転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
「……うわぁ。切り札使っちゃってるなぁ」
広々と展開されるビットのドームはこちらからでもバッチリ見えた。
今頃そのすべての銃口から、ヒロト一人にビームを降らせていると思うと同情する代物だった。
クジョウ・キョウヤは斬撃などの直線的な攻撃を好む。
だから、面で相手を押し潰そうというコンセプトで考えた対チャンプ用無限ビットだ。
例え必殺技でぶった切られようと、出来た隙間を物量で埋める。
月光蝶の修復能力と、ソーラレイの太陽光発電システムで寿命の短いビット兵器を半永久的に動かし続け、あらゆる方向からビームとその反射で狙い続ける一種のはめ技だった。
我ながら恐ろしいものを作り上げたと思うのだが、アヴァロンの面々の反応は完全にあっけに取られていた。
「うわぁ。何アレ……」
「ちょっと……狂気的な作業量を感じるわ。ヒロト君は大丈夫かしら?」
ただメンバーが呆けている中、弾んだ声が確かに聞こえた。
「ふむ……大丈夫ではなさそうだ。エミリア! カルナ! ここは任せた!」
「え! ちょっとどこに!」
「まさか、あの中に飛び込むんっスか!?」
「そうとも! 狙撃タイプでは不利だろう! ならば手を貸すのもやぶさかではないさ!」
止める間もなく、飛行形態で飛んでいくチャンプにためらいはなかった。
「「「……」」」
チャ、チャンプはさぁ……マジであの場に水を差しに行くのかね?
いや、試合的には何もサポート自体は間違っちゃいないのだが、あの場所に突っ込むのはいろんな意味で中々肝が据わっていると思う。
「あちゃあ……隊長フラッグ機なのに、あんなところに突っ込んでいったら……ダメだよなぁ」
「そうよ! あれデストラップの類でしょう!……ってもう手遅れか」
複雑そうな彼らには同情してしまいそうである。
まぁせっかくフラッグ機がアレを喰らわなかったのに、嬉々として中心に飛び込んでいけば呆れるのも無理はない。
しかし、どこか楽観的でいられるのはクジョウ・キョウヤならばという信頼があるからだと言うのもわかる話だった。
武装の制作者の一人としては物申したいところだが……実際フォースを率いる同じ立場になると感銘を受ける部分もある。
隊長たるものこうありたいものだった。
「まぁ、今更かもしれないが、少しは見習うとしようか……」
俺はコホンと咳払いを一つして、全ての会話をオープンにした。
「まぁ……あっちは、あっちに任せよう。ああ、そうそう君達。いいことを教えようか?」
「「?」」
十分に注目を浴びるために間を置いて、俺は言った。
「俺がフラッグ機だ。……ここで戦うことが一番の援護になるぞ?」
突然のネタバレに、敵味方が同時にざわついていた。
「タカマル? どうするのですか?」
「いや、あっちが盛り上がってるからこっちも盛り上げていこうかなと。ここが最終局面だろう?」
「……そうですね。向こうの隊長も行ってしまいました。このまま終わっては……いまいち盛り上りに欠けます」
「だよな」
リリネットはそれでもやれやれという感じだったが、アヴァロンの二人からは不満そうな気配を強く感じた。
「……おいおいそれを言っちまうのか?」
「そっちもちゃんと教えてくれているだろう? アヴァロンはフラッグ機を変えない」
「……そうなんだよなぁ」
「やっぱり改めた方がいいですよ、これは」
それはそうだが、オープンにしつつ負けないのなら、盛り上がるし最良なのは間違いない。
俺に足りないのは、まさしくこの盛り上げようと言う姿勢そのものなんじゃないかって、チャンプの後姿を見て思ったわけだ。
「俺は腹を決めた。仲間がアレを使ったってことは、ここが勝負時ってお知らせだよ。温存を考えて戦うのは止めるとしよう」
「……へぇ。そいつは面白そうだ」
「私達も弱くはありませんよ?」
「わかっているさ。まぁ……こいつは隊長さんがやられるまでの時間潰しだ! 楽しくやろう!」
「ぬかせ!」
「行きます!」
挑発交じりに大型メイスを構えると、リリネットはクタンからもう一本少し小さめのメイスと滑空砲を切り離して、俺に寄越した。
「気休めですが、どうぞ。予備のメイスです」
「おお! さすがリリネット! じゃあ行ってくる!」
「援護しますよ、いくらでも」
せっかく好戦的なセリフチョイスをしているんだから、さぁライブ配信を見ているみんな、盛り上がっていこう!
まぁどう考えてもヒロト・チャンプVSヒナタ・イヴ戦の方が華があるんだけれども、それはそれ。
俺だって決勝戦まで勝ち残ったフォースの隊長として、最後の盛り上がりになるかもしれないこの場面で影が薄いのは我慢ならない。
少しは盛り上がりに貢献しなければという、シードフォース隊長の最後の悪あがきに付き合ってくれ。