転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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フォースネストにお姫様がいた

「というわけでよろしくお願いします♪」

 

「……!?」

 

 お姫様が月のフォースネストにいた。

 

 絶対おかしいと思う。

 

 俺は二度見した後、眉間を揉んで呼吸を整え、この状況を説明できる唯一の人物に向き直る。

 

「……リリネット」

 

「はい?」

 

「てい」

 

 俺はたぶん元凶に軽くデコピンを放った。

 

「!!!???」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 目を真ん丸にしたリリネットは両手で額を押さえていたが、こればかりは一言言っておかねばならなかった。

 

「何やってるんだ君は?」

 

「え? だって……喜ぶかなと思って」

 

「慎重にやってたことは知ってるでしょ?」

 

「だ、だって……」

 

「だってじゃありません。……まぁおいおい声をかけるつもりだったから、仕方がないか」

 

「ぷぅ」

 

「ぷぅじゃないです」

 

「ひどいですマスター」

 

「ひどくないです。あとマスターはやめて―」

 

 たまに子供っぽいなリリネット。

 

 考えてみれば、生まれて1歳未満か。

 

 見た目で判断できないのは俺もだね。世の中って不思議である。

 

 リリネットは大層不服そうだったが、まぁ確かに俺がイヴを特別視していたことは間違いないので、態度が透けて見えていた俺の落ち度でもあった。

 

 原作開始は少なくとも第14回ガンプラフォーストーナメント周辺で、ダイバーズで言うと3話くらいが目安になるか。

 

 サラという名のELダイバーが生まれ落ちてから、事態は急速に進行し始めるはず。

 

 まだ第一回も始まっていない現在はそれこそ思い出を育む大切な期間だとも言える。

 

 しかし連れてきてしまったものはしょうがない。

 

 いつか対応しなければならなかった問題を先送りにしている自覚はあったので、この際俺は思い切ることにした。

 

「……じゃあイヴさん。ようこそモルガーナのフォースネストへ。ひとまず君にこれを」

 

「これは?」

 

 不思議そうにアイテムを受け取るイヴに、俺はツールの説明をした。

 

「クリーンツールだ。それで君達が収集した自分のデータを整理できるはず。ELダイバー用に調整してある」

 

「はい。ばっちり効きます。大切なデータを消さないように気を付けてくださいね」

 

 リリネットさんお墨付きツールは他のELダイバー達にも大変高評価な一品だった。

 

 イヴは俺達のやり取りを見てぽかんとしていたが、クスリと笑っていた。

 

「フフフッ。仲がいいんですね。少し安心したわ」

 

「まぁね。おかげで毎日退屈せずに過ごせているよ。リリネットが話したと思うけど、俺達はGBNとは関係なくELダイバーをサルベージしていてね。今現在10名のELダイバーのサルベージに成功している」

 

「そんなに!……そう言えばリリネットと一緒に沢山いたわ」

 

「気になるなら後で会いに行くといいよ。後は……サルベージに成功した場合は、君のデータを調べさせてもらうことになる。場合によっては多少の整理と調整を。あまり愉快ではないと思うけど、そこは了承してほしい」

 

「うん。わかってます。それでも……お願いしたいんです」

 

 おおよそ察しがついていたらしいイヴはGBNしか知らないはずのELダイバーにしてはすでにおかしな視点を持っているようだった。

 

「わかった、最善を尽くすよ。じゃあ君のサルベージをやってみよう。いったん彼女を治療室に。問題ないようだったらサルベージ開始だ」

 

『了解。こっちに回せ』

 

 シバ君の準備も万全の様だ。

 

 今回は特に失敗できない。

 

 万一失敗なんてしてしまったら―――俺が最悪の戦犯である。

 

 そして出来る限り素早く終わらせたい。

 

 予定外のストーリー進行に無意識にひやひやしていると、治療室に向かうイヴはこちらを振り返ってニッコリ笑った。

 

「私なんとなくわかった……。みんなあなたに感謝してる」

 

「みんな?」

 

「そう、みんな。ここにいる子達も、ガンプラもみんな。きっと私もそう、何か私に出来ることがあればいいのだけれど……」

 

「ああいや。別に気にしなくていいよ」

 

 まだ何もしていない内から感謝なんてされても困る。

 

 そう答えるとイヴは何か唐突に思いついた。

 

「ええっと……それなら、この後もし良ければ……私もあなたのフォースに入れてくれないかしら?」

 

「……えー??」

 

 予想外の申し出に、きっと俺はこちらの世界に来て初めてレベルで脳の機能が完全にストップしていた。

 

 予想外の事は多すぎたが、今までのデータは伊達ではない。

 

 イヴのサルベージは無事成功した。

 

 それこそ驚くほどに、あっさりとだ。

 

 しかしこれがきっかけで何が起こるのか……俺には正直全く分からなかったが、イヴがこの先健やかに過ごせるのならそれに越したことはない。

 

 懸念があるとすれば、本格的にサルベージすることになればこちらにいる時間が自ずと長くなり、ヒロトと本来共有するはずの時間を奪いかねないと言うことくらいか。

 

 まぁ今となってはそう時間もかからずGBNには遊びに行けるから、そこは大した問題じゃないか?

 

 もうすでに動き出すところは動き出してしまったし、その辺り察せられてしまったからこそリリネットも動いたのだろう。

 

 なんかもう―――なるようになれって感じだった。

 

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