転生したらスライムだった件 ■■の魔王   作:灰ノ愚者

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皆さんお久しぶりです‼︎

『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』
評価がとても良かったので、急いで続編を更新させて
もらいました‼︎ 連載決定‼︎ ありがとうございます‼︎





【評価】や【お気に入り】、【しおり】、【感想】
などの『応援』してもらえれば更に『創作意欲』が
増していきます‼︎


きちんと書けているかとても心配になってしまう。
(豆腐メンタル)な自分な件について……(汗)


シズとジュラの大森林

 

仮面の勇者──クロノアの言っていた世界にとって

最も最悪(バッドエンド)の未来を回避する』ためにどうか

君にも手伝ってほしい。

 

 

 

「彼女って、……あの人に会ったことがあるの?」

 

 

 

「二千年以上前に彼女と会ったことがある」

 

 

 

「そんな前からあの人に出会っていたなんて……」

 

 

 

グレイがシズにそう説明すると、シズはかつて必死

に探していた彼女と関わりがあった事などに驚きを

隠せなかったのか、かなり驚いていた。

 

 

「最初は魔王である僕を討伐しに来たのかなって

思ったけど、彼女が話があるって言って、僕に接触

をしてきたんだよ」

 

 

「あの時は大変だったよ」とグレイはその時のこと

を思い出したのか、やれやれとため息を吐いていた。

 

 

「その時にリムル=テンペストのことを聞いていた

から一体、どんな存在なのかも含めて確認したいと

思っていた時にちょうどいいタイミングでシズが

ジュラの大森林に向かっているのが、刻印ですぐに

分かったから、それを利用させてもらった」

 

 

 

「説明できるのは、今のところこのくらいかな」

とグレイはシズに言うと

 

 

「あの人からスライムさんのことを聞いていたのも

分かったし、確認するため私を利用などしたのは

分かったけど、一つ分からないことがある」

 

 

 

 

私を甦らせる必要あったの?

 

 

 

 

スライムさんの事が知りたいのであれば、私を利用

しなくても、ジュラの大森林(だいしんりん)に潜入してスライムさん

に近づけば確実なはずだ。

 

 

 

(いや、それは無理か……)

 

 

 

何故なら魔王達の宴にて策定された魔王間協定、

『ジュラの大森林(だいしんりん)条約(じょうやく)があるからだ。

 

 

 

それに森の支配者たる暴風竜ヴェルドラが消失した

とはいえジュラの大森林には強力な魔物が跋扈する

危険すぎる魔境の地にグレイのような実力のあり

自由な立場の魔王ならばまだしも、それぞれの国で

(おう)”として君臨する彼らも中々動けないしせいぜい

配下を偵察に行かせるのでやっとだろうだからだ。

 

 

 

「シズも理由は君も分かっているとは思うが僕達

魔王達にはジュラの大森林(だいしんりん)不可侵条約(ふかしんじょうやく)があるから

手を出すことが出来なかったからだ。そして君を

甦らせた理由についだけど、これは『彼女(かのじょ)からの

(ねが)い』だったからね」

 

 

「ッ‼︎ あの人から……?」

 

 

「うん、実はその時に彼女から頼まれたんだよ。

どうか、シズのことをお願いってね」

 

 

 

私は魔王グレイの言葉を聞いて、目を見開いた。

彼女はそんな前まで私のことを思ってくれてたの?

そう考えると、目から涙が今にも溢れ出ててしまい

そうになってしまう……

 

 

 

「本当はこのことはシズには黙っていてくれって

彼女に言っていたんだけど、シズのそんな疑問に

答えるには避けては通れないと思ったから答えた

のだけど、これで納得してくれたかな?」

 

 

「うん……それなら納得したよ」

 

 

「そうか、それならよかった」

 

 

 

グレイはシズにそう言って、微笑んでいた。

 

 

 

「それと外に用事があるから、今から外に出よう

と思っている」

 

 

 

「外に……? 一体、どこに行くの?」

 

 

シズは傾げながらグレイに聞くと

 

 

 

「『ジュラの大森林』へと向かおうと思ってる」

 

 

 

「じゅ、ジュラの大森林へ行くの⁉︎」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「い、いや、だってさっき言ってたでしょ‼︎

ジュラの大森林には『ジュラの大森林(だいしんりん)条約(じょうやく)』が

あるって言ってたじゃん‼︎」

 

 

 

「大丈夫だよ。君が起きる前に魔王達の宴(ワルプルギス)があって

『ジュラの大森林の条約』を破棄したから問題

ないよ?」

 

 

「そ、そうなんだね……じゃあ、気を付けてね」

 

 

シズは戸惑いながらも、笑顔でグレイを見送る

言葉を掛けていると

 

 

「何を言っているの? 一緒に来るんだよ。シズ」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

シズは動揺した表情を浮かべながら、情けない声

を出していた。

 

 

「どうしてそんなに驚いているの?」

 

 

「だ、だって、いきなりジュラの大森林に

行くのは……‼︎」

 

 

ふむ、こんなに戸惑っているのは、おそらくだが

『イフリートの件』でリムル=テンペストに会う

心の準備が出来ていないのだろう

 

 

「そ、それに、今の私に戦力として期待されても

困るよ……ッ‼︎」

 

 

グレイの言葉にシズは慌ててすぐに反論するが、

そんなシズの言葉を気にする気配はまったくなく

 

 

 

「あ、それに関しては大丈夫だよ」

 

 

 

 

 

 

 

だって、今の君は聖人(せいじん)になっているから

 

 

 

 

 

 

「………え?」

 

 

 

 

聖人? 誰が? 私が? ヒナタと同じ……?

 

 

 

 

あり得ない……なぜなら過酷な修練の果てに半精神

生命体の仙人(せんにん)へと進化してさらに進化を果たすと

覚醒魔王に匹敵するとされる聖人(せいじん)へと至ることが

できる。

 

 

それを代表するのは「魔物を滅する」西方聖教会、

神聖法皇国(しんせいほうおうこく)ルベリオス』。ルミナス教における

聖地と定めている国であり、教会本部の所在地で

法皇直属近衛師団(ほうおうちょくぞくこのえしだん)という強大な戦力を抱えており、西方聖教会聖騎士団長(せいほうせいきょいかいせいきしだんちょう)は一か月で私の技術を自分の

ものとして私を越える強さを身に着けて私の元を

離れて行った私の自慢の教え子のヒナタだ。

 

 

そんな立派になったヒナタは今では(かみ)右手(みぎて)

『法皇直属近衛師団筆頭騎士』などと世間から

そう呼ばれていて、私が弱い人達のために必死に

助けて旅をしている時に噂で聞いた時などの私は

まるで自分のことのようにとても誇らしくて

嬉しかった。

 

 

 

そんなヒナタと私が同じ聖人……?

 

 

 

(よみがえ)らせる時に分かったんだけど、どうやらシズ

には聖人(せいじん)になれる素質(そしつ)があったみたいなんだよね」

 

 

「う、嘘だよッ! 私がヒナタと同じ聖人なんて、

なれるはずがないよ‼︎」

 

 

だって、ヒナタみたいな剣の腕前もない私が聖人に

なんてなれるはずがない‼︎

 

 

「君は思っている程弱くなんてないよ。剣技など

も一流なんだから、自分の事を過小評価が過ぎる

んじゃないかな」

 

 

彼女はどうして自分自身の戦闘技術などの凄さに

気付かないのだろうか? 全くもって、不思議で

ならないんだけど……

 

 

グレイはやれやれと内心そう思いながら

シズに言う。

 

 

「それにシズの魂に触れてみて分かった事なんだ

けど君の魂の半分は聖人(せいじん)でもう半分は魔人(まじん)

になっていたみたいでね。恐らくだけどイフリート

と長く同化していてその残滓(ざんし)が残っていたのが原因

なんじゃないかと思うんだよね。そうだなぁ……

半聖魔人(はんせいまじん)になったと言うところかな」

 

 

 

聖人(せいじん)魔人(まじん)……半聖魔人(はんせいまじん)……」

 

 

 

シズはそう言って何やら複雑そうな顔をしていて

思い詰めたように考え込んでいた。

 

 

「それに『スキルも渡しておいた』から早めに

それも確認もしておきたい」

 

 

「………えっ? スキル?」

 

 

僕がそう説明するとシズは僕の言葉が理解が

出来なかったのか情けない声を出していた。

 

 

ちなみに僕が彼女が目を覚ます前に彼女のために

あらかじめスキルを渡しておいたのである。

 

 

「じゃあ、さっそくシズのスキルを試してみたい

から場所を移そうか、ここには大切な書物などが

あるから、出来るだけ被害を出したくないしね」

 

 

「う、うん。分かった……」

 

 

シズは戸惑いながらもそう言ってグレイとともに

大量の本がある書斎らしき場所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら問題はないだろう」

 

 

 

グレイはそう言うと何もない広い場所にシズと

ともにいた。

 

 

「一体、なにをさせるつもりなの?」

 

 

シズはグレイに聞くとグレイはシズに視線を

向ける。

 

 

「今からシズには僕と模擬戦をしてもらう。

その方が半聖魔人(はんせいまじん)の力とスキルの性能を確認するの

にも簡単で一番手っ取り早いでしょ?」

 

 

グレイがそう言うと、両手から剣と刀が現れた。

 

 

「はい、シズが以前に持っていた同じ剣を用意

してみたけど、違和感がないか確認してほしい」

 

 

「色々と規格外だね……分かった」

 

 

シズはそう言ってグレイからかつて自分が使って

いたまさに瓜二つの剣を受け取って違和感がないか

剣を鞘から抜いて剣を振るってみて確認してみる。

 

 

(これは……‼︎)

 

 

「どうかな?」

 

 

 

グレイがシズに剣に違和感がないか聞くと

 

 

「これは…以前に使っていた剣と同じ……

いや、それ以上の切れ味があるかも……‼︎」

 

 

「そう、それは良かった」

 

 

 

シズはグレイに渡された剣に驚きながら言うと、

グレイは安心した表情をして刀からゆっくりと

鞘から抜いていた。

 

 

「それじゃあ……準備はいいかな?」

 

 

「いつでもいいよ」

 

 

 

シズはそう言って剣を握りしめて構えた。

 

 

 

「そう、じゃあ──」

 

 

 

お言葉に甘えさせてもらうね?

 

 

 

「ッ‼︎」

 

 

 

グレイがそう言うともの凄い速さでシズに

向かって来た。

 

 

(予想以上に速いッ‼︎)

 

 

シズはグレイの速さに驚いた。

 

 

「これくらいで驚いていたら僕から一本も

取れないよ?」

 

 

「ぐっ……‼︎」

 

 

(これは……ただ速いだけじゃない‼︎)

 

 

 

刀の鋭さや刃の重さが異常過ぎる……ッ‼︎

 

 

 

シズはそう思いながらグレイの刃を受け止めるが

今にも苦しそうな表情を浮かべていた。

 

 

「このッ‼︎」

 

 

「おっと……」

 

 

しかも私が振った剣を軽々と捌かれている……ッ‼︎

 

 

シズの早い剣捌きをグレイは軽々と捌いていく。

 

 

「防戦一方になってる、よ‼︎」

 

 

グレイはそう言って更にシズ向かって追撃する。

 

 

 

(このままだとシズがスキルを出す前に一方的に

倒してしまうことになってしまいそうだな……)

 

 

 

どうしようかとグレイが思考を巡らせて考えて

いると

 

 

「模擬戦中に考え事とはずいぶんと余裕だね‼︎」

 

 

「よっと……確かに模擬戦中に良くないみたいだね」

 

 

シズが先程よりも鋭くもの凄い速さでグレイに

斬り掛かっていくがグレイはそう言いながらも

更にそれ以上の速さで防いでいく。

 

 

彼女は半聖魔人(はんせいまじん)なったからかスキルなしでも剣技

だけで僕と渡り合っている。

 

 

半聖魔人(はんせいまじん)になったばかりでまだ荒削りだけど

少しずつとだが良くなっている。

 

 

(だけど……)

 

 

これでは駄目だ。スキルなしで剣技だけに頼りにして

いてはこの先シズは限界がきてしまいこの世界を生きて

行けなくなるのは目に見えている。

 

 

 

(本当はこんなことしたくはないけど……)

 

 

 

グレイはそう考えながら『ある決断』をする。

 

 

 

「確かに剣技は凄いけど、これじゃあ駄目だよ」

 

 

 

“ これじゃあ、君の教え子達やリムル=テンペストにも頼むしかなくなるね”

 

 

 

 

その瞬間、

 

 

 

ガキィィィィィィン‼︎

 

 

 

金属と金属が激しくぶつかり合う音がその場に

響いた。

 

 

 

「私を巻き込むのはいい……だけど……」

 

 

 

貴方があの子達やスライムさんを利用すると言うなら私は貴方を許さないッ‼︎

 

 

 

シズは氷のように冷たく鋭い目でそう言った瞬間、

先程よりも更に速い速度でグレイに接近していた。

 

 

 

そして

 

 

 

シズは自身の剣にもの凄く燃え盛る炎を纏わせて

 

 

 

(これは……ッ‼︎)

 

 

 

「はぁぁあああああああ‼︎」

 

 

 

その炎の斬撃をグレイに向けて

 

 

 

極炎獄霊覇(インフェルノフレイム)ッ‼︎」

 

 

 

振りかざした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 

私は怒りに身を任せて私の出せるありったけの

全力を出したからか息を吐いていた。

 

 

使えるかもと思ったけど、まさか『極炎獄霊覇(インフェルノフレイム)

をまた再び使えるとは本当思わなかった。

 

 

そもそも『極炎獄霊覇(インフェルノフレイム)』は今まで私と同化していた

(ほのお)精霊王(せいれいおう)であるイフリートの力を一部を借りて

放つことができる究極の精霊魔法(せいれいまほう)だったのだが

 

 

(なのに、どうして……まさか……ッ‼︎)

 

 

シズがある結論に至ったのか考えていると

 

 

「ここまでの威力を出すことが出来るなんて

想像以上だね……」

 

 

グレイはそう言ってボロボロになった灰色のローブ

をぽんぽんと叩きながらやれやれといった表情を

浮かべながら立っていた。

 

 

「しかもさっきの攻撃でローブが焼けてしまう

なんて思わなかったよ」

 

 

また、新しいローブを新調しなくちゃ

いけないね……

 

 

ちなみに僕が彼女のために渡したスキルはなんと

『ユニークスキル』などなんかではなくてなんと

究極能力(アルティメットスキル)である。

 

 

 

そのスキルの名は『仁義之王』である。

 

 

 

どうやらその究極能力は以前持っていたシズの

炎系のエクストラスキルであった「炎熱操作」や

「爆炎」、「熱波」と魔力を感知する「魔力感知」

の強化版みたいだ。

 

 

そのスキルとイフリートの残滓(ざんし)魔人(まじん)の力のおかげ

で炎の精霊王のイフリートの力を一部を借りないと

放つことが出来ない究極の精霊魔法(せいれいまほう)である

極炎獄霊覇(インフェルノフレイム)』を出すことが出来たのだろう

 

 

もしそうなら究極能力(アルティメットスキル)魔人(まじん)残滓(ざんし)の力があれば

イフリートがいなくても全盛期以上に炎を自在に

操ることが出来るようになったことになる。

 

 

「とはいえ、無事に究極能力(アルティメットスキル)を扱えるように

なったみたいで本当によかったよ」

 

 

僕がそう言うとシズは顔を俯かせながらツカツカと

早足で僕に近づいて来て

 

 

「私の力を引き出すためなのは分かる……けれど、

もう二度とあんなことを言わないで……ッ‼︎」

 

 

僕にそう言ってギラリと銀色に光り輝く剣の鋒を

僕に向けてそう言った。

 

 

「君の実力を引き出す為とはいえ確かに良くない

方法だったね。ごめんね……」

 

 

僕がシズにそう言うとシズは僕に向けていた

剣を下ろし鞘に納めた。

 

 

「ところで、シズの髪の色が(くろ)から(しろ)に変わって

いるけど大丈夫なの?」

 

 

「えっ……? うわっ⁉︎ 本当だ‼︎ 髪が()(しろ)

なってる‼︎」

 

 

僕がシズにそう聞くと今気が付いたのか自分の髪を

触りながら、確認して驚いていた。

 

 

髪はさっきまで綺麗な黒髪だったのに、今では

まるで雪のような、綺麗な真っ白な髪になって

いた。

 

 

「どうして、髪が真っ白に……」

 

 

シズがそう言って、真っ白になったサラサラな

髪に驚き戸惑っていると

 

 

「うーん、そうだね。じゃあ……」

 

 

グレイはそう言って右手をシズの胸元を触った。

 

 

「ちょ、ちょっと……ッ‼︎ どうしていきなり

私の胸元を触るの⁉︎」

 

 

シズはそう言いながら、グレイから距離を取って

いると

 

 

「ごめん、でもこれはシズに起きた原因を探ろうと

思って、解析鑑定をするために触ったんだ」

 

 

「ふ、ふーん……そうなんだ……」

 

 

シズは顔を真っ赤にしながら、小声でそう呟いて

グレイに近づいて

 

 

「じゃあ、お願い……」

 

 

「分かった」

 

 

グレイはそう言って再びシズの胸元に手を当てて

解析鑑定を始めた。

 

 

「……んっ!」

 

 

「ちょっと、変な声を出さないでよ」

 

 

「ご、ごめん……それで、ど、どうなの……?」

 

 

シズの顔はまるでトマトのように更に真っ赤に

なって、俯きながらグレイに恐る恐る聞くと

 

 

「うーん、今のところ分からないなぁ……

シズもなんともないんでしょ?」

 

 

「う、うん……なんともないけど……」

 

 

「だよね……けど、これはこれで良かったのかも

しれないね」

 

 

「えっ? どうして?」

 

 

「だって、黒髪の姿のままじゃあ、ジュラの大森林

に潜入なんて出来ないでしょ?」

 

 

「あっ……」

 

 

そうだ。私の姿はスライムさんやリグルドさん達

に見られているからすぐに私だとバレてしまう。

 

 

「まあ、髪が白くなっていてもすぐにバレちゃう

だろうから、そこはこちらでどうにかするとするよ」

 

 

「う、うん……分かった……」

 

 

私はそう言ってグレイに頷いた。

 

 

こんなにも早くまたスライムさんに会えるなんて

本当に思わなかったなぁ……

 

 

シズはそう思いながら、雲のない青空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シズさん……?」

 

 

俺、リムル=テンペストはジュラの大森林で

たくさんの部下や住人達に囲まれながら自分で

作った国、『ジュラ・テンペスト連邦国(れんぽうこく)』にいた。

 

 

とりあえず、来る者は拒まずという感じの国に

している。

 

 

「どうかしたんですか? リムル様?」

 

 

何故か分からないけど……今シズさんの声が

聞こえた気がした……

 

 

「いや、なんでもないよ。シオン」

 

 

一体、何を言ってるんだ俺は……シズさんは俺の

捕食者(ほしょくしゃ)』……今は『暴食者(グラトニー)』になったんだっけ……

息を引き取った後、そのスキルで捕食して目の前で

看取ったのを今でも覚えているというのに……

 

 

「そうですか、それなら良かったです!」

 

 

シオンは俺を抱えながら心配そうに聞いたので

俺はいつものように明るい声でそう答えると

シオンは俺のその言葉で安心したのかいつもの

屈託のない笑顔で笑った。

 

 

 

その瞬間、

 

 

 

 

 

(ッ‼︎)

 

 

「リムル様、どちらへ……」

 

 

シオンが何か言っていたが俺はシオンから下りて

急いで移動する。

 

 

この国の住人達は俺を見るなり「リムル様?」

とか「どちらへお急ぎで?」など言っていたが

今はそんな住人達の疑問の言葉を返している

場合じゃない。

 

 

何故なら以前、ガゼルが引き連れていた天翔騎士団(ペガサスナイツ)

より数は少ないが比較にならんほどデカイ気配が

こちらに近づいてくるからだ。確実にヤバイ。

 

 

そう思いながらも俺はテンペストから離れた

場所に移動した。

 

 

 

そして

 

 

 

 

ドオオオオン‼︎

 

 

 

と、とんでもない衝撃音が響き渡り突風が木々を

バキバキと倒していく

 

 

「初めてまして、ワタシは魔王ミリム・ナーヴァ

だぞ。お前がこの町で一番強そうだたったから

挨拶にきてやったのだ!」

 

 

ミリムはそう言ってスライム状態のリムルを

見下ろしていた。

 

 

(わはははは! やはり、魔王に匹敵する程に育って

おったのだ‼︎)

 

 

ミリムは内心喜ぶ中、いきなりミリムという魔王

やってきて驚愕しながら「一体何しにこの国に

来やがった⁉︎」という出そうな言葉をなんとか

飲み込む。

 

 

本物かどうかなど聞くまでもなかった。何故なら、

目の前の少女から放たれる覇気は、俺が知る限り

では、最強クラス。そう、ヴェルドラに匹敵する

程の圧倒的なものだったからだ。

 

 

いきなり魔王かよ! 普通最終に来るのは、配下

の使者とか四天王(してんのう)(最弱(さいじゃく))とか、そういう者じゃない

のかよ‼︎

 

 

猛烈に突っ込みを入れたいが自重する。

 

 

しかし、何と答えたものか……

 

 

俺は今、スライム姿である。当然だが、妖気(オーラ)

駄々漏れという事はない。最近では魔力操作にも

慣れて、無意識でもある程度は抑え込めるように

なっている。

 

 

つまり、何も知らない者から見れば、俺は単なる

雑魚魔物のスライムでしかないバスなのだ。

 

 

分身してから本体である自分を『魔力感知』で

鑑定してみても、野良スライムの妖気しかしか

洩れていなかったのだが……

 

 

それをあっさり見破るとは、この魔王は只者

ではないな。嘘や誤魔化しも通用しなさそうだ。

 

 

どちらにせよ、俺がなんとか出来る相手ではない。

どうやらここは下手に出て、機嫌が損ねない方が

良さそうだ。

 

 

「初めまして。この町の主、リムルと申します。

よくぞスライムである俺が、一番強いと分かり

ましたね」

 

 

実際に一番強いのは、ハクロウかもしれない。

 

 

 

様子見がてら、聞いてみた。

 

 

 

「ふふん! その程度、ワタシにとっては簡単な

ことなのだ。この眼──『竜眼(ミリムアイ)』は、相手の隠して

いる魔素力まで測定出来る。まあ、ワタシの前では

弱者のフリなど出来ぬと思うがいい!」

 

 

自慢気(じまんげ)に言い放つ魔王ミリム。

 

 

偉そうに胸を張っているが、そのサイズは非常に

残念なものだ。まだ育ちきってないのが、ひと目で

判別出来てしまう。露出度(ろしゅつど)(たか)服装(ふくそう)だから尚更、

隠しようがない。

 

 

しかし大人である俺は、当然その事には触れない

でおく。見えている地雷原に踏み込む程、愚かでは

ないからな。

 

 

しかし、俺の『解析鑑定(かいせきかんてい)』と似た感じの効果がある

眼を持っているのか。それでは確かに、何も隠し

通せそうもないな。

 

 

やっかいな相手だ。

 

 

俺の『解析鑑定(かいせきかんてい)』によると、明らかに魔力は

向こうが上。技量も間違いなく魔王が上だろう。

 

 

これは勝てない。

 

 

もし戦闘になるなら、何をやっても通用しない

気がする。出来るとすれば、スキルを駆使して

上手くして、時間を稼ぐくらいか。

 

 

流石に、魔王モドキの豚頭魔王(オーク・ディザスター)とは格が

違うようだ。

 

 

そんな事を考えていた俺に、ミリムは更に言葉

を続続けた。

 

 

「ところで、その姿が本性なのか? ゲルミュッド

のヤツを圧倒した、あの銀髪の人型の姿は変化した

ものなのか?」

 

 

ゲルミュッドの戦いのことを知っているだと?

考えられるのは、ソウエイから聞かされた、監視

している者がいるという報告か。ゲルミュッドまでも

監視対象になっているとは思わなかった。

 

 

という事は、ゲルミュッドの企みが全て筒抜けだった

のか──あるいは、ゲルミュッドも最初から計画の

一環として操られていたのか、だ。

 

 

そういえば、ゲルミュッドは魔王の後ろ盾がいる

とか喚いていた。負け惜しみかと思っていたが、

どうやら本当に魔王の知り合いがいたらしい。

しかも、こんな大物の……

 

 

「この姿のことですかね?」

 

 

そう言いながら、俺は人型に変化した。

 

 

仮面は被っていない。妖気を隠す必要もない

からだ。

 

 

「おお、やはりお前だったのだな。

では、オークロードを倒したのだな? 

アレはゲルミュッドを喰らって、魔王種(まおうしゅ)に進化

したバスだが?」

 

 

魔王ミリムが嬉しそうに話しかけてくる。

おっと、ゲルミュッドが死んだ事までは把握して

いるが、その先まで知らないようだな。

 

 

このまま誤魔化すか──いや、それは危険な

気がする。ここは正直に話す方が良さそうだ。

 

 

「すごいですね。確かにオークロードは豚頭魔王(オーク・ディザスター)

に進化しました。ですがまあ、俺が戦い勝利

しましたけどね。で、今日は挨拶とのことですが、

何か御用でもあるのですか? もしかして、

ゲルミュッドが倒されたから復讐に来た、とか?」

 

 

 

ついでに用件を聞いてみた。

 

 

 

もしも復讐に来たと言われればどうしようも

ないが、そんな無駄な事をするとも思えない。

精々が、配下になったら許してもらえる程度

だろう。

 

 

 

ここで俺達を潰すメリットがなさそうだしな

 

 

 

まあなんにしろ、相手の目的と出方を確かめる

のが先決だ。

 

 

 

「む? 用件、だと? 挨拶だけど?」

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 

それだけかよ⁉︎

 

 

 

けどまぁ戦わずに済むならそれに越したこと

はない。

 

 

なにせ大賢者曰く

 

 

 

《測定可能な加減段階で魔素量(エネルギー)が十倍以上です》

 

 

 

もし戦いになったら絶対に敵わないだろう。

 

 

俺と魔王ミリムは無言で見つめあった。

 

 

 

と、その時。

 

 

 

「覚悟‼︎」

 

 

 

へ?

 

 

 

と叫びとともに、シオンが魔王ミリムへと

切り掛かった。

 

 

俺に追いついて来ていきなり魔王の覇気を目の当たり

にしたからか、冷静な判断など吹き飛んでしまって

いるようだ。全力の先制攻撃にて、せめてもの優位性

を確保しようとしたのだろう。

 

 

 

そして同時に走り抜ける黒い影。

 

 

 

ランガが地面の影から飛び出すように、魔王ミリム

へと踊りかかったのだ。

 

 

完全なる不意打ち。普通なら、片方へは対処出来た

としても、どちらかの攻撃は喰らってしまうだろう

タイミングだった。

 

 

 

 

だが、魔王ミリムが相手では──

 

 

 

 

 

「わはははは! なんだ、ワタシと遊びたいのか?」

 

 

楽しそうな笑い声を上げ、魔王ミリムは右腕で

シオンの剣を受け止めた。そしてランガに向けて

軽く左手を振るう。

 

 

キィーーーン! という、金属を斬りつけたような

音が響き、シオンの剣はピタリと受け止められた。

素肌の部分で大太刀を受けたようだが、傷一つ

ついていない。

 

 

そしてランガは、目に見えない衝撃波に

吹き飛ばされて全身の毛を逆立てている。

軽く振られた左手から、音速を超える衝撃波が

放たれたのだと気付いたのは、全てが終わった

後だった。

 

 

「ちょ、待てお前等──⁉︎」

 

 

俺がようやく制止の声を出した時、既に次の動き

が始まっていた。

 

 

 

即ち──

 

 

 

 

 

 

 

「如何に魔王と言えども、この糸の束縛より

逃れることは出来まい」

 

 

ランガを囮としていたソウエイが、背後から

操糸妖縛陣(そうしようばくじん)”にてミリムを捕縛していた。

 

 

 

その上でベニマルが──

 

 

 

 

 

「そして、これでトドメだ。燃え尽きるがいい」

 

 

 

 

──黒炎獄(ヘルフレア)にて、魔王ミリムを包み込む。

 

 

 

一切の容赦のない攻撃。しかも相手が魔王と知り、

全力の一撃を繰り出している。

 

 

鬼人達なりに、ここで魔王を滅ぼす事が最善の手

だと判断したのだろう。

 

 

 

だが、しかし──

 

 

 

 

「わはははは‼︎ 凄いのだ。これ程の攻撃、ワタシ

以外の魔王なら、無傷では受けられなかったかも

知れぬぞ。あるいは、倒す事も出来たかも知れぬ。

だが──」

 

 

 

魔王ミリムの妖気(オーラ)が、一気に膨らんだ。

 

 

 

そしてその場に、火山が爆発したような衝撃波が

吹き荒れる。

 

 

ミリムが攻撃した訳ではない。というか、ミリムは

何もしてないのだ。

 

 

そう、今まで自分の妖気(オーラ)を抑えたのを、

ただ解放しただけなのである。

 

 

 

さて、どうしたものか。

 

 

 

今の衝撃で、シオンやベニマル、ソウエイに

ランガは倒れ伏している。死んではいないが、

戦闘続行は不可能だろう。

 

 

「……リ、リムル様……お逃げ下さい……」

 

 

「こ、ここは俺達が──」

 

 

だがそれでも、俺を逃がすべく立ち上がろう

とするシオンにベニマル。

 

 

それはどう見ても無理だろうし、逃げられるとは

思えない。それに、仲間を見捨てて自分だけ逃げる

なんて、俺のちっぽけな自尊心が許さない。

 

 

「後は俺がやる。お前等は寝てろ」

 

 

「で、ですが──」

 

 

「諦めたらそこで終了だから、やるだけ

やってみるさ。だが、期待はするなよ」

 

 

と、肩を竦めつつベニマル達を大人しくさせた。

どの道逃げられそうもないし、試すだけ試して

みようと思ったのだ。

 

 

「ほう? ワタシに立ち向かうのか? 面白い」

 

 

魔王ミリムは面白そうに笑みを浮かべ、

俺に向かって手招きしてきた。

 

 

 

いいだろう、やってやるよ。

 

 

 

こうなってしまっては、下手に出るのも止めだ、

得意のハッタリと口八丁でなんとかするしかない。

 

 

「と言っても、だ。俺が考えうる中で、お前に通用

しそうな攻撃はたった一つ」

 

 

「ほう」

 

 

「自信があるなら、受けてみるか?」

 

 

ぶっちゃっけ、何をしても勝てないのは分かり

きっていた。なんと説明すればいいのか──

 

 

 

《解。測定不能な下限段階で、魔素量(エネルギー)が十倍です。

尚、上限は測定不能です》

 

 

 

という『大賢者』の言葉を聞けば理解出来ると

思うが、まだ本気を出してもいないのに俺の十倍

以上の強さだという。そりゃあ、単純に魔素量の

大小で強さを測れないだろうけど、十倍ともなると

何をしても無駄だろう。

 

 

ベニマル達の全力攻撃が通用しないのも無理は

ないのだ。

 

 

なので、俺に取れる作戦一つだけ。

 

 

あらゆる能力も通用しないと予測される以上、

持っているアイテムも全て利用して作戦を立てて

みた。後はミリムが俺の挑発に乗るかどうか、

だが。

 

 

「わはははは! いいだろう、面白そうなのだ。

ただし、それが通用しなかったなら、お前はワタシ

の部下になると約束するのだぞ?」

 

 

お、これはラッキーだな。

 

 

どうやら思った以上に心が広いヤツみたいだ。

有無を言わさずに攻撃を仕掛けた以上、殺されな

かっただけでも儲けもの。それなのに、部下になる

だけで許されそうな雰囲気である。

 

 

「いいぜ。ただし、通用したら俺の部下達も

許してやってくれよ」

 

 

「わかったのだ。では、早速だが始めるぞ!」

 

 

魔王ミリムは俺の言葉に了承の意を示し、期待する

ように俺を見ている。

 

 

では、御期待に応えるとしますか。

 

 

俺は軽く地面を蹴り、ミリムに向けて疾走を開始

した。刀を抜かず、正面から突撃する。そして、

手の平に小さな水球を作り出す。

 

 

魔王ミリムは興味深そうに俺の行動を見つめていた。

全速力で迫っているが、完全に動きを捉えられて

いる。なので、小細工などしない。

 

 

「では、食らえ‼︎」

 

 

「むっ──⁉︎」

 

 

俺は魔王ミリムの直前で停止し、手の平の水球

をミリムに放り投げた。余裕の態度のミリムは、

それが大した攻撃ではないと見抜いていた。

だから、警戒もせずにまともに受ける。

 

 

 

──そう、ミリムの口元で。

 

 

 

そもそも、この水球は攻撃ではない。

俺の持つとあるアイテムを、ただ毀れぬように

包み込んだだけのものだ。後は、魔王ミリムが

このアイテムに興味を持つかどうか、だが……。

 

 

 

俺達の運命は、魔王ミリムの反応次第。

 

 

 

「なんなのだこれは‼︎ こんな美味しいもの、

今まで食べた事がないのだ‼︎」

 

 

大興奮という様子で、魔王ミリムが叫んだ。

 

 

 

可愛い舌が口の周りに付いた水滴を、

舐め取っている。

 

 

 

フッ、どうやらこの勝負──俺の勝ちみたいだな。

 

 

 

「クックック、どうした魔王ミリム? 

俺に手を出したら、コレの正体は永遠に闇に

葬られる事になるだろうな。だが、ここで俺の勝ち

だと認めるならば、またコレをくれてやってもいい

んだが、な?」

 

 

ニヤリと笑いつつ、俺は水球を作り出し魔王ミリム

に見せびらかす。

 

 

魔王ミリムの視線は水球に釘付けであり、

俺が動かす度に釣られて動いている。

 

 

完璧に興味津々の様子だ。どうやら、この危機

をなんとか出来そうな感じになってきた。

 

 

 

実はコレ、保護した魔蟲アピトに採取させていた

蜂蜜である。

 

 

 

こんな事もあろうかと──というのは嘘で、

後でコッソリ食べようと隠し持っていたのだ。

 

 

何しろあの世界に来てから、甘い物など口にして

いない。最近ようやく美味しい御飯が食べられる

ようになったので、次は甘い物が食べたいと

考えたのだ。

 

 

ところが! シュナに聞いても、甘味は超高級品

らしく滅多に手に入らないのだという。現実的には

果物類でしか、甘味を得る手段はないとのことの事

だった。西方の大国や東方の帝国には砂糖がある

らしいが、そうした品が他国に流通するなど滅多に

なく、とても購入出来る値段はないとの事だった。

 

 

となれば仕方ない。先ずは簡単な所からと、蜂蜜に

目を付けた。そんな状況だったので、アピトを保護

出来たのは僥倖だったのだ。

 

 

こうして苦労して入手した蜂蜜だったが、未だ量産

態勢が整っていなった。だから皆には悪いと思い

つつ、自分用としてコッソリと隠し持っていたので

ある。

 

 

魔王ミリムは激しく逡巡しているようだ。

 

 

「ぐぬぬぅ……だが、しかし……」

 

 

などと、激しく葛藤している。

 

 

ここは駄目押しだな。

 

 

 

「うーん、美味しい!」

 

 

俺は手で弄んでいた水球を、自分の口に放り込んだ。

 

 

「あ‼︎」

 

 

「いやあ、これは美味い。おっと、そろそろ数が

少なくなってきたぞ」

 

 

「何ぃ⁉︎」

 

 

 

面白いな。

 

 

なんというか子供みたいで、からかい甲斐がある。

 

 

 

「さて、俺の勝ちだと認めるか?」

 

 

「──待て、提案がある」

 

 

「聞こうじゃないか」

 

 

「引き分け。今回は引き分けという事でどうだ?」

 

 

「それで、受けた場合の条件はどうなる?」

 

 

「今回の件を全て不問にするのだ」

 

 

「ほう?」

 

 

「も、勿論それだけではないのだ! 今後、ワタシ

がお前達に手出しをしないと誓おうではないか!

他にも、何か困った事があったら相談に乗って

やってもいいぞ⁉︎」

 

 

 

勝った!

 

 

 

強さは圧倒的だったが、中身は見た目通りの

子供だったようだ。大人の交渉術の敵ではない。

 

 

 

そう、大人は汚いのだ。

 

 

とは言っても、これ以上の交渉は危険である。

相手は魔王、それも“ 天災級(ディザスター)”の。これ以上機嫌

を損ねると、それこそ町ごと灰燼に帰されてしまう

恐れもある。

 

 

「いいだろう。その条件を受けよう。では、

今回は引き分け、という事で」

 

 

魔王の気が変わらぬ内に、俺はさっさと手を打つ

事にした。

 

 

まだ在庫はあるので、少し多めに容器に入れて

魔王ミリムに手渡す。適当に粘土を焼いて作った

不恰好な容器だが、魔王ミリムは嬉しそうに

受け取っていた。最速、指で掬って舐めている。

 

 

「申し訳ありません。リムル様……」

 

 

「俺を逃がそうとしてくれたのは分かってるよ。

でも今度から気を付けろよ」

 

 

ベニマルがその場に傅きながら俺にそう言うと

俺はベニマル達に気を付けるように言った後、

魔王ミリムを見るとご機嫌になったようだし、

危機は去った。

 

 

「じゃ、町に戻るか」

 

 

 

こうして、俺達は未曾有(みぞう)の天災を乗り切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベニマル達を回復させてから町に戻ろうと

すると、魔王ミリムが付いて来た。

 

 

困ったヤツだ。

 

 

口八丁で上手く言いくるめる事が出来たし、

このまま帰ってもらおうと思っていたのだが、

いきなり失敗したようだ。

 

 

蜂蜜入りの容器(ビン)を大事そうに抱え、俺の隣に

ピタリとくっ付いて離れない。

 

 

狙いは蜂蜜だろうか? まだ在庫はあるものの、

それ以上は渡すつもりはなかった。俺の分が

なくなってしまうからな。

 

 

それよりも……

 

 

 

…なんで一緒ランガ乗っているんだ、こいつ

 

 

 

ランガに跨りながら俺がそう思っていると

 

 

「なあなあ。お前は魔王を名乗ったり、魔王に

なろうとしたりしないのか?」

 

 

なんだか懐かれたようで、道すがらそんな事

を聞いてくる。

 

 

まったく、何言ってるんだコイツは……。

 

 

「何でそんな面倒な事をしないといけない

んだよ?」

 

 

俺が逆に問うと、えっ⁉︎ という顔で戸惑い

を始めた。

 

 

「え、だって……魔王だぞ⁉︎ 格好いいだろ?

憧れたりとか、するだろ?」

 

 

「しねーよ」

 

 

「……え?」

 

 

「え?」

 

 

俺と魔王ミリムには、考え方に大きく差異が

あったようだ。

 

 

意見が合わずにお互いの顔を見つめあった。

 

 

「じゃあ聞くけど、魔王になったら何か良い事

でもあるのか?」

 

 

「え? えっと、強いヤツが向こうから喧嘩

売ってくるのだ。楽しいぞ?」

 

 

「いや、そういうのは間に合ってるし、

興味もない」

 

 

「えええー⁉︎ じゃあ、何を楽しみに生きて

るんだ?」

 

 

「そりゃあ、色々だよ。やる事が多過ぎて大変

なんだぞ? その蜂蜜だって、ようやく最近手に

入れたんだから。他にも欲しいものが沢山あるし、

魔王なんざなってる暇なんてないんだよ。それとも、

魔王の楽しみが喧嘩以外に何かあるのか?」

 

 

「ないけど……魔人や人間に威張れる

のだぞ……?」

 

 

「退屈なんじゃないか、それ?」

 

 

俺の言葉に、雷にでも打たれたような表情に

なる魔王。

 

 

どうやら退屈していたようだ。

 

 

俺の言葉が。図星過ぎて、言葉も出ないのだろう。

 

 

そろそろ町に着くし、魔王がショックを受けて

いるのならそのままお引き取り願いたい。

 

   

「じゃあ話も聞いたし、気をつけて帰れよ」

 

 

上手く切り抜けられたと思ったのだが、

甘かったようだ。

 

 

「待て! おま、お前⁉︎ 魔王になるより面白い

事してるんだろ? ズルイぞ、ズルイズルイ‼︎

もう怒った。教えろ。そしてワタシの仲間に

入れるのだ‼︎」

 

 

駄々っ子かよ⁉︎ と叫びそうになったが、

必死にの努力で我慢した。

 

 

むしろ、子供だと思って接するならチョロイと思う。

先程の対応を思い出してみても、大人である俺から

すれば言いくるめるのは容易だろう。

 

 

こういう場合は、深読みしてはいけない。

上手く我が侭をかわしつつ、こちらの意図する

通りに話を持っていくのが肝心である。

 

 

この時点で、俺の中では魔王ミリム=親戚の子供、

くらいのイメージに落ち着いていた。

 

 

「わかったわかった。教えてやるよ。ただし、

条件がある。今度から俺の事はリムルさん、と

“ さん” 付けで呼べよ? 」

 

 

「何ぃ、ふざけるな! 逆なのだ。お前がワタシの

事をミリム様と呼べ! というか、お前、さっきから

ワタシを呼び捨てにして──」

 

 

 

まずい。ちょっと調子に乗り過ぎたか?

見た目と中身は子供だが、“ 天災級”の実力者を

怒らせるのは危険だ。

 

 

「まあ、待て。勝負に引き分けたんだし、

それはいいだろ?」

 

 

「む、むう……」

 

 

「よし、じゃあこうしよう。お前の事はミリムと

呼ぶ。お前も俺の事をリムルと呼んだらいい。

どうだ?」

 

 

「むむむ……。そうだな、わかった! お前に

ミリムと呼ぶ事を許してやる。感謝するのだぞ?

こう呼んでいいのは、ワタシの仲間の魔王達だけ

なのだ」

 

 

「ありがとうよ。じゃあ、今日から俺達も

友達だな」

 

 

「 ──⁉︎」

 

 

激しく火花を散らし、言い合いをしてから一転。

 

 

お互いに名前を呼び捨てにする、という事で

話は纏まった。

 

 

「じゃあ中を案内するけど、勝手にウロチョロ

するなよ?」

 

 

「わかったのだ、リムル! エヘヘッ」

 

 

なんだか魔王ミリム──いや、ミリムのヤツ、

妙にご機嫌になったな。

 

 

「よしよし、素直だな。では、俺の許可なく

町で暴れないように。約束しろよ?」

 

 

「勿論なのだ! 約束するぞ、リムル!」

 

 

しめしめ。コイツ、思った以上にチョロイな。

 

 

これで一応は大丈夫だろう。

 

 

「……流石はリムル様だ。こうも簡単に魔王ミリム

を手懐けるとは──」

 

 

「リムル様なら当然です!」

 

 

「──俺は先にリグルド殿に知らせるとしよう。

間違って魔王を怒らせる者が出ないように、な」

 

 

という話し声が聞こえたので、ベニマル達も

文句はないのだろう。

 

 

──文句があったとしても、魔王相手には

どうしようもないんだけどな。

 

 

そう思いつつ、俺はミリムを案内しながら

町へと入ったのだった。

 

 

ちなみに、勝手に魔王から制裁を受ける場合

があるらしい。

 

 

というか、実力を証明出来ないと排除される

のだそうだ。

 

 

危なかった。非常に危なかったと言える。

 

 

ミリムに言われるまま魔王を名乗ったりして

いたら、本物のに目を付けられてしまう所だった

のである。

 

 

ミリムも本物の魔王だというのは置いておいて、

俺は一つの危機を知らずに回避していたのだ。

 

 

後でその話を聞いた時、俺はその時拒否した

自分を褒めてやりたい気分になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町の中をミリムを案内して回る。

 

 

それは、思った以上の重労働であった。

 

 

小さい子供を連れてレジャーランドに行った経験

のある方なら、想像出来るだろう。

 

 

目を離すといなくなる。まさにそんな感じである。

 

 

「おいぃ! 勝手に走るなと言ってるだろうが!」

 

 

「わははははは! こっちだ! これは何だ⁉︎」

 

 

「聞け! いいから、落ち着いて俺の話を

聞くんだ」

 

 

「わははははは! 何だ一体? 聞いているぞ?」

 

 

どう見ても聞いてない。不思議な程のハイテンション

を前回にして、走り回っている。

 

 

「おお、リムル様ではありませぬか。

丁度良かった、試作品が完成したので持って

参った所です」

 

 

町に入った俺達の前に、箱を抱えたガビルが

現れた。

 

 

タイミングが良いのか悪いのか。

 

 

「おお、龍人族(ドラゴニュート)ではないか。わははははは!

珍しいな、頑張っておるか?」

 

 

「おう、見慣れぬ娘であるな。

吾輩はドラゴニュートのガビルと申す! 

リムル様の腹心にして、秘薬の開発を任されて

おる。お前も新参か、チビッ娘よ?」

 

 

 

 

 

──ブチッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがジュラ・テンペスト連邦国(れんぽうこく)か…随分と

賑やかだな……」

 

 

「昔と比べると想像出来ないほどの町並み……」

 

 

ローブを纏い仮面付けた女性とローブを纏った

人物が活気に溢れている町を見てそう呟いていた。

 

 

「分かっていると思うけど、あんまり目立った

行動はしないようにしてね」

 

 

「分かってる……」

 

 

ローブを纏った一人がローブを纏った仮面の女性

がローブを纏った人物に小さな声で返事する。

 

 

「あれは……」

 

 

「どうしたの?」

 

 

ローブを纏った人物は仮面の女性に聞いて彼女

が向けている場所に視線を向けると

 

 

「ああん? 今、何て言ったのだ? チビッ子───それはまさかワタシの事か?もしかしてお前、ぶち殺されたのか?」

 

 

そこには先程ニコニコしていたのに突然、

豹変したミリムがいた。

 

 

どうやらガビルにチビッ娘と呼ばれたのが

気に食わなかったらしい。

 

 

ガビルの頭を鷲掴みにして引き寄せるなり、

拳を腹にめり込ませたのだ。

 

 

「ミリムめ…相変わらずの容赦なさだね……」

 

 

ローブを身を纏った人物がドン引きしながら

そう呟く中、

 

 

そんなミリムを止める暇などある訳がない。

 

 

ゴフゥ! とか言いつつ、一撃で死亡寸前まで

追い込まれるガビル。

 

 

ちょ、ちょっと待って⁉︎ 俺の許可なく暴れない

という約束は……?

 

 

リムルは内心焦りながらそう思っていると

ミリムがガビルを見て

 

 

「いいか? ワタシは今、とても機嫌が良い。

だからこれで許してやるのだ。次はないから、

気をつけるのだぞ?」

 

 

と、言いますか……それ以上やったら、死ぬ。

 

 

これで許すもなにもない。絶妙な力加減で、

死ぬ間際で止めている感じだ。

 

 

ミリム、恐ろしい娘! おそらくは『竜眼』で

見抜けるのだろうけど、本当に恐ろしいヤツで

ある。

 

 

ガビルが持っていたのが回復薬の試作品で

良かった。早速使用してみると、ガビルの傷が

消えていった。

 

 

 

「ブハァ⁉︎ 我輩の親父殿が、川の向こうで

手を振っているのが見えましたぞ!」

 

 

と叫びながら目覚めるガビル。

 

 

「なんだ、余裕そうだな。お前の親父はまだ

生きてるだろう」

 

 

呆れながら言うと、ガビルは慌てたように言い直す。

 

 

「あ、そうでしたな。失敬失敬。ですが、死に掛けた

のは本当なのですが……そちらの少女──おっと、

お嬢様は一体……?」

 

 

「ああ、ソウエイが今リグルドに知らせに行っている

んだが、洞窟にいたお前には伝わってなかったみたい

だな。コイツはミリム。なんでも魔王らしいぞ?」

 

 

「は、え? はぃいーー⁉︎ 魔王ですとぅ⁉︎」

 

 

 

ガビルはオシッコを漏らしそうな勢いで驚いて

いる。

 

 

うん、気持ちはわかる。俺はガビルが落ち着くのを

待ち、ミリムがこの町に暫く滞在する事を説明を

した。

 

 

「なるほど……。どうりで、強烈な一撃でしたわ。

吾輩、よく生きていましたな……」

 

 

「ああ、暴れないように約束していたからな。

流石に殺す気はなかったんだろ」

 

 

「わはは、当然なのだ。あれは軽い挨拶なのだぞ」

 

 

 

嫌だな、そんな挨拶。

 

 

 

しかしこうなると、暴れないという約束なんて

当てにならないかもしれない。

 

 

俺達からすれば大惨事でも、ミリムの主観では

スキンシップという事も有り得そう。皆には十分に

注意するように伝えねばなるまい。

 

 

「後で洞窟に行くから、ベスターにも伝えて

おいてくれ」

 

 

「承知しましたぞ」

 

 

ガビルはペコペコしながら去って行った。

あんな目にあったというのに、案外元気そうだ。

回復薬の性能がいいのか、ガビルがタフなのか。

両方かもしれない。

 

 

 

ミリムも鷹揚に頷き、手を振っている。

 

 

 

そして、何事もなかったのように振り向いて言う。

 

 

「アイツ、結構頑丈だったな! 今度はもう少し

強めでいっとくか?」

 

 

俺に聞かないで欲しい。心底そう言えば思う。

 

 

「あのな、怒っても直ぐに殴ったりしたら

駄目だぞ?」

 

 

「む? ワタシを怒られる方が悪いのだ。

それに、あのくらいは挨拶の内だぞ?」

 

 

いやいやいやいや、あれは挨拶ではないぞ。

 

 

「殴り合いは挨拶じゃないから、それは禁止で!」

 

 

「そうなのか? でも、最初にガツンといかない

と舐められるし……」

 

 

「いや、駄目だから! この町の者にはミリムに

舐めた態度は取らないように、きちんと俺から

言い聞かせておくから」

 

 

「む、そうか? ならば任せるのだ」

 

 

「お、おう。じゃあ、手が出さないように

気をつけてね」

 

 

今はそう注意する事しか出来ない。これから

少しずつ、ミリムに常識を教えていく必要が

ありそうだ。

 

 

魔王ミリムの逆鱗は結構色々ありそうなので、

被害者がガビルだけで済む事を祈る俺だった。

 

 

 

俺がそんな事を考えていると

 

 

 

 

「ん……?」

 

 

背後の少し離れた場所にローブを纏って剣と刀を

腰に携えた二人が立っていた。

 

 

(誰だ? あの二人は……? エレン達の様な

ブルムンドの冒険者達なのか?)

 

 

俺がローブを纏った二人を見てそう考えて思考を

巡らせていると

 

 

「すまないけど、少し時間は良いだろうか?」

 

 

ローブを纏った二人のうちの一人が俺に近づいて

来て話しかけてきた。

 

 

「ん? あぁ、構わないよ。二人は冒険者なのか?」

 

 

「いや、僕達は冒険者じゃなくて様々な場所を

転々として旅するしがないただの商人ですよ」

 

 

「そうか、商人なのか……だったら様々な珍しい

商品とか取り揃えているのか?」

 

 

「ええ、それはもちろん沢山ありますよ。

魔国の国のジュラ・テンペスト連邦国盟主、

リムル=テンペスト様」

 

 

「あれ、なんで俺の名前を知っているんだ? 

そもそも俺達初対面だと思うんだけど?」

 

 

「僕達は商人ですから商人の繋がりがあるので

そのツテでこの国の事や貴方の事を知りました」

 

 

 

「そうなのか? 随分と有名になったな……

この国は……」

 

 

俺が自分の作った国にしみじみと思いながら改めて

そう関心していると

 

 

「なので是非ともご贔屓していただければと

思っています」

 

 

「そうか、分かったよ。そういえば名前は

あるのか?」

 

 

「名前ですか? ありますよ。僕の名前は

『ロムルス』とそう呼んでください」

 

 

 

「ロムルスだな、知っているみたいだから必要ない

と思うけど改めて自己紹介をさせてもらうぞ。

俺はリムル、リムル=テンペストだ。

よろしくな‼︎」

 

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

 

 

リムルはそう言ってロムルスと握手をする。

 

 

 

「ところでお姉さんの名前は?」

 

 

 

「わ、私は……」

 

 

 

リムルがローブを纏って仮面を付けている彼女に

近づいて名前を聞くと彼女は戸惑いながらも答え

ずらそうにしていた。

 

 

 

「彼女の名前は『ウツロ』と言います。

因みに彼女は僕の弟子であり助手です」

 

 

 

「そうか、ウツロさんって言うのか……

俺はリムルって言うんだ。よろしくな‼︎」

 

 

 

「よ、よろしくね……」

 

 

 

ウツロはリムルにそう言って更に戸惑いながら

もリムルと握手することを躊躇っていると

 

 

 

「ほら、握手しようぜ‼︎」

 

 

 

「う、うん……」

 

 

 

リムルはそう言ってウツロの手を取り握った。

 

 

 

「とりあえず、宿屋に泊まりたいんですがこの町

に来たばかりで道に迷ってしまってどこにある

のか分からなくて教えてもらるとありがたい

んですけど」

 

 

ロムルスがリムルに宿の場所に聞くとリムルは

笑顔で

 

 

「宿屋ならあの角を曲がったところに宿屋がある

から是非ともゆっくりとテンペストに滞在して

堪能していってくれ‼︎」

 

 

「はい、そうさせてもらいます。では……」

 

 

ロムルスはリムルにそう言ってその場を去ろう

とするが──

 

 

 

 

 

「ウツロ……?」

 

 

 

ウツロと呼ばれた彼女は俯きながらその場から

動かないでいた。

 

 

「ウツロさん……?」

 

 

リムルも心配したのか彼女の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

「リムルさん……いや、スラ─「ウツロ」

 

 

 

ウツロがリムルに何か言おうとしたがロムルスが

彼女、ウツロの言葉を一瞬にして遮る。

 

 

「これ以上、リムル様に迷惑を掛けたら

いけないよ」

 

 

「い、いや……別に俺は迷惑だなんてこれっぽっち

も思っていないぞ?」

 

 

「いいえ、リムル様のお気遣いは有難いですが

これ以上、リムル様のお手を煩わせる訳には

いきませんし、それにこれは僕と彼女の問題

なので気遣いは無用です。だよね、ウツロ?」

 

 

「………」

 

 

ロムルスがウツロにそう言うがウツロは俯いて

黙ってしまった。

 

 

「分かっているよね? ウツロ?」

 

 

「……うん」

 

 

ウツロはロムルスにそう言って視線をリムルに

向ける。

 

 

「リムルさん……どうやら我が儘を言ってしまい

ました。すみませんでした……」

 

 

ウツロはそう言ってリムルに頭下げて謝罪する。

 

 

「いやいやいや! さっきも言ったけど、

俺は別に迷惑だと思ってないし、気にしてない

から頭を下げなくても大丈夫だよ‼︎」

 

 

リムルがウツロに言って頭を上げるように慌て

ながらそう言うとウツロは素直に頭を上げる。

 

 

「とにかく、宿屋の場所を教えていただき

ありがとうございます。では、すぐにでも

向かってみようと思います」

 

 

ロムルスはリムルにそう言ってお礼を言う。

 

 

 

「それじゃあ、行くよ。ウツロ」

 

 

 

ロムルスはそう言った後、ウツロも来るように言う。

 

 

「分かった……」

 

 

 

ウツロはそう言ってロムルスについて行く。

 

 

 

「それではリムル様、失礼します」

 

 

「あ、あぁ……」

 

 

ロムルスはリムルにそう言って宿屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はロムルスさんとウツロさんを見送った後、

すっかり、ミリムの案内をしなければならない

といけないことを忘れていた。

 

 

とは言っても、もう直ぐ夕飯の時間だ。

 

 

仕事を終えて皆が集まる頃合なので、全員に紹介

しておく事にした。

 

 

ソウエイのお陰で、小さな暴君の噂は町に知れ

渡っている。だが、その姿きちんと覚えておいて

もらった方が安心だろう。間違ってもチョッカイ

を出す馬鹿はいないと思うが、念の為だ。

 

 

町の住民に、大広場に集まるようにアナウンスを

行った。すると、仕事を終えた住民が、続々と

集い始めた。

 

 

 

そんな時、

 

 

 

 

《告。個体名:ロムルスとウツロに対してほんの

僅かでありますが違和感を感じました》

 

 

 

と『大賢者』が俺にそう言ってきた。

 

 

 

えっ? 違和感って、どういう事なんだ?

 

 

《告。現段階では情報が不十分であった為、

『先程の会話の情報』と『とある可能性』を

擦り合わせて照らし合わせることで『ある予測』

とはなりますが導き出しました》

 

 

 

ある予測……? それは一体、なんなんだ?

 

 

 

《解。恐らくですが、何かしらの方法によって

『自身の偽りの存在と姿を作り出して行動して

いる』のではないかと、しかし現在ある情報では

そのぐらいの情報しか予測が出来ませんでした》

 

 

 

マジかよ…そんなことが出来てしまうスキルが

あるのかよ……もしも『大賢者』の言うことが

本当だったのならそれってマジでヤバイじゃん‼︎

チートじゃん……ッ‼︎

 

 

 

しかし、そんな僅かな時間と情報しかなかった

のにそこまでの予測を導き出すなんてさすがは

頼れる『大賢者』さんだよな‼︎

 

 

 

《是。個体名:ロムルスとウツロ、彼等を信頼を

するのはとても危険です。故に個体名:ソウエイ

などの隠密に彼等の行動を監視をしてもらう事が

最善であると推奨します》

 

 

 

ふーん、まさか『大賢者』がここまで言うとは

思わなかった。出来ればあの二人を疑いたくない

という自分がいるけれどもし、『大賢者』の言う

通りテンペストに害を成す危険な存在だったと

しても……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後には彼等とも分かり合えると俺は信じたい。

 

 

 

 

甘いと思うだろう。でも一応、念の為に『大賢者』

の言う通りソウエイやソーカ達、隠密に頼んで彼等

の行動を監視してもらう様に指示を出しておこう。

 

 

 

リムルはそう考えを整理した後、ロムルス達が宿屋

に向かった道に一瞬、視線を向けて眺めながらも

自分よりも先に向かったミリムがまた暴れてないか

心配になったので急いでミリムの元へと向かった。

 

 




最後まで読んでいただき本当にありがとう
ございます‼︎


果たしてリムルに接触してきた『ロムルス』と
『ウツロ』と名乗る商人達は一体、何者なのか?


勘のいい皆さんはもしかしたら本当は一体、
誰なのかはすぐに想像つくかもしれませんね。


もしもよければ、『他の投稿している作品』
楽しんで読んでもらえれば本当にありがたいです‼︎
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