乱入者神裂火織により勢いを殺され一瞬の隙が生まれる、それを見逃すダキニではなく追撃に移る。
「七閃!!」
ダキニの追撃叶わず神裂の七閃によって防がれる、だがそれだけではダキニは止まらない。
追撃を防がれた瞬間、神裂の視界から一瞬にして姿を消し懐に潜り込み金剛杵を腹へ向けるが七閃のワイヤーが更にカウンターを仕掛ける。
「甘い!!」
ワイヤーが腕に絡まり拘束しようとしたのを感づいたダキニは後方へ距離を取った。
「よそ者被れが……!」
「よそ者被れで結構、あなたの事は比叡山の翁達から聞いています。」
「ダキニ…あなたは追放された魔術結社の生き残り、その成れの果て、狐憑きと
「なーんだそこまでゲロったのかよあのクソ爺ども」
ゆらりとダキニは立ち上がる。そして今までの怒気はどこへやら、突然朗らかな笑みを浮かべる。
依然として神裂が有利なはずなのだが、油断ならない空気が場を張りつめる。
「まぁ一つ訂正するとしたら、あたしは
「本来なら比叡山に捕らわれた時点で殺されるはずだった、だが仮でも本尊は本尊。壊すにも殺す事もできずに腫物扱いで幽閉。おかげで命拾いしたがな」
ダキニは神裂を見据えながら、金剛杵の切っ先を神裂へ向けて来る。
「
一触即発の空気を壊す声、それは天草式の一派が合流した事を意味する声だった。
建宮斎字、五和率いる集団の中から撃破したはずのゴールデンレトリバー「木原脳幹」が姿を現す。
「狐憑きと
「狐が憑いているのならばそれを落とす方法もあるわけだ。」
脳幹を庇うように前に出る五和。
「おっしゃる通りです、そして狐の天敵は狼、つまり狼を祖先とする犬ならばあなたの弱点になる。そうですね!」
「なるほどなるほど…確かに合理的だ、聖人を治療のための時間稼ぎに使うとは贅沢なこって」
やれやれと肩をすくめるダキニに神裂は警戒を解かない。一歩でも動いたら攻撃に移れるように、神経を張り巡らせる。
緊張がピークまで達した瞬間双方足に力が入り駆け出す。
天草式の総攻撃に対してダキニは縦横無尽の各個撃破の攻防戦。目にも止まらぬ速さで天草式を薙ぎ倒していく、神裂火織は動かない何かを待つようにじっとその時を待っている。
木原脳幹の攻撃にダキニはたじろぎするものの負けじと攻撃をさばいていく。肉体強化の暗示に体の限界はないのか、それともリミッターにまだ余裕があるのか原理を掴めずただ攻撃を打ち続けるしかできない状況に脳幹は苦戦していく。
だが、まだ諦めていない人間がいる、先ほどから片膝をついたまま動かなかった人間が。
「ほらほらどぉしたぁ!!!あたしの弱点ついているってのにこんなも……くっそがぁ……!!!」
ゴォォ!!という音と体が焼ける匂いにダキニは体をよじらせ宙から転げ落ちていく。
ゆらりとアレイスターは立ち上がる。
「ユガと言ったがそれは少し違うな女、ここはこの学園都市はユガではなく貴様ら二人が生み出し、複数の曼荼羅を組みわせたチャンネル方式のテクスチャーで覆っている。そうだろう」
「……………………」
「無言は肯定と取るぞ」
「今は、そうだな…六道の一つ人間道といった所か」
「それがどうした、あたしらの作り上げた世界、お前らはリモコンも持ってなければどこにあるのかさえ分かりっこねぇだろうが!!!」
「貴様の本当の目的はただ単に時間稼ぎだ、つまりまだ貴様らが作ったテクスチャーはこの街を覆い切れていない」
「だが、個人と世界でチャンネルを分けれるとはなそこは関心してやってもいい、個人のチャンネルは修羅道か」
「モニターは二つある、そうだな?」
種は割れた。アレイスターの言う通りAIM拡散力場による結晶体、千羽智沙音の半身をカキキエ隧道のエネルギーと曼荼羅を練り合わせ核として作り上げた神殿を地下に作り学園都市を覆う。
木原飽和による一世一代の大実験、この実験による成果を番の叔父は望んでいる。なら、あたしは全力で叔父を支える。あの日、あの時、
「だから何だってんだぁぁっぁあぁっぁぁあああああああああ!!!!!!」
「全容は明かしたぞ、脳幹!」
「やれやれ、浪漫じゃないな」
木原脳幹のA.A.Aによるレーザービームがダキニの背後から襲い掛かる、神裂火織もまたこのチャンスを逃さなかった。
「唯閃!!」
唯閃、独自の呼吸法で魔力を練り上げ体の限界を超えた神裂火織の必殺奥義の抜刀術がダキニに正面から切りかかる。
「ちっ!」
科学サイドの木原脳幹と天草式が
「はああああああっああああ!!」
五和がダキニに突き刺した剣先には呪符が一枚、この時この一瞬のために用意した『狐落とし』の霊装だった。
唯閃、A.A.A、霊装、一度に三つの攻撃をまともに受け止められる程の余裕はダキニにはなく、弾き飛ばされ体は宙を舞い転げ落ちていった。
終わった…アレイスター一同そう思った。
長い沈黙の後ダキニの指がピクリと動いた。
警戒心がぐっとこみ上げ武器を構える。起き上がろうとするダキニに拘束しようと武器を突きつけようとしたその時、上空から真っ白な天使が舞い降りる。
「そこまでです。彼女は私達が引き取ります。」
垣根帝督、もといカブトムシ05が天草式の間に割り込んでいた。