転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す   作:くずもちXXX

74 / 88
第七機甲師団

 大型メイスを正面に構えて、機体に備え付けられたバーニアをすべて全開にしてかっ飛ぶ。

 

 機体の耐久度に物を言わせた突進は、岩だろうが壁だろうが完全に無視して、廃墟の中心まで突き進む。

 

 罠はルートを予想して仕掛ける物だ。

 

 ならば道は自分で作ればいい。

 

 ただ思ったよりこの機体につけられた推進力は強力だった。

 

 やっては見たものの……これは完全に砲弾だった。

 

「うおおおお!」

 

「あの壁はまずいです。機体が砕けます」

 

「任せろ! パイルバンカー!」

 

 それでも無理やり、穴を穿って突き進む。

 

 タイミングを一瞬でも誤ればスクラップになりそうな瞬間の連続は、この機体じゃないとやっていられない。

 

 今回の作戦はとても簡単だ。

 

 俺の役割は直進する道を作り、ひたすらに暴れて隠れている敵をあぶり出せばいい。

 

 俺を攻撃する敵も、不測の事態に対応しに来た敵も、見つけ次第即、叩き潰す。

 

 さっそく偶然建物の中にいたザクを仕留めて、俺は再び直進を始めた。

 

「しかし無謀な作戦です」

 

「無茶は承知。でも待ち構えてる時、人間が嫌がることは何だと思う?」

 

「何でしょう?」

 

「思ったより早い来客と、予想外のハプニングだよ!」

 

「確かに」

 

 今回の作戦は俺が大暴れしていかに注目を集められるかがカギだ。

 

 それこそ、恐竜映画のティラノのようにである。

 

 しかし全力で暴れまわってみると、合体したGレクスは爽快感抜群だった。

 

「すごいパワーだな! これは癖になりそうだ!」

 

「いつも同じようなことをしていると思いますが?」

 

「いやいや、いつもはもっと繊細なことしてるんだよ? でもこれは……雑に強い!」

 

 デカいイコールパワーを体現したような性能は、バトルスタイルにぴたりとハマると言われたらそれはそうだった。

 

 直進しながら壊して壊して壊しまくる。

 

 たまにうろちょろしている小型機は、おそらく偵察に特化していて大した戦闘力はないようだ。

 

 大尻尾で撫でるだけで壊れるのだから、耐久力もそれなりだった。

 

 しかし10機すべてに偵察機を装備して、リソースを裂いているのだとしたら、単純に2倍の目があるのと同じだ。

 

 ずいぶん丁寧に攻めてくるつもりなのは察せられた。

 

「こりゃあ……本格的に情報戦する気だな。だが見られるのは好都合! 存分に注目してくれ!」

 

「ロックオンされています。狙撃予測地点のデータ送ります」

 

「遅い!」

 

 俺は咄嗟に振り向いて、狙撃用ビームライフルをリフレクタービットを集中させて受け止めた。

 

 四散したビームは周囲を焼くが、お返しに滑空砲で撃ち抜くと、少しだけ静かになった。

 

 リリネットは奇襲に気が付いていなかったようで、驚いたように目を見開いていた。

 

「……すごいです。今のどうやったんですか?」

 

「勘」

 

「なるほど。流石マスター」

 

「公式大会でマスター呼びは止めなさい?」

 

「なぜですマスター」

 

 なぜってどこでどう切り抜かれるかわかったもんじゃないからだよ!

 

 イメージ戦略はともかく、今のところまだ生き残っているのだから、作戦は順調だった。

 

「さて撃ちまくってあぶり出せ!」

 

 俺はさっそく狙撃予測地点を手当たり次第に狙いもつけずに撃ちまくる。

 

 今ごろ俺が作った道を、グレイズ達が直進してきていることだろう。

 

 ダブルガトリングは機体数以上に弾幕を厚く見せているに違いない。

 

 さていつまで引っ込んでいられるかと待ち構えていると、ついに痺れを切らした敵が姿を現した。

 

「この! めちゃくちゃやりやがって!」

 

 ギラ・ドーガが飛び出してきてビームマシンガンで狙い撃ってくるが、顔を見せてくれたのなら大歓迎だ。

 

 俺はバーニアを再びフルスロットルで使い、突っ込んだ。

 

「かかったな!」

 

 だがこちらが推進力任せに突っ込んでくることは予想されていたらしい。

 

 闘牛士のようにひらりと躱され、俺が勢いあまって飛び出した広場は―――地雷原だった。

 

「はっはー! 引っかかったな! 吹っ飛びやがれ!」

 

「!!!」

 

 火柱が上がる。

 

 画面いっぱい炎に包まれる爆発から見て、こいつは相当の量を仕掛けられていたようだ。

 

「フラッグ機だとは思えないが……リーダーなのには変わりはない。士気が落ちたところをじっくり削らせてもらう」

 

 そしてとてもいい声がして、赤い頭のグリモアが姿を現した。

 

 その様子を俺達はしっかりと見据えて―――動き出した。

 

「……迂闊ですね知将ロンメル。その首―――いただきます」

 

「!クッ!」

 

 爆風で飛ばされたリリネットの装備したテイルブレードが、赤い頭を狙った。

 

 咄嗟にナイフで逸らされたものの、ヒヤリとさせることには成功したようだった。

 

「なんと……! まさかあの爆発から生還するとは」

 

「あの程度ならば造作もありません。モルガーナの隊長ならなおのことです」

 

「!」

 

 そして俺の口からビームがグリモアレッドベレーの装甲を掠った。

 

「チッ! 仕留めそこねたか!」

 

「……冗談だろう? どうやって!」

 

「今回の機体は色々パーツが多くてね。でもおかげで耐久力はガタガタだよ!」

 

 プロペラントタンク含めた噴射とパーツの相当を盾にしたがほとんど失った。

 

 そしてダメージは計り知れない。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 しかし探していた目標を見定めたら、もう逃がす理由はない。

 

 後は動けなくなるまで、追い続けるだけだ。

 

「突貫だ!」

 

 俺は大型メイスを振りかぶり、わき目も振らずに殴りかかった。

 

 リリネットにテイルブレードを渡してしまったがメイスが残ったのは上々だ。

 

「……一斉射だ」

 

「させないね!」

 

 レッドベレーに肉薄し、とにかく接近戦に持ってゆく。

 

 狙い通り、弾幕は思っていたほどではなかった。

 

「! 私に接近戦を挑むか……! 勇気がある!」

 

「当然! あんたを仕留めれば流れがこっちに傾くだろう!」

 

「残念だが、そうはならない。私はフラッグ機でもないのだからね」

 

「俺だってそうだ。だけどあんたも言ってただろう? リーダーを失ったら士気が落ちる。こうして接近戦を仕掛けたら撃つのをためらうほど人望があればなおさらだ。……さて、お味方さんはどう動いてくれるかな?」

 

「……無駄なことを!」

 

 ナイフの突きを避けてクローで切り裂くが、なかなか速くて当たらない。

 

 さて本当に無駄かどうかはこれからしだいだ。

 

 身構えるレッドベレーをまず仕留めるべく、Gレクスはメイスを振りかぶった。

 

 

 

 グリモアレッドベレーのバトルスタイルは思ったよりも洗練されていた。

 

 徒手空拳とナイフによる攻撃を巧みに組み合わせて襲い掛かって来るスタイルはまるで映画で見る特殊部隊の様だ。

 

 流石というべきか、得物が小さい分コンパクトで速いその動きは、無駄がないとそんな感想が浮かぶ。

 

 俺は相手がやる気を見せた瞬間から、見に徹して攻撃を防ぐことに集中した。

 

 ナイフが飛んできたかと思えば膝。

 

 そして隠しナイフが飛び出すのを、ぎりぎりで避けられたのは今日の勘が冴えているおかげだった。

 

「やるな……だがいつまでもここにいていいのかね?」

 

「というと?」

 

「我々は、君達の動きを完全に掴んでいる。君の大胆な突撃には驚かされたが、すでに生き残った機体は、君達の部隊を殲滅に動いているよ」

 

「……殲滅か。出来るかな?」

 

「出来るさ。ダブルガトリングの面性圧は脅威だが、距離をとれば大したダメージは期待できない。対して我々は狙撃手が多数いる。仕留めるまでにそう時間はかからないさ」

 

「そうかい。だが、俺達だって情報には気を使っているんだよ。例えば……そっちのフラッグ機とかね」

 

「ほぅ? フラッグ機を特定していると?」

 

「特定中さ。何のために俺があんた狙いで大立ちまわりしていると思ってるんだ。第七機甲師団でも、他ならぬあんたがやられていたら何らかの動きがあるだろう? この混乱で一番守りに徹している機体が、フラッグ機だって俺は思うんだよ」

 

「ふむ……だがわかった時には手遅れだ。君達の機体は君も含めて十分に削っている。速攻のつもりだったのだろうが、大胆過ぎたね。今からフラッグ機を狙いに行く体力が残っているとは思えないが?」

 

「いやいや……実は俺達、今回全員こんなものを持っていてね」

 

 接近戦の攻防の中距離をとり、俺は小型のピストルを取り出すと、ロンメルに見せつけるようにかざした。

 

「なんだ? 銃か?」

 

「そう銃だ。弾はビーコンだね。フラッグ機を見つけた時だけ使うことを許可している」

 

「!……なぜそれをここで言う?」

 

「決まってるだろう? 今まさにビーコンが点滅してるからさ。完全なのは廃墟の中だけで助かったよ。フラッグ機だから10機目は外で隠れているとでも思ったかい? 狙撃手はアンタ達だけのもんじゃない。俺達が大艦巨砲主義なのはあんたも知っているんだろう?」

 

「……っ! まさか!」

 

 俺は邪悪に笑みを深めて頭上を見上げる。

 

 初めて本気で声を荒げたロンメルは俺の後を追って空を見上げた。

 

 

 

「――――ふぅ」

 

 バトルフィールド最高高度に、アマテラスは陣取っていた。

 

 ほとんど宇宙みたいなその場所で、構えているのはいつもの弓ではない。

 

 それは、ダインスレイヴという名の兵器であるらしい。

 

「……行きます」

 

 ヒナタは呼吸を整えて、ビーコンの誘導に従って狙いを定めた。

 

 ヒナタは与えられたビームボウにアマノハジユミと名付けていた。

 

 最初は他の武器に合わせた自分の弓が特別な一射を放てるように考えた願掛けのようなものだったが、そうやって弓を使ううちに、ヒナタの弓は特別なものになった。

 

 弓状の武装で狙撃をする場合に限り、ヒナタの弓矢には神が宿る。

 

 ダインスレイヴはレールガンのようなものだとタカマルは言ったが、実際それが必殺技に応用できると判明してタカマルは喜んでいた。

 

 ヒナタには細かい理屈はわからないが、一発に込められた価値がどれほど重いかは理解できた。

 

「アマノハジユミ!」

 

 ヒナタは真下にそれを放つ。

 

 まるで一本糸がつながっているように放たれた矢はまっすぐに光に飛んで行く。

 

 

 

 

 ズンと大地が揺れる音と共に、勝敗は決した。

 

「……! まさかそんなことが……」

 

 驚いている白いイタチの顔を見て、俺はそうだともとうちのメンバーを賞賛した。

 

「うちの狙撃手は腕がいいでしょう?」

 

「……ああ。まさか本当に成功させるとはね」

 

『き、決まりました! 準決勝! 砂漠の激戦を制したのはフォースモルガーナ! 大気圏ギリギリからの一撃が第七機甲師団のフラッグ機に突き刺さる! 鮮やかな勝利でした!』

 

 勝利を確信した時のフミナボイスが、身に染みる。

 

「無理をさせたなぁGレクス。でも大活躍だ」

 

「ええ。すさまじい活躍でした。これならばさらに月の悪魔の名がGBNに轟くことでしょう」

 

「えぇーそうかなぁ。MVPはヒナタちゃんでしょ。モルガーナのズドン巫女就任だよ」

 

 俺の名前なんて霞むだろうなぁ、なんて思っていた俺だったが、案外月の悪魔の暴虐映像は、それはそれとして人気があるようだった。

 

 気になったサムネイルは『暴虐の月の魔王、マスタータカマル』である。

 

 ……何でだ?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。