『転生したらスライムだった件小説22巻』発売と
作者である『伏瀬さん』そして『みっつばーさん』
本当におめでとうございます‼︎
それと、映画第二弾『蒼海の涙編』が2026年
二月に公開決定しました‼︎
そんな『小説発売』と『映画公開』の記念として
今回は出来るだけ急いで他の投稿してる作品よりも
『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』
『最新話』を優先して更新をさせてもらいました。
上手く楽しいお話に仕上がっているか豆腐のような
とても脆くて繊細なメンタルの自分としてはとても
不安です……(汗)
【お気に入り】や【投票】、【しおり】そして
【感想】などの『応援』していただけると本当に
ありがたいです‼︎
最後まで読んでいただけたらありがたいです‼︎
夕飯も終わり、自慢の風呂場に案内する事にした。
ドワーフ渾身の代理石で出来た浴場は、何時でも
温泉を湛えて入浴可能なのだ。
シュナとシオンに連れられて、ミリムも大人しく
付いていっている。
普段ならスライムの姿となり、さり気なく交ざって
一緒に入るのだが、今日は流石に遠慮した。ミリム
がいない間に、今後の事を話しておく必要がある。
会議室に移動し、皆に本日の出来事を話して
聞かせた。
「それにしても、いやはや……。まさか魔王自ら
やって来るとは思いませんでしたな……」
リグルドが頭を振るつつそう呟いた。
そう言いたくなる気持ち良くわかる。何しろ魔王
本人がやって来るなど、まるっきり考えても
みなかったのだから。
「でもまあ、一応は許可なく暴れないと約束して
くれてるし、大丈夫だろ?」
俺も自信がないが、その言葉を信じるしかない
のでそう言ってみた。
「いや、しかし……気になるのは、他の魔王達の
出方じゃないか?」
とカイジンが言い出した。
その意見に思う所があるのか、ハクロウやベニマル
も頷いている。
「どういう意味だ?」
俺にはわからなかったので、素直に聞いてみた。
「いや、魔王は何名かいるんですが、お互いが牽制
し合っているんですよ。今回、リムル様がミリム様
と友達だと宣言したという事は、この町も魔王
ミリムの庇護下に入る事を意味します。本来なら
それは望ましい事かも知れませんが──」
「──リムル様は、ジュラの森大同盟の盟主──
ひいては、ジュラ・テンペスト連邦国の総統という
立場にありますのじゃ。つまり、このジュラの
大森林が、魔王ミリムと同盟を結んだ、そういう風
に他の魔王達の目には映るでしょうな」
「そうなれば、今まで配下を持つ事なかった魔王
ミリムの勢力が一気に増す事になり、魔王達の
パワーバランスが崩れる。その時──打つ手を
間違えればこの森も戦火に包まれる事になるかも
知れないという話しです」
カイジン、ハクロウ、そしてベニマルと話が
続いた。
なるほど、深く考えていなかったが、俺の行動に
この森までも巻き込まれる恐れがあるのか。
だがしかし……。
「しかし実際にですぞ、魔王ミリム様を止めよう
としても無理でしょう?」
リグルドが三人に向かって意見を言った。
確かにそうだ。全員でかかっても無理そうだ。
だからこそ、俺としても飽きて去ってくれるのを
待つという消極的な策を取ったのだし。
「そうなんだよな。正直言って、アレは別の次元の
強さだった。勝てるとか勝てないを論じる階段の話
ではない。リムル様がいなければ、俺達は今頃生きて
はいないのだからな」
「──その通りだ。どちらにせよ、他の魔王が敵対
するというのなら、そいつ等を相手にする方がマシ
だろう。魔王ミリム、アレは正しく天災だ」
リグルドの言葉を受けて、ベニマルが本音を漏らす。
そしてそれをソウエイが肯定する。それが決め手と
なり、他の手段がなかったのだから仕方ないという
風に落ち着いた。
今後の対応としては、敵対する魔王が現れてから
考えるという、投げやりな感じに話は纏まった。
そして、肝心のミリムへの対応としては──
「ではミリム様のお相手は、
に全てを任せるという事で、皆さんそれに異存は
ありませんね?」
「「「異議なし‼︎」」」
何ッ⁉︎ ベニマル、貴様‼︎
そう思った時には既に手遅れ。いつも俺がしている
”丸投げ”を、逆にやられてしまう事になってしまう
事になってしまったのだ。
「それに、魔王ミリム様といえば、最強最古の魔王
の
おりますしのう。今回ばかりはリムル様にお任せ
する他ありますまいて──」
というハクロウの言葉が止めだった。
そんなに危険な存在だとは思わなかったが、
それならば仕方ない、と俺は溜め息を吐く。
どちらにしても、他にミリムのご機嫌取りが
出来そうな者はいない。ここは子供の相手が得意な
俺が、一肌脱ぐしかなさそうである。
魔王ミリムは俺が担当する、という暗黙の了解が
成立してしまったのであった。
風呂から上がると、ミリムは既に眠そうに
していた。
なんでもお風呂で大はしゃぎしたらしい。
まあ、泳げる程広い風呂場など、この世界では
珍しいだろうからわからなくもない。
一般的な庶民は水浴びで済ませるそうだし、
貴族でさえも小さな浴槽にお湯を張る程度しか
しないそうだから。余程裕福な国でなければ、
お風呂などとは縁がないそうだ。
まあ、風呂に関しては俺が拘った。言ってみれば
俺の我が侭で、素晴らしい施設となっている。
なので、喜んでもらえたのなら俺も満足なのだ。
シュナに頼んで、客用の寝室に連れて行ってミリム
を寝かしつけてもらう。
ここにはベッドはない。畳モドキと布団なので、
文句を言わないといいのだが……。
そう思ったが、それは杞憂だったようだ。ミリムは
快適そうに、直ぐに眠りに落ちたそうである。
こうして、魔王ミリムのテンペストの生活が
始まり、何とか一日目が終わった。
だが、ミリムが巻き起こす旋風は、まだ吹き始めた
ばかりだったのである。
「この町、テンペストには様々な娯楽などが
あって興味深いな……」
「物凄く発展して綺麗な町……」
グレイとシズはテンペストの灯りが灯っている
夜の町を歩いていた。
周囲のにはボブゴブリンやゴブリナなどが販売を
している様々なお店や露店があり賑やかで活気が
溢れていた。
「お客さん、串焼き肉は如何ですか?
あのリムル様が絶賛した串焼き肉なんですよ!」
そう言って恰幅が良く壱の書いたエプロンを
着ているボブゴブリンがグレイとシズに笑顔で
声を掛ける。
「それ程なんですか?」
「そうだよ! ゴブイチさんの串焼き肉は絶品
なんだから‼︎ というか、リムル様のお知り合い
だよね?」
ゴブイチの隣にいたゴブイチの手伝いをしている
ゴブリナがそう絶賛しながらグレイとシズに接客
をして来る。
「リムル様とは知り合いと言うよりいつもご贔屓に
してくださるただのしがない商人ですよ。それに、
リムル様が絶賛する程の串焼き肉ですか……」
「そうだよ。秘伝のタレがしっかり付いていて
とっても美味しいんだよ。ほらっ!」
グレイはゴブリナにそう言うとゴブリナは更に
串焼き肉の美味しさを説明しながらゴブイチが
焼いた熱々の一本の串焼き肉を両手でグレイに
渡してくる。
一本の熱々の串焼き肉を受け取り匂いを嗅いで
みると温かい湯気ととても香ばしいタレの匂い
が鼻をくすぐってくる。
すると、
きゅるるるる……
「ん? 今の音は……?」
随分と可愛らしい音が鳴ったようだが?
グレイはそう言って音が鳴った方向に視線を
向けると
「い、いや、今のは私じゃなくて……ッ‼︎」
仮面越しではあるがシズは恥ずかしかったのか顔を
真っ赤にしながらあたふたと慌てながら涙目で
お腹を抑えてブンブンと左右に首を振っていると
「遠慮しなくていいから‼︎ 是非、受け取ってよ。
お客さんを空腹のままにさせるわけにはいかない
からね! ねっ? ゴブイチさん」
「そうだね。お客さんをお腹すかせたままにして
おくなんて、料理人としては見過ごせないからね」
ゴブイチはそう言って数本の串焼き肉を包んで
グレイに手渡した。
「すまないね。その串焼き肉はいくらかな?
ちゃんと支払いはするから」
グレイがゴブイチにそう言うって懐から通貨の
入っている袋を取り出そうとすると
「今回、お代はタダでいいよ。それにリムル様の
お知り合いならなおさらだよ」
ゴブイチはそう言うとグレイは最初は困っていたが
後から納得したのか
「分かりました。それでは、そのご厚意に甘えさせて
いただきます。でないと、僕の連れがあまりの空腹で
どうやら我慢出来ないみたいですから」
「ちょ、ちょっと……ッ‼︎」
必死になってグレイとゴブイチの会話を遮るかの
ように更に顔色をトマトのように真っ赤になって
いると
「大丈夫、遠慮しなくてもいいんだよ。
ほらほら、この串焼き肉が欲しいでしょ?」
「だ、だから…‼︎ 私は──ふぐっ‼︎」
グレイがそう言っている中、シズはグレイに何か
言おうとした瞬間、「そりゃ‼︎」と言ってかなりの
熱々であるはずの串焼き肉をシズの開いている
小さな口の中になんの躊躇いなくねじ込んだ。
「ッ〜〜〜〜〜‼︎」
「お味はどうかな? 美味しい?」
肉汁がとても熱かったのか冷まそうと口の中で
はふはふと一生懸命に熱さと格闘してリスのように
もぐもぐと頬張って食べているシズを見たグレイは
これは面白いといった笑顔でシズに串焼き肉の味
の感想を聞くと
「……んぐっ、お、美味しい……です」
シズはゴクリ、とグレイにねじ込まれた串焼き肉を
飲み込んでとても美味しかったのか俯きながらも
小声でモジモジとしながら言うと
「はっはっはっ‼︎ そう言ってくれるなんて
こちらも料理人冥利に尽きるよ‼︎」
美味しいという言葉を聞いて嬉しかったのか
ゴブイチは大きな声で笑いながらそう言うと
「そうですね‼︎ さすがはゴブイチさんです‼︎」
ゴブリナは笑顔でゴブイチを褒めていた。
「それではこの串焼き肉はもらいますね。
本当にありがとうございました」
「失礼します」
「また、来てくださいね!」
「また来てくれると、こちらとしてもとても
ありがたいよ!」
グレイとシズはゴブイチとゴブリナにそう言うと
ゴブイチとゴブリナは嬉しそうな笑顔でグレイと
シズにそう言うとグレイとシズはゴブイチの屋台
を離れた。
「はむはむ……んぐっ、意外と美味しいんだね。
さすがはリムル=テンペストが賞賛する串焼き肉
だけはあるね。料理としては原始的でシンプル
だけど絶妙な味付けだ」
この町、テンペストを見渡せる丘の上でグレイは
そう言って串焼き肉をもぐもぐと頬張りながら
ゴブイチ達からもらった串焼き肉を言って評価を
する。
「ねえ……」
「けど、もう少し味付けのレパートリーを
増やしてほしいのが正直なところかな……」
「ねえってば‼︎」
「ん? どうしたの? ああ、もしかして
まだ、お腹が空いているのかな?」
「ち、違う‼︎ 違うよ……ッ‼︎」
背後から何度も聞こえてきたシズの声に気付いた
のか振り返ってシズがお腹が空いたのかと思った
のか包みから串焼き肉を取り出してそっとシズに
差し出すとシズは涙目になりながら否定する。
「そっか、後で欲しいと言っても遅いからね?」
「そ、そんなこと言わないから…ッ‼︎」
「えっ? 本当に大丈夫なの? さっきまで
お店の前であんなにも可愛いらしいお腹の音を
鳴らしていたのに?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ‼︎」
僕がシズにそう言うとシズは悲鳴にならない声を
出していた。
どうやらシズにとってさっきの腹の音の件はかなり
恥ずかしいことだったらしい。
しかし、なぜだろうか……シズのこの表情や仕草を
見ていると、もっとイジリたくなってくる欲求が
溢れてくる。
「シズもついに腹ペコキャラにジョブチェンジした
んじゃないのかなっっっとぉ危なぁい!!!」
僕がシズを更にイジっているとヒュン、と音がして
嫌な予感がしたので避けてよく見ると鋭くてとても
速い斬撃の一線が目の前に飛んできた。
「さっきからそのことばかり言っているよね。喧嘩を売っているなら私は喜んで買うよ?」
僕はシズの顔を見た、シズは笑っていた。
ただ口だけ。それ以外は一切、笑ってなかった。
どうやらこんな状況になった原因は揶揄い過ぎ、
それがよくなかったようだ。
ゴゴゴゴゴ、と背後からイフリートと長く同化して
いた
の力が混ざり合ってかつてないほどに上へと立ち
昇って、とてつもない威圧感が出ている。どうやら
大層お怒りのご様子だ。
シズは僕にそう言って腰に携えていた剣はすでに
鞘から引き抜かれておりこちらに向いて構えて
いる。
「ちょ、ちょっと⁉︎ こんな場所でむやみやからに
そこまで
かもしれないかもしれないから──」
「今それ関係ないよね?」
グレイは慌てながらシズにそう言うがシズはそんな
グレイの言葉に構わずゆっくりとだが、グレイに
近づいて来る。
「それに僕達の存在が他の人達にバレてしまったら
かなり大変な事になってしまう」
「そんな事? それより、まず言うことがあるんじゃないかな?」
シズはグレイに笑顔でそう言って更に近づいて
来る。しかし、目は笑っていないが表情は笑って
いるその不気味なシズの笑顔にグレイはとてつも
なく恐ろしく感じた。
その瞬間、
(あっ、これはマズイ……)
グレイは一瞬で理解した。
今のシズを更に怒らせてしまうのは決して賢い選択
ではないと
「あ、あの、ですね……」
「言うことは?」
グレイが言おうとした瞬間、シズのハイライトの
ない瞳の笑顔でグレイに聞いてくる。
「やり過ぎました。ごめんなさい」
グレイが素直に謝罪の言葉をシズに言うと
「……今回は許してあげる」
ほんの僅かな間ではあったがシズはグレイの謝罪を
受け入れたのか瞳に光が出てきてそう言った瞬間、
シズが溜め息を吐きながら出していたかつてない
ほどの
は嘘のように消えて抜いた剣は一瞬にして鞘に
収めた。
「よ、よかった……」
本当によかった。あの状態のままでは生きた心地が
しなかったから。シズの対処は可能だけど
へとなったシズと今この場で戦ってしまったら誰か
にバレてしまう可能性どころかかなり被害を招いて
しまうので本当に収まってよかった。
グレイがそう思考を巡らせながら考えていると
「そんなことより、どうするつもりなの?」
「どうするつもりっていうのは?」
グレイはシズの言っている意味がわからないと
首を傾げる仕草をしながらそう言うと
「惚けるつもりなの? スライムさんの細胞を
どうするつもりなのかって聞いているんだけど?」
うっ! 困ったなぁ……さっきの串焼き肉の件で
リムル=テンペストのスライム細胞の件は忘れたと
思ったんだが……
「ねえ、どうして?」
シズは真剣な表情でグレイに聞いてきた。
どうやら理由を答えないとシズは納得しない
だろう。
仕方ない……。
「シズの疑問に答えるのならば、そうだねぇ……
強いて言うなら『
「ッ⁉︎ 戦力の強化…? それって、どういう──」
グレイがそう答えるとシズは驚いた表情をして
その言葉の意味を聞こうとするが
「今、シズに答えられるのはここまでだね。
さてと、もうこんな時間になったみたいだから
そろそろ宿屋に戻るとするか……ん?」
グレイはシズの言葉を遮るように言って手に持って
いた包んである僅かな串焼き肉をパクリと全部、
口の中に入れてもぐもぐと咀嚼してそしてゴクリ、
と飲み込んだ後、グレイの雪のような白い頬の肌
に串焼き肉のタレが付いていたのに気が付いたのか
親指で頬に付いていたタレを拭き取ってペロリと
舐める。
「シズも遅くならないようにきちんと宿屋に帰って
来るんだよ。シズみたいな美少女はすぐにナンパとか
されやすいし夜更かしをし過ぎると女の子にとっては
美容には良くないって聞いたから」
「あっ! ちょ、ちょっと……‼︎」
シズに言ってシズに背を向けながらゆっくりと
歩きながらその場を後にしようとするとシズは
グレイを呼び止めるが気が付いた時にはグレイ
はその場を去っていた。
「行っちゃった……それにしても……」
シズはグレイが去った道を見届けながらそう呟いた
後、視線をそれぞれの家に灯っているこの町、
テンペストに向けながら
「目の前にスライムさんがいるのに、こんなにも
もどかしいなんて……」
シズはそう呟きながらしゃがんでリムルがシズの
ために作った『
触っていた。
私が死んだ後、スライムさんが私のためにこの町を
よく見渡せるようにとこの見晴らしがいい丘の上に
私のお墓を立てたのだと魔王グレイから聞いた。
だから魔王グレイは私の墓があるこの丘の上に
連れてきたんだろう。
本当に素直じゃないなぁ……。
でも、魔王グレイには感謝はしている。本来ならば
もう二度と会えないはずの恩人であるスライムさん
にこうして会わせてくれたのだから……
それに自分の姿でいろんな人達と楽しく暮らして
いる姿を見て私が一度、死んだ意味はあったんだ
と私は改めて思った。
だけど、
「それにしても、どうしてなんだろう……
少しだけ、寂しいなぁ……」
シズはそう呟きながら自分の墓とリムルが住んで
いるテンペストの町を眺め
そして、
シズの頬につぅー、と綺麗な”一筋の雫”が
流れ落ちていた。
その時、頬にその流れ落ちた雫は『嬉しさ故の雫』
なのかそれとも『悲しさ故の雫』なのかは流した
シズ本人さえもまったくわからなかった。
明けて翌日。
その日は朝から大忙しだった。
まず、朝一番にミリムを起こしたのだが……。
「何で早起きせねばならぬのだ!」
と言って、ぐずるぐずる。
なんとかミリムに服を着替えさせ、身支度を
整えた。
ミリムの服装は露出度が高すぎたので、昨日の内
に用意してもらったのだ。
取り敢えずはありあわせの衣装だが、元が美少女
なので何を着ても似合うようだ。
「動きにくいのだ」
「そうか? 似合ってるから、そっちの方が
いいんじゃね?」
と適当に宥めたのだが、急にご機嫌になった
のでよしとしよう。
それにしても、子供って本当に単純である。
続いて、朝食だ。
パンモドキと果物のジャム、そして牛乳──
いたら、皆もそう呼ぶようになったのだ──
である。それに、熱々の野菜スープが付く。
ジャムはロムルスが持ってきたサトウキビを
ふんだんに使って煮込んでから粗熱を取り、
密閉して冷まして固めた。なんという果物かは
知らないが、シュナのお手製と砂糖のおかげで
俺が前世で食べたジャム以上に甘くて美味しい。
俺からすれば甘さよりも酸っぱさが勝つと思って
いたのだが、サトウキビのおかげで予想以上の甘さ
で甘味に飢えたこの世界では数少ない僅かな贅沢品
なのだ。この町の一般的な朝食は、野菜スープの
残りとパンモドキが主流なので、前世と同じ再現度
であるサトウキビを使ったジャムが出るだけ高待遇
という感じなのだった。
「ウマーーー‼︎ これは美味しいのだ‼︎」
ミリムは大絶賛してしつつ、朝食を食べている。
お気に召したようで、何よりだ。
ミリムが朝食を食べている間に考える。
俺が担当する事になったのはいいが、果たして
普段と同じ行動を取ってもいいのか?
建設現場の視察、農業の視察、武具製造工場の
視察、食料貯蔵庫の在庫確認、その他。
俺の仕事の大半は、視察がメインだ。そこで軽く
打ち合わせをして、今後の方針を確認するのが
役割となっている。
他にも、町で起きたトラブルがあれば、俺が調停
を行う場合もあった。
多種多様な種族が集団で生活をする以上、皆が
守らねばならない規則が必要となる。村や集落
といった規模ではなく、万単位の連邦国となった
今なら尚更だ。
法律というものを制定する程の余裕はないので、
結局は大まかな規則に則って皆は暮らしている。
なので、意見が食い違ったり揉め事が起きそうな
場合は、俺に判断を委ねてきたのだ。
とはいえ、リグルド達が大抵は解決してくれる
ので、俺に問題が回ってくるのは余程の場合に
限るのだが。その辺は皆が俺に気を遣い、面倒を
かけないようにと心がけてくれているようだった。
案外、魔物達の協調性が高い驚きである。
皆が不満を持たないのは不可能だろうけど、
トラブルを起こすくらいなら俺の判断に委ねる
という風習が、いつの間にか出来上がったのだ。
だが、今の所そうした件の予約はない。
調停依頼があった場合は、一週間以上前に俺に連絡
が来るのだ。何しろ、双方の意見を聞き取ったり
証拠集めをしたりする時間が必要だから、予約制
なのは当然である。
という訳で、今日の予定はガビルの所に顔を出す
くらいなのだが……。
ミリムをチラリと見る。
果たして、ガビルの所に連れて行っても大丈夫
だろうか? あそこには、ベスターに用意した
貴重な実験道具なども置いてある。いわば、
テンペストの研究施設と化しているのだが……。
ふといい事を思いついた。
ミリムには今、ありあわせの衣装しかない。
これから暫くここで生活するなら、ミリムの
為の服を何着か用意してもらう必要がある。
となれば──
「ミリム、飯が終わったら服を作ってもらおうか」
「なんでだ? これでいいではないか?」
「それ一着では不便だし、可愛い服の方が
いいと思うぞ」
「何⁉︎ 可愛い服があるのか?」
「ああ、気に入った服を用意してもらうといい」
「わかったのだ! 流石はリムル、ここはなんでも
あって凄いのだ!」
服を用意すると決まった途端、ミリムは嬉しそう
にウキウキし始めた。
これでいい。これで時間は稼げそうだ。
何しろあそこでは、半日くらいあっという間に
過ぎる魔窟なのだから。俺も一度酷い目にあって
いる。着せ替え人形のように、様々な服に着せ替え
させられた。
面白半分でデザインした衣装が大量にあるので、
ミリムの気に入る服も見つかるだろうさ。
「あら、ミリム様の衣装を見繕うのですか?
では、私が御供いたしますね」
「ああ、頼む。俺は洞窟に用事があるから、
何かあったら『思念伝達』で連絡してくれ」
「わかりました」
シュナも快く了承してくれた。
「なんだ、リムルは来ないのか?」
「ああ、俺は服を持っているからな。ミリムの準備
を整う頃には迎えに行くから、気に入ったその服を
見繕ってサイズ調節してもらうといいよ。なんなら、
新しい服を作ってもらってもいいしさ」
「おお! わかったのだ」
よし、上手くいったようだ。
ミリムは新しい服と聞いて興味がそちらに移って
いる。これで暫くは、俺がいなくても暴れたり
騒いだりはしないだろう。
朝食を終えると、ミリムはシュナに連れられて
制作工房の方へと向かっていった。
さて、それではミリムが大人しくしている間に、
俺も用事を済ませるとしますか。
「た、ただいま……」
シズは小声でそう言いながらひっそりとグレイと
ともに泊まっている宿屋の部屋の扉をゆっくりと
開けて忍び足で入ると
「随分と遅い帰宅だね?」
「ッ‼︎ い、いつから……」
グレイは背後からシズの肩をガシッと掴みながら
そう言うとシズはビクッとさせて恐る恐ると背後
に振り返る。
「まったく……どうして早く帰って来なかった
のかな?」
「えっ、ええと……」
グレイがシズにそう聞くとシズは視線を逸らす。
「……まあ、良いよ。今回は聞かないであげる」
「う、うん、ありがとう……」
グレイは溜め息を吐きながらそう言うとシズは
グレイの言葉を聞いて安心したのか少しだけ
ホッとした表情をした。
「ところで、シズはもう朝食を済ませたの?」
「ま、まだだけど…?」
すると、グレイはシズに朝食を食べたのか聞く
とシズは意味が全く分からないといった表情を
浮かべながらも食べていないと言うと
「それじゃあ、一緒に朝食を食べに行こか。
後、ついでにこの町の情報収集もしたいしね。
それで良いよね、シズ?」
「分かった。私もちょうどお腹空いていたから」
シズはグレイの言葉に頷いた。
本当に良かった。出来ればリムル=テンペストの
実力やこの町の魔物達の戦力などを調べておきたい
と思っていたんだよね……
「それじゃあ、さっそく早く食べに行こう。
昨日行った食堂に行けば食べれると思うから」
「そうだね。じゃあ、行こうか」
シズはそう言うとグレイは必要な荷物をまとめて
シズとグレイの二人は宿屋の部屋を出て行った。
カイジンを誘い、封印の洞窟へと向かう。
「昨日は大丈夫だったか?」
俺は出迎えてくれたガビルに声をかけた。
見た目は元気そうだが、魔王の一撃を受けた
のだし、後遺症がないか心配だったのだ。
「問題ありませんぞ。吾輩は頑丈さには自信が
あります故!」
ガビルは快活に笑いつつそう言った。
大丈夫そうで、一安心だ。
「ところでリムル様、ガゼル王にも報告を
入れましたが、良かったのでしょうか?」
ベスターが恐る恐る聞いてきた。
報告というのは、ミリムの件についてだ。
盟約の中に、お互いの国に危機が生じた場合は可能
な限りの支援を行う、という一文がある。今回の件
は、どうしようもないから万が一の場合はそちらも
覚悟しておいてね、という意味もあるのだが。
「ああ。連絡用の通信水晶は上手く作動
したのか?」
「はい。ガゼル王への取り次ぎ滞りなく。
ですが、魔王ミリムが来襲し、リムル様が対応した
としか報告していませんが、それで宜しかったの
でしょうか?」
ベスターの心配もわかる。ドワーフ王国は今混乱
し、情報収集に躍起になっているだろうからな。
ベスターへの報告要請も、山ほど届いているの
だろう。
「昨夜の話し合いでは、俺がミリムの面倒見る事に
なった。というか、他に出来る対処方法はないと
いうのが結論だ。なのでガゼル王へ報告させた
のは、俺なりの善意でしかないのさ。何か有効な
対処方法があるのなら、逆にこちらが聞きたい
くらいだよ」
「それはまあ、そうでしょうな……。確かに
──魔王ミリムと言えば、数ある魔王の中でも
別格ですからなあ……」
「うむ。吾輩が知る限り、最強だと聞いて
おりまする」
ああ、やっぱり。ベスターやガビルが知っている
程に有名だったのか。
ハクロウも最強最古の魔王の
ガビルの話とも整合する。
だが、考えようによっては良かったと思う。
魔王という存在が全員あんな化け物なのだと
したら、俺がどう頑張ってもシズさんの敵討ち
など無理な相談だったからだ。
心配ばかりしていても仕方ない。
魔王への対処はボチボチ考えるとして、今は回復薬
について聞くとしよう。
「では、報告を頼む」
ガビルは頷き、ベスターの二人で現在の開発状況
を説明してくれた。
昨日の回復薬は、ベスターが製作した最新型
だったらしい。
ドワーフの技術を用意て製作してみたものと、
根本から違うらしいが……。
俺が量産した回復薬は、ヒポクテ草を九十九%
抽出したものである。飲んで良し、振りかけて良し
の優れものだ。それに対して、ドワーフの技術では
九十八%の抽出が限界なのだとか。
だった一%の違いだが、性能には大きな違い
が出る。
俺が作ったものは、”
な名称で、受けた傷を百%回復させる事が可能で
ある。更に、部位欠損すらも完治する魔法薬
なのだ。
ちなみに部位欠損とは、手足が欠ける事をいう。
魔物に食い千切られたり、魔法で吹き飛ばされたり
して、身体の一部が欠けるなどよくある出来事なの
だそうだ。
腕がなくなっても治癒できるのだから、これは正に
魔法の薬である。
これを可能とする理由だが、『大賢者』によると
遺伝子情報を元に部位を再構築しているとこの事。
つまりは、生まれながらの傷でなければ、全てが
治癒可能なのだ。
ドワーフの技術で作ったものは、”
呼ばれ、大怪我でも治癒可能な最高級の薬とされて
いる。ただし、実際には受けた傷によっては完治
してないし、部位欠損も程度によっては再生
出来ない。
これはおそらく、性能が足りずに情報の読み込み
が浅いせいだと推測出来る。大抵の傷ならば治癒
出来るのだが、最後の一線を越える事が出来
なかったようだ。
とまあ、これだけの違いが確認されていた。
育成したヒポクテ草は、天然ものと同品質だった。
つまり、素材は最高品質ということになる。性能に
違いが出るという事は、作成方法による違いという
事なのだろう。
「普通なら、この
なんだがなあ……」
カイジンが頭を掻きながらぼやく。ドワーフの技術
を見事に再現した、質の良い薬となっている
からだ。
「しかしな、カイジン殿。上を知ってしまっては、
途中で妥協など出来ぬ相談ですぞ!」
とは、ベスターの言い分だ。俺の作った回復薬の
性能を知ってしまった以上、それを目指すのが彼の
本望なのだとか。
そして昨日、ベスターの新製品が完成したのだと。
「昨日吾輩が使用したものは、リムル様の回復薬
と遜色なきものでありました。今回は成功しておる
のではと、吾輩も愚行いたしておりますぞ」
ガビルまでも、今回の薬には自信があるようだ。
「では、鑑定してみるぞ」
そう言って、俺は差し出された回復薬を
『解析鑑定』してみた。
《解。この薬は”
おお、なんと。ベスターのヤツ、作成に成功
したらしい。
「やったなベスター。これは間違いなく
”
「おおお! やりましたぞ‼︎」
「見事ですな、ベスター殿。吾輩も協力した
甲斐がありました」
「流石だなベスター。こういう研究は、やはり
お前が一番適任だと思ってたぜ」
ベスターが感極まったように喜びの声を上げ、
ガビルとカイジンが祝福の言葉をかけている。
いやでも、本当に作るとは思わなかった。
「これも全て、リムル様より頂いたヒントの
お陰で御座います」
ベスターが俺を見て言う。
いや、俺はそんな大した事を言った訳ではない。
努力したのはベスターなので、なんでもかんでも
俺の手柄にしないでもらいたい。
俺はただ、思った事を指摘しただけなのだ。
ベスターの作業工程を見て、俺の体内で行っている
抽出作業との差異は感じなかった。抽出出来る量
には変化があるだろうけど、性能が出来るのは
不自然だと思ったのだ。
思ったのが、大気成分との結合、である。
俺の体内──『胃袋』内での作業空間──は、
完全なる真空である。そこには不純物が何もない
ので、完全な抽出が可能だったのではないか、
と思ったのだ。
それでも抽出率が九十九%だったのは、抽出液が
反応しやすい性質を持っているからだと推測した
のである。
その事をベスターに伝えると、真剣に聞いていた。
適当に閃いた事を言っただけなので、間違っていた
としても責任は持てない。そう言っておいたのだが、
ベスターは俺の言葉を信じて実験を続けたのだ
そうだ。
そして見事に、”
のだった
と、せっかく成功したのだが、何事もうまい話
ばかりではないのだ。
「カイジンよ、この回復薬を売ったら我が国の
資金源となりそうだが、どうだ?」
カイジンは少し思案し、首を横に振った。
「ふーむ。旦那、難しいぜ。この薬は性能が
良過ぎるんだよ。抽出効果が高過ぎて、普段から
気軽に使用出来ない。それこそ英雄級者達が、
万が一に備えるレベルの品質だからな……」
それにベスターも相槌を打ちつつ、言う。
「左様ですな。最高品質のものが出来たのは満足
ですが、商品として考えると、これは市場に流す
には些か不向きでしょう」
じゃあ何の為に作ったんだよ⁉︎ と思わず突っ込み
を入れそうになった。だが、よく考えてみれば
これは俺が間違っている。俺は実はここで作った
回復薬を町の特産品にしようと考えていたのだが、
ベスター達万が一への備えとして研究開発している
だったのだから。
「ですが、リムル様。ドワーフ王国では、薬師は
それ程おりません。調合可能な錬金術師はおります
が、
は珍しい者です。市販をしている薬は、実はこの
それを、
つまりですな──」
俺が落ち込んでたのを見て、ベスターがな慌てて
そんな事を言い出した。
詳しく聞くと、単純な話である。
天然なヒポクテ草は珍しいものなので、滅多に
流通しない。自己栽培している奇特な者もいるが、
極少量しか採取出来ないのが現状なのだと。俺達の
ように大量生産しているのがオカシイのだそうだ。
なので、薄めた回復薬でも品薄となったのだろう。
そしてベスターの言い分はこうである。
「ガゼル王と交渉した上で、テンペストで生産
した
ただし、ドワーフ王国で薬を生業としている者を、
こちらで引き受けるのが条件なるでしょうが……」
「そうだな、それはありかもしれんぞ、旦那。
この国で薬の生産をしつつ販売元になるのなら、
ドワーフ王国は必要量を仕入れるだけで済む。案外
技術協定の目的は、その辺りかもしれませんな」
そんな事をカイジンまで言い出す始末。
だが、それはこちらにとっても都合のいい話だ。
カイジンとベスターは一緒になって、色々と話し
込んでいる。如何にしてガゼル王を説得するか、
二人して思案しているようだ。
以前は仲違いしていたのが嘘のような、親密な間柄
になっていた。やはり二人は、根っこの部分では
気が合うのだ。
彼等が仲良くなれて良かったと思ったのだった。
完成した”
を百個は作れるそうなので、この話が前向きに
進んだらかなりの収入源になりそうである。
だが、まだ慌てる事はない。ドワーフ王国の
既得権益と喧嘩するつもりはないのだから、
双方に利益の出るように話を進めたいものである。
この話は今後ゆっくりと煮詰める事にして、
その日の報告会は終了した。
結構長く話し込んでいたので、昼を少し過ぎて
しまった。
製作工房ではミリムが
なっているだろうから、そろそろ迎えに行って
やらねばなるまい。
テンペストでの食事は朝と夕方の二回なのだが、
ミリムの機嫌次第では何か用意するつもりだった。
魔法陣で町へと戻った瞬間、それは起きた。
大音声を響かせて、ボゴオオオォ、と火柱が
音を立てて立ち上がったのだ。
「⁉︎」
中央施設の建設予定地となっている更地がある
方角だった。
「…ええ、えええ……」
俺は無意識にそう呟きながらも翼を出して、
急いでその場へと向かう。
俺が現場に辿り着くと現場はちょっとした
惨状になっていた。
更地であったのが幸いし、建物への被害はない。
付近に作業員もいなかったようで、人的被害も
なさそうだ。
俺が来た事に気付き、ソウエイが忍び寄って来る。
「何がどうなった?」
「は、実は──」
ソウエイから手短に説明を受けた。と言っても、
現場に辿り着いて現状見れば、大体は何があった
のか想像は出来たのだけれど。
俺が洞窟に行っている間、新たな客がやって来た。
そして、その客に対してミリムが激怒したという
話らしい。
案内され、騒ぎの中心地に辿り着いた。
そこに集まっていたのは、シュナとシオン、
ベニマルにハクロウ。更にリグルド。そして、
ロムルスとウツロと数名のホブゴブリン達
である。
リグルドは殴られたのか、顔に傷が出来ていた。
「どうしたリグルド、大丈夫か?」
「は、これはリムル様。この程度、どうという事も
御座いません」
そう強がっているが、顔半分は焼け爛れてかなりの
ダメージであるようだ。
俺は回復薬をリグルドに手渡してから、皆の視線を
集めている人物へと目を向けた。
「アイツにやられたのか?」
「はい、左様で……」
確認するまでもないが、一応。
ミリムに殴られたのか、黒髪の魔人が地に伏して
いる。顔は苦悶に歪み、口からは吐瀉物と舌が長く
伸び出ている。生きてはいるようだが、白目を
剥いておりピクリともしない。
その周囲には、その魔人の配下の者共が逃げる事も
出来ずに固まっていた。状況に戸惑い、どうすれば
いいのか判断が出来ないのだろう。
倒れている魔人を見ると、黒染めの豪華な衣装に
高価そうな武具を着ている。ソウエイの報告では、
この人物は魔王カリオン配下だと名乗ったらしい。
ソウエイの張った警戒網に反応があり、慌てて
駆けつけたそうだ。すると、この魔人の集団が
上空からこの広場へと降りて来たのだという。
俺が留守という事でリグルド対応したそうだが、
事件は一気に起きた。ソウエイが状況を把握し
俺に連絡を入れるよりも早く、全ては終わって
いたそうだ。
「連絡が遅れ、申し訳ありません──」
と反省するソウエイに、無理もないよと慰め
の言葉をかけておいた。
まず最初に、魔人は悠然と町を見回して踏ん反り
返っていたそうだ。
そこにやって来たリグルド。そのリグルドに
向かい、魔人が偉そうに宣言したのが以下の
セリフ。
『俺は、魔王カリオン様の三獣士の”
フォビオだ。獣王戦士団の中でも最強の戦士よ。
ここはいい町だな。獣王様が支配するに相応しい、
そうは思わんか?』
これを聞き、「ご冗談を──」とリグルドが口に
した途端、有無を言わせずに殴られたとの事。
それを見ていたウツロさんはそんな身勝手な行動
するフォビオに注意をするが
『これでも一応、殺さないように手加減してやった
んだぜ。その程度の攻撃を防御どころか避けること
さえ出来ないなんて、まったくこの町のヤツらは
下等で雑魚な魔物や魔人ばかりだな』
フォビオはそう言ってウツロさんに見下し嘲笑う
ような態度で言うと
『そんな身勝手な理由でリグルドさんにあんな
怪我をさせるなんて……ッ‼︎』
ウツロさんはそう言って腰に携えていたその剣に
手を添えて今にもフォビオに向かって剣を抜こう
としていると
そこで”
気付いたミリムが飛び出して来た。そこでリグルド
殴られるのを目撃し、激怒したようである。
ミリムに気付き慌てたフォビオが
技を放ったが、それがどういう技なのかは不明だ。
何しろ、ミリムの覇気によって上空へと巻き上げ
られてしまったのだから。
俺が見た火柱がコレであろう。
そしてその余波で、せっかく着替えていた可愛らしい
服が少し焦がした。これに怒りを我慢出来なくなった
ミリムの拳がフォビオの腹に炸裂し、今の状況を生み
出したという訳だ。
ソウエイが俺に連絡しようと気を取り直した時、
俺がやって来たのが目に入ったとの事だった。
さて、どうしたものか……。
「おお、リムルよ。
から、ワタシがお仕置きしておいたのだ!」
ミリムが俺に気付いたようで、自慢気に言ってきた。
褒めて欲しそうだが、これは褒めてもいいものか?
先に手を出した向こうだが、いきなり魔王と揉める
のは厄介だ。カリオンという魔王は初めて聞くが、
どの程度の勢力なのかも不明だし……。
こちらにも手出ししてしまった以上、無関係と
言い張るのは無理があった。
ちょっと目を離しただけで、頭の痛い問題が
出来たものである。
「──俺の許可なく暴れないと、約束して
いなかったか?」
「うぇ⁉︎ えっと、それは……。そう、これは
違うのだ。コヤツはこの町の者ではないから
セーフ、そうセーフなのだ!」
「アウトだよ! だがまあ、今回はリグルド
を庇ってくれたという事で、昼抜きで許して
やるか──」
「ヒドイ、ヒドイのだ! わあああああ!」
ヒドイと言うが、昼飯はどうしようか思案中だった
訳で。俺は本来食事の必要はないし、ミリムも同様
だろうに。どうにも、食い意地の張った魔王で
ある。
「くそう、これも全てコイツが悪いのだ。カリオン
のヤツも約束を破るとは不届き者なのだ。一発では
飽き足らぬ。せめてもう一発──」
「待て待て待て!」
ミリムがフォビオを殴ろうとするのを慌てて止める。
フォビオの部下達は顔面蒼白となり、ミリムの形相
に怯えていた。
「ともかく、ここではなんだし場所を移すか……」
泣き喚くミリムを宥めつつ言う。
(リグルドを庇ってくれたウツロさんにも後で
きちんと感謝の言葉を伝えないとな……)
俺はそんなことを考えながら別の意味で修羅場に
なりそうだったので、ともかくは場所を移して
詳しい話しをする事にしたのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました‼︎
これからも『応援』などをしていただけたら更なる
『創作意欲』が増してより早い投稿が出来るかも
しれません‼︎
それと『他にも投稿作品』もありますのでそちらも
見ていただければ自分的にはとてもありがたいです‼︎