転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
和やかな口調ではあった。
だが内容が飲み込めずに、ヒロトは少しだけ困惑していた。
「……え? どうしたんだ急に?」
「だってヒロトとっても強いから! フォースでも活躍できるんじゃないかなって!」
イヴの瞳には期待があった。
それは傍らの俺にすら感じ取れることが出来るくらいだが、何に期待しているのか定かではない。
ヒロトは試されている気分なのではないだろうか? かわいそうに。
しかしヒロトは自分でひとまず答えを出した。
「うーん……どうかな? でもいいかもしれないな。そうだ! タカマルのフォースは―――」
「それはダメ」
「え?」
え?
イヴの断言に、ヒロトとそしてついでに俺は動揺した。
チョットだけうちのフォースをすすめるんじゃないかと内心で準備を整えていたら肩透かしを食らった心地である。
でも―――面白いのでそのまま状況を見てみよう。
リリネットはすでに観戦スタイルだった。
「それはダメよ。同じフォースに入ったら、ガンプラバトルできなくなっちゃう」
「それは……まぁ、機会は減るのかな?」
「うん。ヒロト、タカマルとバトルする時楽しそうだもの」
「ああうん。そうだな……確かにそうかもしれない」
おやおや、それは嬉しいことを言ってくれる。
楽しくワイワイやるバトルも楽しいが、やはりすべてを出し切り、身を削るようなガンプラバトルはそれでしか味わえない醍醐味があるものだ。
いやむしろそれを味わうためにバトルしているのは、真っ当だと言える。
「でしょ?」
「じゃあ……別のフォースを探してみようかな? うまくいくかわからないけど……」
「それがいいわ! 私も楽しみにしてる!」
「……」
首を傾げつつ、去っていくヒロトはなんとなく言われた通りにフォースを探してみる気がした。
「真面目な子やで……」
「そう! ヒロトはとっても真面目なの!」
なぜかイヴが自慢げに胸を張るが、しかしわからないと言えばこのイヴである。
そんなに俺とヒロトが戦っているのが楽しそうに見えたと?
いやいや、俺にはこんな提案をした意味が、それだけではない気がしてならなかった。
わからないなら聞いてみようと、俺はイヴさんにストレートに聞いてみた。
「……イヴさん? なんであのようなことを?」
するとイヴは私も勉強したのだと、腰に手を当て不敵に笑った。
「フッフッフッ。私知ってるのよ? GBNってガンプラバトルをするゲームだって!」
「まさしくその通りですね」
あまりにも当然のことで、俺は困惑した。
だがふざけている感じでもないのでもう少し話を聞いてみることにした。
「じゃあ、私とヒロトがおんなじフォースに入ったら遊べなくなっちゃう」
しかし続く言葉で、少しだけイヴが何を考えているかわかってきた。
「いやまぁ。でも同じフォースに入ったら入ったで接点は増えるし、色々と出来ますよ? ホラ、一緒にどこかに遊びに行ったり」
「? それって同じフォースじゃなきゃダメなの?」
「……ダメじゃないね」
「私ね! ネットで見たの! おんなじフォースに入ると、真剣勝負の機会が減るって! ヒロトは誰かと真剣にバトルする時とっても楽しそうだったの! だから私もあんな風にヒロトとガンプラバトルできたらなって!」
「……なるほどなぁ」
イヴの言う通り、同じフォースに所属するとバトルは薄味になる。
どうしても手札をさらし合うことになるし、他のフォースに勝つために、連携の話をし始めると動きのパターンすら、教え合うこともあるだろう。
するとどうなるか? まぁバトルが練習試合になるよね。
もちろん手札を知り尽くした相手とのバトルも、良いは良いが……いつでもバトルが出来るとなると、1戦1戦が軽くなる気はする。
何か変化があった時の確認作業を、真剣なバトルとは確かに言えないかもしれない。
「目から鱗かもしれない……確かにGBNはガンプラバトルをするゲームだ」
「でしょ? それに、次会った時にビックリさせたいなって! せっかくガンプラを使えるようになったんだもの! 私も上手になりたいわ」
そりゃあこの娘が敵として現れたら、ヒロトは腰を抜かすほどビックリするんじゃないかなって思いますね。
ぐっと両手で拳を作り、戦意を露わにするイヴはいつも通りに過ごしつつ、来るべき日に備えるようだ。
「サプライズか……ヒロトはそう言うの好きそうではある」
「でしょ!」
例えばあのビックリ箱みたいなコアガンダムのコンセプトはサプライズの塊みたいなものだ。
これはイヴの言葉に乗るのも一興か?
とすると……イヴが使う機体は少々量産機体では、驚きに欠けていると言わざるを得ない。
「どう思う? リリネットさん、やはり量産機では弱いかな?」
「そうですね。量産機は揃っていて初めてインパクトがあるものでしょう。個人的に彼女が乗るだけで破壊力があるのですから、より効果を高めるのなら彼女に目がいくようにすべきと考えます」
「やはりそうか……」
「なるほど……」
それにしてもサプライズに対して、ずいぶん容赦のないELダイバー達だった。
「それに、彼女は実に絵になる人材です。今後モルガーナの顔として存分にアピールしていきたいと考えています。ですが彼女の意志を汲んで、サプライズ成功までお預けとしておきましょう」
「え? 待って、それは初耳だが?」
「はい、今お伝えしましたが?」
「……」
このメイド、とんでもないプロデュースを考えてた。
いや、まぁ出会ってすぐリリネット以上に成熟した精神を備えているのだから、受け答えだけとっても悪くない人選かもしれない。
いやまぁそう言うのはともかく、今はイヴの希望をどう叶えるかが先決だった。
「そ、それじゃあ。ヒロトに負けない機体も……考えてみる?」
「みる! どうせなら沢山ヒロトと遊べる子がいいわ!」
「もちろんだとも……うん。もちろんだとも」
「何で二回言ったの?」
それはね? 大事なことだからさ。
さて、ヒロトには悪いけど……何を用意してあげよっかな!
どうせ作るなら、そしてサプライズを仕掛けると言うのなら、いっそ腰が砕けるくらい驚かせてあげたいものだった。