転生したらスライムだった件 ■■の魔王   作:灰ノ愚者

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今回は十一月に入ってからなんとかすぐに『最新話』
を無事に更新をすることができました‼︎


小説『転生したらスライムだった件23巻』11月29日
に『最終巻』の発売が決定しました。担当作者である
【伏瀬先生】と【みっつばー先生】。本当に書籍販売
おめでとうございます‼︎


今回は『11416文字』まで頑張って書きましたが、
豆腐のようなクソナメクジメンタルの自分はきちんと
面白く書けているのかとても心配になります……(汗)


【お気に入り】や【しおり】、【投票】そして
【感想】などいただければ豆腐のようなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎


面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。


最後まで読んでいただければありがたいです‼︎


反省とケジメ

「説明してもらえますでしょうか?」

 

 

というのが、天翔騎士団長ドルフの第一声であった。

 

 

あ、うん。そうだよね。説明が欲しいよね。

 

 

「いや、その……だな。実は、この少女は魔王ミリム

といって、ね?」

 

 

と説明を試みる。

 

 

「ははは、リムル殿は冗談がお好きなようだ。

あのような高出力の魔法兵器を所持していたのなら、

最初にそう申して欲しかったですぞ! この件などは

後程、正式に説明を求めさせて頂きます」

 

 

目が笑っていなかった。

 

 

厳しい表情でそう言い募るドルフ。

 

 

もっともな話なので、俺としても言い訳のしよう

がない。

 

 

「とはいえ、我々人類にとっても災禍となり得る

カリュブディスを始末を出来たのは誠に堯堯でした。

私も王への報告がありますれば、今回はこれにて

失礼致します」

 

 

そして、少し表情を緩めて俺に一礼した。

 

 

「今回の非常に助かりました。ガゼル王には、

俺からも説明する事にしましょう」

 

 

俺も礼を返す。

 

 

魔王級の化物相手に、臆さずに挑んでくれたのだ。

彼等の助力がなければ、フォビオの素体とされている

事にも気付く事はなかっただろう。

 

 

最悪はミリムを頼る事になっただろうけど、その場合

は一切手加減せずに全てを消し去っていたはずだ。

俺もそれを止めたりなどはしなかっただろうし、

間違いない。

 

 

あの時間があったからこそ、魔王カリオンの三獣士の

部下であるフォビオとカリュブディスの僅かな乖離に

気付けたのである。

 

 

「礼ならば、ガゼル王に。それと──これは独り言

なのですが──」

 

 

そう一旦前置きしてから、ドルフは声を潜めて

俺に囁いた。

 

 

「王に報告して頂けるのならば、是非ともドワルゴン

までお越し願えませんか? 前回はあのように残念な

形となりましたし、王もその件については気にして

おいでです。国外追放や滞在拒否といった処置は既に

撤回致しておりますれば──」

 

 

そう言葉を濁し、ドワーフ王国への招待を口にした。

 

 

これはドルフの意思というよりも、ガゼル王の気持ち

を慮っての事だろう。

 

 

「わかった。それでは今回の件の報告も兼ねて

そちらに出向きたいと思うので、正式に招待して

欲しいガゼル王にお伝え願いたい」

 

 

「おお! 我が王もお喜び下さるでしょう。

そうそう、カイジンやガルム達の国外追放措置も

既に解除しておりますので。なんてしたら、奴等を

同行させてもらっても構いませんので」

 

 

俺が出向く件を了承すると、嬉しそうにそう伝えて

くれた。カイジン達も里帰りをしたいだろうし、

連れて行くのもいいかも知れない。

 

 

ドルフとしては、正にそれが狙いで今伝えてくれた

のだろうし。生真面目そうだが、中々気配りの出来る

人物なのだろう。

 

 

後日、正式に国賓待遇での招待状を用意してもらえる

事になった。

 

 

そういった遣り取り手短に済ませると、ドルフ達は

慌ただしく帰国の途についたのである。

 

 

彼等に被害が出なくて本当に良かったと、俺は心から

そう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

危機が去ったので、スライムの姿に戻る。

 

 

そして俺達も帰ろうとしたその時──

 

 

「クッ、ここは……何処だ? 俺は、俺は一体……」

 

 

混乱したような呟き声が聞こえた。

 

 

フォビオが目覚めたのだ。

 

 

ベニマルやシオンが警戒しているが、今のフォビオに

戦うだけの力は残っていない。全身の怪我は完治を

しているが、魔力がなくなって尽きている。それに、

カリュブディスは完全に除去したので、今のフォビオ

は単なる上位魔人でしかなくなった。少なくとも、

俺の敵ではないのである。

 

 

「よう、目覚めたか? 自分が何をしたのか、

覚えているか?」

 

 

俺はゆっくりと声をかけた。

 

 

朦朧としていたフォビオの意識が、俺の言葉により

徐々に覚醒する。そして、自分が何をしたのかを

思い出したのだろう、突然俺とミリムの前に飛び出し

土下座した。

 

 

「す、スマン! いや、スミマセンでした! 俺は

ミリム様にとんでもない事を……。また、貴方方も

迷惑をかけてしまったようで──」

 

 

顔を青ざめて、真っ先に謝罪の言葉を口した。

 

 

フォビオというこの魔人は、思った以上に直情型

なのだろう。だとすれば、ここまでの騒動を起こす

というのも不自然に思えるのだが……。

 

 

なんでこんな事を仕出かしたと俺が問いただそうと

した時、トレイニーさんが確信を突くそんな質問を

口にした。

 

 

「貴方は何故……カリュブディスの封印の場所を

知っていたのですか? 偶然見つけた、などは

言わせませんよ?」

 

 

そう言われればそうだ。

 

 

コイツは誇り高い魔人のようだし、そんな奴がミリム

やロムルスへの復讐を考えたとしても自分自身の力で

なんとかしようと考えるそんな脳筋タイプに見える。

それなのに、封印されていたカリュブディスを自分の

身に宿してまで無謀に復讐に挑むタイプというのが

不自然だ。

 

 

さっきから気になっていたのは、その点だった。

 

 

「ああ、それは──」

 

 

フォビオは隠し立てする事なく、素直に何があった

のかを話してくれた。

 

 

中庸道化連という仮面を被った怪しげな二人組に、

協力を申し出られたのだ、と。

 

 

「仮面を被った二人組──? 封印の場所は、勇者から

託された我らしか知らぬ場所。あの場所を突き止める

とは、油断出来ぬ者達のようですね……。それに、

仮面、ですか。もしかして、左右対称の人を舐めた

ような仮面を被った人物はいませんでしたか?」

 

 

何やら思い悩むように考え込むトレイニーさん。

 

 

何やら心当たりがあったのか、そんな質問をフォビオ

にぶつける。

 

 

「い、いや。俺の前に現れたのは、涙目の仮面の少女

と、怒った仮面の太った男の二人だけだった。ティア

とフットマンと名乗っていたぜ」

 

 

「ティアにフットマン……。あの胡散くて怪しげな男

ではない、と……」

 

 

どうやら人違いみたいだったな。

 

 

それにしても、謎の仮面を被った魔人、か……。

 

 

あれ、待てよ──?

 

 

「そう言えば、ベニマル達の集落を滅ぼした時に

いたとかいう──」

 

 

「ああ。俺もそれを思い出しましたよ。怒りの表情を

象った仮面を被った太った魔人。間違いなく豚頭族(オーク)

操っていた者の一人です」

 

 

俺がベニマル達と戦う原因となったもなった、仮面の

魔人で間違いなさそうだ。

 

 

「確かに。オレと別行動を取っていた豚頭将軍(オークジェネラル)

先遣隊に、ゲルミュッドが雇った上位魔人が用心棒

として付き添っておりました。その魔人の名前は

”フットマン”です」

 

 

ベニマルの発言を、ゲルドが肯定する。

 

 

 

更に──

 

 

「そう言えば、我輩を助けてくれたラプラス殿も、

ゲルミュッドに雇われた者でしてな……。確か、

”中庸道化連という何でも屋の副会長”だと名乗って

おりました。それに……、トレイニー殿が仰ってた

”左右非対称の人を舐めたような仮面”を被って

おりましたぞ」

 

 

と、ここでガビルが爆弾発言を行う。

 

 

各地で起きた事件、点と点が線で結ばれた瞬間

だった。

 

 

「──なるほど。あの者の名は、ラプラス、

というのですね」

 

 

「──そうか。フットマン、ね。その名、覚えておく

としよう」

 

 

トレイニーさんの目が剣呑な光が宿り、ベニマルが

不敵な笑みを口元に浮かべる。

 

 

トレイニーさんも中庸道化連とやらに関わりがあった

のは意外だが、神出鬼没な彼女だからどこぞで遭遇

でもしたのだろう。

 

 

ベニマル達からしても、フットマンは自身は手出し

していなかったそうだが、それでも故郷が滅んだ

要因の一つである事には変わりない。

 

 

完全なる敵とは断定出来ないものの、なんらかの

因縁が出来たのは確かだろう。

 

 

謎の何でも屋、中庸道化連。

 

 

厄介そうな相手である。

 

 

一応ミリムにも、何か知らないか聞いてみた。

 

 

「むむ? ワタシは中庸道化連など聞いた事は

ないのだ。そのような者共を使って種族間の対立

を仰ぐなど、説明の時には言っていなかったぞ?

そんな面白そうなヤツ等がいるのなら、是非とも

会ってみたかったのだがな」

 

 

どうやらミリムは、何も聞かされていないらしい。

そもそもが、作戦の詳細を知らなかったようである。

 

 

豚頭帝(オークロード)計画の実行を全てを取り仕切り、計画を立てた

のもゲルミュッドだったらしいのだが……。

 

 

大雑把な計画の説明を受けたが、中庸道化連とかいう

何でも屋などを雇ったというそんな話は聞かなかった

そうだ。

 

 

「もしかするとゲルミュッドではなく、クレイマン

のヤツが内緒で何かを企んでいたのかしれないな。

ヤツならば、そういう伝手も持っているだろうしな」

 

 

あっけからんとミリムが言った。

 

 

「クレイマン? 誰だ、それ?」

 

 

「ん? 魔王の一人だぞ? ヤツはそういう企みが

大好きなのだ」

 

 

おいおい、なんでもないように気軽に暴露している

けど、それってどうなの? 疑わしいというだけで、

犯人扱いは出来ないんですけど……。

 

 

ミリムが言うには、クレイマンという魔王ならば

やりかねないという。

 

 

ゲルミュッドが頼りないという理由などではなく、

他の魔王に抜きん出て有利に事を進めようとしてた

のかも、と。

 

 

オークロード計画は三人の魔王によるそんな企みで、

平等に期す為ゲルミュッドに作戦を一任したらしい

のだが……抜け駆けするとしたら魔王クレイマン

だと、ミリムが断言したのだ。

 

 

それについてはコメントしようがないので、頭の片隅

にでも記憶しておく事にしたのだった。

 

 

これで話は全て終わりかと思ったのだが、まだ残って

いたようだ。

 

 

「気になる点が、一つ……。そのラプラスという者、

自分は魔族ではないと言っておりました」

 

 

ミリムから話を聞き終えるなり、トレイニーさんが

俺にそう報告してきたのだ。

 

 

確かにこの世界の魔族とは、人類に敵対する者達の

総称だったハズ。自分で自分の事魔族ではないと

いうのは、人類に敵対をしている訳ではないと

言っているに等しい。

 

 

それが嘘でなければ、だが。

 

 

しかし、別段人間と敵対していないだけなら、

俺のような考えを持つそんな魔人などがいても

不思議ではないし、気にするような事ではないと

思うのだが……。

 

 

いや、待てよ?

 

 

「魔族ではない、そう言ってのか?」

 

 

ふと気になり、トレイニーさんに確認する。

 

 

「はい、リムル様。もしかすると、人間社会にも

協力者がいるのかもしれません」

 

 

やはりそうか、厄介だな。

 

 

それならそれで大問題なのだが……かと言って、

俺達にそれを確かめる術はない。

 

 

証拠がない以上、ここで議論しても何も始まらない。

今後は怪しげな一団に注意する事にして、フォビオ

からの事情聴取終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ある程度の情報が出揃った。

 

 

これらを元に今回の事件を総合して考えると、

一つの事柄が見えてくる。

 

 

この中庸道化連とやらは、対象者に協力するという

風を装い近づくという点だ。自身の手を汚さずに、

彼等にとっての目的を遂行する。

 

 

オークロードの時は、種族間での戦争を目的に。

 

 

今回の場合は、カリュブディスを俺達──あるいは、

ミリムと戦わせる事を目的に。

 

 

どうやらフォビオは、そいつ等に上手く利用された

だけにしか思えない。だとすれば、真の黒幕は別に

いる、という事になる。

 

 

もしかしたら、商人を名乗っているあのロムルス達も

本当は中庸道化連の一員であり、黒幕と繋がっている

可能性が高いのではないかと俺は睨んでいる。

 

 

(ロムルス達は怪しいけど……今はフォビオをどうか

しないとな……)

 

 

リムルはそんな考えを振り払いながら目の前にいる

フォビオへと視線を向ける。

 

 

「お前、利用されたみたいだな。次からはもっと用心

して、騙されないようにしろよ?」

 

 

フォビオに罪がないかと聞かれると微妙だが、真犯人

が別にいるなら処分するのも違う気がした。それに、

これ以上揉め事の種を蒔くのも嫌だしな。

 

 

今後も俺達に迷惑をかけないと誓うなら、釈放しても

問題あるまい。

 

 

「……は? いや、俺は許さないだろう。だが今回の

一件は、俺の一存でした事。魔王カリオン様は関係は

ないんだ。だから、なんとか俺の命一つで許して

欲しい──」

 

 

土下座の姿勢を崩さず、そう言い切るフォビオ。

そんな姿勢なのに、なんだか格好良く見えるのが

不思議だ。

 

 

「いや、別にお前の命も要らないって。

なあ、ミリム?」

 

 

「うむ、当然なのだ! 軽く一発くらい殴ってやろう

かと思っていたが、ワタシも大人になったものだな。

今は全然腹が立っていないから、許してやるぞ!」

 

 

殴るつもりだったんだ……。それで大人になったって

言われても、説得力がないんですけど……。

 

 

まあいい。

 

 

「とまあ、ミリムも許すって言ってるし、あんまり

気にするなよ」

 

 

 

「──しかし、俺が怒りのままに行動した事は……」

 

 

 

「そこだよ。多分さ、その怒りの面のヤツだっけ?

そいつにお前の感情を利用をされて操られたんだよ」

 

 

俺の言葉にハッとするフォビオ。

 

 

「そう言えば……『怒りと憎しみの感情に呼ばれて

やって来た』とか言ってやがった……」

 

 

どうやら思い当たる節があったのだろう、フォビオが

愕然とした表情になった。適当に説得をしようとそう

言ってみたのだが、案外正鵠を射た発言だったよう

である。

 

 

「な? だから気にすんな」

 

 

「そうだぞ。カリオンもそれでいいだろう?」

 

 

ん、カリオン?

 

 

俺の疑問に答えるように、木陰から一人の男が

現れた。

 

 

品の良い衣装を着崩した、野生身のあるそんな男。

短い金髪は逆立っており、その鋭い眼光をますます

きつく見せている。

 

 

「フン、気付いていたのかミリム」

 

 

「当然なのだ」

 

 

だろうな、とその男は軽く返事した。

 

 

ミリム相手にこの気安さ、そしてカリオンという

名前。

 

 

静けさの中に、荒々しい力を感じさせる大男。

大きさはカリュブディスと比べるべくもないのに、

吹き付けるような威圧感は同等以上のそんな力を

感じ取れる。

 

 

そうか── ”魔王”カリオン、なのか。

 

 

カリュブディスは確かに魔王級だったが、本物の魔王

はやはり格が違うのである。

 

 

「よう、俺様は魔王カリオン。そいつを殺さずに

助けてくれた事、礼を言うぜ」

 

 

魔王カリオンは俺を真っ直ぐに見据えると、

そう言ったのだった。

 

 

 

その場に緊張が走った。

 

 

圧倒的なまでの威圧感を前に、俺も言葉が出ない。

魔王とは伊達ではないのだと思い知らされた。

 

 

しかし皆の主としては、このまま気圧されている

場合ではないないのだ。

 

 

「わざわざ自ら出向いて来るとは思わなかったよ。

俺の名前はリムル=テンペスト。この森の魔物達で

作った”魔国連邦(テンペスト)”の盟主だ」

 

 

俺は勇気を振り絞り、堂々と宣言した。

 

 

「フンッ! たかだか一介の魔人が国を興す、だと?

昔ならばいざ知らず、今の世で命知らずな野郎だぜ。

謎の魔人はオークロードに敗れて死んだとそんな報告

を受けたんだが、どうやらその情報は間違いだった

みてーだな。お前が、ゲルミュッドを殺った仮面の

魔人なんだろ?」

 

 

スライムの姿の俺を見て、その結び付けますか。

まあ、それ以外に考えられないだろうけど……。

 

 

ミリムだっているし、カリュブディスとの戦いを

見ていたのなら気付いても当然か。

 

 

「ああ、その通りだ」

 

 

そう言いつつ、俺は人の姿に変化した。

 

 

「で、俺がゲルミュッドを殺ったから、仕返しにでも

来たのか?」

 

 

多分それはないだろうけど、一応聞いてみた。

 

 

俺の言葉に、ニヤリと笑うカリオン。

 

 

「ふはははは! 面白いな、ミリムが入る訳だぜ」

 

 

そう笑いは、その場の緊張を吹き飛ばした。

 

 

一頻り呵呵大笑すると、カリオンはそんな表情を

引き締めた。そして誰もが予想外の行動に出た

のである。

 

 

なんと、自らの非を認めたのだ。

 

 

「悪かったな、俺の部下が暴走しちまったようだ。

俺の監督不行届って事で、一つ許してやって欲しい」

 

 

流石に頭を下げたりはしなかったが、カリオンなりの

謝罪の言葉をくれた。

 

 

それに加え──

 

 

「今回の件、借一つにしておく。何かあれば俺様を

頼ってくれていい」

 

 

とまで言って、最大限の誠意を示してくれたのだ。

 

 

遥かに格上の魔王であるカリオンが、俺のような者に

誠意を見せる。それは魔王カリオンの、底知れぬまで

の懐の深さを示す証左だろう。

 

 

借り、か。そう考えてくれるのならば、頼みたい事

がある。

 

 

「それなら、俺との不可侵協定結んでくれると

嬉しいんだが」

 

 

「──そんな事でいいのか? 良かろう。”魔王”の

──いや、獣王国ユーラザニア”獅子王(ビーストマスター)”カリオンの

名にかけて、貴様達に刃を向けぬと今この場で誓って

やる。ただし、あくまでもそちらから攻撃してこない

という前提において、な」

 

 

簡単に承諾するカリオン。

 

 

ここでも、彼の器量の大きさに感服させられる。

 

 

この場では慌しので、こちらも後日使者を通して

話し合いの場を設ける事になったのだ。

 

 

この協定がどこまで信用出来るのかはわからない。

あの、直情的なフォビオの主なのだから、カリオン

という人物もかなりの直実なのではないだろうか? 

少なくとも今後暫くは、横槍を入れられる事はない

だろう。

 

 

その内様子を見て、獣王国ユーラザニアとも国交を

結べたら、それが一番いいんだけれどね。

 

 

こうして話は纏まるかと思った瞬間、

 

 

 

「あ。ちょっと。ちょっといいですか?」

 

 

背後から声がするのでリムル達が振り返ると

 

 

「ロムルス君、どうしてここにいるんだ?」

 

 

リムルが警戒しているのを理解したのか、ベニマル

やシオン達は警戒をしながら、ロムルスへと視線を

向ける。

 

 

「ミリム様から呼ばれたんですよ。大事な用がある

から急いで来るように、って」

 

 

「……………は?」

 

 

「ですから、魔王ミリム様に呼ばれて急いで此処まで

来たんですよ。もしかして、ミリム様から何も聞いて

いないんですか?」

 

 

俺はロムルスのそんな言葉を聞いた瞬間、全くもって

理解が追い付かずに知らないうちに情けない声を出し

ながら、視線をミリムへ向ける。

 

 

「おい、ミリム………?」

 

 

「ち、違うのだ! ワタシは別に暇だから奴を呼んだ

方が面白そうだとか、そんな事を考えてないのだ‼︎」

 

 

はい、ダウト。

 

 

ミリムは俺から視線を逸らしながらも、慌てた表情で

俺に様々な言い訳の言葉を口にしてきたので本当に

呆れてしまう。

 

 

恐らく、俺達が必死になってカリュブディスと戦って

いる間、する事がないからかこっそりとロムルスに

連絡を取ってこっちに来るようにしていたのだろう。

 

 

まったく、あれだけ彼等を刺激するなって、全員の

前で何度も言ったのに……

 

 

俺が目の前にいる中身が幼い桜金色(プラチナピンク)のツインテール

の魔王に内心呆れてしまった。

 

 

「テメェは誰だ?」

 

 

「初めまして、魔王カリオン様。僕はロムルスと

言います。世界各国で転々として様々な商いなどを

営んでいるただのしがない商人です」

 

 

ロムルスはそう言って魔王カリオンに自身の名前を

名乗る。

 

 

 

「そうか……で、その商人が一体、何の用だ?」

 

 

カリオンは目を細めながら、不愉快そうな表情を

隠そうともせずにロムルスに問いかける。

 

 

「そうですね……それでは、単刀直入に言わせて

もらいますね」

 

 

ロムルスはそう言って視線をカリオンからある方向

へと向けていた。

 

 

「そこにいる黒猫(フォビオ)を是非ともこちらに引き渡して

欲しいのです」

 

 

「な、何を言って……⁉︎」

 

 

リムルがロムルスのその言葉を聞いた瞬間、慌てた

表情をしてロムルスを止めようとする。

 

 

「おい! たかが商人が一体、何の権限があって

言っているんだ!」

 

 

「その通りだな、もう解決したのだからこれ以上、

口出しされる謂れはない」

 

 

シオンやベニマルがロムルスの言葉に不満を感じた

のか口にして反論する。

 

 

 

「………もう一度、言わせるの? そこにいる黒猫(フォビオ)をこちらに引き渡せって言っているんだよ」

 

 

 

「う……!」

 

 

「ぐっ……!」

 

 

ロムルスの言葉を口にした瞬間、会議室で放っていた

威圧感程ではないが、かなりの威圧感を放ったせいか

ベニマルとシオンが黙ってしまう。

 

 

「そもそも唆されたとはいえ、殺意を抱いていたのは

間違いないわけなんですよね? もしもそうなのだと

したら、またこちらに殺意を向けてくる可能性もある

状況をこちらとしても放置は出来ないですからね」

 

 

ロムルスは丁寧な口調でそう言いながらも腰に携えて

いた刀を鞘からゆっくりと引き抜いて、そしてその刃

の鋒をフォビオに向けて突き付ける。

 

 

「た、確かに……今回の一件の全部は、俺の一存で

しでかした事だ。だから──」

 

 

フォビオはなんとか立ち上がり言おうとした瞬間、

 

 

「悪いが、コイツはオレの大事な代えの効かない

部下なんでな。はいそうですかと言って、簡単に

渡すワケにはいかねぇな……」

 

 

カリオンがそう言ってフォビオの前に出た。

 

 

「カリオン様……」

 

 

「ふーん。だったら、どのようにしてこの黒猫がした

今回の一件の責任を取ってもらえるのでしょうか?

まさか、”獅子王(ビーストマスター)”と呼ばれしお方が身内の獣人族(ライカンスロープ)

の部下だからって、そのままお咎めなしで終わりって

訳じゃないですよね?」

 

 

「フン、確かにそうだな……」

 

 

ロムルスは低い声でそう言って、フォビオの主である

カリオンに問いかけると、カリオンは考えるように

そう言って、フォビオの元へと近づく。

 

 

「フォビオ、歯を食いしばれよ」

 

 

「か、カリオン、様……?」

 

 

カリオンがそう言うとフォビオは意味が分からないと

言った表情をしているとカリオンは口元をニヤリと

笑って、そして右拳を力強く握りしめてフォビオを

容赦なく殴る。

 

 

 

「ぐっ……が、ガハッ‼︎」

 

 

すると威力があったのか、吹き飛ばされて口から泡を

吹き出し、フォビオの全身からは大量の血を流して、

まるでボロ雑巾のように血塗れになって、その場に

倒れていた。

 

 

そんなカリオン行動にリムルは目を見開いてポカンと

した情けない表情をして驚いていた。

 

 

「これで勘弁してくれないか? 二度と今回のような

事がないように俺が責任を持つからよ」

 

 

「…………ま。いっか、今回はそれとユーラザニア産

の果物を融通してもらう事でチャラにしますよ」

 

 

「そう言ってもらえると助かるぜ」

 

 

カリオンがロムルスにそう言うと、ロムルスは納得を

したのか、威圧感は消えて刀を鞘に収める。

 

 

「それでは、これにて失礼させてもらいますね」

 

 

ロムルスはリムル達やカリオンにそう言って、ミリム

が新しい玩具を見つけようなキラキラしたそんな瞳を

こちらに向けてくるが、ロムルスは自分は関係ないと

言わんばかりに見ないようにしながら、軽い足取りで

その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある一人の魔人が大量の木々の茂みの中にひっそり

と息を殺しながら、隠れていた。

 

 

「カリュブディスは討伐されたか、急いであの方に

報告をしなければ……」

 

 

魔人はそう言って、急いでその場を去ろうとしてると

 

 

魔人は音がした茂みの方に視線を向けると仮面を

外したシズが魔人の前に現れた。

 

 

「ここに人がいやがったのか‼︎」

 

 

「逃がさないよ!」

 

 

シズはそう言って慈悲の紅蓮の剣(イグリット)を鞘からゆっくりと

抜いて目の前の魔人に向けて構える。

 

 

 

「クソが……ッ‼︎ 死ねェ‼︎」

 

 

魔人は腰に装備していた二つのダガーナイフを両手

で逆手に握り締めて構えながらシズを睨み付けて

斬り掛かってくる。

 

 

だが、しかし。

 

 

 

「遅過ぎる」

 

 

「グッ‼︎ オボゥッ‼︎」

 

 

シズはそんな魔人のダガーナイフの斬撃を難なく軽々

と躱して握り拳を作って、もの凄い勢いで魔人の顔面

に手の甲で容赦なく殴っていく。

 

 

すると、魔人は怒りの表情と殺意の籠ったそんな瞳を

シズに向ける。

 

 

だが、その魔人の行動が命取りになる。

 

 

「これでお終いだよ!」

 

 

シズはそう言って慈悲の紅蓮の剣(イグリット)を振り上げており、

そのまま振り下ろす。

 

 

 

「ふざけるなよ‼︎ このアマがアアアアアア‼︎」

 

 

魔人はそう叫びながら、二つのダガーナイフでシズの

斬撃を防ごうと、一瞬にして構える。

 

 

(馬鹿正直に正面から打ち込んで来やがったぜ!)

 

 

魔人は内心ほくそ笑みながらシズを嘲笑う。

 

 

しかし、その選択がその魔人の運命を決定付ける。

 

 

シズの刃と魔人の刃がぶつかり合った次の瞬間、

ジュッ、と魔人の刃の焼けて溶けるようなそんな

恐ろしい音が聞こえた。

 

 

 

(ま、マズイ‼︎)

 

 

魔人はようやく自分の身の危険を感じ取るが、

もう既に遅かった。

 

 

魔人のダガーナイフの刃はシズの慈悲の紅蓮の剣(イグリット)

炎の斬撃によって、まるでバターのように溶けて

綺麗に切断される。

 

 

「あ、ガアアアアアアアアアアアッ‼︎」

 

 

頭から上半身まで切り傷を入れる。その一撃を受けた

せいか、一瞬だが斬られた傷口から大量の血液が噴水

のように噴き出して焼け爛れて肉が焼ける嫌な匂いが

周辺にして魔人は力なく地面に膝を着いて刃が溶けた

ダガーナイフから手を放した。

 

 

「動かないでね……」

 

 

シズは目の前の魔人がそう言った後、警戒をしながら

ゆっくりと近づいて行く。

 

 

「頼む! 見逃してくれ! お、俺が死んだら大切な

家族が──」

 

 

「ッ‼︎」

 

 

魔人は身体を小刻みに震わせながら必死になってシズ

に命乞いをする。

 

 

その魔人のそんな必死の土下座をしながら言葉(命乞い)

聞いた瞬間、シズの動きが止まる。

 

 

(この人も家族のために? でも……)

 

 

 

シズの頭の中でそんな考えを巡らせながら葛藤して

躊躇っていると

 

 

「ハハハ‼︎ 甘いなあ。俺のために‼︎ そしてあの方の

ために死んでもらうぞ‼︎」

 

 

「ッ‼︎」

 

 

魔人が隠し持っていた剣を握って、シズのそんな良心

を利用して、シズの首筋へと向けて剣を振り翳そうと

すると

 

 

「迂闊に動くな、死ぬぞ」

 

 

魔人の背後から、声が聞こえてきた。

 

 

「だ、誰だ……?」

 

 

振り返ろうとするが、手で相手の頭を掴まれている

せいか、動けずにいた。

 

 

 

「なるほど……あの 妖死(デスマン)の部下か」

 

 

確か、クレイマンという魔王と呼ぶには名ばかりの

雑魚の魔人だったか……。

 

 

今回の事件の黒幕の情報と記憶を読み取る。

 

 

「もう必要な情報は持っていないみたいだね」

 

 

背後に人物はそう言った瞬間、そのまま星幽体(アストラルボディー)

引きずり出されてしまう。

 

 

「あ、アガガガ……ア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

 

 

引きずり出されたせいか、目の前の魔人が痙攣をして

星幽体(アストラルボディー)がなくなった瞬間、魔人の瞳の光が一瞬に

してなくなって、その場に倒れて動かなくなった。

 

 

「油断し過ぎだよ。シズ」

 

 

「ごめん……グレイ」

 

 

シズはグレイに申し訳なさそうに顔を伏せながら、

そう言って、慈悲の紅蓮の剣(イグリット)を鞘に収める。

 

 

「まあいいけど、ちなみに今回のカリュブディスの件

はどうやらクレイマンって奴の仕業みたいだね」

 

 

「クレイマンって言ったら、あの”人形傀儡師(マリオネットマスター)”と

呼ばれている十一大魔王の一人だよね?」

 

 

そう、僕達魔王の事を”十一大魔王” などという如何

にもセンスの欠片もへったくれもないそんな呼称で

勝手に呼んでいるのだ。

 

 

「そうだね。人間達の壊滅的なネーミングセンスには

正直に言ってガッカリしているよ。まあ、期待しても

していないけどね」

 

 

グレイはシズにそう言って、倒れているクレイマンの

部下である魔人の持ち物を物色を始める。

 

 

グレイがクレイマンの部下の魔人の情報と記憶が確か

ならば、()()を持っているはずだ。

 

 

「お? あったあった」

 

 

グレイはそう言って、目的の物を取り出す。

 

 

「何なの? その禍々しい紫紺の宝珠は?」

 

 

「これが今回の目的の物だよ」

 

 

シズの言っている禍々しい紫紺の宝珠──それは、

暴風妖渦(カリュブディス)の欠片である。

 

 

恐らくあの妖死(デスマン)は保険として暴風妖渦(カリュブディス)の欠片を宝珠に

加工して、手に入れようとしたのだろう。

 

 

「これは暴風妖渦(カリュブディス)の欠片などをかなり凝縮した宝珠

みたいだね」

 

 

「ど、どうしてそんな物を……?」

 

 

「恐らく保険じゃないかな?」

 

 

驚きながらも質問するシズに答えながら、やり取り

をしていると

 

 

「ふむ。どうやら、帰ってきたみたいだね」

 

 

グレイはそう言ってシズから別方向へ視線を向けると

シズもそちらに視線を向けて見ると『模倣の化身(イミテーション・アバター)

で作り上げた自分とそっくりな分身(人形)がやっと無事に

戻ってきたのである。

 

 

「さて、収穫の程はどうかな……」

 

 

グレイはそう言って、自分とそっくりな分身(人形)の中身を

確認すると

 

 

「よし、無事に定着しているみたいだね」

 

 

僕そっくりな分身(人形)の中身にはミリムが吹き飛ばした

はずの暴風妖渦(カリュブディス)の細胞がべったりとしつこくへばり

ついていた。

 

 

暴風妖渦(カリュブディス)の欠片を拠点のエンデに持って行ってね」

 

 

「分かりました」

 

 

僕が分身(人形)にそう指示を出すと分身(人形)は僕に返事をして

宝珠を手にして倒れているクレイマンの部下の魔人の

身体取り込んでその場から後にした。

 

 

「さて、と。それじゃあ、これで無事に解決したから

リムル=テンペスト達にバレない様にそっと魔国連邦(テンペスト)

に戻ろうか」

 

 

「う、うん……」

 

 

グレイが軽いノリの声でそう言う中、シズは戸惑い

ながらもグレイの言葉に同意して一緒に魔国連邦(テンペスト)へと

戻って行った。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎


これからも皆さんが『応援』をしていただければ
『更新』の頻度が更に上がるそんな可能性がある
かもしれません‼︎


『他の投稿作品』もあるので是非ともそちらも
楽しんで見ていただければありがたいです‼︎




【報告】

『東方墨染残花』『五等分の花嫁 繋がり合う絆』
そして『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』などを
近いうちに『更新』する予定なので、是非とも楽しみ
にしてもらえたら本当にありがたいです‼︎
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