東方海魔伝   作:嘘しか言わん狐

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本編完結したのに投げっぱなしの伏線?と地底での戦闘を描きました


海魔伝回想録
地底より嫉妬を込めて


水橋パルスィは嫉妬を操る妖怪である。

本人の割と素直に妬む性格もあり、殆どの場合は他人に使うことは無いこの嫉妬心を操る程度の能力が、偶然にもパルスィを導いた。

 

「……なに…?これ……瓶…?」

 

いつからそこにあったのか、誰が創ったのか、この地底の奥底に一本の瓶が埋められていた。

 

「……」

 

瓶に触れた瞬間、パルスィの意識が瓶に…瓶の中にいる怪物と繋がった。

 

羨ましい…寂しい…哀しい…妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい!!私だけがひとりぼっち!許さない妬ましい妬ましい…!誰かここからだして…寂しい…哀しい……

 

「あ……あぁ……っ!!!なんて……なんて妬み……!」

 

まるでさとり妖怪のように声が聞こえた。

心の底に深く突き刺さる声に、パルスィは共感した。

妬みとは純粋な感情ではない、根底に欲しい羨ましい恨めしい……そんな愛憎入り交じった感情こそ優れた妬みだ。

 

 

ねぇ…開けて?

 

 

 

 

そして、地底は一度海に沈んだ。

黒い水が吹き上がり、パルスィの身体を襲う。

思考が黒に染まる中、パルスィだけが理解した。

 

 

リヴァイアサンの本質は、嫉妬だった。

 

 

「ようやく外に出れたぞよくも、よくもこの海魔をあんな瓶に閉じ込めおって……八雲紫…!」

 

怨みに身を焼かれながら海水に手を入れ、取り込もうとして…

 

「八景龍海魔ァ!!」

 

凄まじい力で海水ごと吹き飛ばされた。

空中で身体を捻り見てみれば、昔コチラへ来た時も見た顔だ。

 

「……鬼」

 

たしか鬼、山の四天王だかなんとか言われていた一本角。

追撃に飛んできた星熊勇儀の剛拳が海魔の顎を捉えて上へと殴り飛ばされる。

海水でのパワーアップを知られているようで、徹底して海面に落ちないように殴られることの繰り返し。

 

「っ……!!私に構ってて…いいのか?」

 

全身から黒い水を放出して無作為に誰かを襲う。

こうすれば必ず庇いに向かう。

 

「全員!妖力を放出し続けなさい!さもなくば洗脳されますよ!」

 

あれは……誰だ?知らない顔だ。

海魔の目が拡声器を持った、紫髪でくせっ毛で幼稚園児みたいな服を着たなんか手の短い美少女を確認して、次にそいつの身体に巻き付くサードアイを見る。

 

「さとり妖怪…?噂は聞いたことがァッ!?」

 

「悪いがお前はここで倒させてもらうよ!」

 

腹に穴が開くほどの拳を受け、血を吐き出しながら海水を得ようとするのを見逃す勇儀ではない。弱りきった海魔を必ず倒すという意志を込めてまるでバレーボールのように打ち上げ続ける。

 

(パルスィ、聞こえているな…?)

 

しかし、ここで勇儀を邪魔するものがいた。

殴りかかる腕にしがみついて動きを阻害したパルスィを引き離そうとする勇儀は腹部の痛みに顔を顰める。

 

水で出来た槍が勇儀の腹に突き刺さっていた。

 

次いで、海面が大きな音を立てて揺れる。

 

「八景龍…!」

 

「……とんだ寝起きだ鬼めが」

 

一瞬の隙を突き、パワーアップしてしまった。

こうなればさっきのようにはいかない。

今度は海魔のほうから攻め、勇儀を海中に引きずり込むと徐々に力を増しながら殴っていく。

 

合間に勇儀の反撃で海魔は何度も傷を付けられるが、すぐに回復する。

 

勇儀の両腕を掴み動きを封じる海魔に膝蹴りを食らわせる勇儀に対し大きな口を近づけ……

 

「まずい…!」

 

あたりが蒸発するほどの業火を至近距離で吐き出した。

いくら頑健な鬼といえどひとたまりもないだろう。

 

勇儀を蹴り飛ばし、海水を取り込もうとする海魔。

 

「お空、撃て!!!」

 

「「サブタレイニアンサン」!!」

 

グンッと身体が引きずり込まれる異様な感覚に声の方向を見れば、八咫烏らしき女と先程のさとり妖怪の姿が一瞬目に入り……

 

まさしく人工太陽というべきエネルギーの塊にゾッと身体が恐怖したのが分かる。

 

あれに無理矢理引き寄せられるこの恐ろしい弾幕を消し飛ばそうと、両腕に力を込めて蒼い稲妻の走る弾を創り出す。

 

「煉獄海魔でっ…!」

 

「爆符「ギガフレア」!!!」

 

視界を埋め尽くす光熱に焼き爛れる身体と、耐え難い激痛を゙味わいながら海魔は蒸発しきって海水の無い地面と光熱に挟まれ焼き潰されていた。

 

ぐちゃぐちゃの身体がついに熱線の外にはじき出されると、焼き切れた両脚と右腕を再生させながら骨の剥き出しとなった左腕でなんとか身体を引きずり、わずかに残った海水を求める。

 

「逃がすわけには行かないねっ!」

 

勇儀の剛拳に吹き飛ばされ、朦朧とした意識の中で伏兵のヤマメに病を打ち込まれると、ただでさえ低下した再生力がさらに弱まり、パワーも格段に落ちてしまった。

 

「かっ!」

 

追い詰められた者ほど恐ろしい。

海魔が選んだのは最後の悪あがきであり、無差別な破壊だった。

地底を完全に破壊するようにタコの脚と業火を振り回し、勇儀を吹き飛ばすと3発の業火を叩きつけ、空を飛んで地底を脱出した。ただでさえ少ない体力を削って海水を創り続け、僅かでも身を隠したのが大きかっただろう、辛うじて逃げ延びた海魔は海中を飛びながら魔法の森に逃げ込み、ひたすらに海水を出しては吸収する事を繰り返し、幻想郷は海に沈んだ。

 

そこから一晩、死んだように眠り続けた海魔は新たに生えてきた両脚と、焼け爛れているがなんとか腕の形は成している右腕を見て八雲紫への怨みを募らせる。

 

そこへ、霧雨魔理沙が飛んでくるのはすぐ後の話だった。




昨日は最終回だと言ったな

あ、あぁ、そうだ助けてくれ…

あれは嘘だ。ウワーーーッ!!!!

次回東方海魔伝 『離してやった』
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