるくないかな? 普通サイコガンダムの腕なんて付けてくるかい?」
「マークトゥーですよ。なに反則じゃなければ問題ないでしょ?」
大爆発を起こしたアプサラスIIIは火山が噴火したようだ。
身動き取れずにそれを眺める俺達は赤々と空を照らす火柱をミッション終了のアナウンスが流れるまで、呆然と眺めていた。