転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

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裏技

「ぬおおおお!」

 

 メイスを突き出し、敵の剣をかわす。

 

 超至近距離での攻防は、精神力をガリガリ削った。

 

 与えるプレッシャーはこちらの方が上だが、避ける難易度としては相手の獲物が小さい分、俺の方が少々高いか。

 

 オーガ君はさすが、オンラインの魔境の中で新進気鋭と言われるだけあってダイバーとしての腕がいいのは、手合わせすればよくわかった。

 

「はははは! てめぇいいな! 言ってることはわからねぇが、強い……俺にはそれで十分だ!」

 

「ハハハハ! 言ってることがわかんねぇとかお前にだけは言われたくなーい!」

 

 強気で攻めてはいるが、正直一瞬でも気を抜くと、あっという間に死にそうな瞬間が何度もあった。

 

 力が拮抗している……いや、向こうにいつ傾いてもおかしくはないと言ったところだろう。

 

 この状況を打破するには、もう一つ決定打が必要だった。

 

「……冥途の土産だ。とっておきを見せてやる」

 

 だがその決定打を相手が持ち合わせていることを、俺は知っていた。

 

「簡単に潰れんなよ! 鬼トランザム!」

 

 とたん紅い粒子を身に纏い、羅刹天の姿がブレた。

 

「……!」

 

 俺は咄嗟にGレクスの性能を全開で発揮して対応したが、さっきとは比べ物にならない勢いでぶっ飛ばされてしまった。

 

「……ぐぉ! やっぱその粉反則過ぎる!」

 

 予想していなければ、バラバラだった。

 

 トランザムのとりあえずつけておきたいその性能に、俺は思わず歯噛みした。

 

「よく耐えた! さぁどんどん行くぞ!」

 

 調子に乗せてしまったオーガはトランザムが終了するまでの時間で俺を仕留めるつもりの様だ。

 

 天秤は完全に傾いてしまった。

 

 技量で負けているとは思いたくはないが、勢いの方はどうにも強引に引き戻すしかないらしい。

 

「……まいったね」

 

「あきらめたのか!」

 

 両手で振り下ろされた刀剣をメイスで受け止めた俺は赤熱する刃を間近で見ながら、思わず笑みを浮かべていた。

 

「なぁ……プラフスキー粒子って知ってるか?」

 

「あぁ!?」

 

「知らないよな? 奥の手は温存しておきたいところだったが……仕方がない」

 

「いいぜ! まだなんかあんなら出し惜しんでんじゃねぇ!」

 

「まぁ裏技みたいなもんだが、研究成果だ。悪く思うなよ?」

 

 かつてとある世界にプラフスキー粒子というものが存在した。

 

 その粒子は内部に深く浸透させることによって、より強力に性能引き出すことが出来た。

 

 それはトランザムのような設定というよりも、ゲームのシステム上の技だろう。

 

 俺はその技をGPDの基本、プラネットコーティングで出来ないかと考えた。

 

 コツはいったが、結果はこの通り―――。

 

 Gレクスのフレームが青白く輝きを増して、全身が軋みを上げる。

 

 それでも、あふれ出る力はどうしようもなく止められない。

 

「さて……そっくり返すぞ? 簡単に潰れてくれるなよ?」

 

「ハッ! 上等だ!」

 

 こいつなら、トランザムに対抗できるどころかおつりがくる。

 

 俺は真正面からメイスを突き出すと、羅刹天の双剣は容易く粉々に砕け散った。

 

「うぉぉ……」

 

「流石悪名高きシステムだ!」

 

 大会に向けて、インナーフレームに無理やり手を加えてて本当によかった!

 

 出来れば決勝とかに使いたかったが、敵は原作キャラクター。

 

 相手にとって不足はないと言ったところだろう。

 

 大型メイスはついに羅刹天を捉え、左脚部を完全に破壊した。

 

「……!」

 

「よし!獲った!」

 

「勝った気か! 足なんか飾りなのはガンダムファンの常識だろうが!」

 

 オーガはまだ闘志を漲らせていたが、この局面で機動力の低下は痛手なのは間違いない。

 

 さぁて! ではそろそろ、恨みを晴らす時間と行こう。

 

 俺は数倍になった力で、大型メイスを振りかぶる。

 

 この力は異世界から持って来た我が執念の力。

 

 怨念と混ぜて使えば、さぞかし暴力的な威力を引き出してくれることだろう。

 

「……では! お命頂戴!」

 

「……!」

 

 だが、たぶんそんな死人が足を引っ張っているような、あまりにも大人げない八つ当たりを神様は見ていたのかもしれない。

 

 俺自身がめちゃくちゃ光っていたので気が付かなかったが、唖然としているオーガが俺ではなく、俺の背後を見ていたことに、その時の俺は全く気が付いていなかった。

 

「何だありゃ!」

 

「え?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 集中していたところに、余りにも不意打ちで飛んできたソーラーイクリプスキャノンの集中砲火は、俺の的外れな怨念ごと、光の中に消し飛ばした。

 

 

 

「よし。流石マスター……敵主力を見事引き付けてくれました。まさに一網打尽。マスターの尊い犠牲により見事勝利です」

 

「……マスターじゃないからねぇ。リリネット……君はフレンドリーファイアをもうちょっと恐れた方がいい」

ちょっと恐れた方がいい」

 

「……! 無事でしたかマスター」

 

「伊達にビームに強くはないが……とても戦闘はできないね」

 

 何とかパイルバンカーで地面に埋まり、ギリギリ生き残った俺はやれやれとため息を吐く。

 

 リリネットが一仕事終えたような空気を出していたので、後で叱っておくとしよう。

 

 しかしそう言う俺も、今回の戦いは反省しなければならないことが多そうだった。

 

 せっかく出した奥の手の出番が一瞬だったり、巻き添えで死にかけたりしたが、それにもまして、妙な言いがかりは大人げなかった。

 

 なんかゴメンオーガ君。

 

 俺チョット冷静さを欠いてたみたいだ。

 

 爆散したオーガ君はどうやら目論見通りフラッグ機だったようでフォース『モルガーナ』の勝利がアナウンスされた。

 

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