「前方、マーケットガードの小隊ですっ!」
額に「0」と刺繍された黄色い目出し帽を被ったアヤネ
その直後、特注の盾やライフル、アーマーを着込んだマーケットガードの小隊がミズキたちの前に立ち塞がる。
「ああっもぉっ! これじゃ、キリないじゃない!」
額に「4」と刺繍された赤色の目出し帽を被ったセリカ
カバーまで気が回っていないように見えるその様子は、一見やけっぱちの乱射にも見える。
しかし、その精度は舌を巻くほどで、放たれた弾丸はすべからくマーケットガードへ命中している。
しかし、マーケットガード側の装備が強力なのか、どれだけ命中させても、地面へ倒れることはない。
「ん。支援する」
ならばと、シロコ
流石にマーケットガードを一掃はできないが、ミサイルと爆発により、マーケットガードの陣形に綻びが生まれる。
「ほい、っと」
そこへ、額に「1」と刺繍されたピンクの目出し帽を被ったホシノ
陣形が崩された上での各個撃破のショットガンの暴力の前には、流石のマーケットガードの装備でも防ぎきれないのか、1人また1人と倒れていく。
陣形を乱されたら勝ち目がないと判断したのか、後方からホシノたちを挟み込むように動いてくる別のマーケットガード小隊の目の前に。
「うおっ、なんだこの鳥っ!?」
「ペロロ様、ですっ」
突如現れた、戦場には似つかない謎の鳥こと、ペロロ。
まさかその正体が、モモフレンズのキャラクターだとは思わないだろうし、不意に現れれば驚くのも無理はないだろう。
ただし、その状況であっても、モモフレンズ狂のヒフミがキャラ名間違いを見過ごすことはない。
ただし、今の彼女は阿慈谷ヒフミであって阿慈谷ヒフミではない。
額に「5」と手書きされたたい焼きの紙袋を被り、この覆面集団である覆面水着団のリーダー、ファウストなのだから。
「ヨーソロー☆」
ペロロのホログラムで足が止まったマーケットガードの小隊へ、額に「3」と刺繍された緑色の目出し帽を被ったノノミ
ホログラムに気を取られて反応が遅れたマーケットガードに、ミニガンの銃弾の雨を防ぐ方法はなく、次々と倒れていく。
「後は……っと」
銃弾の雨によって倒れたマーケットガードの1人の元へ、額に「S」と刺繍された黒色の目出し帽を被ったミズキ
そのまま身体を回転させ、ジャイアントスイングの要領で、マーケットガードの巨体を後ろへ放り投げる。
投げ飛ばされたマーケットガードの巨体が、ちょうど建物の角を曲がってきた別の小隊と鉢合わせる形となり、その小隊も混乱をみせる。
その隙をついて、ミズキたちは全速で区画を駆け抜けていく。
「急いでください! 道路封鎖されたら、アウトですっ!」
アヤネのオペレートに従って、ブラックマーケットから離れていくミズキたちこと、覆面水着団。
しかし、相手は腐ってもブラックマーケットの治安維持組織であるマーケットガード。
幾重にも包囲網を形成して、覆面水着団へ襲いかかってくる。
包囲網を1つ1つ紐解いてみれば、覆面水着団のメンバーがそれぞれの役割をこなせば対応できる。
しかし、その都度足止めを喰らい、マーケットガードに道路封鎖する猶予を与えてしまっている。
このまま続けば、逃走経路すべてを封鎖され、ジリ貧となってしまうだろう。
「わかってるわよっアヤ……0号! でも……」
「予想より接敵が多い。多分、こっちの動きが読まれている」
接敵の度に、アヤネが周辺情報をスキャンして、逃走経路を更新してくれている。
にも関わらず、少し進めばまた接敵する、というのを繰り返していた。
通信の逆探知の可能性が一瞬よぎったが、アヤネをバックアップしている先生の探知をかいくぐって逆探知しているとは考えられない。
とはいえ、現状を打破できなければ、ジリ貧待ったなしだ。
「ヒフ……ファウストちゃん、何か良さげなルートとか、知らないかなー?」
「あうう……、なくはないですけど……」
ホシノの質問に、涙目になりながらも、ヒフミは自身の記憶から経路を伝える。
彼女視点からは、たまたまブラックマーケットへ来たら銀行強盗に加担する羽目となった上に、そのリーダー格に指名されたのだ。
その心境は、計り知れない。
しかし、彼女にも自身の立場というものがある。
仮にもトリニティ所属の生徒が、ブラックマーケットへ出向いてリーダー格として銀行強盗をして捕まった、なんて事態となれば、話はトリニティを巻き込んだ大事となってしまう。
その時、トリニティの生徒会
「とにかく、そのルートを試してみよう、ヒフ……リーダー!」
ミズキが乗り気で賛同すると、ホシノたちも次々と賛同する。
この状態でやっぱりやめます。とは言えないのか、ヒフミはしばらくあうあうしていたが、先導する形で彼女の提案ルートへ入る。
これまでとは毛色が異なるルートになったからか、マーケットガードとの接敵の頻度は減少した。
しかし、マーケットガードも治安維持組織としての維持なのか、徐々に覆面水着団のルートに適応し始めてきた。
「……やっぱ、アレ、かぁ……」
空を見上げると、こちらと一定の距離を保ちながら追跡し続けているヘリコプターの姿があった。
機体の側面にマーケットガードのロゴが入っていることから、あのヘリコプターを通して、こちらの動きを伝達しているのだろう。
「ホシ……1号先輩、アレ落とせたりしないの?」
「うへ、おじさんに無理難題押し付けないでよぉ〜。流石にヘリまで届く武器は、誰も持ってないよ〜」
それに、ここでヘリコプターを落とせば、いくらブラックマーケットの1区画とはいえ、無関係の人たちが巻き込まれてしまう。
最もな指摘に、セリカは歯ぎしりする。
「なら、地下を進むのはどうですか?」
空中から地上を索敵するヘリコプター相手なら、見えない地下へ逃げ込むのが、最も手っ取り早い。
そうノノミが提案するものの。
「いや、元々地下を通るルートで計画しているならともかく、無策で地下へ言ったら、最悪挟まれる」
「そうですね。地下からでもブラックマーケットの外にはいけますが、地下は狭い上に入り組んでますから、挟まれたら逃げようがないです」
シロコとヒフミが、否定的な姿勢を見せる。
彼女たちの言い分も最もで、仮に地下では鉢合わせなくても、地下から地上へ出られる箇所は限られる。
そこを待ち伏せされたら、一環の終わりだろう。
「ヘリコプターを落とさずに、無力化する方法……。アレ、ぐらいしかなさそうだね」
無関係の人たちを巻き込まないよう、ヘリコプターを落とすのはダメ。
ヘリコプターからの追跡を振り切るために、地下へ逃げ込むのは愚策。
しかし、現実問題としてヘリコプターの追跡に対応できなければ、マーケットガードからの追跡を振り切れない。
手詰まりとなったところへ、先生から通信が入る。
「ミズキが跳んで、ヘリを制圧する……」
「いやいや、いくらなんでも……」
いくらヘイローを持ったキヴォトス生徒だとしても、飛んでいるヘリコプターまで跳躍するのは無理だ。
とはいえ、先生が提案するぐらいなのだからと、ホシノたちの視線がミズキに集まる。
「……あの高度なら、あそこのビルの屋上から跳べば、行ける、と思う」