転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
「よし、じゃあ行ってみようか―――」
ダイバーギアをセット。
愛機のGレクスを読み込んで、俺はGBNにダイブする。
すでにロビーは、今までとは比べ物にならないほどのギャラリーで埋め尽くされていた。
心なしか張りつめて感じるディメンジョンの空気を存分に感じながら、俺、オサカベ・タカマルは出撃の時を待った。
「ついにこの時がやってきました――――第一回ガンプラフォーストーナメント決勝戦。数々の激戦を勝ち進み、コマを進めたフォースを紹介しましょう」
真っ暗な画面から、バチッとスポットライトに照らされ、一人掛けの椅子に腰を掛けたアバターフミナが現れた。
「まずはこのフォース『モルガーナ』。難解なミッションを攻略してシード権を勝ち取り。奇抜な奇襲と、見事な連携により勝利を積み重ねました。決勝戦、いったいどんな戦いを見せてくれるのか? 噂の『月の魔王マスタータカマル』の活躍にも注目です」
あぁ……! なんか情報が更新されてる!
アバターフミナはノリノリで絶好調だが、みずをさしたい気分だった。
「そして―――もはやこのGBNの顔と言っていいほどのトッププレイヤー。個人ランキング、フォースランキング共に王者の椅子に君臨するフォース『アヴァロン』。二つのフォースが揃った時! GBN史上最大の戦いになること疑いありません!」
立ち上がり、叫ぶアバターフミナの姿にギャラリーの興奮も最高潮である。
ああ、しかし些細なことを気にしている場合じゃない。
俺の未来の知識では、チャンプになると確定している相手は、恐ろしいプレッシャーを放って、俺の前に敵として立ちふさがっている。
相手に、俺達はどんなふうに映っているだろうか?
せめて脅威に映っていて欲しいものだった。
「……まぁ。これからだな。存分に俺達の恐ろしさを刻み込んでやろう」
今回の作戦は、俺的にはかなり面白いと思う。
ただうまく好転するかどうかは、俺達の立ち回り次第といったところだった。
『決勝戦の舞台は……決戦の地ア・バオア・クー! 両フォース奮戦を期待します!』
実況をスタートの合図にして、俺はカタパルトデッキから宇宙に飛び出す。
しかし、悠長に今回は様子見をしている場合じゃない。
目指すは敵陣の真っただ中。
今回先制攻撃は、俺達の方だ。
「では、合体します」
「ああ。合体だ!」
リリネットに促されて、クタン・ハロとすかさず合体し、宇宙仕様のGレクス・キメラへ。
そしてプロペラントタンク含めたすべてのブースターを全開まで使って、俺は捕捉した敵の一団に一機先行して突撃した。
「ヒャッホー! こんにちはそして―――さようならだ!」
持ちうるすべてのビットをバラ撒き、有線兵器を展開。
「! 君が奇襲をかけてくるとは!……だが、10対1はあまりにも無謀だね!」
「残念! この一機で3体分だ! クタンはモビルアーマー扱いでね!」
「私もいるのでお忘れなく」
ピヨピヨと、とんでもない数ハロの口からばらまかれるのは、特別製のハロビット。
気が付けば周囲はビットだらけで、搭載されたビームは、全てアヴァロンメンバーをロックオンしていた。
「……この数は! 散開しろ!」
「機雷原かよ! ああ、ビットだから狙ってくんのね!」
副隊長の確かエミリアとカルナだったか、二人は鋭く叫んで注意を促す。
しかしすでに撒かれたビットは、包囲網を完成させていた。
「撃て!」
「!―――進路を切り開く! 各機対応しろ!」
ワンマンチームと言ったが、さすがチャンプのフォースメンバーだ、練度が高い。
ちょっとやりすぎかな?っと我ながら思うほどぶちまけたビットの攻撃をそれぞれ各個撃破していく手際は素晴らしい。
致命傷は避けて、未だ撃墜に至っていないのは、正直驚きだ。
そして当然のようにビットの弾幕をこちらに向かって真っすぐ向かってくる奴がいる。
流石にこれは、俺自らがお出迎えする必要がある。
「いらっしゃいませ!」
俺は、大型メイスを突き出し加速する。
飛んできたビームライフルをメイスで防ぎ、接敵した俺のメイスを奴はビームサーベルで受け止めてみせた。
バチバチとビームが弾ける鍔迫り合いの中、クジョウ・キョウヤは叫んでいた。
「やってくれるな!」
「……当然。せっかくの決勝戦だ。楽しんでもらえるように、仕込みは万全だよ」
「それはいい! ならば楽しませてもらおうか!」
AGEⅡマグナムの蹴りが飛んでくるのを、俺は膝でブロック。
お互い、跳ね飛ばされて距離が開いた。
出会い頭の挨拶はこんなもんでOK。
ではビットがなくなる前に、皆さんにお代わりを追加せねばならない。
Gレクスの全身が青白い光を放つのを見て、慌てたチャンプはさすがに俺の研究をしてくれているようだった。
「逃げろ!」
「デストロイヤーレイ! さぁせっかくの料理だ! 腹いっぱい食っていってくれ!」
最大限高まった光は一気に解き放たれた。
追尾機能を持つ破壊の光はビット攻撃に対応中のアヴァロンに容赦なく降り注いだ。
「うおおおお!」
「な、なんだぁ!」
悲鳴が聞こえ、爆発が二つ。
流石に必殺技の直撃には耐えられなかったメンバーがちらほらいるようだ。
「やられた……被害は!」
「撃墜2、中破3だ! 喰らってみるとやばいな! だいたい必殺技はここぞって時に使うもんだってのに、開幕ブッパは卑怯だろ!」
「―――敵の数を減らすための攻撃だ。面白いよ。よほど強者と戦いたいらしい。いわばこの必殺技はふるいのようなものなのかもな」
「これを抜けないと魔王にはたどり着けないと言うことですか……なるほど。確かに噂通りの相手の様だ」
「開幕早々奇襲かけてくる魔王なんて……割といるな」
ええ、まぁそういう側面がなくはないですがね? でも魔王の洗礼はこんなもんじゃないので、骨の髄まで堪能してほしいものだった。
「……隊長。まずいかもしれない」
「どうしたヒロト?」
「離れた位置から見てると、おそらくその攻撃、俺達を誘導してる」
「誘導?」
おっと、気がつかれてしまったかな?
でももうすでに、準備は整っているはずだ。
数を減らすための奇襲だと、敵は俺の来襲をそう判断しただろう。
事実そう言う側面もある。
しかし俺の最大の目的は、こちらの配置が完了するまでの遅滞戦闘だった。
「……もういい位置だ。準備は?」
「完了しました! ええっと……大きな隕石の陰から、出て来たの見えてます!」
「OK、こっちからも見えてるよ」
俺はコホンと一つ咳払いして、オープンチャンネルで敵、味方全員に向かって話しかけた。
「ガンダムシリーズで、最強の攻撃って何だと思う?」
「……最強の攻撃?」
「色々あるよな? バスターライフル? サテライトキャノン? アトミックバズーカ? いやいや、コロニー落しや、メメントモリなんてのもあるかな? 俺はね、コロニー落しはともかく、元祖は太陽光を利用したとんでも兵器だと思うんだよな」
ア・バオア・クーの陰からまんまるの光が見えた。
ディスクのようにも見えるそれは、どんどん大きくなっていて、それは太陽光を受けて美しく輝いている。
「まさか……」
「縮小版、モビルスーツ搭載型ソーラーシステム。命名ヤタノカガミキャノンだ。元祖太陽炉で存分に輝いてくれ」
「照射範囲から離脱しました」
「照射します!」
間髪入れずに飛んできたヒナタの通信の後に、集められた熱は一気にアヴァロンへと降り注いだ。
俺はその光を背に、急いで次のポイントに飛んで行くと、もうすでにみんな集まって俺を待っていた。
「よし! 突貫作業だったがうまく言ってよかった! さすがヒナタちゃん! いい狙いしてる!」
「ビット類はすべて使い果たしました。必殺技を使用したため出力も落ちています。ご注意を」
「でも今ので終わりじゃないんですか?」
ソーラーシステムを撃ち終えたヒナタは言うが、残念ながらそんなことはないだろうなと俺の予感は言っていた。
「いや……それはないな」
「そうね。まだ終わりじゃない……まだすごく強い子達が残ってる。その中にヒロトもいる」
イヴのお墨付きともなれば、もう間違いないだろう。
黒い恐竜は宇宙を睨む。
今回、俺達のコンセプトは少数精鋭だった。
一回戦のように一機に集中するような極端さではないが、今回も十分すぎるほどに尖った編成だ。
アマテラスの強化は一目瞭然で、その背に背負っているのは言ってしまえば巨大な鏡である。
2機分のソーラーシステム搭載機体をアマテラスと接続することで、巨大なソーラーシステムを再現した武装は、ガンダムという世界観でも最大の火力の一つである。
そしてイヴの機体カリバーンはすでにEXアーマーと合体して、封印した姿を現していた。
彼女の周囲には2機の黄金の球体と、1機のサテライトキャノン搭載グレイズがEXカリバーを守る騎士のように並んでいる。
最大出力ではないが危険性は減っただろう。
それでも3機ものリソースを割いた月光蝶はそれなりに驚異的な威力を発揮してくれるはずだった。
「ちょっと待ってね、みんな今修理するから」
そんなイヴが、いつもより優しい光の月光蝶を解放すると今の奇襲で削られたダメージがゆっくりと修理されて回復してゆく。
ナノマシンを破壊ではなく、修理に使ってみたリカバリー機能は、コアファイターさえ残っていればパイロットまで再生させる……なんてでたらめな性能は無理だったが、装甲のわずかな損傷なら、他の機体も応急処置程度なら機能するリジェネ的な機能を有していた。
しかし、待ち構えるように3機揃って俺はちょっと思うのだが……。
「……いよいよ、悪の組織じみて来たな」
「今更では? 魔王配下の武装集団か、月の女王率いる中ボス1、2か」
「私、どっちも中ボス枠かぁ」
「いやいや、正直いいポジションな気がしますよ? まぁ……今ので手遅れかもしれないけど」
「私は女王様? それは何だか楽しそう!」
「切り抜きに期待しちゃうね……」
そしてそんな魔王達に挑む勇者は、すぐにでもやってくると。
名は体を表すというが、こうして張り合える場面が訪れたなら本懐だ。
理想郷の魔女の名前をいただいたのだ、精々手玉に取ってやるとしよう。
今のところ、優位に事が運んでいると言っていい俺達は、さてどう映っているのか?
ちょっぴり怖いが、四の五の言っている余裕のない相手だということは間違いなかった。