転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
2機のアストレイは岩場の上で対峙していた。
「お前が俺のところに来たか……まぁいいけどよ」
「はい! 胸を借りるつもりで頑張ります! ご指導ご鞭撻よろしくお願いします!」
少し緊張気味の声でヒナタは言う。
闘いの基本を教わった先生に対する、礼儀のつもりだったが、瞬間アンシュの雰囲気が変わった。
「……」
刀を2本構える。
圧力のようなものが増したと感じたヒナタは気が付けば一歩後ずさっていた。
「ご指導ご鞭撻ねぇ……いいぜ。じゃあ最後に一個だけ教えてやる。ガンプラはホビーだ。それで忘れがちになるが、勝負は勝負なんだよ。機体も壊れねぇんじゃ実感しにくいだろうが……今は分かりやすいぜ?」
「今、ですか?」
「そう、公式の世界大会。決勝トーナメントで負けたら終わり。きっちり勝ち負けと結果が出る真剣勝負だ」
「……」
アンシュは刀の切先をヒナタに向ける。
「武道の経験があるなら多少はわかるだろう? もちろん真剣勝負なんて言っても、生き死には直結しない。それでも真剣に勝負してない訳じゃねぇ。負けても言い訳出来ないくらい必死にかかってこい。じゃないと勝った時に面白くないぜ? GPDにはそう言うのが確かにあったんだ……ここにもあるって見せてくれよ?」
言われて、ひりつくような空気に呑まれそうになった。
でもこうやって相対してわかる相手の本気にヒナタの手にも自然と力がこもった。
「……はい! 行きます!」
だからヒナタはアマノイワトを脱ぎ捨てた。
ズゴックが分解され、それと同時に二本のブレードが地面に突き刺さる。
素早く引き抜いて構えると、二本の刀がゆっくりと動いてアンシュのアストレイが揺らぐのが見えた。
「!」
恐ろしく速い踏み込みは、この機体を知り尽くすほどの練度を感じた。
しかしヒナタも負けずにその一瞬について行った。
中間地点で激しい金属音と、火花が散る。
「へぇ……」
「……!!」
打ち合った刃の上をスライドして飛んできた刀をすんでのところで避けて、ヒナタは逆に足を剣で払った。
アストレイは宙を舞い。
アマテラスは地を這って、体が入れ替わる。
一瞬の攻防は、機体を通して肌が泡立つようで、ヒナタはブルリと身震いした。
「いいね……じゃあここからが本番だ!」
「はい!」
アマテラスは弱くない。それはタカマルの言葉だった。
実際に、このアマテラスはきっとうまい人がひしめく大会ですら通用する。
その作者である彼の機体が同等の性能を持っていないはずはない。
でも、今乗っている機体を長く動かしているのはきっと自分の方だとヒナタは感じていた。
アンシュも色々と忙しかったのだろう。
その間ヒナタとアマテラスはずっと一緒に戦っていたのだ。
それでもアマテラスのすべてを引き出さないと勝負にもならないが、出来る限り応えたい。
アンシェに対しても。
アマテラスに対しても。
刃を打ち合い、躱し、相手と向き合うたびに強くそう感じ。
同時に―――楽しくもある。
「……!」
ああ、こういうことかとヒナタは思う。
それは戦いを通して、相手の本気を感じられるようなそんな時間だった。
アメノハゴロモで飛んできたバルカンを弾き。
逆に射撃に集中した隙をついて、懐に入り込む。
躱されてしまったが、気合を込めた一太刀は、アンシュの胴体フレームに亀裂を走らせた。
「……!」
距離が開く。
一拍置いて響いたのは、とても楽しそうなアンシュの笑い声だった。
「……ハハハッ! 面白れぇ! 今のはヒヤリとしたよ!」
「はぁ……はぁ……。私もです。少しも気が抜けないですよ……」
「当たり前だろ? それが―――真剣勝負ってもんだ!」
一瞬だと言うのにとても長い時間は続く。