転生したらスライムだった件 ■■の魔王   作:灰ノ愚者

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みなさんお久しぶりです。灰ノ愚者です‼︎


映画第二弾『蒼海の涙編』の予告が発表されました‼︎


今回は九月に入ってからなんとかすぐに『最新話』
を無事に更新をすることができました‼︎


今回は『11528文字』までの膨大な量を頑張って
書きましたが豆腐のようなクソナメクジメンタルの
自分はきちんと面白く書けているのかとても心配に
なります……(汗)


【お気に入り】や【しおり】、【投票】そして
【感想】などいただければ豆腐のようなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎


面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。


最後まで読んでいただければありがたいです‼︎


暴風大妖渦(カリュブディス)

 

馴染みとなった会議室にて。

 

 

トライアは『思念伝達』により、姉妹達と交新中

である。

 

 

ガビルを連れてソウエイもきており、全員が会議室

に集まっていた。ベスターもガビルについてきている

ので、いざとなったらガゼル王への連絡する役目も

頼めそうだ。

 

 

飛空戦力と聞いて、真っ先に頭の中に思い浮かべた

のが天翔騎士団(ペガサスナイツ)だった。全員がAランク相当の騎士

で構成されているので、もしも協力を願えるのなら、

これ程頼もしい存在はいないだろう。

 

 

ガビルやガビル配下の戦士団も空を飛べるのだが、

彼等の強さはB+ランク。格上を相手にするのは危険

が大きい。出来るならこちらに被害が出ないような、

確実に勝てる対策を考えたいと思っていた。

 

 

「こちらに向かっている空泳巨大鮫(メガロドン)は一体、何に受肉したんですか? それと数は何匹いるんですか?」

 

 

俺がそう考えているとロムルス君がトライアさんに

質問していた。

 

 

「は、はい。召喚されたメガロドンですが、何故か

下位龍族(レッサードラゴン)の死骸に受肉した模様。二十メートル級と

いう、今まで確認されないレベルで顕在化している

ようです。その数は十三匹。姉上の推定なのですが、

個々の能力はAランクに到達をしていると思われる

そうです──」

 

 

「なるほど…… 下位龍族(レッサードラゴン)の死骸に受肉をしてAランク

に到達をしたのが十三匹ですか……」

 

 

「「「……」」」

 

 

ロムルス君がそう言う中、俺達一同は言葉を

失っていた。

 

 

魔王並みの化物一体と、Aランクの魔物が十三匹?

それは一体なんの冗談なんですか、と聞きたい気分

である。

 

 

「どうしますリムル様?」

 

 

ベニマルが聞いてきた。

 

 

俺が聞きたいよ、全く……。

 

 

 

とはいえ、これでも俺が盟主なんだし、決定するのは

俺の役目なのだ。

 

 

それに、悩んでいても答えは一つ。

 

 

「どうするって、そりゃあ、倒すしかないだろ?」

 

 

嫌々ながらも、俺は答えを口にした。

 

 

「フッ、聞くまでもありませんでしたね。それでは

準備致します」

 

 

「そうですな、それしかないでしょうな」

 

 

「当然です! リムル様の敵ではありません」

 

 

俺の答えを聞いた途端、皆は一斉に動き始めた。

相変わらず、こういう事には迷いのない連中だった。

誰一人誰一人異を唱えることなく、自分のその役割を

探して行動に移っていた。

 

 

その様子を見て、フューズなどは泡を食っている。

 

 

「ちょ、そんな簡単に⁉︎ わかってるんですか?

相手は魔王並みの──」

 

 

「だけどフューズ君。俺達が時間稼ぎをしたとして、

ブルムンド王国からの応援は期待出来ないだろう?」

 

 

「いや、それはそうですが……」

 

 

「まあ負けるつもりはないんだが、万が一の場合は

住民の受け入れについて検討してみてくれよ」

 

 

「いや、負けるつもりはないって……、ドアイアド

でさえ足止めすら出来ない化物ですよ⁉︎ そんな暢気

な事を言っている場合ではなく、国家を超えて協力を

し合う必要がある大問題じゃないですか‼︎」

 

 

別に俺達は暢気な訳ではなく、これでもかなり焦って

いるのだ。だからこそ、ベニマル達は慌しく準備に

入ったのだし、ガビルも配下の戦士団を呼びに走って

いる。

 

 

ハクロウはゴブタ達に連絡して、狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)を集合

をさせている。個々がB+ランクであっても、百騎が

個となる事でメガロドンの一、二匹は食い殺すと豪語

していた。

 

 

格上との実戦を経験する良い機会だ、と嬉しそう

ですらあったのにはドン引きだったけど……。

 

 

リグルドは町の主要な者を集めて状況説明を行い、

リグルに命じて避難誘導を行わせている。

 

 

上空から目立つと的になるので、皆を森の中へと避難

させるだろう。

 

 

こうした事を、気負うでもなく皆が冷静に実行をして

いる。それは悲しい事に、かなりのその頻度で大問題

が起こるから慣れっこになっているという側面もある

んだけどね。

 

 

そうした全体の動きを知らないフューズが、俺達に

危機感がないと思ったのも仕方ないのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミリムはシオンに連れられて、風呂に入りに行った。

 

 

敵が攻めてくるからといって、ミリムが気にする事は

ないのだ。しかし、そんなミリムの普段通りの行動の

お陰で、皆が浮きつく事がなくなり大助かりである。

 

 

結局、フューズとカバル達三人、そしてロムルス君と

ウツロさんだけがその場に残った。

 

 

あの二人がこの会議室に残って話を聞いてくれる

のならば俺としては助かるしそれに越した事はない。

 

 

良い機会なので、ロムルス君とウツロさんに警戒を

しながら少し話をする事にする。

 

 

「安心しろとは言わないけどさ、こちらも全力は

尽くすつもりだよ。ベスターに頼んでガゼルにも

連絡をしてもらってるから、応援が期待出来るし。

まあ、やるだけやってみるさ」

 

 

という俺の言葉にも、浮かない顔をしたままの

フューズ。色々な疑問や不安、そうした様々な

思いを上手く言葉に出来ない様子である。

 

 

俺は慌てず、フューズが落ち着くのを待った。

 

 

「──逃げないのですか?」

 

 

少しの逡巡の後、フューズは思い詰めたような顔で

俺に聞いてきた。

 

 

その真剣な顔を見た以上、真面目に答えようと思う。

 

 

「逃げてどうする? 俺がこの国で一番強い。

俺が負けなら、皆にはすぐに逃げるように言って

いるけどな。だけど、一回ぶつかって負けたからと

言って、俺は諦めるつもりはない。絶対に勝てそうも

ないなら直ぐに逃げて次の策を考えるけど、もしも

そうじゃないなら正面から自分の目で強さを確かめる

べきだろう?」

 

 

そうじゃなければ対策も立てられないし、一番強い

俺が負けない限り、皆も逃げないんだよ──という

言葉は飲み込んだ。ちょっと恥ずかしかったからだ。

 

 

負けてみせるのも主としての勤めだ、などと格好が

悪くて言えたものではない。だから俺は、なるべく

なら負けないように努力するし、実際に負けるまでは

皆の信頼に応えるように強い主を演じないといけない

のである

 

 

俺が負けたら直ぐに逃げるように常々言い聞かせて

いるから、負けた後の事は心配ないだろうしな。

 

 

 

「──なるほど、魔物の主、そうでしたね」

 

 

「まあ、王を失ったら終わりの国とは、その辺りが

違うんだよな」

 

 

俺の相槌に頷くフューズ。どうやら納得してくれた

ようである。

 

 

「しかし、あれですな。リムル殿は、まるで我々人間

のような考え方をされるのですね。とても魔物とは

思えませんよ。それに、スライムが一番強いという

のも、なんだか不思議な感じです」

 

 

そうしてフューズは、苦笑しながらそう言った。

 

 

そう言われてみれば、そうかもしれない。俺は元々

人間なので自分では当然だと思っているが、フューズ

などからすれば、魔物が人と同じような思考をすると

いうだけで違和感があるものなのだろう。

 

 

 

それに──

 

 

 

俺はカバル達に黙っていた事がある。そう、シズさん

の結末について、まだ話をしていなかったのだ。

 

 

言い出しにくい話題だったから、聞かれるまで黙って

いるつもりだった。

 

 

──だが、告げるなら今が好機だろう。

 

 

「うーん、そうかもな。信じられないかも知れない

けど、実は俺元人間なんだよ。シズさんの事は知って

はいるだろ? 俺は多分、あの人と同じ”異世界人”

だったんだ。まあ向こうで死んで、こっちで魔物(スライム)

生まれ変わったんだけどね。ついでに今言って

おくけど──」

 

 

 

そう言って、俺はエクストラスキル『万能変化(ばんのうへんげ)』で

人の姿になる。

 

 

「なんと!」

 

 

フューズは驚きに目を丸くし、隣で静かにしていた

ロムルス君とウツロさん以外のカバル達も驚愕して

声も出ないようだ。

 

 

 

そんな中、最初に気付いたのはエレンだった。

 

 

「あれぇ、良く見ると……小さいシズさん?」

 

 

と、恐る恐るという感じに聞いてきたのだ。

 

 

「いやいやいや、何を言ってるんだエレン?」

 

 

「シズさんは老婆だったんでやすよ? こんなに

可愛くはなかったでやんす」

 

 

「………」

 

 

シズは自分と同じ姿をしているリムルの姿を見て

黙っている中、カバルとギドは見た目で否定して

きたが、それでもエレンは言い募る。

 

 

「間違いないですよぅ! だって、私みたんですぅ。

あの時の、仮面の下の素顔を──」

 

 

そうか、見てたのか。あの一瞬の時間、俺はともかく

エレン達には見えなかっただろうとそう思っていた

のだが……。

 

 

だが、好都合だ。どちらにせよ、今から説明をする

つもりだったのだし。

 

 

俺は懐から仮面を取り出し、机の上に置いた。

 

 

「そ、それは……」

 

 

「それは、シズさんの仮面ですね?」

 

 

シズは自分が託した仮面を見て言葉を発してカバル達

も気になるのか、仮面と俺を交互に見ている。

 

 

「ああ。別に隠していた訳じゃないんだけど、

変に誤解をされるのも困ると思ってこの姿には

ならなかったんだ。エレンが言う通り、この姿は

シズさんから受け継いだものだからな」

 

 

「──受け継いだ?」

 

 

「ああ。喰ったんだよ、シズさんを──」

 

 

シズは顔を下に俯かせてフューズとカバル達三人は

驚いた顔をしているが、誰一人として激昂する者は

いなかった。皆が冷静なまま、俺の次の言葉を待って

いる。

 

 

嬉しい事に、俺の事を信じてくれていた。

 

 

「シズさんは俺と同郷で、後の事を俺に託して

逝ったよ。だから──シズさんの意思を受け継ぐ証

として、この姿を得た。だからさ、シズさんの姿で

俺が格好悪い真似は出来ないだろ?」

 

 

そう静かに告げる。

 

 

半分は本音で、半分は自分自身を騙す為の言い訳だ。

 

 

そして、俺の事を疑うなら仕方ないと思いながら、

フューズに目を向けた。

 

 

「──聞かせて、もらえますか?」

 

 

フューズは疑うでもなく、静かに俺に聞いてきた。

 

 

だから俺は、シズさんの最後と、俺が生まれ変わった

事情を全て話して聞かせたのである。

 

 

「なるほど……そういう事情でしたか……」

 

 

フューズはそう呟いた。

 

 

ひょっとしてフューズがこの町に長々と滞在をして

いたのは、シズさんの事を聞きたかったなのかも

知れない。だが、俺と同じく、それを切り出す

タイミングが掴めなかったのだろう。

 

 

「私は──ッ‼︎」

 

 

「リムルの旦那、俺は信じるぜ」

 

 

「あっしも信じてやすよ」

 

 

「私だってぇ! でも、そっかぁ……。シズさん、

どうしても願いを叶えようとしたんだ……。そして、

リムルさんはそんなシズさんに託された願いを叶える

つもりなのぉ?」

 

 

「………」

 

 

ウツロさんは何かを言おうとしていたみたいだが、

カバル達の言葉と重なり遮られてしまったせいか

そのまま何も言わなくなってしまった。

 

 

そして思ったよりも鋭い事をエレンが聞いてきた。

だが、それに対する答えは誤魔化す必要もない。

 

 

「ああ。それが約束だからな。シズさんの心を縛る

想いは、俺が晴らすさ。ま、会ってみてからの話

だが、魔王レオンは俺の獲物だよ」

 

 

「……っ」

 

 

俺がそう宣言して言うとどうしてかは分からないが

ウツロさんは両手を拳にして俯きながらも力強く

握っていた。

 

 

「そっかぁ……。やっぱりリムルさんは信じられる

人だよ!」

 

 

エレンはそう言って、満面の笑みを浮かべていた

のだった。

 

 

 

で、男達三人はというと──

 

 

 

「はあ? 魔王レオン⁉︎」

 

 

「無茶言いますね、リムルの旦那は……。そりゃあ

あの魔王レオンに比べれば、カリュブディスの方が

なんぼか楽……」

 

 

「いやいやいや、そんな大物を獲物とか言っちゃ

まずいですって! あっしは知りませんぜ?」

 

 

などと、見苦しい程に動揺していた。

 

 

まあいいけどね、少しはエレンを見習って欲しい

ものである。

 

 

だがまあ、本音を話した甲斐あって、フューズと

カバル達三人も俺を信用する気になったようだ。

 

 

今回の戦いに参加すると言ったが、それは断る。

俺達が負けた場合、即座に対策を取ってもらう必要

があるからだ。

 

 

──しかし、今度は暴風大妖渦(カリュブディス)か……。

 

 

ロムルス君やウツロさんの件があるのにと考えながら

俺はこの先に待ち受ける戦いを思い、少しだけ憂鬱に

なったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが始まろうとしていた。

 

 

場所はドワーフ王国方面へ伸びる街道上。武装国家

ドワルゴンと魔国連邦の首都を結ぶ中間地点、整備

された道路の終点辺りである。

 

 

その場にて、道路拡幅工事中だったゲルド達と

合流し、時が過ぎるのを待っていた。

 

 

そろそろ 暴風大妖渦(カリュブディス)の姿が見える頃なのだ。

 

 

ベスターからガゼル王に連絡してもらい、詳しい事情

を話している。盟約を持ち出すまでもなく、ガゼル王

は騎士団の派兵を約束してくれた。

 

 

「フンッ。弟弟子が困っているのなら、助けるのは

当然だろう?」

 

 

とは、その時のガゼル王の言葉である。

 

 

余程に兄弟子風を吹かせたいのだろうか?

それでいいのかドワーフ王国と思いもしたが、

助けてくれるのだから文句はない。

 

 

早急に戦う準備が整ったその百騎は既に先発し、

カリュブディスの後方を討つ予定である。俺達と狭撃

する計画なのだが、今回は大いに頼らせてもらう事に

なりそうだ。

 

 

残りの四百騎は、第一次討伐作戦が失敗に終わった

際に備えて、準備を行う手筈となっていた。

 

 

今回の作戦が成功すればいいが、失敗した時の事も

考えなければならない。ガゼル王は決して愚王では

ないので、今回の作戦にてしっかりと情報収集も

行うつもりなのだろう。

 

 

俺からすれば、今回で倒してしまう予定なので問題

はなかった。その後の事を気にしなくてもいいので、

逆に安心出来る程である。

 

 

だから後は、作戦開始の時を待つばかりなのだ。

 

 

そんな待ち時間を上手く利用して、俺達は合流した

トレイニーさんからカリュブディスについての説明

を受けていた。

 

 

滅茶苦茶強い魔物という程度の認識だったのだが、

話を聞くともっとヤバイ奴らしい。誇張ではなく、

魔王に相当する強さがあるという。

 

 

厄災級魔物(カラミティモンスター)という呼称から推定される厄災級(カラミティ)の危険度

なのかというとそうではない。フューズが言っていた

のは本当の事だったらしく、災禍級(ディザスター)に相当するらしい

のだ。

 

 

じゃあそう呼称しろよと思ったのだが、これにも

理由があるとの事。

 

 

本来、災禍級(ディザスター)というのが魔王を指す呼称らしく、

魔王ではないカリュブディスには適用はされない

のだそうだ。

 

 

では何故、カリュブディスは魔王に認定

されないのか?

 

 

この理由も簡単で、カリュブディスはただ暴れる

だけの魔物だからである。群れたり人間を滅ぼそう

としたりといった、知恵ある行動を取らないそうだ。

というか、知恵はないのではないかと推測されている

らしい。厄介極まりない魔物ではあるが、その一点

だけが魔王には劣るとされる由縁であった。

 

 

そしてこのカリュブディスだが、精神生命体なの

だとか。肉体を滅ぼしても、どこか新しい肉体を

手に入れて復活するらしい。どこかで聞いたような

話だった。

 

 

というか、どう考えてもヴェルドラさんと同じような

特性を持っているように思える。

 

 

「このカリュブディスですが、遥かなる昔に生まれ、

何度も死と再生を繰り返しております。凶暴なる天空

の支配者。改めて流石は、森の支配者にして守護者

たる”暴風竜”ヴェルドラ様の申し子と言うべきなの

でしょう──」

 

 

は? 今、聞き捨てならぬ事をトレイニーさんが

言いましたよね?

 

 

ヴェルドラの申し子? やはり、俺の考えや予想は

正しいのか⁉︎

 

 

「ちょっと待って。ヴェルドラの申し子って、

どういう事だ?」

 

 

慌てて問い詰めるとロムルス君はなんでもないような

声で「暴風大妖渦(カリュブディス)は、”暴風竜”ヴェルドラの体内から

漏れ出た魔素溜まりから発生した魔物なんですよ」と

軽く説明してくれた。

 

 

という事は、俺と同じ。人間の言う所の兄弟みたいな

もの、という事だろうか。

 

 

そう考えると、カリュブディスが真っ直ぐに俺達を

目指してくる理由にも思い当たるというものである。

つまりヴェルドラに所縁ある俺を狙ってこちらに

向かっているのだろう。

 

 

ひょっとすると、俺の中にヴェルドラが”居る”事に

気付いているのかも……。

 

 

考え過ぎかも知れないが、一応用心はしておいた方が

良さそうだ。

 

 

トレイニーさんとロムルス君の説明を聞き終え、

俺達はもう一度作戦を確認した。

 

 

カリュブディスの能力で一番に警戒すべきなのは、

固有能力『魔力妨害』である。この能力により、

カリュブディスを基点とする半径三百メートルの

範囲内は、魔素に干渉しているからだ。

 

 

 

「私が操る風系統の上位魔法すら、カリュブディス

には通用しませんでした。『魔力妨害』の影響下

では、魔法の効果が低下するのだと推測されます。

また何より厄介なのが飛行魔法の効果を打ち消される

事でしょう。更に逆にこちらが接近しようとすれば、

魔法効果がなくなり墜落してしまうのです。高さと

いう優位性を奪われるので、非常に戦いにくい相手

ですね」

 

 

というのが、実際に戦ったトレイニーさんの感想

なのた。

 

 

だからこそ、魔法に頼らぬ飛空戦力を用意する必要

があるという事だ。

 

 

翼があっても、魔法と一緒で効果が打ち消される

のでは?

 

 

《解。飛行原理が異なります。天馬(ペガサス)龍人族(ドラゴニュート)といった

魔物達の翼には、重力を操る力が備わっています。

これにより重量を軽くさせ、力の流れを変えて推進力

を生み出しています。この飛行方法には、魔素の有無

は関係しないのです》

 

 

俺の疑問に、『大賢者』が素早く回答してくれた。

 

 

という事は、俺の翼も影響を受けないという事だ。

考えてみれば、こんな翼だけで飛べるのは不思議だと

思ってはいたのだ。筋力で飛んでいる訳ではなかった

のである。

 

 

そりゃあ、バタバタとその翼をはためかせて

いなかったし、今更の疑問なんだけどね。

 

 

となると、気になる点があった。

 

 

「なるほど、飛行魔法は魔素の反発を利用している

からな。となると、ベニマル達の”飛空法”も駄目

なんじゃないか?」

 

 

”飛空法”とは〈気闘法〉の一種で妖気(オーラ)を用いる技術(アーツ)

である。似たような仕組みで飛行魔法と同じような

効果を出せるのだが、原理が同じである以上

『魔力妨害』の影響を受けそうだ。

 

 

「そうですね、ご明察の通りでしょう。

流石はリムル様です」

 

 

褒められたのに、嬉しくない答えである。

 

 

「チッ、マジかよ。厄介な野郎だな。となると、

範囲系攻撃で焼き尽くすのも難しいか……」

 

 

「そうですねお兄様。魔素を媒体とする攻撃が

通用しないとなると、攻撃手段が非常に限られて

しまいます」

 

 

俺とは違い、ベニマル達は前向きに戦い方を

検討し始めた。

 

 

「それなら彼女に協力してもらった方が暴風大妖渦(カリュブディス)

確実に仕留められると思いますが?」

 

 

ロムルス君が俺にそう言うが一体、何を言っている

のか理解出来なかった。

 

 

と、そんな時である。

 

 

「ふっふっふっ。その通りなのだ。ワタシの事を

忘れてはいないか? ワタシが誰なのか覚えて

いないとは言わせぬのだ! デカイだけの魚なんて、

このワタシの敵ではない。軽くひねってやるのだ!」

 

 

いつの間にか戦闘衣装に着替えたミリムが、小さな胸

を張って大威張りでそう言い放ったのだ。

 

 

その手があったか! と、俺はその話に飛びつこう

とした。

 

 

それなのに、

 

 

「そのような訳には参りません。リムル様が困って

しまいますよ。私達の町の問題ですので」

 

 

とシオンが勝手に断りを入れる。

 

 

なんでだよ、なんで俺が困るんだよ?

 

 

と俺がそう思っていた途端、

 

 

「そうですよ。友達だからと、なんでも頼ろうと

するのは間違いです。リムル様がどうしても困った

その時は是非ともお力添えをお願い申し上げます」

 

 

シュナもシオンに続いてミリムにそう言ってくる。

 

 

俺は今、滅茶苦茶困っているんですけど……。

 

 

という本音など、言える訳もない。ロムルス君や

ウツロさん以外の他の者達もうなずいているので、

皆がこの町を自分達の力で守ろうとそう考えている

のだろう。そんな中で、俺が真っ先にミリムを頼る

訳にはいかないのだ。

 

 

「は、はは。そうだぞ、ミリム。まあ、俺を信じろ」

 

 

そう言って、泣く泣くお断りする。

 

 

自分でも自分の事を信じてないのに、良く言うよ

全く、と思ったのは秘密だ。

 

 

「な、なんだとう⁉︎ せっかくワタシの見せ場が

やってきた、と思ったのに……」

 

 

ミリムはガックリと項垂れていた。

 

 

せっかく着替えてやる気になっていたようで、

断られたショックが大きいのだろう。

 

 

泣きそうな顔で俺の方をチラチラと見ているが、

こればかりはどうしようもないのだ。俺としても

非常に残念なのだから。

 

 

俺がそう考えていると視線を感じて視線を向けて

みるとロムルス君がこちらに向けておりその時の

ロムルスの表情はローブで見えなかったが呆れて

いるように見えた。

 

 

おい‼︎ 止めろ‼︎ 自分でも分かっているんだ‼︎

だからその哀れむような視線は止めてくれ‼︎

その視線はとてもじゃないがすっごい辛い‼︎

 

 

内心でそう叫びながらもやはり俺達がカリュブディス

の相手をする事になったのだった。

 

 

「リムルさん……少し良いかな?」

 

 

「ウツロさん?」

 

 

俺がそう考えているとウツロさんが俺に声を掛けて

話しかけてきた。

 

 

 

暴風大妖渦(カリュブディス)の討伐。私も是非、参加をさせて

くれないかな?」

 

 

と俺に暴風大妖渦(カリュブディス)討伐に参加させてほしいと言って

志願してきたのだ。

 

 

確かにロムルス君の助手であり弟子であるウツロさん

が参加してくれるのならかなりの戦力として見込める

だろう。

 

 

だが、

 

 

 

「ウツロさんの申し出は有り難いですが、町の住民達

と一緒に避難してください。必ず暴風大妖渦(カリュブディス)を討伐

しますので」

 

 

 

俺はウツロさんの提案を断った。

 

 

 

なぜなら、正体不明の彼女を自由にさせるのはこの町

の盟主となった俺としてはそれを許す訳にはいかない

のだ。

 

 

《是。それが最善の選択です》

 

 

『大賢者』も俺と同じ意見だったようで俺としては

相棒のお墨付きのアドバイスを聞いて安心する。

 

 

それにミリムにあんな宣言をしたのにウツロさんの

意見を採用なんかしたらミリムが何をしでかすのか

予想がつかないし示しがつかなくなってしまう。

 

 

「ど、どうして……ッ‼︎」

 

 

するとウツロさんは慌てた大きな声を出して早歩き

して俺の元へと近づいてくる。

 

 

「私なら、今の私なら──「はい、そこまで」」

 

 

ウツロさんが俺に何かを言おうとしていたが背後に

いたロムルス君がウツロさんの肩に軽く右手をポンッ

と置いていた。

 

 

「勝手な事はしたらダメだって前にも言ったと

思うのだけど?」

 

 

グレイははそう言ってシズに問いかける。

 

 

グレイはシズの考えている事は分かっていた。

 

 

恐らく以前よりも成長した自分ならばリムルの町に

迫っている暴風大妖渦(カリュブディス)や大量の空泳巨大鮫(メガロドン)などを倒す

のに協力しようと考えているのだろう。

 

 

「それに、ここはリムル様の町だ。ここは素直に

従った方が良い」

 

 

だが、ここでシズに勝手な行動をさせる訳には

いかない。もしこのまま放置をしてしまえばシズは

仮面を外してリムルに自分自身の正体を明かにして

いたかもしれないとそう察知したからだ。

 

 

「ウツロさんももしも俺達が負けた場合、即座に対策

を取ってもらおうと思っているから」

 

 

「………」

 

 

リムルがシズにそう言うとシズは何も言わなくなって

しまった。

 

 

「分かりました。我々もリムル様のそのご指示に

従いましょう」

 

 

グレイは明るい声でリムルの提案に素直に頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから議論したが、問題なのは暴風大妖渦(カリュブディス)の眷属

である空泳巨大鮫(メガロドン)にも固有能力の『魔力妨害』が

備わっている点だ。

 

 

遠距離攻撃は大半が通用しない上、接近しようにも

飛行が妨害されてしまうとなると、実際問題として

カリュブディスやメガロドンを倒す手段は少ない。

 

 

結局は、一度戦ってみようという話に落ち着いた。

議論していても仕方ないので、通用しそうな攻撃を

試す事になったのである。

 

 

そうこうしている内に、俺の『魔力感知』が接近する

十四の魔物を感知する。そして直ぐに、直接視認が

出来るようになった。

 

 

遠距離から見ても、その異様な姿は圧巻であった。

 

 

体長二十メートルを越える巨大な鮫が、大空を悠々

と泳いでいる。その体長は、硬質なドラゴンの鱗に

守られており、下手な攻撃など弾き返してしまう

だろう。姿形は鮫に似ているのだが、本質は全く

違う化物なのだ。

 

 

そんな中、もっと目に付く異様な化物がいる。

 

 

十三匹の鮫を従えた、巨大な一つ目の竜。

 

 

その大きさは飛び抜けており、メガロドンが小さく

見える程だ。比較するなら、メガロドンの三倍弱。

全長五十メートルを超える体長を誇っていた。

 

 

鮫のように尖ったその頭の下部に、大きな目玉が

付いている。その上部の硬質な角のように固まって

おり、岩でもなんでも貫いて砕きそうであった。

 

 

飾りのような手足が、鮫の胴体に付着しているような

形状。しかし、その背に生えた大小二対の翼だけは、

ヴェルドラのものと酷似していた。

 

 

カリュブディスは、不気味な美しさを感じさせる魔物

だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

戦端が開かれた。

 

 

天翔騎士団(ペガサスナイツ)は、現在こちらに急行している。

 

 

トレイニーさんの妹であるドリスが迎えに行って

おり、元素魔法:風の防護幕(ウインドプロテクト)と軍団魔法:軍行増強(アーミームーヴ)

を重ね掛けしてペガサスの飛翔速度が上昇している

そうだ。

 

 

予定よりも早く到着すると『思念伝達』が

届いていた。

 

 

俺達は、先ずは一戦を交える事にした。天翔騎士団(ペガサスナイツ)

が来て混戦になったら、大規模魔法は使えない。

なので、接触と同時に仕掛ける段取りになっていた。

 

 

「喰らえ! ”黒炎獄(ヘルフレア)”‼︎」

 

 

戦制攻撃に、最大最強の広範囲焼滅攻撃を選択する

ベニマル。出会い頭に最強技というのは、ある種の

浪漫なのだが……。

 

 

俺が要らぬ事を考えたからだろうか、半径百メートル

にも及ぶ黒い半球形(ドーム)うちに閉じ込める事が出来たのは

カリュブディスと一匹のメガロドンのみ。

 

 

いや、考えてみれば──でか過ぎるのだ。

五十メートルの巨大だと、傍に泳いでいるように

見えてもかなりの距離がある。直径二百メートル

はかなりのサイズなのだが、敵の巨大からすれば

狭い範囲となるのだった。

 

 

 

そして、結果は……。

 

 

 

「嘘だろ⁉︎ 全力の一撃だったんだぞ……」

 

 

ベニマルのウンザリしたような呟きが聞こえた。

 

 

悠然と泳ぐカリュブディス。

 

 

お供のメガロドンは身体の大半を燃焼され尽くして

墜落したというのに、本命のカリュブディスは平然と

したものだった。全身を覆う楯鱗が抜け落ちて新しく

生え変わっていたが、それだけである。その巨大の

防御力と、固有能力『魔力妨害』での魔力耐性に

よって、黒炎獄(ヘルフレア)への抵抗(レジスト)に成功したのだ。

 

 

 

いや、メガロドンでさえ焼滅しなかったのだから、

固有能力『魔力妨害』はかなりの効能を持つよう

である。

 

 

予想していたのでショックは受けなかったが、

これは面倒な相手だなと再認識をさせられた。

だがしかし、誰一人として狼狽える者はいない。

 

 

「それじゃあ予定通り、分散させて各個撃破を

していくか」

 

 

こうなるだろうという前提立てた計画に従い、

俺達は行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴風大妖渦(カリュブディス)との戦闘か……」

 

 

ロムルスは誰もいない場所でそう呟いていた。

 

 

「グレイ。やっぱり、私達も参加した方が……‼︎」

 

 

シズは慌てた表情でリムル達が今戦おうとしている

暴風大妖渦(カリュブディス)の戦闘に自分達も参加するべきではと

グレイに言っていた。

 

 

「シズ、あの時、約束したはずだ。彼女の言っていた

最悪(バッドエンド)の未来を回避する』ために協力をすると」

 

 

「で、でも……ッ‼︎」

 

 

「仮にリムル=テンペストが暴風大妖渦(カリュブディス)にやられそうになったとしてもミリムがいるから負ける事はない

はずだよ」

 

 

グレイはシズにそう言って落ち着かせながらも

 

 

「それに心配しなくても大丈夫だよ」

 

 

 

模倣の化身(イミテーション・アバター)

 

 

 

グレイがそう言うと灰色の霧が現れてグレイとシズの

目の前に集まっていく。

 

 

 

そしてその灰色の霧が少しずつ人の形になっていく。

 

 

「これで仕上げだ」

 

 

グレイがそう言うと人の形をした灰色の霧は徐々に

実体化していく。

 

 

「これは……」

 

 

シズは目の前で起きた事に驚いていた。

 

 

なぜなら、

 

 

 

「もう一人のグレイ……?」

 

 

そう。あの灰色の霧から作られ目の前に立っている

のはシズの隣にいる魔王グレイだったからである。

 

 

模倣の化身(イミテーション・アバター)』は『並列存在』とは違って劣って

しまうが難点なのだが、ある程度のエネルギー量を

調整して分け与えているのでリムル達や暴風大妖渦(カリュブディス)

程度の相手ならばやられて遅れを取るなんて事はないだろう。

 

 

「さてと……」

 

 

 

グレイはそう言って懐から『ある物』を取り出して『模倣の化身(イミテーション・アバター)』で今作り上げた自分とそっくりな

分身(人形)に持たせる。

 

 

「僕は僕のやるべき事をやらせてもらうとするか」

 

 

グレイはそう言って分身(人形)に『ある指示』を出して

その後、誰にも見られないようにシズの手を引いて

分身(人形)と別れた。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎


これからも皆さんが『応援』をしていただければ
『更新』の頻度が更に上がるそんな可能性がある
かもしれません‼︎


自分的にはかなり難しかった件について……(汗)


『他の投稿作品』もあるので是非ともそちらも
楽しんで見ていただければありがたいです‼︎




【報告】

『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』
『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』の『最新話』
を更新します。




それと、『ロクでなし魔術講師と白き大罪の魔術師』
書き直し(修正)する予定ですので、是非ともよろしく
お願いします。
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