転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
『今回のバトルフィールドは広大ですねー。砂漠の中央には巨大な砂嵐。出撃時に敵影すら確認できない視界の悪さの中、各フォースはどのように戦うのか? 期待してしまいますね!』
砂漠を歩きながら、俺は司会に確かにと心中で頷いた。
砂に足をとられる砂漠のフィールドは動きが遅く、ひどくもどかしい。
舞い上がる砂で視界は悪く、敵がどこに潜んでいるかもわかりづらいと来ている。
「ヒナタ機、イヴ機は下がって位置について。グレイズ部隊先行して、索敵を」
「了解」
すかさず先行するグレイズ部隊は今回はサテライトキャノンを外し、ダブルガトリングを両腕に装備していた。
だが、意味もなく撃つことはあまり有効ではなさそうだった。
「極力撃つな。敵をよく見極めてから慎重にね」
そう指示する。
なぜならばすでに、砂嵐の中にはちらちらと動き回る影が見え隠れしていたからだった。
「……いるなぁ。釣られる魚の気持ちがわかるねぇ」
こっちにこいと誘われている。
砂嵐の中には廃墟もあるようで、外から攻撃しても直撃させるのはかなり難易度が高くなりそうだった。
いったん止まったものの、いるとわかっていたのなら戦いに行かなければならないのがつらいところである。
戦いが目的だというのは、中々に難儀なものらしい。
「でもまぁ行くしかない」
「急いだつもりでしたが、やりますね」
リリネットは悔し気にしていたが、確かに先に廃墟に陣取られたのはかなり痛かった。
「第七機甲師団はこういうの得意そうだからね。月で主に活動してる俺達よりも地の利があるさ」
見るからに軍事行動とか好きそうだし、地形を利用する戦い方は好みだろうと予想はついた。
「……リリネットじゃあそろそろ行こう。合体だ」
「音を消すのですね? 了解です」
「いや? むしろガンガン出していく。合体するのは……そっちの方が派手だからだ」
「なるほど。いいですね。コソコソするより好みです」
「そうとも。では―――作戦名ジュラシックパニックを始めよう」
今回の合体は中々挑戦的である。
なにせミキシングに使ったのがガンプラシリーズではないのだから。
30MMシリーズをご存じだろうか?
ガンプラではないので、コンテストなどでは使えない場合もあるから注意が必要だが、30分で組み上げられるというわかりやすい組み立て感、あらゆるところに3mm穴の開き、優れたカスタマイズ性を持つとても遊べるキットである。
しかしその魅力の一つにコンセプトの広さも上げられるだろう。
ガンプラではなかなか出せない、生物的なデザインや癖のある機体ラインナップもまた30MMの魅力の一つとなっている。
だからこそ、ガンプラに流用することが出来れば、今までにない改造を実現できる。
今回リリネットが選んだキットも、そんな側面があった。
「プロヴェデルtype―REX01ね……まぁ発想はわかる」
「レクス繋がりはもちろんありますが……」
「あるんだ」
「しかしもう一つ大きな利点があります」
「というと?」
「はい。今まではハロの接続の関係上、合体する時私は分離していました」
「してたね」
今までハロ・クタンは、スペースの関係上クタンの上部に乗るように接続していた。
だから合体の時は、おかしな方向になるため、ハロの分離は宇宙でもなければ必須だった。
「ですが、合体方式をクタン参型のものに変更したため、私の機体をくっつけたまま合体することに成功したのです。サイコガンダムマークⅡの腕を犠牲にしたのはあれですが、補って有り余る利があると自負しています」
確かにリリネットと二人で操作することになれば、火器の多い機体なだけに、操作は格段に楽になることだろう。
つまり、一緒に合体して戦いたかったと?
でもこれを言っちゃうと、リリネットはへそを曲げそうだったので口を出すのはやめておいた。
「じゃあ。せっかく頑張って作ったんだ。いいとこ作んなきゃだな」
「はい!」
Gレクスはドッキングが完了すると、砂嵐の廃墟めがけてまっすぐ突進した。
「皆落ち着いていこう。作戦の成功を祈っている」
ロンメル隊長の通信に、団員達は沈黙で応えて砂漠の廃墟に身を潜めていた。
そして、そう間も置かずに道を堂々と歩くグレイズがのこのこ現れたのを見て、私は思わず鼻で笑ってしまった。
余りにも迂闊な動きは、おそらく囮の機体につられてやってきたのだろう。
廃墟群の中に引き込んでしまえば、相手の行動は筒抜けだった。
モビルスーツ本体と、ミニモアという小型無人機による二重の監視網に穴はない。
リアルタイムで敵機の動きを掴み、実際に2倍以上に機体の数を誤認させ、相手をうまく誘導すれば、簡単に追い込むことが出来るだろう。
ミニモアに派手にダブルガトリングを乱射するグレイズ達はいっそ滑稽で、いつでも刈ることが出来そうだった。
「ブラボーからエコーへ……いつでも狙える」
「こちらエコー。いや、相手の数が少ない。もう少し引き込んでから……うわ! なんだあれは! こいつ……ウワーーーーーー!!」
「どうした! エコー? エコー! 応答しろ!」
突然通信が乱れたかと思ったら、砂嵐の音が無線から響く。
返事はなく、一体何が起こったのかと私は冷汗をかいた。
エコーは一番敵の進入路の近くに配置されていた団員だった。
敵は、大火力の兵装を好んで使うと聞いている。
砂嵐の中から一撃見舞われて、偶然命中すればひとたまりもないかもしれない。
「……いや、それにしてはビームの光もまったく見えない」
不安は大きくなる一方だったが、私のザクはライフルを構え直して、まず撃つべき標的を定めようとスコープを覗き込む。
しかし拡大された風景の中に、建物が派手に崩れるのを見た。
「……! あれは! エコーのいた方向か!」
土埃は次々巻き起こってこちらに真っすぐ向かってくる。
「いや……違うな、これは」
逃げているミニモアを一直線に何かが追いかけてきているらしい。
「おいおいおい……何だあれは! 建物も何もあったもんじゃない……っというかこっちに逃げてくるんじゃあない!」
恐怖にかられ、ライフルを握る。
砂塵の嵐の中を突き抜けてきた巨大なものは、ミニモアを粉砕した瞬間、私のいる建物に突っ込んで来た。
「うおおおお!」
建物の土台が一気に崩れ、2階に陣取っていた私の機体は足場を失って地面に落下してしまった。
「くそ!……」
慌てて身を起こし、視線を巡らせる。
砂塵で何も見えなかったが、常軌を逸して巨大な機体だと言うことは分かった。
そして今、建物の崩れた残骸の中、ゆらりと揺らめきながら長いものが視線の端を横切っていった。
「……アレは……まさか尻尾?」
「―――その通りだよ。ネズミさん」
「! うわああああああ!!!!」
声がした瞬間、私のメインカメラは猛烈な力で掴まれて、握り潰されていた。