ストライクウィッチーズ 黒き槍騎兵   作:ブンブク

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久しぶりの更新です。
今回は、オリジナルストーリー回ということで温かい目で読んでください。


第7話 ロンドン防空戦

数日後、今日はバルクホルンが休暇を利用してクリスの見舞いに行く日である。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

「あ、ああ……よろしく頼む。」

 

どうしてこうなった?確か私はクリスの見舞いに行くはずだった。そのはずであった…………。

結城が運転をして助手席にバルクホルンとリーネが座るという形で3人を乗せた軍用トラックはブリタニアの街へ走り出す。その道中、バルクホルンはこうなった経緯について思い出していた。

 

 

 

 

 

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ここで時系列は、昨晩に戻る。

 

 

 

昨日はネウロイの襲撃もなく、平和な1日であった。明日の準備をしていたバルクホルンであったが、ミーナから呼び出されて執務室に向かった。

 

「何だと!明日来れないだって!?」

 

「ええ……そうなのよ。」

 

バルクホルンは驚愕の表情をしてミーナも困った表情をする。話の内容は、明日迎えに来る送迎車の運転手が体調不良で来れないとの事であった。

元より車の運転が苦手なバルクホルン。その為に送迎車をお願いしたのに迎えの車が来れないとなると明日の予定は潰れたも同然である。

せっかく休みを貰って妹の見舞いに行く事に楽しみにしていただけにバルクホルンの落胆は大きいものだった。

 

(どうしたものかしら…………。)

 

友人としてどうにかしてやりたいが、解決策が見つからずミーナは深刻な顔になる。すると、執務室のドアをノックする音が聞こえてドアが開く。

 

「失礼します。中佐、明日の訓練についてですが……。」

 

結城が部屋に入ってきてミーナは結城を見つめる。

 

「……? どうかしました中佐?」

 

「いいえ、何でもないわ。時に結城さん、あなた車の運転は?」

 

「運転ですか?まあ、人並みには出来ますが……?」

 

ミーナからの突然の質問に結城は答える。

 

「ちょうど良かったわ。実は結城さんにひとつお願いしたい事があるのだけど――――」

 

ミーナは、結城に事の経緯を話した。

 

「つまり、自分に運転手の代わりをお願いしたいと……?」

 

「ええ、それに貴方この基地に来てから一度も休暇を取ってないでしょ?せっかくだからロンドンで観光でもしたらと思ってね。」

 

休暇も取れて、ロンドン観光も出来る。一石二鳥である。

 

「……分かりました。ただ、自分はブリタニアの街はよく分からないので案内役としてリネットを連れて行きますが。」

 

「ええ、構わないわ。それじゃあ、明日よろしくね。」

 

 

 

 

 

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そして、時系列は現在に戻る。

結城たち3人を乗せたトラックは、市街の道を走っていく。運転を勤める結城は安全運転でロンドン市内を目指す。

 

「悪いなリネット。急に案内役を頼んでもらって……。」

 

結城は、助手席に座るリーネに詫びる。

 

「い、いえ!大丈夫です。あと私の事はリーネと呼んで貰って大丈夫なので」

 

「分かった。次からそう呼ぼう。」

 

「それはそうと、何もトラックで行かなくても良かったのでは?おまけにストライカーまで積んで……。」

 

バルクホルンは、後ろに積まれてる荷台に目をやる。荷台には、結城のBf109とバルクホルンのFw190が積まれている。

 

「備えあればなんとやらだ。ストライカーがあれば何かあった時にいつでも対応出来るからな。」

 

「それはそうだが……。」

 

そこまでしなくても……と思ったバルクホルンであったが、結城の言うことも一理あるのでこれ以上は言及しない事にした。

 

 

 

 

 

リーネに道案内してもらい、トラックはロンドン市内に到着した。

さすがはブリタニアの首都ということもあり、活気が溢れ賑やかである。

 

「あ、ここの病院です。」

 

リーネが指差す先に目的地の病院が見えてきた。結城は、路肩にトラックを停める。

 

「じゃあ、行ってくる。」

 

「ああ、また後で」

 

バルクホルンは、トラックから降りて病院に入っていった。ここからは姉妹水入らずの時間。部外者が出る幕ではない。

 

「……さて、せっかくのロンドンだ。俺達は観光でもして楽しむとしようか。」

 

「そうですね。」

 

2人もトラックに降りて、結城はドアに鍵をかける。結城とリーネは、人の波を掻き分けて歩道を歩き出す。はぐれないように結城はリーネと歩幅を合わせて歩く。黒いロングコートを着た男性が10代の少女と一緒に歩く様は傍から見れば犯罪の香りがするが、結城はそれに気付く様子がない。

一通り、街中を散策する2人。最初は、街中の案内で話が弾んでいたが、2人の会話がなくなりお互い黙ったまま街中を歩いていた。

 

(どうしよう……。話すことがなくて気まずい……。)

 

お互い黙ってしまって気まずい感じになる。こういう時、宮藤がいればどれだけ気が楽かとリーネは思う。

 

「リーネ」

 

「は……はいっ!」

 

結城がリーネに話しかける。不意に話しかけられてリーネは少し裏返った声で返事する。

 

「……少し買い物したいが、良い店知ってるか?」

 

「はいっ。この近くですけどオススメのお店がありますよ。」

 

そう言ってリーネは店に案内する。程なくして2人は1軒の雑貨店に着いた。

 

「リーネも何か買っていくか?」

 

「いえ、私は外で待っていますので」

 

「そうか……すぐ戻るから少し待っていてくれ」

 

そう言って結城は、店の中に入っていった。店内は主に食料品や生活用品が置いてある。酒類も売られており、棚には種類豊富なワインが並べてある。

普段、ユニットの整備をしてくれる整備兵達の差し入れとして結城は良さげなワインを2〜3本取り出す。彼らの好みは分からないが、いくらか買っておけば大丈夫だろう。そう思いレジへと向かう。

 

 

 

 

 

一方、リーネは店の外で結城の買い物が終わるのを待っていた。

 

(そういえば……私、男の人と街の中を一緒に歩いたの初めてかも……。)

 

歳の近い異性とこうやって街中を歩いたのが初めてだった事に彼女は今になって気付いた。

 

(これってまるでデート…………ってなに考えてるの!私と結城さんはそんな関係じゃないのに……!)

 

ハッと我に返り、リーネは顔を赤くして顔を左右に振る。自分と結城はあくまで上官と部下であると自分に言い聞かせる。

 

「ねぇ、彼女1人?」

 

「俺達と遊ばない?」

 

そこへ3人組の軍人がリーネを取り囲む。軍服らしてブリタニア兵であるが、いかにも柄の悪い印象である。

 

「わたし、付き添いの方がいるので…………」

 

屈強な男3人に取り囲まれてしまい、リーネはその威圧に押されてしまう。

 

「そう言わないでさ、俺達と遊ぼうよ」

 

「や、やめて下さい……!」

 

男の1人がリーネの腕を掴んで逃さないようにする。恐怖のあまりリーネは少し涙目になる。

 

「……お前ら、俺の連れになにしてる?」

 

そこへ買い物を終えた結城が店から出てきた。右手には紙袋に入っているワインを持っている。

 

「結城さん……。」

 

「あ?何だお前?」

 

ブリタニア兵の1人が結城を睨みつける。男の口からは酒の臭いがする。

 

「お前ら、ブリタニア兵だな。昼間から酒盛りして挙句、ウィッチにちょっかいかけるとは軍人の風上にも置けないクソ野郎だな。」

 

「何だとっ!テメェ――――」

 

自分より体格が劣る扶桑人に蔑視された事で逆上したブリタニア兵の1人が結城に殴りにかかる。

結城は男の攻撃を難なく避けた後、魔法力を発動して空いた左手で攻撃する。横から回して直前に手首を返して掌の付け根部分を突き出して勢い良く男の顎に当てる。所謂「掌底打ち」という技だ。

顎をモロに食らった男は、典型的な脳震盪を引き起こしその場で倒れ込む。目は白目をむいており、口から泡を吹き出していた。

 

「え…………?」

 

あまりの一瞬の出来事に取り巻き2人の動きが固まる。

 

「つ、使い魔?ま、まさか……あんたウィザード……?」

 

結城の頭に生えている羽を見て、取り巻き達は理解した。とんでもない相手に喧嘩を売ってしまったと……。

 

「彼女を離せ……そして失せろ!」

 

モーゼルに手に掛けて、ドスのきいた声でブリタニア兵を威嚇する。

 

「ヒッ!わ……分かりました。」

 

結城の睨みに恐れをなしたブリタニア兵はリーネを解放してその場を後にしようとする。

 

「おいっ!このバカも連れて行け!」

 

取り巻き2人に結城は地面に倒れている男も連れて行くように促す。2人は倒れている男を肩をかけて引きずるように立ち去っていった。

 

「リーネ、大丈夫か?」

 

「は、はい。あの……結城さん、助けてくれてありがとうございます。」

 

「気にしないでくれ。それにしても……国や民を守る軍人があのザマじゃあどうしようもないな。」

 

全部の軍人がそうではないと思うが、先のブリタニア兵のように戦いに備えての緊張感がまるで感じられない。こんなんではヨーロッパはおろかガリア解放なんかいつになるのやら……。

 

 

 

 

 

 

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ここは、ブリタニア沿岸に位置するとある砲台陣地。その一角で若い兵士たちが談笑していた。

 

「ったく……こうも敵が来ない日が続くと毎日が暇でしょうがないぜ。」

 

「そう言うな。俺達がこうして平和でいられるのもウィッチーズのおかげでもあるからな。」

 

「まさにウィッチ様々というやつだな」

 

ここでは、ネウロイのブリタニア上陸に備えて砲台や対空兵器、コンクリートトーチカが設置されている。

最近は「ストライクウィッチーズ」の活躍もあり、ネウロイの襲来がなく平和そのものである。

 

「……そういえば、知ってるか?最近、501にウィザードが転属してきたの」

 

「何っ!?ホントかよそれ!」

 

「ああ、何でもアフリカ帰りのウィザードが転属してきたみたいでよ。かなりのベテランという噂みたいだぜ。」

 

「羨ましいぜ……!俺も一度で良いからウィッチ達にお近づきになりたいものだ。」

 

「全くだ。ま、俺達のような一般兵にとっては夢のまた夢だけどな。」

 

501に転属したウィザードの話題で盛り上がる兵士たち。10代の少女たちと寝食を共にするウィザードに彼らは嫉妬に近い羨望と下心を見せる。最も、当の結城本人にはそんな下心は無いのだが。

 

「ん……?何だ?」

 

「どうした?」

 

「いや……海の向こう側から何か飛んで来たのが見えてな……。」

 

ふと兵士の1人が何かに気付き、持っていた双眼鏡を覗く。するとポツポツと黒い点が現れる。

 

「て……敵だ!ネウロイだ!」

 

「バカ言ってんじゃねぇよ。ネウロイがこんなトコまで来るわけ無いだろ」

 

もう1人の兵士が双眼鏡を覗く。海岸線の向こうから飛翔してくる多数の小型ネウロイを確認すると顔を青ざめる。

 

「クソッ!レーダーは何していやがったんだ!」

 

低空で飛んでいる小型ネウロイ群を迎撃するために砲台陣地に設置されている砲台、対空火器が火を噴く。ありったけの弾を撃ちまくって何機かの小型ネウロイが白い破片となって爆散する。しかし、ネウロイの数が多いせいで半数が弾幕を抜けてブリタニア本土に侵攻する。

 

「こちら砲台陣地!敵ネウロイが本土に侵攻!場所は――――」

 

ここで砲台陣地の通信が途絶える。弾幕を抜けた半数のネウロイのうち何機かが砲台陣地に着弾し砲台陣地は大爆発を起こす。この陣地での生存者は誰一人としていなかった。

 

 

 

 

 

 

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ブリタニア ロンドン市内

 

 

 

「遅いぞ2人とも!どこに行ってた?」

 

結城達が戻る頃には、見舞いを終えたバルクホルンが先に戻っていた。

 

「なに、せっかくだからロンドン観光をね。バルクホルンの方はもう良いのか?」

 

「ああ、久しぶりに妹の顔を見れたから大丈夫だ。」

 

「そうか、それは良かった。」

 

バルクホルンの顔は実に晴れやかな表情であった。

 

「あの……せっかくですしどこかでお茶でもしていきませんか?」

 

ここでリーネが遠慮気味に提案する。

時刻は、ちょうど昼下がりを指していた。

 

「それも良いな。バルクホルンもどうだ?」

 

「ああ、私は構わない」

 

「良かった。では――――」

 

その時、けたたましいサイレン音が街中に響き渡る。

 

「えっ……なに?」

 

突然の警報にリーネは、何のことか分からずに状況を飲めずにいる。対して場数を踏んできた結城とバルクホルンはすぐに状況を理解する。

 

「バルクホルン!」

 

「分かってる……ネウロイだ!」

 

「そんな……あり得ないです。ネウロイがこんな所まで来るはずが……。」

 

まさか首都のロンドンまで侵攻してくるとは思わずリーネは、信じられない表情になる。

 

「その“あり得ない事”がいま起きてるんだ!」

 

結城は、持っている荷物をトラックの室内に入れて荷台の幌を勢い良く剥がす。

発進台に固定された2機のストライカーユニットが姿を現す。

 

「リーネ、私と結城が出撃する。お前は、ミーナにこの事を報告して街の人達の避難を手伝ってくれ!」

 

「は、はいっ!分かりました!」

 

バルクホルンは、リーネに指示を送って荷台に積まれている自身のユニットに足を通す。結城も既にユニットに足を通してエンジンを始動させている。

 

『準備は良いか?バルクホルン!』

 

『いつでも大丈夫だ!』

 

『発進っ!』

 

固定台から外れた2機のユニットは、垂直に上昇して発進していく。一定の高度まで上昇していった後に2人は水平飛行に移る。

 

(絶対に守ってみせる……!今度こそ……!)

 

首都ロンドンをカールスラントの二の舞にさせるものか。胸の中で決意を秘めるバルクホルンであった。

ふと、結城の方に視線をやったバルクホルンは、ある違和感に気付いた。

 

「結城っ!お前武器はどうした!?」

 

いつもなら主武装としてMG151/20を持っているが、今の結城は愛銃のモーゼルシュネルフォイヤー2挺のみであった。

 

「ユニット積んだのはいいけど、武装までは積めれなくてな……。」

 

「しかし、拳銃だけでまともにやり合えるのか?」

 

「火力は劣るが、何とか戦えるさ」

 

そんなやり取りをしているとインカムから通信が入る。

 

『トゥルーデ、結城さん聞こえる?』

 

「ミーナ!敵の侵攻を許すとはどういう事だ!」

 

「バルクホルン、過ぎた事は仕方ない。今はネウロイを倒す事が先決だ。」

 

「そ、そうだったな……すまない。」

 

敵の侵攻を許した事にミーナを咎めるバルクホルンであったが、結城に諭されて冷静になる。

 

「中佐、結城です。敵の全容は?」

 

『小型ネウロイ40機がロンドンに向けて侵攻中よ。いま私達もそっちに向かってるわ。』

 

「どれぐらいで着きます?」

 

少し間を置いてミーナが口を開く。

 

『早くて10分くらいかしら……。』

 

「了解しました。どうにか食い止めてみます。」

 

ここでミーナとの通信が切れる。

 

「…………なぁ、バルクホルン」

 

「何だ?」

 

結城は、ポケットに入れていた煙草を1本取り出し、口に咥えてライターで火を付ける。

 

「他人の土地に土足で踏み込んでくるクソ野郎には、5倍10倍にしてやり返してやらないと気が済まないよな?」

 

結城の言葉にバルクホルンはフッと小さく笑う。

 

「ああ、そうだな。奴らにロンドンを侵攻した事を後悔させてやる!」

 

そうしていると2人の視界にネウロイの群れが現れる。見た目はロケットの形をしており、直線的な小さい主翼に尾翼、上部には円錐形の筒が付いてある。

 

「見えたな……。俺は右側を、バルクホルンは左側のネウロイを頼む。」

 

「ああ、分かった。」

 

「よし、行くぞっ!」

 

結城の掛け声を皮切りに2人はネウロイに向かって急降下していく。

ネウロイも結城たちの存在に気付いてビームを発射して弾幕を張る。MG42の射程圏内に入り、バルクホルンは引き金を引く。対して、結城は攻撃せず急降下を続ける。拳銃なので射程距離まで引き付ける必要がある為だ。トップスピードを維持するためにシールドを張らずに敵に肉薄する。

 

「もう少し……もう少し……今っ!」

 

射程に入り、固有魔法『増幅』を発動させて結城は引き金を引いた。

固有魔法で威力が倍増した7.63ミリモーゼル弾が敵のネウロイに命中して爆散する。攻撃した後に小型ネウロイの群れから高速で離脱する。今の一撃で結城は小型ネウロイを3機撃墜する。

 

「まだだ……っ!」

 

ある程度距離を取ってから最小限に旋回して再度ネウロイに肉薄して再度攻撃して離脱。今度はネウロイ2機が白い破片となって爆散する。次は一気に上昇してからクルッと宙返りしてネウロイの群れに目掛けて急降下していく。ネウロイもビームを放って弾幕を張る。ビームの間を縫うように回避しながら高速でネウロイの群れに接近して攻撃、ネウロイ3機が爆散する。

高速を生かした一撃離脱戦法での反復攻撃で結城はネウロイを次々と撃墜していく。

 

「す、すごい……。」

 

一方のバルクホルンも両手に携えたMG42を小型ネウロイに向けて掃射して確実にネウロイの数を減らしていく。

その最中、結城の戦いを横目で見ていたバルクホルンは感嘆する。拳銃2挺のみで明らかに火力は劣るにもかかわらず、小型ネウロイを次々と撃墜していく。

敵の間合いに入るまでシールドを張らず高速で肉薄して敵にダメージを与える。まさに“肉を切らせて骨を断つ”戦いぶりである。

 

「私も負けてられないな!」

 

結城の戦いに触発されてかバルクホルンも自身が持つMG42をネウロイの群れに目掛けて攻撃する。2挺のMG42から放たれる7.92ミリ弾をばら撒くように射撃してネウロイを撃墜して数を減らしていく。

 

 

 

 

 

戦闘が始まって数分。40機いた小型ネウロイの群れは撃墜して居なくなり青い空が広がっていた。

 

「あらかた片付いたな。あとどれぐらい残ってる?」

 

「せいぜい1回分くらいだ。結城は?」

 

「この弾倉2つが最後だ。」

 

結城がバルクホルンに弾丸の残数がどれぐらいか尋ねる。

ロンドンに侵攻した小型ネウロイは全機撃墜したが、残党が居る可能性がある為、警戒を怠らない。

周囲を見渡していた時、結城は気配を感じ上空を見上げる。

 

「バルクホルン、上だ!」

 

バルクホルンが見上げると、残党と思われる小型ネウロイ3機が上空から接近していた。バルクホルンは上空のネウロイを攻撃する。3機のうちの2機は撃墜するも残りの1機を撃ち漏らしてしまい、2人の横を通り過ぎる。

 

「しまった……!」

 

「俺が行く!」

 

結城が小型ネウロイを追いかける形で急降下していく。セレクターレバーをNからRポジションに切り換えて、ネウロイに追い付いた所でモーゼルの引き金を引く。毎分900発という発射サイクルで放たれた弾丸がネウロイに命中して爆散する。

目の前にロンドン市街が迫っており、結城は身体を引き起こして上昇する。

 

「ネウロイ殲滅を確認……。」

 

周囲を見渡して、結城はネウロイの殲滅を確認した後、モーゼルを腰に収める。

 

「今度は守り切れたな。バルクホルン」

 

「……ああ!」

 

場の雰囲気に相まって2人はハイタッチする。

 

「何だ?ネウロイはもう倒しちまったのか。」

 

リベリオン製の自動小銃 ブローニングM1918自動小銃(BAR)を手に持ったシャーリーが拍子抜けした様子でやって来た。単機で先行したシャーリーに続いて、ミーナや坂本が合流してきた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

その後、ロンドン近辺の哨戒任務をして坂本達は基地に帰還した。

結城とバルクホルンとリーネの3人は、トラックに乗って基地に向かって帰路についていた。

 

「リーネは、眠っているのか。」

 

「ああ、今日1日色々あったからな。疲れていたのだろう。」

 

助手席にはリーネが寝息を立てて眠っていた。今日1日結城達の案内役とネウロイ襲撃時での街の避難と奔走した彼女だ。緊張が抜けて眠ってしまったのだろう。

 

「結城、今日はありがとう。お前のおかげでクリスの見舞いに行く事が出来た。」

 

バルクホルンは、結城に感謝の言葉を述べる。

 

「別に良いさ。それに礼なんかしなくてもいいから。」

 

「それは駄目だ!それでは私の気が済まない。」

 

結城自身、別に見返りとかそういうのは求めていないが、彼女にとってはそういうのは許せないのだろう。

何だかんだ言って案外、義理堅いやつなんだなと結城はそう思った。

 

「じゃあ……俺の友人になってもらうので良いか?」

 

「私で良ければ……よろしく頼む。」

 

基地につながる道を走らせること数十分後、3人を乗せたトラックは501基地に到着する。

 

 

 

 

 

結城は、荷台に積んであるユニットとトラックを片付けて、バルクホルンは眠ってるリーネを部屋まで運んで行った。

結城は、トラックの荷台からユニットを降ろした後に、トラックを元の場所に駐車してから整備兵たちに差し入れを渡しに格納庫にやって来た。そこでは、先ほど荷台から降ろされた結城とバルクホルンのユニットを整備する兵士たちがいた。

 

「お疲れ様、これ差し入れです。」

 

そう言うと整備兵たちはこちらを向くもすぐに視線を戻し、整備作業に没頭し始める。明らかに無視されて結城はムッと不機嫌になる。

 

「結城さん、その紙袋は?」

 

格納庫入口から声が聞こえ視線をやるとミーナが立っていて結城の右手に持ってる紙袋について訊いてきた。

 

「これですか?整備兵たちに差し入れとして買ってきたやつですよ。あからさまに無視されましたけどね。」

 

「結城さん、この基地での規則は知っていますか?」

 

「規則?」

 

「ここでは、整備兵とウィッチの接触は必要最低限となっているの。」

 

結城が整備兵たちの無礼な態度に愚痴をこぼすとミーナが整備兵とウィッチの接触制限の規定を説明した。

 

「はぁ?何ですか?そのバカげたルール。ウィッチならまだしも俺はウィザードですよ。別にそれくらい問題無いでしょう?」

 

結城から言わせてみればこんな規則、馬鹿げているし理解不能だ。結城の発言に一瞬だけ眉を顰めるミーナだが、すぐに普段の顔付きになる。

 

「分かりました……。今回は大目に見ておきますが、次からはこういう事は出来るだけ控えて下さいね。」

 

そう言ってミーナは、踵を返し格納庫を後にする。

 

「……………………年増が…………。」

 

「何か言ったかしら?結城・ヴェルナー大尉?」

 

「いえ!何でもありませんっ!」

 

満面の笑顔でミーナが振り返る。しかし、目が一切笑っておらず背後から黒いオーラが出ているのを感じた。

軍人としての条件反射か結城はその場でビシッ!と直立不動になる。

 

「あらそう?じゃ、次からは規則を守るように。後、戦果報告も忘れないようにね。」

 

「はっ、了解しました!」

 

格納庫を後にするミーナを確認して結城は、脱力するように肩の力を抜く。

 

(か、軽く寿命が縮んだ……。)

 

配属してからトラブルが起きる度にミーナに楯突いてきた結城であったが、今回ばかりは別の意味で恐怖を感じた。

“ミーナ中佐を怒らせてはいけない”そう肝に銘じる結城であった。

 




今回のロンドン襲撃に登場した小型ネウロイは、「V-1 飛行爆弾」がモデルとなっています。
結城の愛銃であるモーゼル シュネルフォイヤーを使う機会がなかったので今回、活躍させました。
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