今回は五月に入ってからなんとかすぐに『最新話』
を無事に更新をすることができました‼︎
今回は『13134文字』までの膨大な量を頑張って
書きましたが、豆腐のような脆いメンタルの自分は
きちんと書けているかとても心配になります……(汗)
【お気に入り】や【しおり】、【投票】そして
【感想】などいただければ豆腐のようなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます‼︎
面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。
最後まで読んでいただければありがたいです‼︎
ゴブタは俺の前で得意そうにそう言って説明を
終えた。
場所はいつもの会議室。
俺の隣には、当然の顔をしてミリムが座っている。
背後にはシオンとソウエイが控え、リグルドと
ベニマルも席に着いた。
ゴブタの隣には、カバル達三人組と、見慣れぬ
オッサン。それに加え、色黒の美丈夫と神経質
そうな魔法使い風の男がいる。
そしてそんなゴブタ達を助けてくれたウツロさん
とその師匠であるロムルスくんが座っていた。
シュナがお茶の用意を指示し席に座ると同時に、
ゴブタは話を始めたのである。
ゴブタの説明が終わると、各々が自己紹介して
くれた。
オッサンはフューズという名前で、ブルムンド王国
のギルドで一番偉い人らしい。ソウエイから報告を
受けていた、俺に会いたいと言っていた人物だろう。
色黒の兄ちゃんは、かなり美形だ。ベニマルや
ソウエイには劣るものの、野性的でしなやかな筋肉
を持つかなりの色男である。名前はヨウムといい、
ファルムス王国の伯爵領から派遣された辺境調査団
の団長なのだとか。神経質そうな細身の男は、やはり
魔法使いだった。ロンメルという名で、団長ヨウムの
知恵袋といった役割なのだそうだ。
「ウツロさんもカバル達を助けてくれて助かったよ。
ありがとうな‼︎」
「困っている人を助けるのは当然の事だからね」
シズはリムルにそう言うとリムルは「そうか」とそう
言っていた。
「ウツロさんがその場にいてくれて本当よかったよ。
あのままゴブタに任せたままだったら今頃、怪我人が
出ていたかもしれないから」
「ちょ⁉︎ それはひどいっすよ‼︎ これでも自分、
頑張っているほうなんすよ‼︎」
と、ゴブタは言うがウツロさんに「どうやったら
そんなにも大きなおっぱいが育つっスかね?」って
胸の事をモロに言っているじゃないか。まったく……
本当にゴブタって、女性に対するそういうところの
デリカシーが足りないよな……
と、考えていたところで俺も挨拶をしておく。
「ああ、申し遅れました。私がこの町というか国と
いうか、ジュラ・テンペスト連邦国の代表している
リムル=テンペストと申します。見ての通りですが、
スライムですよ!」
人の姿ではないので、見たままを告げた。
「本当にスライムが……」
と、オッサン──じゃなくてフューズが驚いていた。
ある程度の事情知っているようだが、それでも驚いて
しまうのは仕方ないかもしれない。俺だって自分の事
じゃなかったら、スライムが魔物の国で王様の真似事
をやっているなんて信じられないだろうから。
「ところでリムルの旦那、以前には見かけなかった
方がおられるようですが?」
カバルが聞いてきた。
ベニマル達の事だろう。軽く紹介しておいた。
最後がミリムだ。
「ミリムという。よろしくな」
俺の紹介を待たずに自分の名を告げていた。
気軽に挨拶しているが、その本性は凶悪な魔王。
見た目の愛らしさに騙されてはならない。
フューズはだけは、ミリムという名を聞いた時に
怪訝そうな表情になっていたが、ひょっとすると
魔王ミリム名を知っているかも知れない。
カバルやギドの視線は、シュナとシオン、そして
ウツロさんを交互に行き来している。ミリムも可愛い
のだが、如何せん子供過ぎるという事か。自分の心に
正直な奴等である。
フューズやヨウムは色恋沙汰に興味がないのか、
あるいは魔物を相手にしているという事で緊張して
いるのか、真面目な顔付きのままだった。カバル達
も、少しは彼等を見習った方がいい方がいいと思う。
まあ、気持ちは分かるんだけどね。
それにしても、ゴブタから説明を受けただけでは
状況が全く理解出来ん。
なんでフューズやヨウムが一緒に行動している
のやら……。
「それでは、この私が説明致しましょう」
と思ったで途端、フューズが口を開いた。どうやら、
ゴブタの説明で俺が納得していないとすぐに気付いた
のだろう。代わりに説明してくれるつもりらしい。
目端が利く人物である。
スライム姿の俺を見た多少は動揺したものの非常に
丁寧な対応を取ってくれているし、ここは素直に話を
聞くのが良さそうだ。
…………
………
…
フューズの話を聞いて、ある程度の事情は理解
出来た。
どうやらオークロードの件で大混乱になり、自ら
状況を確認すべくカバル達の案内でやって来たと
いう事のようである。
フューズに続いてロンメルも事情を話してくれた。
こちらも事情は同じで、ブルムンド王国に流れた情報
で二ドル伯爵のギルドが動いたという事のようだ。
ロンメルが知る限りの二ドル伯爵の思惑まで語って
くれたので、かなり正確に状況を把握する事が出来た
ようである。
「なんでそんなに正直に話してくれてんだ?」
という質問に「いやあ、正直、どう判断するべきか
混乱してまして……もう素直に喋った方が上手く事が
運びそうな気がしたんです……」とロンメルが答えて
くれた。
俺としてもその方が助かるので、重々しく頷いて
おく。
「そんな事はどうでもいいんだよ! 俺にはよう、
なんでスライムがそんなにも偉そうにしてるのか、
そっちの方が不思議だよ。いやいや、おかしいだろ?
ていうか、なんでスライムが喋ってるんだよ?
なんなんだ、一体? なんでお前等は納得をしている
んだよ?」
と突然、それまで憮然していただけのヨウムが、
スイッチが入ったように騒ぎ始めたのだ。
「リムル様に無礼ですよ!」
とシオンが激昂した。しかしヨウムは止まらない。
「うるさい、女は黙ってろ」
怒りを露わにするシオンを怒鳴りつけたのだ。
あ、馬鹿! と思った時は既に手遅れだった。
ゴツンという鈍い音が響き、シオンが大太刀の鞘で
ヨウムだろゆうかをしばき倒していた。
「あ! つい……」
「つい、じゃねーよ!」
いつもの事だが、シオンの短気さはなんとかならない
ものだろうか。ヨウムの言い方も悪かったが、直ぐに
手が出るのは考えものである。
俺に言われて、慌ててヨウムを介抱し始めた。
一応手加減はしていたようなので、死んではいない
のが救いである。回復薬を振り掛けると、ヨウムは
直ぐに目を覚ました。シオンを見て一瞬顔を顰めた
ものの、無言で席に座り直している。
それを見て、中々に根性のある男だと関心した。
「ウチのシオンがスマンな。ちょっと我慢が足りない
ところがあるんだ。許してやってほしい」
という俺の謝罪の言葉に、ヨウムは嫌々だろうが
頷いてくれた。
「酷いです。これでも忍耐力には定評があるの
ですよ?」
シオンが寝言をほざいているが、無視ではいい
だろう。そんな話は聞いた事がないしな。
「わはははは! 我慢が足りぬとは、まだまだだな
シオン。ワタシのように心を広く持たぬから、そんな
に短気なのだぞ」
嬉しそうにミリムが言っているのが聞こえたような
気がしたが、きっと気のせいに違いない。
シオンだって、いくらなんでもミリムには言われたく
ないはずだから。
とまあ、それはさて置き。
俺は話しを纏める事にした。
フューズの目的は、謎のスライム──俺の事だ──
が出現したから、その正体を確かめたいというもの。
人間の敵が味方か、それを自分の目で確かめたかった
そうだ。
「魔物が町作るなど──おっと、失礼。亜人の集落
ならば理解出来るのですが、他種族が共存する町と
いうのは、聞いた事がない話でして……。この眼で
見ぬ事には信じ難いと思いまして。それに、その話が
本当だった場合、どの程度の規模で我々とどのように
関わってくるのか、それを確かめたいと思ったの
です。脅威ではないと、そのように報告を受けました
が……それを判断するにも自分で見るのが一番
でしょうから。ですので、こうして出向いて来た
次第です。しばらく調査の為に、是非とも滞在を
許可をして頂きたいのですが」
そう言って、フューズは説明を終える。
俺としても納得出来る話だし、脅威かどうか疑われる
のも心外なので、快く許可を出しておいた。
それと、俺の考えも伝えておく。
フューズはギルドマスターとしてそれなりの地位に
いるようだし、これで案外ブルムンド王国では顔役
なのだそうだ。そんな人物ならば、正直に話して協力
を要請した方がいいと判断したのである。
「信じられないかもしれないけど、俺は人間とも
仲良くしたいと考えている。それはカバル達にも
話した通りだよ。今直ぐとは言わないけど、その内
貿易とかして交流出来ればいいなと思ってるしさ。
これは確かめてもらっても構わないが、実はドワーフ
王国とも国交を開いている。この地を経由をすれば
商人達の利便性も向上すると思うけど、どうかな?」
「待て、いや待って下さい。ドワーフ王国──それは
武装国家ドワルゴンの事ですか⁉︎ 確かにあそこは
中立国で亜人との交流もあるようですが……魔物の国
を承認したというのですか? それは幾らなんでも
信じられん話なのですがねえ……」
フューズに信じてもらおうと正直に話したのだが、
中々信じられないようだ。なので、ベスターを連れて
来て証言してもらった。
「これは、ベスター大臣! いや、元、でしたな。
ですが、貴方程の人物が、このような場所におられる
とは……。では、本当に?」
「これはこれはフューズ殿か。お久しぶりですな。
左様ですが、私も不思議な縁がありこの地にてお世話
になっておるのです。リムル様の仰っている事は本当
ですぞ。ガゼル王とリムル様は、盟約を交わして
おられますよ」
この後幾つか会話を交わし、俺の言葉に嘘がないと
信じてくれたのである。
信じてくれはしたが、夢ではないかと疑っている
ような感じである。魔物が国を樹立したと言われて
も、すぐに信じる事が出来ないのは当然かもしれない
けどね。
ヨウムの目的は少し複雑だ。
自由の身になる為に、自分達に自分達を死んだ事に
するつもりだったのだと。その上で、どこか安全な国
に向かい、自由組合に加入するつもりだったらしい。
強欲な狸と呼ぶ二ドル伯爵にも、情報を流すつもり
だったようだ。それは伯爵の為ではなく、残された
町の人々を少しでも慮っての事だろう。顔や態度に
似合わず、男気のある人物のようである。
そんなヨウムに惚れ込んだのがこのロンメルで、
二ドル伯爵を裏切りヨウムの腹心になったのだ
そうだ。
俺はそうした話を聞き、少し考える。
「なあ、フューズさんとやら。オークロードが
倒されたという情報は、既に知れ渡っているのか?」
「いや──この情報を知るのは王国と、極一部の者達
のみですよ」
答えるフューズ。それならば──
「ところでヨウム君。君達、俺と契約しない?」
「はあ? 一体何を言ってる──いえ、何を言って
おられるんですか?」
俺に対する口調が気に入らなかったのか、シオンだけ
でなくシュナにも睨まれた模様。慌てて言葉遣いが
丁寧になっている。気付かないフリをするのも優しさ
なので、そのまま話を続けよう。
「簡単に説明するとだな──」
と言って、俺は話を切り出した。
ヨウムとその手下三十名。この者達に、オークロード
を倒した英雄となってもらうのだ。
脅威であるオークロードたち倒されたにも関わらず
フューズが不安視したのは、俺が魔物のスライムで
あったからである。
それならば──俺達はヨウムに協力しただけで、
実際にはヨウムがオークロードを倒したのだと、
世間ではそういう風に噂として流して事にしたのだ。
出発の時期のズレなど、時系列的に不自然な点は出る
だろうが、そうした細かい事柄は一般市民には関係の
ない話。詳細な情報を掴む事が黙っていれば、勝手に
脳内で辻褄を合わせてくれるだろう。残されたオーク
の軍勢については、仲間割れを起こしていたので、
難なく倒すことができた──そういう
してもらえばいいだろう。二十万という具体的な数字
を出さなければ、信用も得やすいと思う。
俺達は直接戦った事にせず、武器や防具に食料と
いってものを支援した、そういう位置付けが
望ましい。そうすれば、オークロードを倒した英雄
を助けた信用出来る魔物、という立ち位置の確立が
出来るのではないだろうか?
謎の驚異的な魔物というよりも、そっちの方が親しみ
やすい感じになると思う。
「──という感じだが、どうだろう?」
絶句するお客さん一同。凍りついたように反応しなく
なった。
カバル達は既に話について来れなくなったようで、
美味しそうにお茶を飲んでいた。
それに比べ、感心したように俺の意見に頷く
ベニマルとシュナ達。
「なるほどね……」と小声でそう呟いている
ウツロさん。
ミリムとシオンは偉そうに胸を張っているが、理解
しているかは疑わしい。そもそも、ミリムはこの話
には無関係だ。大人しくれているからいいが、飽きて
暴れ出す前に蜂蜜でも渡した方がいいかも知れないな
「お前は一体、ワタシの事をなんだと思っている
のだ? 本当は砂糖とやらがいいのだが、まあいい。
とりあえずこれはもらっておく」
俺が差し出した蜂蜜入りの
ないのが不満なのかぶつぶつとそう呟きながらも受け
取るミリム。それをシオン羨ましそうに見ているが、
残念ながら君の分はないのだ。
「いやいやいやいや、何を言い出すんですか!
どうだろう、じゃないでしょう!」
「ちょっと待てよ? おいおい、俺が英雄だと?
勇者の真似事でもしろってか?」
固まっていたフューズとヨウムが同時に喚き出した。
そりゃあ、簡単に頷ける話ではないだろう。
その反応も当然である。
「勇者は駄目だぞ? あれは特別な存在で、勝手に
名乗っていいものではないのだ。勇者を名乗る者には
因果が巡る。なので、せいぜい英雄を名乗るが良い」
ヨウムの叫びに、ミリムが答えた。
なるほど、魔王と一緒で勇者も名乗るのはまずい
らしい。別に英雄でも問題ないので、ヨウムには
英雄になってもらいたいのだが……。
「そういう話じゃねーよ、ガキ! だいたい──」
ゴツン‼︎
その場を冷たい空気が流れた。
「おいっ⁉︎」
「ミリム様……」
俺は絶句し、シオンも何か言いたげにしている。
「ち、違うのだぞ? わ、ワタシは何も悪くない
のだ」
大慌てで言い繕うミリム。まだ何も追及してないが、
既に泣きそうなっていた。
「ミリム、言い訳はいいから。次はないぞ?」
「わかったのだ。信用するのだ、リムル」
コクコク頷きながら二度しないと誓うミリム。
少し可哀そうに思ったのが、考えてみれば悪いのは
ミリムだ。甘やかすと碌な事になりそうもないので、
ここはキッチリと叱っておいた。シオンも先程も
言われた言葉を根に持っていたのか、フンと少し
嬉しそうである。
君は他人事ではないから、という突っ込みは飲み
込んでおいた。人の振り見て我が振りを直してくれ
ればそれでいいのだ。
「ミリム……? どうもその名前に聞き覚えがある
んですがねえ……」
おっと、フューズがミリムの名前を聞いて眉根を
寄せている。まだ魔王だと気付いた訳ではなさそう
だが、油断は出来ない。魔王ミリムは、思った以上
に有名みたいだしな。
ここは誤魔化すのが吉か。
「あのー……ヨウム殿は大丈夫なのですか?」
「そうだった……ヨウム大丈夫か?」
ロムルスくんはそう言ってヨウムの心配したのか
先程のミリムとシオンがヨウムにした行動に本気
でドン引きした表情をしながらも視線を俺に向けて
質問してくる。
まあ、俺としてはこの展開はミリムの事を誤魔化せる
ので本当に有り難い事だけどな。
それにヨウムの頭からゴツンと鈍い音がしたし、
俺としてはヨウムは無事かどうか心配していたのは
本当である。
「ええ、リムル様。薬をちゃんと投与しましたので、
大丈夫ですわ」
シュナが微笑んで報告してくれたのと同時、ヨウムが
目を覚ました。
「うーん……。一体……何が……」
少し混乱しているようだが、身体に異常などの症状
はなさそうだ。シオンやミリムのあの一撃を受けた
というのに、よくよくタフな男である。回復薬も
凄いのだが、生き残った彼自身を褒めるべきだろう。
「リムル……さん、だったな。わかったよ、
俺はアンタに従うぜ。こんな危険な奴等を従えてる
んだ、アンタは凄いスライムなんだろうぜ。今日から
は、リムルの旦那と呼ばせてもらおう。なんなりと
命じて欲しい」
意識ハッキリするなり、ヨウムは俺に向かって
そう言った。暴力で言う事を聞かせているようで若干
落ち着かないが、本人がそれで納得した以上蒸し返す
事もないだろう。
「あ、ああ。宜しく頼むよ」
俺はヨウムに頷き、今後の協力関係を取り付けたので
あった。
そんな遣り取りをしたお陰で、フューズの意識も
免れてくれた。
「そういう事でしたら、我々としても協力はやぶさか
ではありません。ただし、貴方が本当に人間の味方か
どうか、しっかりと確かめさせて事にしますが構い
ませんね?」
「ん、ああ。それは当然だろう。それで構わないよ」
こうして、フューズの協力も得られる事になった
のである。
話し合いが終わった後、それぞれが会議室を後に
しよう出て行こうとしている中、グレイとシズも
出て行こうとしていると
「ちょっと待ってください」
背後から声が聞こえたのでグレイとシズは振り返る
とフューズが二人を呼び止めていた。
「我々に何かご用意でしょうか?」
グレイはフューズにそう言うとフューズはいきなり
グレイとシズの前で頭を下げた。
「ウツロ殿に助けてもらったお礼を言っていなかった
ので改めてお礼を言わせて欲しい」
「ありがとうございました‼︎」
「ありがとうございます‼︎ 」
「本当に助かりやした‼︎」
それに続いてエレン、カバル、ギドもシズに頭を
下げてお礼の言葉を言う。
「わ、私は当然の事をしただけだよ……」
シズはフューズやエレン、カバル、ギドのその感謝
の言葉に躊躇いながらそう言うが
「いや、貴方がいなければ犠牲者が出ていた可能性
だってあったかもしれません」
フューズは表情を変えずにシズにそう言って
「なのでそんな貴方とは是非とも色々話してみたい
ものです」
「それでは……」と言ってフューズは会議室を後に
するとエレン、カバル、ギドの三人も続いて出て
行った。
「僕達もこれで失礼しよう」
「う、うん……」
グレイがシズにそう言うとシズはフューズやエレン達
と話したからか返事する声が小さくなっていた。
だが、グレイはそんなシズを気にせずに会議室を出て
行った。
フューズはベルヤード男爵という人物に掛け合い、
ブルムンド王国への報告と取り成しを頼んでくれた。
同時に、周辺諸国への噂を流す手筈を整えている。
俺の述べた筋書きに合うように細かい部分を調整
して、自由組合へと回すようだ。
フューズに対する見返りは、一部商人への優遇措置
である。
自由組合に所属する商人がジュラ・テンペスト連邦国
首都リムル滞在する許可を与えた。
今の所、関税は取らない。そうした取り決めは、
俺達が信用出来ると判断した後に国交を開いてから
話し合う事に決まった。
というか、ぶっちゃけると税金をどの程度取れば
いいのか、俺にはわからなかったのだ。俺は政治家
ではないので、そんな計算が出来るはずもない。
なので、余裕ぶった演技をしつつも内心は汗だく
だったのだけれどね……。
なので関税が掛かるまでの期間は、自由組合
ブルムンド支部に所属する商人はかなりの儲けを
出す事を出来るだろう。その一部が、フューズの
懐に入るという寸法なのだ。
ブルムンド王国が国家として俺達を信用出来るように
なるまで、果たしてどのくらいかかるだろう?
それは短いかもしれんし、数十年かかっても信用を
得られないかもしれない。だが、長期戦になるのは
覚悟の上なので、国交樹立に向いての準備だけは
整えておこうと思う。
先ずは俺達の信用を得るのが先決だが、それと同時に
どのくらいが適切な税率となるのか調べる必要があり
そうだ。
ファルムス王国が掛けているよりも安くするのは当然
として、利便性を高めて安全性を
重要だろう。交易路の整備もまだ終わっていない
ので、関税を掛けるのはそうした工事が終わってから
でも良さそうだ。
とにかく、するべき事は山程あるという事なのだ。
フューズの問題はこれで片付いた。
ブルムンド王国は小国なので、新たな交易路と国交
を結べる国の出現は大きな意味を持つ。こいつら
一帯の安全保障まで含めれば、ブルムンド王国が
得られる利益はかなりのものとなるだろう。
それはあくまでも、俺達を信じて国交を結べば、
の話なのだが。
後はフューズが話を持ち帰り、より繊細な報告を
してくれる。その結果がどうするのかは不明だが、
より良い方向へ話が動く事を祈るばかりである。
会議室を出た後はグレイはシズは首都リムルにいた。
「あのヨウムという男をオークロードを倒した英雄に
して自分達は助けた信用出来る魔物、という立ち位置
の確立をしたという
小国であるブルムンド王国の自由組合の商人達も
ジュラ・テンペスト連邦の首都リムルで滞在する許可
して商人を集めて将来は新たな交易路として生まれる
だろうね」
そして流通などにも大きな改革が起こるだろう。
「そうだね………」
グレイがシズにそう言うが何故だかシズの態度と返事
がぎこちない。
「随分と反応が悪いね? もしかしてさっき会った
フューズって言っていた人間達の事かな?」
「 う、うん……」
グレイに考えを言い当てられて一瞬驚きそして肯定
するかように小声で頷いていた。
「フューズさんは私が冒険者だった時に何度か、一緒
に魔物の討伐戦に参加したことがあり、私のサポート
を上手くしてくれていた信頼出来る人だよ。それに、
フューズさんのお父さんにもお世話になったしね」
「なるほどね……」
シズが冒険者時代に世話になった人間と再開したから
あの時、シズがあんなにも戸惑っていたのか
それにしても……
「このままだとこの町は危険だね」
「ッ‼︎ ど、どうして……⁉︎」
シズはグレイの言葉に驚きながら質問をする。
「さっきも言ったけどこの町、ジュラ・テンペスト
連邦国は将来、新たな交易路として生まれ、流通など
の改革も大きくだろうから西側諸国なんか一瞬にして
広がっていくだろうね」
グレイはそんなシズに理由を説明する。
「それを手に入れたい国や人間達などが出てくる
可能性あるんだよ。そうだね……例えば……」
グレイはそう言って目を細める。
「僕がロムルスという名前の商人として活動している
時にファルムス王国の王に会った事があるけど僕から
見たあの国の王の第一印象はとても強欲過ぎるそんな
王だったよ」
「そ、そんな事あるはず……」
「それがあり得るんだよ」
シズは信じられないといったそんな表情をしながら
僕にそう言っているがファルムス王国は『東の帝国』
や『武装国家ドワルゴン』と西方諸国の貿易路上に
ある大国という西方諸国の中でも一、二を争う経済の
大国だ。そんな国がこの国、テンペストが産出される
様々な良質な品々や利益を生み出されるそんな価値の
あるそんな品々に目が眩んでしまうそんな高い可能性
があるからだ。
「でもまあ、テンペストの戦力ならば余程の事がない
限りファルムス王国などの人間の国が進行して攻めて
きても軽く返り討ちにする事ぐらい出来るでしょ」
「そ、そっか……」
グレイのその言葉を聞いてシズは安心したのかほっと
した表情して胸を撫で下ろしていた。
「それよりも僕が渡した剣の使い心地はどうかな?」
「う、うん……とても使い易かったよ」
グレイがシズに渡した剣はグレイが多く持っていた
一振りの剣でなんと『
そしてシズが持っているその
『
『
真っ赤に燃え盛る様な綺麗な赤一色に染まっている
そんな鋭くて誰もが見惚れてしまうであろうそんな
美しく芸術的なそんな業物と呼ぶに相応しいと言える
素晴らしき一品の剣である。
「そう。それはよかった。
自由に使っていいよ。今のシズなら
の性能をしっかりと引き出せるはずだから」
グレイがそう言ってシズを信用して
託す事を言うと
「こんな凄い業物を……ありがとう」
グレイのそんな言葉にとても有り難いと思ったのか
シズはグレイに感謝の言葉を口にした。
「別にそんなに褒められるような事はしていないよ。
それだけに見合った実力があると思ったから渡した
んだら、そんな事よりお腹が空いちゃったから早く
何か食べに行こう」
「ふふっ、そうだね」
シズのそんな感謝の言葉にグレイはシズの視線を
逸らしながら食事をしに行こうと言うグレイにシズ
は笑いそして雪のようなその白い髪をなびかせながら
グレイについて行った。
次の日、ヨウム達はこの町に暫く滞在してもらう事に
なった。
英雄相応しくなるように、それなりに体裁を整える
必要があるからだ。
今もハクロウの監督の下、修行を行っている。
ヨウムはそれなりに実力があったが、英雄と呼ぶには
まだ力が足りない。武具だけを良い物にするだけでも
見違えるだろうが、それだけでは駄目なのだ。
身体能力と戦闘センスに頼るだけではなく確かな
を身に付ける必要がある、それがハクロウの見解で
あった。
装備に関しては問題ない。
都合よく狩ってきていた
ので、これを使用した最高の武具と防具を用意しよう
と思う。
という訳で、武具が完成するまでの間はヨウム達の
心身を鍛える事になったのだ。
そして日々が過ぎ、とうとう完成したのである。
戦闘における重要な要素は、速度、攻撃力、防御力、
の三つである。これは、魔法という要素が入っても
同様だった。精神抵抗という魔法防御が加わるだけの
話である。
自由組合が算出するランクの基準は、この三つの要素
の総合力で決まるようだ。なのでより良い武器と防具
を用意するだけで、
ある。
その観点から言えば、この素材は最高のものであると
言えた。
ナイトスパイダーという魔物は、実際のところ、動き
はそれほど速くない。数本の脚が同時に攻撃するから
速く見えるが、落ち着いて対処さえすれば一つ一つは
それ程速くはないのだ。
それは、Bランクであるカバルやゴブタに対応出来た
事からも明白である。まあゴブタに関して言えば、
実はA-ランクくらいに達しているんじゃないだろう
かと疑っているのだけど……。
話が逸れた。
動きが遅いナイトスパイダーをA-ランクたらしめて
いる要素は、その外骨格なのだ。その強さの真髄は、
外骨格による高い防御力と、掠るだけでも大きな
ダメージを与える多脚にある。
つまりは──
「おいおい、リムルの旦那……。こんな凄い装備を
貰っていいのかい?」
ヨウムが感動したように、外骨格を用いて作成された
鎧を眺めている。
それは三色斑模様の全身鎧だった。暗褐色をベースに
して、緑と紅の独特の紋様が浮かび上がっている。
見ようによっては、美術品のように美しい。
──名付けて、
「しかもなんだ、この軽さは──」
腕当ての部分を手を取ったヨウムが、驚きの声を
上げている。
それも当然だった。
比して、一体ものの
防御力は高くなるが機動力が犠牲になってしまう
ので、普通は採用されない。だが、この
は板金は使用しておらず、鋼鉄に比べて比重が小さい
ナイトスパイダーの外骨格ならではの軽量化を実現
している。
内側には『粘鋼糸』をメッシュ状に張り巡らせて
おり、耐熱耐寒仕様となっていた。外骨格自体が
高い魔法耐性と防御力を誇る上に、『粘鋼糸』で
補強してあるので、生半可な魔法攻撃を無効化
出来る事は実験済みである。
軽さ。筋力で人間を遥かに凌駕する魔物ならばいざ
知らず、人間であるヨウムにとっては至高の鎧である
はずだ。
「ああ。ガルムが自信持って作成した一品だ。
なんでも市場に出せば
豪語してたぞ」
「ゆ、
かかっても買えない品があるという、最高品質
じゃあねーか!」
俺の言葉を聞くなり、ヨウムが驚愕の声を上げた。
冒険者に
あるそうだ。
普通に市販のされるような武具は
が良くなったり魔法効果が付与されていたりすると
お金を出しさえすれば比較的入手は簡単だった。
死と隣り合わせの世界、少しでも良い装備を揃える
のは当然の事であり、一般的な冒険者は大抵は
で身を固めているらしい。
だが、名のある職人が鍛える最高の性能と価格を
誇る武具の前では、これらの武具は話にならない。
それらは、着用者の
壊れた性能の武器武具なのだから。
そうした一流の品々は、
冒険者にとっては、この
ステータスであり、それを達成した者は憧れの目で
見られるだけの実力者と見做されているのだそうだ。
ガルム作成の防具はこの
感激していたのはそれが理由だったようである。
ところで、そうした一流の品々をも上回る、とんでも
ない性能の武具も存在した。
名のある職人が素材を厳選して作成する、利益を
度外視した作品がそれだ。
大きな町の武具屋が宣伝の為に店奥に飾っていたり、
王侯貴族の王宝として大切に保管されていたり。
ともかく、世に出回る事の少ない事でかなりの希少性
を誇る最高の装備品。
そうした品々が
ちなみに、ガゼル王の仲間や天翔騎士団の面々は、
全員が、この等級の武具を装備していた。モノ作り
大国の本領発揮とでもいおうか、金と素材に物を
言わせて最高の武具で最高の戦力を維持している
ようである。
そりゃあ強いよね、と後で聞いた時に思ったものだ。
武器や防具で底上げするというのは人間が魔物に対抗
する手段の立場からすればたまったものではない
だろう。
だからこそ、俺達が真似して最高の武具を用意する
のも当たり前なのだ。
この事から理解出来るように、ヨウムの驚きも当然
である。
ヨウムが使っていた
欠けて駄目になっていたので、クロベエが代わりと
なる物を用意したのが……これも素晴らしい出来栄え
だった。
大太刀のように反りはなく、形状は西洋風の両刃に
見える。だが実際は、片面斬る事を目的とした研ぎ
澄まされた刃であるが、もう片方は叩き潰す事を目的
としてひたすらに頑丈になっていた。
盾を持たないヨウムの戦闘スタイルからしても、
以前のものよりも使い勝手は良くなったと思う。
手に取った瞬間、「こいつは凄え……」と言って
魅入っていたし、ヨウムも満足したようで何よりだ。
この斬竜剛刀も、クロベエ作という事で特質級相当の
極上の品なのだ。ナイトスパイダーの外骨格さえも、
技量があれば切断可能なそんな威力を秘めている。
こう言っちゃあなんだが、この武器と防具を装備する
だけで、ヨウムの実力はA-ランク以上に跳ね上がる
事だろう。
装備品で実力を底上げするのもどうかと思うが、
使いこなすだけの技量があっての話だし、そこは
目を瞑ろうと思う。
それにヨウムは、これらの装備に見合う程度に強く
なっている。
飯と寝床を用意してやっているが、それだけで文句も
言わずに──苦悶の叫びや、ハクロウを鬼と罵る怨嗟
の声は聞こえたが──頑張っていたのだ。俺と契約を
して協力してくれる以上、それなりの装備をご褒美
として渡しても問題はないだろう。
本音では、これを譲るのは少し勿体無いと思った。
させてもいいものかどうか悩みもした。しかし、
英雄に相応しい装備を与える事で、見る者を納得
させる事が出来ると考えたのだ。
この町で修行しメキメキと実力を増しているし、
決して装備に見劣りする事はない。
更なる修行をつめば、ヨウムがオークロードに勝った
と言っても疑う者は出ないだろう。
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しれません‼︎
『他の投稿作品』もあるので是非ともそちらも
楽しんで見ていただければありがたいです‼︎
【報告】
『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』の
『最新話』と『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』
の『最新話』を近いうちに更新する予定なので是非
とも楽しみにしてもらえたらありがたいです‼︎