転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
「……納得出来ねぇんだが?」
不完全燃焼ですと声にたっぷりにじませるアンシュに開口一番一言言われたが、俺に言わせればそいつはフラッグ戦の醍醐味というやつだった。
「いや、フラッグ戦なんだから。フラッグ機がやられたら負けだろう? むしろ的確に旗を撃ち抜いた、俺の作戦勝ちだよ。鮮やかさを褒め讃えてくれても構わないぞ?」
アンシュが司令塔なのはわかっているんだから、見事教え子をぶつけてブレインの思考能力を落したのは妙手だったと自負している。
しかし俺はワードチョイスをミスってしまったようだった。
「……まぁ確かに見事だったよ。……撃ち抜かれたのはお前だけどな」
「ぐっ……」
ハロの下で確実に噴出したなこやつめ?
それはまぁ? 見事に撃ち抜かれましたが?
しかしそれを言うなら、俺だって指摘したいところはある。
「俺だって情けない感じにはなった……だが、ヒナタさんにまんまと気を取られたのが、敗因だろう? 楽しくチャンバラしすぎだ」
「い、いや……思ったよりやる様になってたのは認めるが、ガンプラバトルってのはそう言うもんだろう?」
それは確かにその通り。
GPD時代の限られたフィールドでは隠れてコソコソなんてことは難しく、複数機体が入り込んだら結局一対一の殴り合いになりがちだった。
その辺り俺もまだまだ癖が抜けきっていないと感じる今日この頃である。
「いやいや、実際問題この辺GBNとGPDの違いだよ、規模感が。森に潜んでゲリラ作戦とか、前は無理だったからなぁ。あれシバ君の差し金だろう?」
しかしその点アンシュはわかってきている節がある。
今日の戦いはまさにそんな感じだった。
「まぁな。まさかためらいなく撃ち落とされるとは……お前人望なさすぎじゃないか?」
「そ、そんなことないし。むしろファインプレーだったじゃん。勝ったわけだし? 俺は読んでいたよ、オーガ君がフラッグ機だって」
「なんでだよ?」
「自分から旗ふるタイプじゃないだろ? なんか絡め手で来るんだろうなって。あと宣伝に使った手前、全員和風合わせで出て来た辺りで、罪悪感が見えたからアヤメさんにこれ以上責任をかぶせはしない……となると、消去法で彼かなって」
でもちょっとノボリと、フラッグをひっかけた洒落の線も考えたが、そこまでネタに走るのもシバ君っぽくはあるまい。
「ぐぅ……実際負けたから反論できねぇ」
図星だったのか、悔し気なアンシュの声を聴けば、俺の何かが満たされた感じである。
まぁ、勝たねばそんないじりも負け犬の遠吠えなのだよ。
俺は勝者の余裕で、アンシュハロの頭を撫でた。
「まぁ十分宣伝はできたし、いいんじゃないか?」
「いいわけあるかよ。言ったろう? チャンプを狙いに行くって……どうすっかな? オーガのやつ怒り狂いそうだ」
「ああいや……それはないな」
「あん?」
まぁたぶん、その辺りは大丈夫だ。
噂をすればオーガ君が現れたが、まっすぐやって来たのは俺の方である。
「……今回は負けたが横やりが入った。次は負けねぇからな」
オーガ君はぶっきらぼうにそうとだけ言うと、あっさりと引き下がって帰っていった。
俺は予想通りだったが、アンシュ的にはいまいち腑に落ちないようだった。
「嫌にあっさり引き下がったな? あいつもスッキリとはいいがたいはずなんだが」
「まぁ。ガチバトルならなおさら毎回スッキリ勝てるわけじゃないだろう? ああいうタイプは負けたことに言い訳も文句も言わないだろう」
「そういうもんかね?」
「そりゃそうだ。勝負でルール違反でもないのに、負けてごねるのはかっこ悪い」
「かっこ悪いねぇ……そこがそんなに重要かね?」
アンシュは目を明滅させて、あきれ声だが案外そう言うところ勝負事では譲れないところだと俺なんかは思うわけだ。
「あったり前だろう? かっこ悪いよりかっこいい方がいいに決まってる。それにかっこ悪い勝ち方かどうかなんて自分が一番わかってるもんさ。気分よく勝てなきゃ遊びの意味がない」
「へぇ。お前は遊びって言うより、つねにマジに見えたが違うのか?」
アンシュは言葉尻をとらえたつもりのようだったが、そこは間違えないでもらいたいポイントである。
「マジに決まってるじゃないか。『遊びだからこそ本気になれる』ってのが、俺の座右の銘だよ。楽しくない方に本気になっちゃだめだぞ? そこ間違えると楽しくないから」
この世界でこの精神を意識せずにはいられないところではある。
そこのところはシバ君にも忘れないでいてほしいポイントだった。
「……わかってるよ」
「うん。今日のバトルは色々あったが楽しかったよ。またやろう」
「ああ。そん時はもっと気合入れた作戦をバシッと決めてやるよ」
「そいつは楽しみだ。まぁ次も俺が勝つけどね」
クックッとお互いに邪悪に笑い、ディスプレイを見る。
そこにはアバターフミナさんが、勝ち上がったメンバーを紹介していた。
「さぁって、盛り上がりを見せるバトルも早くも準決勝! 圧倒的な強さで勝ち上がる個人ランク1位クジョウ・キョウヤ率いる『アヴァロン』を筆頭に、激戦を勝ち抜き、数々の強豪チームが出そろっています! ビルダーとしても知名度の高いシャフリヤール選手率いる、フォース『シームルグ』!そして、手堅い戦法で勝ち星を積み重ねる知将ロンメル率いる、フォース『第七機甲師団』! 一回戦衝撃的な月光蝶を披露したフォース『モルガーナ』! どのチームが勝ってもおかしくない、熱いバトルは間違いなし! 正直私も参加したい!」
「……次の心配しなきゃだな」
「だな。まぁ精々頑張んな」
最後のところはフミナパイセン心の叫びである気がしたが、彼女の言う通りどのフォースも、凄腕ばかりの様だった。