≪高等傭兵検定("ライアー"監修)≫
1wave:2脚MT
2wave:4脚MT
3wave:トレーナーAC (軽リニア+ベイラムMG / 4連ミサイル
条件:自機リペア使用禁止
地面を蹴って機体を横へ。
鏡合わせのような中量二脚機がクイックブーストですり抜けること、ひとつ ふたつ。数えてからアサルトブーストで踏み込んでみせた。
膝を蹴り上げ、金棒を振り抜き。一振りでACS負荷限界を迎えた敵機を折り返しで跳ね飛ばす。
先日気づいた、[姿勢の齟齬]に対する調整は、ひとまずの
機動に伴う身体への負荷を機体の姿勢に沿うよう受けるだけで、アサルトブーストで駆ける間の言いようのない不快感はおおむね鳴りを潜めるようになったのだ。悪くない感触だった……従来に比べれば。
相談した時のルークさんもなんだか渋そうな顔で、調整する代わりにと操縦時のパイロットスーツの着崩しを固く禁じてきたけれども…まず着崩す動機はないから、あってないような制約である。
ジェネレータにひと息つかせつつ、追加でライフル弾を詰めていく……が、まだ敵機は墜ちない。機体装甲が煌めき、傷が埋められていく。
と、急に背筋が凍るほどの悪寒に襲われた。応報とばかりに送られるミサイルの陰で、電磁を纏った銃身に睨まれている。クイックブーストで射線から逃げるも…
(っ!?しま――)
結局は負荷限界。
自機は長く保ちそうにない……操縦桿を握り直す、手もとに短く息を零した。
同じく息を整えたジェネレータを唸らせ蹴り上げに──これは一度の後退でいなされる。
ひと振りだけ引っ掛けたついでに土産の弾を数発。そこらは、撃って追って蹴りつけての繰り返し。
稼働限界のアラート音が喧しいなか、また銃身が光って見えたところで打って出る。怯んでる場合ではない。
電磁加速を受けた弾丸をすり抜け、さらに警告…クイックブーストは
ギリギリ間に合った。すっかり悪くなった足癖でもう一度敵機のACSを黙らせ──
(いけ―――ッ!!)
立ちすくんだ獲物の目前、肩に金棒を担いだ機体。操縦桿にあらん限りを注ぎ込み。
――
振りかぶりが過ぎてもたつく姿勢をなんとか戻したところで、景色が折り畳まれるように黒へと変わっていく……
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‐──‐ ‐
「お疲れ、アマノ」
「――っはあぁ……ど、どう でした?」
「う~ん、そうだなあ……」
声に惹かれて現実へ。続く言葉は──
「──なんてな、合格だよ。
手持ち二本に絞ったままここまで、よくやったな」
「っ、よか──ったあぁぁ……!」
背もたれからずるりと落ちるも気に留めず、湧き上がる熱の篭った実感を噛み締める。
――ルークさんに認められた。
瀬戸際だったかもしれないけれども、これでようやく…僕は、
「重ねて言っておくが、及第点で満足するなよ?
お互い手前より優秀な傭兵はごまんといる。より肌に合う奴が現れたら、迷わず乗り換えるぞ」
「……わかってます。さっきのAC戦にしても、咎められるだけの余地がありましたから。
貴方の役に立つ上でも、不安をよぎらせてはいけませんものね」
「そうだな。
ともあれ、あとはミサイルについて軽くレクチャーしてから、晴れて傭兵向けの依頼解禁ってわけだが──」
視線を結んで、頷く。
何はともあれ、ひとまずご飯を食べよう。何をするにも活力が大事とは、毎日教わっていることなのだ。
▼
ミサイルの運用訓練は…端的に言って、楽しかった。
視界に入ってさえいれば発射準備は勝手に済まされ、ワンタッチでそんじょそこらの二脚MTくらいは屠ってくれる。
それ自体は僕が一人で活動していた時にも経験済みなのだけれども……駆けていようが飛んでいようが自由に撃てることの利便性をうまく実感できたのは初めてだった。ばら撒くように雑な撃ち方ですら一定数機能するのだから、優秀に過ぎる。
「お前はどうも、ACに乗っている時ですら動き方がやたらと
過去に僕が傭兵だった頃の記録を手にルークさんは笑っていた。映像にはミサイルを構えて立ち止まる中量機体が、グレネードの爆風に咎められる無様がはっきりと残されていた。
ちなみに構えなければミサイルを撃てなかったのは、21世紀末から22世紀初頭に生産された機体……ACがそもそもACですらなく、戦車の延長線上で語られていた時代にまで遡るのだとか。
ルークさんが最後の最後になってミサイルを使わせたのもそんな、いわゆる時代遅れも甚だしい隙を忘れさせる為の工夫だったのかもしれない。
「まあ、癖はあってもお前はまだずっと若い。新しく覚えるも古いを忘れるも、今のうちがいちばん気楽だろうさ」
「……っあの。貴方から若さどうこうを言われると、僕がどう受け取ればいいやら…!」
「ええ〜?私間違ったこと言ってないだろう?こっちはもうトシでさあ」
「鏡見てから言ってもらえます!?」
「くっはは!青いのぉアマノくん!目に見えるものが全部真実と思ってちゃ、この先生きのこれないぞぉ?」
前言撤回。ミサイルの後付けはただの嫌がらせだったのかも……
さておき。その優秀ぶりは、実戦でも健在だった。
散開する弾頭を後目に、アサルトブーストで駆け抜ける。小粒な戦闘ヘリが、まとめて地面へと転げ落ちていった。
相手取っているルビコン解放戦線は大騒ぎだ。襲撃を憤るもの、急激な被害拡大に慌てふためくもの……反応は様々ながら総じて逃げる気配はなく、奮い立つなり壁面などを盾に迎え撃とうとしてくるのだけれども。如何せん、配備されているのはシミュレータで散々見慣れた二脚MTまで。ほとんど足止めにもならない。
おかげで、重たげな回転翼の駆動音が耳に入ってくるのも随分早かった。
〈──見えたな。そいつが
入れ替わり表示されたマーカーは、汚染市街の真っ只中 低空を維持したまま動き続けていた。
ただでさえ封鎖機構の狙撃衛星に睨まれる惑星。さらに荷運び中となれば、所属如何によらず対空レーダーには意地でも引っかかりたくないのだろう。それでいて建物の間をなかなかの速度で飛んでいる。自動操縦でできる芸当ではなさそうだ。
今回は大豊からの公示依頼で、ルビコン解放戦線が奪ったという星外からの支援物資を確保するのが目的だ。そしてその物資が、今は敵方の輸送機の中にあるわけで──
「目的はあくまでも積荷の[確保]でしたよね。…どうやって止めます?」
〈輸送ヘリと併行しアクセスしてくれ。ハッキングで機体を従属化させる〉
なるほど。指針が決まればあとは実行あるのみだ。ジェネレータのひと休みを挟みつ、飛び上がりヘリの横にぴったりついていく。
ハッキングが終わるまでにブースターの息が続くかが、喚き立てる操縦士の声よりよほど気がかりだったけれど……割とすんなりヘリの機首がこちらに追従し始めたことで杞憂に終わった。
《き、貴様らぁ!?機体になにを──》
《せいぜい大人しくしていろ。私達の
びっくりするほど対照的な声色だ。同じことをACにされたら、僕もこんなやり取りをすることになるのだろうか。ぞっとする話だ。
ともあれ、この機体ごと中身を持ち主へ引き渡せば仕事は終わりとなる。
数の減った敵勢力は、明らかに統率を欠いていた。無理もないか。自分たちの拠点に向かうはずの物資が乗組員もそのままに進路を反転したとなれば。
確保した輸送機の操縦士が、通信回線越しにかけられる疑いへの弁明に必死であったこともよかった。敵ながらその弁舌でもって残存戦力に攻撃を躊躇させていたものだから、弾薬を適宜分け与えるだけで悠々と市街から抜けられた。
……そして、順調なのはそこまでだった。
突如として輸送機の操縦席が爆ぜる。制御を失った機体がその重たげな胴体で、踏み固められただけの道を荒らすまでに時間はかからなかった。
〈──!二時方向遠方、レーダーに新たな熱源。これは……
雇用主が伝え終えるより早くアラート音が響いた。咄嗟に機体を跳ねさせ、まさにその場で地面が爆ぜる。
向き直れば、ちょうど逆光でそのシルエットが遠巻きながらも確認できた。スナイパーキャノンを構えた四脚機がヘリから振り落とされるも同然の勢いで降り立つ。
《責めは再会の折に聞こう。同志達の安寧の為にも、貴方が繋いだ糸をここで切るわけにはいかんのだ……!
灰被りて、我らあり──!!》
〈コックピットを撃ち抜いて不時着を強要したか。無慈悲だが、悪くない判断だ〉
更新された
ミサイルを順に撃ち返してみると、引き付けてから斜め前に滑り出てきた。とっさに蹴り上げるも跳んで逃げられ、頭上から散弾までもらう。どちらもシミュレータでは見覚えのない動きだ。目で追いかけるのに苦労した。
(でも、この動きなら──!)
着地際は姿勢を整えざるを得ない。ライフルを片手間に撃ち鳴らしつ、金棒を構え一気に詰める。
敵機も右手に青い光を灯しているものの、振りは間に合わない──
「っわ!?なんで……!」
《よく訓練されているな。御しやすくて助かる…!》
機体が揺さぶられ、拍子に振り下ろしかけていた金棒をいなされる。どうやって と思う間にもキャノンの追撃でACSが悲鳴を上げた。
御しやすい だって?
辛うじて飛びかかりざまの切りつけを回避しながらも、困惑は熱とともにお腹の底で膨れあがる。
わけがわからなかった。僕が仕掛けたのは着地際の反撃が間に合わないタイミングで、読めたところで対処出来ない はずだった。だのに一方的に弾かれて自機の攻撃は不発。このカラクリは一体どこにあるというのか。
狙撃、飛び込み斬り、追い撃ちのショットガン……こちらが本命を叩き込めないままに右へ左へと逃げを打つ。
〈アマノ、MT単機に怯えてどうする。畳み掛けろ〉
「っでも、さっき返り討ちに」
〈奴は一度
「っ…、――ええ、やりますよ!やればいいんでしょうッ」
誇らしげに加えられた一言のおかげで引き下がれなくなった。再びメインブースターで吼え立てる。
直進に合わせて撃たれたキャノンをすり抜ける。前脚を蹴りつけたことで怯んだ敵機へライフルから鬱憤をぶちまけていく。
コアを弾痕だらけにしながらも跳び上がるさまを、更にアサルトブーストで上回り――
「そこ、だ―――!!」
《ッぐ、貴様……!》
着地際を今度こそ思惑通りに叩きつけてやった。装甲ごとひしゃげた砲塔をミサイルのおかわりで撥ね飛ばす。
《は!どうだい、ウチの傭兵は
《おのれ!新兵風情が、看破してきたとでも…!》
見下ろしてみれば、手品のカラクリもなんのことはなかった。振るには間に合わないブレードを敵パイロットは置き気味に突き出していたのだ。たったそれだけ…それでもまっすぐ突っ込む相手にはコアを抉るだけの脅威となるわけだ。
けれどそもそもの話、四脚MTはその可動域と重さゆえに上を取られた途端ほとんど攻撃を当てられなくなる。シミュレータで2対1に叩き込まれた時はずいぶんその恩恵に与ったものだ。
《くそッ──》
《腰が引けたな。逃げるならご自由にどうぞ?別段お前個人は依頼目標に含まれていない》
《こちらの台詞だッ!!たかがはした金ひとつ、その物資で救われる同胞達の生命とは比較にもならん!その程度に尻尾を振ってやって来る貴様らも同じこと……我々に、撤退はない!!》
息巻く四脚のもとへ、続々と増援のMT部隊が降り立つ。背後からも残存機体の接近が警告表示から見て取れた。障害物のない中で囲まれた体だけれども…
〈追加は二脚止まりか。……命令に変更はない。殲滅しろ〉
「了解。すぐ終わらせます!」
あとは再演に次ぐ再演に過ぎなかった。アサルトブーストで火線をすり抜けながら弾をばら撒いては数を減らし、残ったものを叩き潰す。今日の仕事はじめと変わらず、見慣れた手合いと結果だった。最後まで口喧しかった四脚を静かにさせる頃にはミサイルが息切れとなったものの、慣れた手足での戦いは恙無く終わらせることができた。大きく息を吐くついでに、リペアキットを使用しておく。
眼下には煙をあげて転がる残骸。同胞の生命のためと言っていた彼は、道連れにした人々へどう言い訳を宣うのだろうか。
〈……………。アマノ、補給シェルパを手配する。確認してくれ〉
「補給、しぇるぱ??」
〈現地で稼働中のACに簡易の機体整備と補給を行う、
「どうして?敵はもういないでしょう。あとは荷物を回収するだけで」
〈そうなんだが、どうもきな臭い。解放戦線はなぜ今回の荷物に固執した?
輸送物資がコーラルならいざ知らず、ソレでもなく敵対企業の持ち物をくすねるのにデカい拠点ひとつ分の兵器投入だ。奴らにしては過剰な動きに見える。
大豊の輸送部隊がここに来るまでにもまだ少し猶予がある。備えておくに越したことはない〉
「それは、そうでしょうけれども……」
これだけ叩きのめされて、途切れた後にまた同じ勢力が戦力を率いてくることなんて有り得るのだろうか。とりあえず示された補給地点へと機体を向け
〈──現場各員へ通達!緊急事態だッ!!急行中の輸送部隊が所属不明ACの襲撃を受け撃墜された!ACはなおも作戦地点へ接近中、間もなく接敵する!速やかに迎撃せよ、以上だ!!〉
〈…………きな臭いと言ったな。こういうことだ、アマノ〉
MTの次にAC……そういうケースもあるのだった。実戦ではこれまで無縁だったせいか思いつかなかった。
もはや補給どころではない。こめかみに痛みを覚えながらも表示された脅威マーカーのほうへ向いて……そこで僕は凍りついた。
電磁を纏って光る銃身がふたつ。青い噴炎を靡かせてソレはやってくる。
「
▼
《おーおー、派手に散らかってンじゃァねえか。情報通りだなァ……残るは──
墜とされ慣れてるへバりきったACが一匹……くくく、オイシイ仕事だァ!!》
改めて最初からAC6をプレイしてみると、気付くことって結構多いんですよね。
各ランカーACの搭乗者が真人間か強化人間かを、アセンブルだけで予測するポイントとか……