転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
「……さて、こうなると総力戦の乱戦だが」
誰を相手にするか選ぶとなると、俺はチャンプに挑みたい。
しかしそう簡単に、フラッグは獲らせてくれないことは容易に想像がついた。
損傷はあるようだが、まだ落ちていない副隊長のクランシェ2機。
そして後ろから距離をとりつつ飛んできている機体はユーラヴェンガンダムだ。
「来たなヒロト」
俺は目を細めて、その機体を見た。
狙撃性能を更に突き詰めた機体は、確実に隙を見せたら撃たれる。
今最も厄介なのは、チャンプよりむしろヒロトの機体かもしれない。
強敵との戦いの最中なんて格好の的だろうし、それを見逃してくれるヒロトではないことは十分承知していた。
「なら……ちょっと反則臭いが。中の人を突っつくか」
ニヤリと不敵に笑った俺を察したリリネットは、一応という感じに確認してくる。
「何をするつもりですか?」
「なに、みんなの都合に合わせるだけだよ!」
やると決めれば、やってみるだけならタダの作戦である。
俺はまず迫るアヴァロンの面々向かって叫んだ。
「ヒロト! 狙撃手も結構だが、うちのメンバーがお前と会いたくてうずうずしてる! 彼女達はお前がアヴァロンのメンバーとばかりイチャイチャするからご立腹だぞ! 早めに行ってやってくれ!」
「タカマル!?……いきなり何を言って」
返事が帰ってきた。爆釣である。
まぁ本来なら狙撃手が持ち場を離れていいわけがない。
しかしここはGBN。戦場ではない。
むしろ酔狂な遊び人の集う、楽しい遊び場だった。
「……ほぅ。ヒロトも隅に置けないな! ご指名だぞ! 行ってこいよ!」
「いや、カルナさん、それは……」
「そうですよ。ヒロト君は狙撃手です。戦場を俯瞰で見て行動してもらわないと……と言いたいところだけど、行った方がいいんじゃない? 待ち合わせに遅れる男はクソよ」
「! えぇ!? エミリアさん!?」
「ほほう……確かに女性を待たせるものではないな、ヒロト。ここは私達に任せて先に行きたまえ」
おお、ここでまさかの後ろからの援護射撃が。
アヴァロンの方々、ノリがいいじゃない。
まぁあながち嘘じゃないのが、功を奏したのかもしれない。
言葉のフレンドリーファイアに、完全に不意を突かれたヒロトは、この場からの逃亡―――もとい、先行することを選択したようだった。
「クジョウ隊長まで……クッ。タカマル、後で覚えてろよ!」
「たぶん忘れるなぁ! 行ってこい行ってこい! 後ろから撃ったりはしないよ!」
ユーラヴェンガンダムは、捨て台詞を残して脇を通り過ぎてゆく。
ただ、おおよそ予定通りだったが、あまりにもうまく行き過ぎるのも、面白くない時はあった。
「よかったのかい? 狙撃手がいないんじゃ、戦力大幅ダウンだろう?」
俺はこの場に留まった面々に向かってそう言うと、返事を返してきたのはカルナ機だった。
「そうかい? 各個撃破も立派な戦術だろう?……それよりも俺達3機を相手にして、なんで勝てる気でいるのか疑問だね」
そして今度は、エミリア機が極めて冷淡な声で銃を構えた。
「ヒロト君一人行けば、あの如何にも厄介そうな2機が足止めできるならそちらの方が有益でしょう? さっきの言葉、ヒロト君の動揺具合を見るに、あながち嘘でもないのは分かりますよ」
それはそう! ヒロトが飛び込めば、ヒナタとイヴは入れ食いだろう。
ヒナタは気がついてくれないもやもやを思い切りぶつけるだろうし、イヴもまた望み通り全力でヒロトとバトルで遊ぶ。
どちらにせよ、すぐに終わるよう話ではなさそうだった。
「ハッハッハッ! それに君とは正面から決着をつけたい。我々も―――やられっぱなしは面白くないのでね」
「あっ……なるほど。十分ヘイトは稼げてたみたいね」
妙な小細工なんて必要なかったかもしれない。
「というか……やばいのは俺かこれ?」
「中々です。さてどう切り抜けましょうか?」
アヴァロンの凄腕たちに、俺はどうやらしっかりとロックオンされているみたいだった。