転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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とある倉庫の秘密会議

「……って感じで。シャフリヤールって人と連絡先交換しちゃった」

 

「そりゃよかったな……」

 

「あれ? それどころじゃない感じ?」

 

 作業中、シバ君と世間話をしていたのだが、どうにも今日は作業量が多いらしい。

 

 だがそんな作業中にもかかわらず、シバ君は俺に訊ねた。

 

「ああ、お前がリリネットを見つけたってことは、ELダイバーは今もどこかにいるかもしれないんだよな?」

 

「そうだよ。探してはいるけどリリネットさんを見つけられたのは相当運がよかったみたいだ」

 

 一人いればもっといるはず。

 

 少なくとも二人はいた。

 

 因子が結実するなら、種が春に芽吹くように、一斉にことが起こる可能性は高いと思う。

 

 しかしそれは同時にとても危険だと俺は思っていた。

 

「サービス開始初期は、アップデートも多いから心配は心配なんだよ。ELダイバーはシステム的には完全にバグだもんな。ちょっとしたきっかけで生まれた端から消されてもおかしくない」

 

 そもそもリリースしたばかりのゲームは、思わぬ不具合も多いし、ログインしてくる人間だって多いのだ。

 

 GBNの余剰データがELダイバーを生み出すと言うのなら、今この混沌とした時期に何事もない方が不自然というものだった。

 

 始まってみると手が回らないことも多いよなぁと俺が肩を落としていると、一際大きなツッターンというキーボードを叩く音が響いた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「よし。んで……とりあえずシステム内をスキャンするツールを作ってみたわけだが」

 

「ほわ!……すげぇの作ったな! BAN覚悟しなきゃじゃない?」

 

「そんなん今更だろう? とりあえず自分のいるエリアにELダイバーがいれば知らせる奴だ」

 

「……こっそりやりたいところだね」

 

「ああ。だがお前の言うことを本当に証明するには、バグをただのバグじゃないと証明しなきゃならねぇ。それには見つけたELダイバーがリリネットだけじゃダメだ。俺だっていまだに、リリネットはお前が作ったAIなんじゃねぇかって疑ってるくらいだからな」

 

「……疑ってるかぁ」

 

「そりゃあ疑うだろうよ。ユーザーのいない、NPD(ノンプレイヤーダイバー)でもないキャラクターがGBN内に自然発生している事実がいる。その上で、サルベージして見せるところまでやらねぇと、何か不具合が出た時点で一斉消去待ったなし、それがバグってもんだ」

 

「運営にしてみたら、百害あって一利なしだもんな」

 

 ゲームの運営に不利益をもたらす余剰データなんて迷惑以外の何物でもない。

 

 更にはクラッシュする危険まであるなんて、デバッグ対象でしかない事だろう。

 

「そう。それは、例えELダイバーの存在を証明できたところで同じことだ。高度なAIが自動生成するからなんだ? こいつはガンプラバトルをするゲームだからな、想定していない要素なんて知ったことじゃないだろうぜ」

 

「……」

 

 わかりすぎるくらいにわかる。

 

 予定外の仕様なんてマジで勘弁してほしいなんて言うのは、必死に運営している方からしたら当たり前だろう。

 

 そして俺達の話に、予定外の相槌も飛んできた。

 

「その通り……理解できる話です」

 

「うお! リリネットさん聞いてたの?」

 

「ええ。探索は私が行いましょう」

 

 更には、役目もしっかり願い出るリリネットはいつだって前向きなお嬢さんだった。

 

「リリネットさんが? それはさすがに危ないよ?」

 

 しかしこれ以上不正なツールを使わせて、リリネットがアカBANされたら、さすがに困ることになる。

 

 そこは俺達が、頑張って探すのが正解なのではないだろうか?

 

 俺達なら、アカウントを消されたとしても戻ってくることが出来る。

 

 リリネットが完全にGBNとの繋がりを消された場合、悪影響があるように思えた。

 

「私ならば休まず常にGBNの中を探索することが出来ます。簡単に見つかるようには作っていないんですよね?」

 

「ああ……たぶんな」

 

「ならば、やってみましょう。私も私がどういう存在であるのか、この手ではっきりさせたいのです」

 

「ふむ……。じゃあ、いったんゲームは中断して、探索に集中しようか?」

 

「「!!!」」

 

 だから俺は提案した。

 

 無念ではあるが、俺が始めた話である。

 

 リリネットさんが本腰を入れるのなら、それくらいは意識を割いても良いと思ったのだが、二人は驚愕して俺を見ていた。

 

「…………マジか。ガンプラ狂いのお前がそんな殊勝なことを言えるのかよ」

 

「失敬な奴だな君も」

 

「……いえ、タカマルはゲームを続けてください!」

 

「ええ? なんで?」

 

 そしてなぜかリリネットは思ったより必死に俺を止めて来た。

 

「何かを諦める必要なんてないのです。それに私はGBNが好きなのです。GBNを楽しむ心を私達のために邪魔したくはありませんから」

 

「……そう?」

 

「それに、フリーエリアのディメンジョンだけでなく、ネストやミッションが行われるエリアに可能性がないわけではないでしょう? あくまで同時進行で私達はELダイバーを探索すべきです」

 

「……なるほど。じゃあ今まで通り+αってことにしておこうか」

 

 俺は、それもそうかと前言を撤回した。

 

 一番理にかなっているのはリリネットの様だ。それに心情的にもわかる話でもある。

 

 ここからは危ない橋も渡っていかねばならないことに変わりはないが、探索ツール自体はやってみる価値は十分あるはずだった。

 

「よし、じゃあ。今まで通りゲームを楽しみつつ。シバ君ツールで本格捜索を開始しよう!」

 

 ツールを使ったところで今まで通り牛歩であることは変わらないだろう。

 

 いやその前に。ELダイバーを発見できたとして、家のサーバーでどれくらいまで安定させられるだろうか?

 

 数人……いや、今なら頑張って数十人ならどうにかなると思うが不安もあった。

 

「……そんなに見つからないか。皮算用ってやつだな」

 

 原作でもたしか100は行ってなかった気がするし。

 

 地道な探索で見つけることが出来るとしても数人がせいぜいだろうなんて……俺はその時楽観的に構えていた

 

 俺は甘く見ていたんだ。

 

 GBNはサービス開始したばかりで、システム的には一番不安定。

 

 そしてイベントが本格的に始まり、様子見していたユーザーも大量に流れ込む、最もユーザーの様々な思いが渦巻く状況がいかに混沌としているかを。

 

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