転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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わかりあい宇宙

 黄金のズゴックは、宇宙を駆ける。

 

 目指す先には、白い装甲のロボットが待ち受けていて、箒のような形状の大砲をこちらに向けて、撃って来た。

 

「……!」

 

 視界は一面真っ白い。

 

 しかしヒナタは止まらなかった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 直撃したビームで機体が震えるが、そんなこと構っていられない。

 

 ビームの勢いが収まってきたことを確認して、赤く赤熱したズゴック装甲を外した。

 

「ビームには強いはずなのに、装甲が削られた……」

 

 そして飛び出すアマテラスは、初めて近くで敵の姿を見た。

 

 イヴさんの機体は小さくてかわいいガンプラだが、身に着けている武装は魔女の箒みたいな面白い形状だったが、一撃でアマノイワトズゴックの外装を剥がす威力は相当なものだとわかった。

 

「とても良く出来た機体なんですね……すごい威力」

 

「ええ、その子も素敵よ。あなたと一緒にいられてとっても喜んでる」

 

「え? そうかな……」

 

「もちろん。とっても嬉しそうだよ!」

 

 ガンダムの中にいると言うのに、イヴはとてもやさしい顔で微笑んでいるのが分かった。

 

 とっても魅力的だとわかるけれど、そう思うたびにヒナタの胸にわずかばかりだがモヤッっとしたものが蟠った。

 

 なんとなく嫌な感情に戸惑っているのはヒナタ自身に他ならない。

 

 だからこのモヤモヤを追い出すために、何か言葉にしようとヒナタは尋ねていた。

 

「一つ……聞きたいことがあります」

 

「なに?」

 

「えっと……ヒロト……さんとはどういうご関係なんでしょうか?」

 

 まったく不適切な発言に、ヒナタの顔は真っ赤になった。

 

 完全に自爆である。

 

 だが対してイヴの返事はあっさりとしたものだった。

 

「ヒロトはお友達よ?」

 

「……お友達」

 

 確かに聞きたかったことだがそうじゃない。

 

 普段のヒナタなら、ここで踏み込まずに黙っていたと思う。

 

 しかし今日のヒナタはビームボゥを構えた。

 

 きっと、ちゃんとしたバトルで高揚しているのを感じる。

 

 今のバトルという状況は正直に言えば助かっているところもあった。

 

 言葉に詰まっても、感情をそのまま行動に起こせるから。

 

 そして勢いに任せて、言葉も飛び出した。

 

「そうですか……でも」

 

「でも?」

 

「なんていうか……友達って感じじゃなかったといいますか」

 

「そうかな?」

 

 ヒナタは思う。イヴはとても可愛らしい。

 

 先ほど見たアバターはまるで物語の中のお姫様がそのまま抜け出してきたみたいだった。

 

 そんな彼女に弓を向けて、ヒナタは一射放つ。

 

 大抵のモビルスーツは射貫ける光の矢を、彼女のMSから飛び出した無数のビットが、見えないシールドを作り出して容易く弾いてしまった。

 

「!」

 

「ビットステイヴって言うんですって。考えるだけで、銃にも盾にもなってくれるの! すごいわよね?」

 

「え、えぇ……」

 

「そしてこれが……バリアブルロッドライフル! ちゃんと覚えたんだから!」

 

 お返しとばかりにイヴはライフルを構えて撃って来たが、ヒナタは翼でビームを受け止めた。

 

 この翼は設定上絶対に破壊できない物質なんだそうだ。

 

 つまりこの翼はこの機体で最も防御に優れている。

 

「すごい! まるで天使の羽根みたいね!」

 

「ありがとうございます……でもそんなことより!」

 

 すかさずヒナタは両手に剣を呼ぶと空中で二本掴み取り、アイカメラを光らせる。

 

 何度も練習した武装の交換はうまくいった。

 

 アマテラスが力を貸してくれている今なら強気に言える気がする。

 

 ヒナタは胸いっぱいに空気を吸い込んで。意を決した。

 

「まぁ!」

 

「ヒロトの事です!……あの、その! うまく言えないんですけど!」

 

「なに?」

 

 自分の体の様に……いや、自分の身体よりもはるかに速く、剣の連撃はイヴに襲い掛かった。

 

 ミッションのモビルスーツならあっという間に装甲が切り裂けていたのに、イヴは光ったようにしか見えない攻撃を的確にいなしていた。

 

 未だかつてないほどに自分の攻撃は速いと言うのに、肝心の言いたい言葉の方はまとまらない。

 

 そして渾身の攻撃が届かなければ届かないほど、もどかしさは膨らんで、ガツンとツルギがビームサーベルで受け止められた瞬間、勢い余って弾けた。

 

「……なんていうか! 女の子にアクセサリーをプレゼントするなんて―――ヒロトにはまだ早いと思うんです!」

 

「……」

 

 言ってしまってから。妙な空気に気が付く。

 

 そして顔が火がついたみたいに熱くなってアマテラスの動きが止まった。

 

 あ、マズイと思ったけれど、追撃の攻撃はやってこない。

 

 その代わり聞こえてきたのは、鈴を転がすような笑い声だった。

 

「フフフッ……確かにそれはヒロトが悪いと思うわ。だって、ヒナタみたいに一緒に戦ってくれる素敵な女の子がいるのに、一度もプレゼントをあげていないってことですものね」

 

「えぇ?」

 

「だってそうでしょう? プレゼントをもらったことがあったら早いなんて思わないもの」

 

「そ、それはそうかもしれませんけど……」

 

「あなたはとっても素敵な人だって私わかる。私もあなたに何かプレゼントをあげたいくらい。だって私あなたと仲良くなりたいもの!」

 

 瞬間カリバーンはバリアブルロッドライフルで急上昇からの急降下。

 

 四つのブースターでの加速は、相当なものだった。

 

 連続してビームが飛んでくる。

 

 立て続けに、それでいて正確に飛んでくるビームに、ヒナタは感心していた。

 

 ここしばらく、真剣にガンプラバトルに取り組んでいたからわかる。

 

 高い技術で作られた、あんなに速い機体に乗って、こんなに射撃を命中させるなんてとてもすごいことだ。

 

 ただ剣を振り回すだけでも、タイミングを合わせるのに精いっぱいのヒナタにはとても真似できない。

 

「……フゥ」

 

 でもヒナタも一瞬にすべての精神を集中する。

 

 射程に入ったその一瞬に、刃を合わせられるように。

 

 高速に対して不動で構え、高出力のビームで右腕が持って行かれても、とっておきだけは守り抜いた。

 

「―――受け止めます!」

 

「来てヒナタ!」

 

 ツルギは閃き。

 

 2機のMSは交差した。

 

「―――やられちゃった!」

 

 左手の渾身の突きはカリバーンの頭を砕く。

 

 だというのに心の底から楽しそうな声が聞こえて、ヒナタはホッと力が抜けるのを感じていた。

 

『Winner Challenger!』

 

 システム音が、ヒナタ達の勝利を告げる。

 

 

 

「「ええ??」」

 

 しかしボルテージを上げて真剣勝負に突入していたヒロトとタカマルは、何が起こったのか全く分からない呟きを残して、初フォースミッションは終了した。

 

 

 

「ヒナタ! あなたとってもすごい! ビックリしちゃった!」

 

「ありがとうございます……」

 

 ヒナタがカリバーンを倒したことで、勝利条件を達成してバトルは終了したらしい。

 

 よくわからないことを、初対面の女の子に叫んでしまったヒナタはこれまでにない居心地の悪さを感じていたが、そんなヒナタの心の壁をイヴはまるでないもののようにすり抜けて、しっかりとヒナタの手を握った。

 

「私もありがとう! 私のガンプラもすごくうれしそうだった! この子も喜んでるわ!」

 

「この子って……アマテラスがですか?」

 

 イヴの視線に促されて、ヒナタもアマテラスを見る。

 

 今回勝てたのは全部この子のおかげだとヒナタは思っていた。

 

「そうよ? ヒナタにも分かるはず。だってとっても大切にされてるってわかるもの」

 

「そうですか? 確かに大切には扱っているんですけど……この子、私が作ったんじゃないんです……ちょっと恥ずかしいんですけど」

 

「そうなんだ! わたしもなの!」

 

 屈託なく笑ってそう言うイヴにヒナタは目を丸くして、思わず吹き出してしまった。

 

「そうなんですね」

 

「そうなの! それでね? この子はヒナタ達みたいに今フォースのみんなで着せ替えを作ってるから、次にバトルする時はきっとすごくかわいくなってると思うの! だから……ヒナタ、またバトルしてくれる?」

 

 最期だけは少しだけ不安そうなイヴに、ヒナタは笑いかけて自分でも驚くほどすっきりとした気持ちで頷いた。

 

「もちろんです。こちらこそよろしくお願いします。何で不安そうなんですか?」

 

「だって私負けちゃったから……こういうのゲームクリアって言うんでしょう?」

 

「フフッ。大丈夫ですよ。それにこんなにちゃんとしたゲームにしなくても、いつだって試合はできるじゃないですか」

 

「それはそうね! じゃあフレンド登録してくれる? わたし、こういうのしたことなくって……」

 

「あ、はい! あ、でも……私の方から登録するのは初めてだった。いつもは申請を送ってもらってたので……」

 

「じゃあ初めてどうしね。頑張りましょう!」

 

「はい! えっとじゃあ……」

 

 慣れない手つきでフレンド登録をしあっていると、ヒナタはイヴとなんだかとても仲良くなれそうな気がしていた。

 

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