転生主人公、ガンプラバトルネクサスオンラインを遊び倒す 作:くずもちXXX
「……」
ヒナタはどうしようと、狼狽える。
これはやりすぎだろうと思っていたビットドームを突破して、ヒロトとクジョウさんは見たこともない技を自分達に振り下ろそうとしていた。
アレが当たったらマズイ。
本能的に危機を感じたヒナタは一歩後ろに下がった。
だけど隣にいるイヴは、とても楽しそうに自分自身も不吉な赤いマークを乱れ飛ばしていた。
「わぁ! すごい! アレとってもいい感じね! ヒナタ!」
「え? あ! うん! でも逃げた方がよくないかな……」
咄嗟につい本音が出ると、イヴはしかしヒナタの言葉を拒否した。
「ダメ! 逃げるのはダメよ! あれはヒロトとクジョウさんの全力の一撃なんだから! 正面から応えるのがマナーって聞いたわ!」
「ち、違うと思うよ! 正面っていっても、本当に物理的に正面から受け止めなくてもいいんだよ?」
「大丈夫! 考えがあるの! でもそれにはヒナタの力が必要だから力を貸して!」
「え?」
何それ聞いてないと思ったヒナタだったが、イヴは本気だった。
ヒナタにはアレを正面から止めるなんてどうやればいいのか、見当もつかない。
そんな私に、イヴは自分のメイン武装であるヴァリアブル・ロッドライフルを投げ渡すと叫んだ。
「ブースターの方を上に掲げて!」
「ハ、ハイ!」
言われた通りにロッドを装備して上に掲げると、箒のブースターが大きく展開した。
確かブースター部分を展開することでハイパービームサーベルという剣に形態が変わるというギミックの話を聞いていたヒナタは、しかしそこから先は初見だった。
「コアチェンジ! EXアーマー! ブレイドモード!」
「!」
そしてイヴが叫ぶとイヴの機体からアーマーが分離する。
そうしてパーツだけになったアーマーはヴァリアブル・ロッドライフルの周囲でIフィールドを全開にした。
「月光蝶のナノマシンで出来た刀身をIフィールドで固定して!」
「出来るのそんなこと!」
「わからないけど出来そうな気がする! ガンプラは自由だから勝つために出来そうなことは何でも試すの! 私がずっと準備してきたのはこの日のため! ヒロトにも、キョウヤさんにも……もちろんヒナタにもこの世界を好きになってほしいから!」
「……うん」
「だから最高のバトルをしたいの! 負けちゃってもいいよ! でも……最後まであきらめないで頑張りたい!」
「……そうだね。うん。そうだ」
イヴの考えた形態は、月光蝶のピンク色の光から濃い紫色の光の柱になっていた。
ヒナタにはその輝きは、目の前の白い輝きに負けないほど力強く見えた。
「歪で、かっこ悪いかもしれないけど……これが今の全力、モルガーナの集大成! ヒロトとクジョウさん、ヒナタと私で倒しちゃおう!」
「うん!」
ヒナタは両手に力を籠める。
イヴのカリバーンも一緒に出来上がった剣に手を添えた。
「準備はできたかな?」
「待っていてくれたの? 優しいんだ」
「当然。私も……熱いバトルを望んでいる。悔いのないように―――全力できたまえ!」
そして完全に出来上がった光の剣をヒロトとヒナタは思い切り振り下ろす。
「「EXカリバー!」」
「「EXカリバー・モルガーナ!」」
二本の聖剣は激しくぶつかり、二種類の光は真ん中で混じってア・バオア・クーを照らすと――――弾けた。
「―――」
「―――」
「―――」
「―――あぁ……」
クジョウ・キョウヤは宇宙空間を漂いながら戦場で状況を確認していた。
すべてを出し尽くした素晴らしい一撃だった。
しかし、今回勝利の女神はアヴァロンに微笑んだらしい。
武装は砕けた。エネルギーも枯渇寸前だ。
それでも、クジョウ・キョウヤとAGEⅡマグナムは健在だった。
「……まさに紙一重だ。こんなダイバー達がいたんだな」
力尽き倒れた彼女達に感服する。
個人戦でもまだ見たことのない強敵に巡り合い、ネットの奥深さに感じ入っていた。
「やはり、世界中の人々と繋がれたのは喜ばしいことだったんだ。新しいビルダーたちは今も育っている。私もうかうかしてはいられないな」
勝利の余韻に浸っていたクジョウ・キョウヤは、しかしまだ何のアナウンスもない事にようやく気がついていた。
「……バトルが終わっていない?」
「当たり前だ。……フラッグ戦で、フラッグ機が2機とも生き残っていたら―――試合続行だろう?」
「!」
いきなりかけられた声。
そして何か大きなものが投げつけられて、咄嗟にそれを受け止めた。
しかしそれが、ボロボロの仲間の機体だと気がつくと、声を荒げる。
「……カルナ!」
「隊長……負けちゃいました、あいつ……かなり」
言いかけたカルナの機体をテイルブレードが貫く。
動力部を正確に貫かれたカルナのクランシェは大爆発を起こして反応がロストした。
「なっ!」
ただでさえ深刻なダメージを負った機体は、爆発の衝撃でガタガタと震えて、アラームが鳴り響いた。
しかし状況が状況だけに、クジョウ・キョウヤは呆然と目の前の相手に訊ねた。
「……なぜこんな真似を?」
「いいバトルをして呆けてたみたいなんでね、文字通り発破をかけさせてもらった……まだ燃え尽きてもらっちゃ困るんだ」
「……!」
手に持っていたクランシェの頭部カメラを見せつけるようにクロウで握り潰したGレクスに、クジョウ・キョウヤは抜き取ったクランシュのビームサーベルと自らのビームサーベルを引き抜いてその切先を突き出した。
「ならばその狙いは成功だ。決着をつけさせてもらおう……」
「いいね……力不足で申し訳ないが、今は俺を見てもらう。ハイライトの向こう側、期待してるぞ!」
武装もエネルギーもほとんど残っていない。
しかし負けられない戦いがここにあった。