転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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思ったより見つかった

「…………」

 

 俺は信じられない光景に、思わず押し黙った。

 

 リリネットはすまし顔だったが、よく見れば心なしか表情は得意気というか、満足気にも見える。

 

 そして―――月基地には、すでに6名ほどの見知らぬ人間がいた。

 

 ただ、全員に共通しているのは目に生気がないことだろう。

 

 意識がはっきりしていないようで、実際見かけたら大丈夫ですか? と思わず声をかけたくなりそうだ。

 

 それにそもそも、体のモデリング自体が不安定な者すらいるのが、彼らのデータの不安定さを物語っていた。

 

「……全員ELダイバー?」

 

「その通りです。例の捜索ツールは実に優秀でした」

 

 確かに優秀だ。シバ君マジ天才である。

 

 考えてみれば救難信号なんて言うのは危機に陥って初めて機能するものだ。

 

 そして、こうやって不完全なデータとしてゲーム内に具現化すれば、何かの拍子に消えてしまうことは容易に想像がつく。

 

 というか、こういうパターンもあったか。

 

 実際に彼らを見て、驚いているのはアンシェも同じみたいだった。

 

「……本当にいたのかよ。いや驚いた」

 

「何で驚くんだよ?」

 

「だから言ったろう? まだ疑ってるって。でも……出てきちまったもんは仕方がねぇな」

 

 なんということだろう。俺の信頼性低過ぎである。

 

「……まぁ無理もないか。俺だって普通じゃなかったら信じないよな」

 

「いや、言い出したやつが何言ってんだ」

 

「それはそう。……しかしこんなに見つかるとは。明らかに不具合が出ているのが気にかかるね。片っ端から治療していかなきゃだろうなぁ」

 

「可能ですか?」

 

 リリネットの質問に、俺は頷いた。

 

 ELダイバーは偶発的に生まれてくるから、不具合は想定していたが、悪いパターンなのは間違いない。

 

 成功するかは7割くらいと思っておこう。

 

「たぶん、まぁ何とかなるだろう。治療室を用意しているから、そこに彼らを運んでくれ」

 

「流石です。ではすぐに移動しますね」

 

 リリネットはぼんやりする彼らをまとめて、治療室に運んで行った。

 

 治療室は、ELダイバーのデータ収集を一時的にストップする閉鎖された空間だ。

 

 そして治療と呼んだ作業は、より正確に言うと安定しているリリネットのデータを基にして、不具合がある部分を整理する感じになる。

 

 なんとなく本人達には言えないけど、今後サンプルが増えるにつれて、精度も上がっていくと思う。

 

「……しかし、何とも言えねぇ気分になるよなこの治療」

 

 手伝ってくれているアンシェが、ピコピコ目を光らせてELダイバー達を見ていたが、俺だって似たような気分だった。

 

「うまくいくならそれでいいんだ……うまくいくなら」

 

「まぁそうだな……。俺達しかいねぇんだから、助けてやんねぇと」

 

 そんなセリフがアンシェから漏れて、俺は思わず彼をまじまじと見てしまった。

 

「……」

 

「なんだよ?」

 

「いや、面倒見が本当にいいんだなって思って」

 

 こう、最初はもっと身勝手な印象もあったのだ。

 

 しかし一度こうしてかかわると情の深さが、とても目に付く。

 

 自覚もあったのか、アンシェはどこか照れくさそうな声でハロの目を明滅させていた。

 

「うるせぇよ。だけどまぁ、お前は……ちゃんとこいつらの事を証明してみせたからな。なら、ちったぁ手を貸さねぇと俺も格好がつかねぇだろ?」

 

「……そんなもんかね?」

 

「ああ。つーかマジで勉強になる。同世代とこの手の話で無駄話になんねぇとか思わなかったよ。どっか有名なところでプロでもやってたのか?」

 

「目的があるからじゃない? ……未成年がそんなことできるわけないじゃないですか……やだなぁ。頑張って勉強しただけだよー」

 

「そうか……そうかぁ?」

 

 鋭いシバ君のスキルはGBN憎しで、死に物狂いで勉強した可能性があるから、その辺埋め合わせになるのなら、知ってることは教えていく所存である。

 

 では状況を見るにゆっくりもしていられないので、サルベージしたELダイバーの治療を始めていくことにしよう。

 

 なぁに、こんなこともあろうかと治療ツールは用意してあった。

 

「じゃあ、こっちはやっておくから、リリネットさんはフォースの事任せていい?」

 

「もちろんです。私の方でやりたいこともありますのでおまかせください。資金の一部を使っても?」

 

「どんどん使っていいよ。所有フォースネストも増えて来たし、気に入ったのがあったら好きにしていいから」

 

「了解しました。ならばご期待以上の仕事をして見せましょう。ELダイバーの皆様方は治療が終わり次第私に預けていただいても構いませんか?」

 

「? そりゃあ構わないけど。先輩として色々教えてあげてよ」

 

「―――もちろんです。モルガーナの一員として恥ずかしくない教育を施して見せましょう」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「?」

 

 うちのフォースそんな規則みたいなものはなかったと思うんだけど、リリネットは妙に楽しそうだから別にいいか。

 

 俺の方も楽しくなってきたし、フォースの発展のためならゲーム内通貨くらい、いくらでも使ってくれていい。

 

 それにそろそろゲーム的にも動き出さねばならなかった。

 

 第一回ガンプラフォーストーナメントが近いうち開催されるようだ。

 

 こいつは乗るしかない、このビックウェーブに。

 

 しかし問題は、人員だった。

 

 フォース対抗となると、人数が単純に上限に近いほど有利になるのは間違いない。

 

 集まらなければ個人戦に集中するのもまた手だろう。

 

 優勝は厳しいかもしれないが、どうにか上位には食い込みたいなと考えながら俺はフォースの今後に思いをはせた。

 

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