転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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ハロウィンイベント

 カボチャ頭が沢山歩き回っていた。

 

 全体的にカラーリングが黒と、オレンジ色が鮮やかなGBN内では、いつも以上に仮装した沢山のダイバーがいた。

 

「うーむ。こだわってる……こだわってるなぁ。あっちはプルツー。お! あっちは00のスメラギさんだー」

 

 服装がハロウィンカラーだと言うのにそれとわかるモデリングはさすがだ。

 

 うん、ガンプラだけじゃなくてアバターがすごい。

 

「これは……ガンプラも期待できそうだなぁ」

 

 俺がモデラーのこだわりに唸っているとロビーで声をかけられた。

 

「タカマルも来てたのか」

 

「こんにちは! タカマルさん」

 

「ハッピーハロウィン。ヒロト。イヴさん。イベント日和ですね、というか今日なんかイベントあるよね?」

 

 手を振ると、笑顔が返って来る。

 

 連れ立って歩くヒロトとイブも何かあると考えているようだった。

 

「というかログインするとカボチャの被り物が貰えたしな」

 

「これね!」

 

 イヴが大層楽しそうにかぶっていたのはカボチャヘルムだ。

 

 これは全員に配られたもので、俺も持っていた。

 

 ちょっとメカっぽく、ディティールアップするデカールと、段落ちモールド入りである。

 

「まぁやるよな」

 

「ねぇ見て! 目が光るわ!」

 

「光った! ……芸が細かいな」

 

 イヴの頭に装着され、カッとハイライト気味に目を輝かせる姿は中々シュールだった。

 

「その通り……今日、何かが起こります」

 

 そしてざっと意味ありげなポーズで現れたのはリリネットである。

 

 彼女の頭にも、イヴ同様にカボチャが装着されていたが残念ながら二度目はインパクト薄目だった。

 

「今日も元気だねリリネットさん。イベント楽しみだね」

 

「……タカマル。反応が薄くありませんか?」

 

「そんなことないよー」

 

 まぁ確かに出来のいいモデリングだし、俺も後でかぶってみようと思う。

 

 しかしここまで芸が細かいと、これでイベントは終わり。そんな可能性も出てきた。

 

 後はコスプレしながら、普通のミッションをクリアすれば普通に楽しいお祭りになるだろう。

 

「まぁいいです。それでタカマル。……このようなイベント時、タカマルなら素敵な準備を整えているはずです」

 

「え? いやしてないけど」

 

「……」

 

 あっ。カボチャが赤くなった。ほんとに芸が細かいな。

 

 カボチャの下のリリネットは、きっとふくれっ面な気がした。

 

「……冗談だよ。イベント用ドレスを用意してある」

 

「冗談なのか!?」

 

 驚愕したのはリリネットではなくヒロトだった。

 

「え? あるよ。イベント用衣装」

 

「いや……自作したのか? さすがに用意が良すぎないか?」

 

「そりゃあ、俺。アストナージさん的立ち位置目指してるから」

 

「えぇ……」

 

 無茶な要望にも、嫌な顔をしつつもさっと便利道具を出して、事態を引っ掻き回す。

 

 そんな面白キャラに俺はなりたい。

 

 だがそんなセリフを言ってしまったら、シイタケみたいな目をしたイブがカボチャを脱いで、俺を覗き込んでいた。

 

「……ねぇ。タカマルさん、私にも―――そういうのないですか?」

 

「イヴ、さすがにそれは……」

 

「あるよ」

 

「あるのか!?」

 

 今日はヒロト君ツッコミが冴えわたっているね。

 

「あるとも、何なら君にも貸してあげようか?」

 

「いや、俺は……」

 

「ヒロトもやりましょう! きっと楽しいわ!」

 

「……まぁ。そうか。うん。やってみるよ」

 

 戸惑い顔のヒロト君は押しに弱い。しかし、今回は正解である。

 

 そう来なくっちゃ。せっかく用意したアイテムが台無しというのも悲しい。

 

 シバ君には断られちゃったからね。

 

 シバかれそうになっちゃった……なんちゃって。

 

 ではお色直しといこう。

 

 

 

 

「おお、結構凝ってるな……本当に貰って大丈夫なのか?」

 

「いいよいいよ。使っちゃって」

 

 ヒロトの衣装はドラキュラを模した、タキシードと下地が赤い黒マントだ。

 

 何気に口に牙もつくのがこだわりポイントである。

 

「これ、とっても素敵ね!」

 

 そしてイヴの着ているのはオレンジのカボチャがあしらわれた、プリンセス衣裳。

 

 ふわりと膨らんだスカートが、ジャックオーランタンを思わせる一品である。

 

「流石ですタカマル。アナタならやってくれると思っていました」

 

「ハードルあげないでくれ、リリネットさん? 気が向いたからだからね?」

 

 そしてリリネットは、大きなとんがり帽子と箒付きの魔女衣裳だ。

 

 ミニスカートからちらりと見える、蝙蝠マーク入りの、ニーハイが密かなポイントだと言うことは黙っておくとしよう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「なんか、こう……確かに衣裳が変わると、盛り上がる気がするな」

 

 なんて言ってくれるヒロトはマジでいい子だと思う。

 

 しかし、テンションが上がっているのはリリネットもイヴも同じで、ソワソワしているのが、目に見えてわかった。

 

「本当ね! 今日は何をしようかしら?」

 

「……いえいえ、探さずともGBN運営が催しを用意していないなんてことはあり得ません」

 

 リリネットさん? 何気に運営のハードルも上げるのはやめてあげて?

 

 ハロウィンは最近ようやく市民権を得て来た、興味ない人は興味ないお祭りだからね?

 

 何なら元々収穫祭的なものだから。

 

 ハロウィンに目を向けないゲームなんてざらにある。

 

 なんなら俺はパンプキンヘッドログインボーナスでも、十分すぎるほどだと思っていた。

 

「俺、かぼちゃ頭好きだよ。最高だよこれ」

 

「タカマルのコスプレは……パンプキンヘッドを予想してたのかってくらいジャックオーランタンだな」

 

「まさかこんないいものが貰えるとは……俺が用意したのはタダのカボチャだったからね。負けたよ」

 

 ぼろ布黒マントに、青い炎の灯るカンテラ。そこにメカカボチャを装着。

 

 より完璧な装いと言える。

 

「……いや、十分すぎると思う」

 

「なんだかタカマルさんが小さくなって可愛いわ!」

 

「マントを着けると、頭身がSD体型になる呪い……という設定を付け足したんだ」

 

「かわいいですマスター」

 

「マスターはおやめ? あと、抱きかかえないでくれる?」

 

「なぜですマスター」

 

 とは言いつつやめる気がないリリネットだった。

 

 場も温まり、周囲も人が増えてきていたそんな時、アラームが鳴り、一斉送信されてきたのは緊急ミッションのお知らせだった。

 

 

 

『ダイバー達へ。ディメンジョン全域に正体不明のデスアーミーが出現。地面から次々湧き出す彼らを、ゾンビ・デスアーミーと呼称する。

直ちに原因を究明してもらいたい』

 

 

 

「おお! きたきた!」

 

 その瞬間、ミッションが一斉に解放され、様々なディメンジョンに異変が起こっていると説明された。

 

「絶対ボスいるよな? 倒したら報酬か?」

 

「デスアーミーだろ? なら……心当たりは一つしかいないな」

 

 他のダイバー達のひそひそ声がきこえてくるが、俺もおおむね同感だった。

 

「よし! 急ぐぞ! リリネットさん!」

 

「了解しました! いつかの恨みを晴らしてやります」

 

「ヒロトたちも一緒にどうだろう?」

 

「いいのか?」

 

「もちろん、イブさんもつれて、今日はゾンビ狩りだ!」

 

「いいね。せっかくだから、数の競争をしないか?」

 

「……いいだろう。じゃあラスボス倒したら、ポイントが二倍になるってことで!」

 

「それは……大逆転しそうだな」

 

 他のダイバー達も一斉に動き出している。

 

 競争にしなくても、撃墜数によって何かありそうだし、中々にぎやかな祭りになりそうだった。

 

 

 

 ちなみにイベントボス、カボチャデビルガンダムを討伐したのは、チャンプのクジョウキョウヤだった。

 

 しかし―――討伐報酬の王冠の付いたキングジャックオーランタンヘルムを被ったチャンプは爽やかに手を振っていたが、大層絵がシュールだった。

 

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