何度目か、人魚の攻撃を躱していると鈴仙はふと、水位が下がっていることに気づく。波長を操り少しの間わかさぎ姫には幻覚と戯れていてもらおう。
「早苗、八景龍が…」
「…海を取り込んでいる…のでしょうか?」
「追い詰められたのかしら…?では、海水は無くなる…?」
みるみるうちに海水が無くなっていくのを確認して、わかさぎ姫とにとりの前に降り立つと、ニヤニヤと勝ち誇ったように幻覚を解いてやった。
「はーはっはっは!海中ならばお前らも怖くなーい!」
「あ、ヤバいっ水無くなった!」
「え!?」
「あら、あちらはもう打つ手無しみたいよ」
「なるほど〜そうですか、散っっっ々手こずらせてくれましたね〜!えぇ?お二人さん!」
「「覚悟しろ」」
同時に散々暴れ回った河童と人魚の悲鳴が響き渡った。
「くらえ!洗脳ブラック・アウト!」
黒い水が放射状にばら撒かれる。
そのすべてが洗脳能力のある黒い水をバラ撒く弾幕、というのもまたはた迷惑な攻撃だが、幸いなことに殆ど適当に撃ってるだけなので、当たることはない。
そもそも当たったとしても神力を持つ霊夢にはなんの効果も無い単なる水である。不味そうだが。
「これじゃあボム撃つまでもないわ!」
「こんどは…えーと、くらえ!海符「口八景手八景」!」
回転しながら口から火炎を吐き出しつつ、両手からタコの脚を八本産み出し広範囲を薙ぎ払う技。ご丁寧にスペルカードらしいネーミングまでしてきた。
「おっと!やるじゃない…!」
大きく避けづらいタコの触手を躱しても、その合間から大きな火球が飛んでくる。スペルカードらしい技といえる。
「おらぁ!」
「あぶっ…霊符「夢想封印・散」!」
咄嗟にそれを御札で弾きながら、おまけに海魔に御札を叩き込む。
「海符「大海封印」!」
「猿真似!」
夢想封印によく似た弾幕、これなら本家である霊夢なら避けるのは容易い。
「もっと無いの?」
「海符「
海魔の手から水の槍が放たれる。
かなり速度は速いが、直線的なら避けやすい…
「夢想封印!」
海魔は今の霊夢の高威力の夢想封印を食らって大きく仰け反る。
次に食らえば今度こそ倒れるかも知れない。
「ふぅ……次で終わらせてやる」
「ラストスペルはなにかしら」
「余裕そうだな…こっちは初心者だぞ」
「手加減してあげてるでしょ?」
海魔は天高く手を掲げると、全力の魔力を大きな球体とし、幻想郷すら壊れかねない最凶の力を全て込める。
「ちょ、あんた…!」
さすがの霊夢もこれには驚いた。
あいつ受け入れてもらう気あるのか?
幻想郷を゙消す気か、と。
「煉獄海魔電ッ!!!」
そもそも回避すら不可能なほどの超巨大弾をどうしろというのか?いや、霊夢にはこれを切り抜ける技がある。
やはり、最後はコレであろう。
「夢想天生・封魔!!!」
海魔の巨大弾幕、煉獄海魔電をすり抜け、霊夢は鋭い針のような闘気を飛ばす。
夢想天生状態で、貫通力を高めた闘気に、封魔の力を込めて打ち込む新しい技。土壇場で編み出したが、効果は覿面だった。
問題の煉獄海魔電だが、海魔の意識が途切れた瞬間無事エネルギーが霧散していったのを確認して息をつく。
「ふぅ……危なかった……」
海魔が再び落ちていく。
今度こそ、下に海は無い。
海魔の身体が幻想郷の大地に打ちつけられ、動かない。
「霊夢の勝ちだ!」
突然海水が抜けたことでビチビチと跳ねる無数の魚に囲まれて、八景龍海魔の起こした異変はひとまず、幻想郷の勝利として終わったのだった。
「やったな霊夢!」
「ああぁぁぁぁぁぁっ!?痛ッたーーーーッ!!」
「うおっ!?ご、ごめん?」
バシンと背中を叩く魔理沙に絶叫する霊夢。
霊夢は今、全て終わった事だし、と天与博麗を解除した。
瞬間、あれ?なんかおかしいな……と身体に違和感。
魔理沙に背中を叩かれた時に確信した、めちゃくちゃ反動があるタイプの技…使ってる間は強化されてて気づかなかったがこれはもうほぼ界王拳だった。
その後勝利を祝う間もなく霊夢は永琳達に運ばれていった。
あんなに一方的に勝ったのに、霊夢の身体は今魔理沙に匹敵する程にボロボロだった。
ついでに本来は戦場に立っていいわけのない重傷者である魔理沙も鈴仙に連行されていった。
霊夢は激痛の中、誓った。
今後何があろうと、どんな強敵が現れようとも。
例え殺されても
八景龍海魔のネーミングセンス
船の名前『海魔殿』
必殺技の名前『煉獄海魔電』
そしてこの作品は?
次回東方海魔伝 『幻想郷は全てを受け入れる』
来週もマスタァァァスパァァァアッのような懐中電灯!