転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
ガンダムとは何ぞや?
まぁ少しばかり持ち主との話し合いが足りないということで、バトル用ガンプラの仕様についてはイヴちゃんも交えて要望を加味することになったわけだが……彼女の言いたいことを要約すると。
『ヒロトのガンプラみたいなやつがいい!』
ということらしい。
なるほど……分かりやすい娘である。
ここはひとつ友人との公平な勝負のためにも、許可取りとか必要になるんじゃないかなって俺はちょっと思った。
「ふっふっふ。しかしどさくさに紛れて、コア部分の制作権はもぎ取って来たぞ」
まぁそれも今後の成り行き次第で水の泡だけど、やるとなれば一刻も早く話を通したいと思っていた。
そこに飛んで火にいるヒロト君である。
昨日の今日で珍しいなと思っていると店内に入るなりヒロトは俺に訊ねた。
「……あの子のガンプラタカマルが作ったんだよな?」
「ううん。違うよ?(シバ君だよ)」
「ホントに?……なんか関節の挙動が、GPD味があると言うか、その上でGBNに最適化したみたいな……とにかく動きがとんでもなかったんだけど?」
若干興奮気味のヒロトはヒナタの正体よりも、あのガンプラに詰め込まれた技術の数々の方が気になっているみたいだった。
実際アレは俺の目から見ても良く出来ていた。
「なんだかマニアックなこと言ってるけど、わかっちゃうなぁ。やっぱ出るよねそういう癖」
GPD時代に流行ったポリキャップとか、ちょうどいい摩擦を生み出すグリスだとかそう言うものの影響だと思うが、実際そう言うノウハウがいくつかGBNでも侮れない小技になる場合もある。
その点シバ君は研究に余念がなく、最近は俺も見つけた小技を共有することもしばしばだった。
「……やっぱり、タカマルが作ったんだよな?」
「ううん。全然違うよ(シバ君だよ)。それよりも、ヒナタさんはうまくやれてたかな?」
「……ああ。うん。中級ミッションをやってみたけど、相手にならなかったな。彼女、弓の使い方がうまかった。経験者なのかな?」
「経験者だろうね。どんな機体を用意したところで、やっぱり最後はファイターの腕がモノを言うってことでしょ。実際彼女はかなりやるね」
それこそ流石ホビーアニメのヒロインと膝を打つくらいにはやる。
俺としては引っ張り出してはいけない者を引っ張り出してしまった気がするが、もう賽は投げられた。
だいたいこのガンプラが世界の中心みたいな世界でアバターまであるのに、MSがないなんて状況がかわいそうだと言わざるを得ない。
そしてヒロト君には彼女の正体に速やかに気が付いてあげてほしいと心から思った。
俺とヒロトがまったりと押し問答をしていると、そこに我慢できなくなって入って来た3人目は、唐突にテンション高めだった。
「……ヒロトとか言ったな。お前見る目があるじゃねぇか」
俺はそんな言葉にハッとして振り返る。
するとそこにはいつの間にか腕を組んで、壁にもたれかかる目つきの悪い男がいた。
「シバ君……何やってんのさ?」
「いや、ちっと見てほしいもんがあって来たんだが……面白れぇ話をしてたもんで」
面白い話ってGPDの話ですね分かります。
リアルで面識はなかったが、初対面の相手にヒロトは少しだけ身構えていた。
「えっと、貴方は?」
「ああいやすまねぇいきなり。俺はシバ・ツカサだ。GPDプレイヤーでね。その手の話に目がない」
「ああ、GPDプレイヤーなんですね」
「おうとも。GPDはいいぜ? ガンプラバトルのすべてが詰まってる」
シバ君はGPD愛を語るが、ヒロトもまたそれが通用するやつだった。
「ああ、わかります。未だに俺もGBNよりも操作感はしっくりきますよ」
「!……ヒロト。お前わかってるやつだな。なるほど……だからコアドッキングなわけだ。あれなら壊れても入れ替えやすい」
「……コアガンダムのこと知ってるんですか?」
「ああ、お前のバトル見たぞ? いや実際あのガンプラはすげぇ出来だよ」
「あ、ありがとう」
うんうんと頷いているシバ君はコアガンダムとプラネッツシステムを高く評価しているようだった。
というかこの二人、普通に話し合うんだ。こいつは意外な発見である。
そしてかくいう俺もGPD時代にコアドッキングがあれば、実に有効そうだなとは感じるところだった。
「確かにコアガンダムはすごい……。そうだ、そう言えばヒロトに頼みがあるんだった」
「頼み?」
「うん。実は今考えてるガンプラにヒロトのコアガンダムの機構を取り入れたいんだよ? 参考にしても大丈夫かな?」
断られるのも仕方がないというつもりで俺は聞いてみた。
だが驚いた顔のヒロトだったが、かなり照れ臭そうにしていて、嫌悪感はないらしい。
「俺のコアガンダムを? そりゃあ、参考にしたいって言うなら全然かまわないけど……」
「マジで!? ありがたい!」
よし、許可が取れたら、後は作り始めるだけだ。
これは面白くなってきた。
まだ少しアイディアは煮詰めなければならないが、イヴちゃんのお眼鏡にかなう作品にはぐっと近づいた気がした。
「完成楽しみにしてるよ」
そうとまで言ってくれるヒロトに……なぜか気まずい気分になったけれど、これ以上ないほどのインパクトで初お披露目はなされるはずである。
「もちろん。すごいビックリするお披露目が……あると思うよ?」
「そうなのか……楽しみだな」
「……」
サプライズってこんなに心苦しかったっけ?
なんか……ゴメンね? 俺企画じゃないんだ!……でも悪意はない!
イヴちゃんもお披露目のためにワックワクで準備しているから、楽しみに待っていてもらいたい。
「いやーでも本当に助かった! 絶対いい機体にするよ! ヒナタの機体みたいに!」
「……やっぱりあの機体タカマルが作ったんだな?」
「ううん? 違うったら違うよ?(そこにいるシバ君だよ?)」
「……」
絶対嘘だとヒロトの目は言っていたけど、君の幼馴染を立派なガンプラファイターにカスタマイズしたのはシバ君である。
「俺がやったことと言えば、それこそキットの販促して、ちょっとGBNについて教えたくらいだね。初心者指導はホビーショップ店員の嗜みだよ」
「そう言うものかな?」
「そう言うものだね。お客さんに望まれればだがね?」
例えば、今店内には俺達以外に一人お客さんがいるが、ヘルプの声を聴けば最適なサポートをすることだろう。
彼女のいる棚は、あれはSDガンダムかな?
新顔のお客さんだが、彼女が初心者だとしたら、そこに目を付けたのはなかなか良い判断だ。
SDガンダムの工作難易度は通常サイズの物よりもかなり優しい。
もしおすすめを聞かれたら、レジェンドBBシリーズかMGSDシリーズなんてすすめてみたいところだった。
店員さんらしいことに頭を回転させていると、今度はシバ君が不敵に笑う。
珍しいこともあるもんだと彼を目で追うと、シバ君は俺達に妙な提案をした。
「なぁ。せっかくGPD経験者がこんだけ集まってんだ……ちょっと試作品のテストに協力しないか?」
「「試作品?」」
「フッフッフッ……そうだ。見せようと思ったって言ったろう? さぁ見ろ! こいつが……簡易版GPDボードだ!」
シバ君が出してきたのは、大きめのボードゲームくらいの大きさの小型版のゲーム機だった。
だが彼の言葉をそのまま信じるならこいつはとんでもない代物である。
「……これってまさかGPD?」
「おいおいマジかよ……ホームサイズとは」
おおっと、なんか今日はやけにテンション高めだと思っていたが、こんなものを作っていたか。めっちゃ好きだなGPD。
しかしこのイカレた情熱。俺も大好きな方向性だった。
「いいね。やろうか。そうだ! 小さめのボードだから、これ使って遊ぼう」
それは先日使って修理したサタンガンダム。
そして引っ張り出したのはノーマルカラーのナイトガンダム、僧侶ガンタンク、戦士ガンキャノン。敵、味方セットのSDガンダム達だった。
完成品のそれをヒロト君とシバ君は覗き込み、眉間に皺を寄せていた。
「……こんなキットあったのか」
「いや、たぶん自作してんぞこいつ。関節が新規じゃねぇか」
「わかるかい? じゃあさっそくやってみようか」
ではシバ君作のGPDを楽しんでみよう。