とある初恋の夢物語~回答編~   作:凪子22

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第9話

上空からの更なる乱入者に天草式一同は戸惑いを隠せないでいるとカブトムシ05は気に留めずダキニに向かって話しかける。

「単刀直入に言う、千羽智沙音のDNAマップを寄こしていただきましょうか」

うつぶせに倒れこんでいるダキニは指に力を入れ無理やり体を動かしながら起き上がりその場に座りこんだ。まるでやっとお目当ての物を手に入れたかのようなそんな、やり切ったと言わんばかりの様子で。

「――――よう、贈り物はお気に召したか?」

『あ、あー、マイクテス、マイクテスこれ以上はお前も辛いだろうダキニ、代わってあげるからとりあえず瓦礫から引っ張り出してもらえないかな』

「いてててて、はいはいはい分かりましたよっと・・・ぐえ、ここらへんかぁ叔父貴ー?」

突如聞こえて来た電子音声に驚きつつも、ものぐさにあちこち掘り返しながらこちらに見向きもせず猫の様に臀部(でんぶ)を揺らている姿に先ほどまでの緊張感が完全に崩れてしまっている。

音の発生源を何とか見つけ出すと土の中で見つけたのであろう生首が入った培養ポッドをダキニは大事そうに抱きかかえ膝に置いた、まるで大事な宝物を自慢するように。

生首「木原飽和」は語り掛ける。

『やぁ、未元物質(ダークマター)調子はどうかな?』

「すこぶる快調です。御託はその辺にしてさっさとDNAマップをこちらに寄こせ」

『ダキニ』

ダキニはへーいとポケットからUSBを取り出しカブトムシ05に向かって放り投げた。

カブトムシは放り投げられたUSBを受け取り怒りを抑えながら語り掛ける。

 

「一つ、聞きたいことがある」

『何かな』

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『全て、全て予測し組み立てた、いずれ上条当麻がこの街最大の禁忌(タブー)に触れ「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を使うと計算式に組み込んだその時からね』

木原飽和の言葉にアレイスターが声を荒らげる。それはありえないと。

『できるさ、アレイスター。予測のブラックボックスを最大値まで広げれば放っておいても上条当麻は学園都市の闇と向きあうという選択肢が出てくる、いずれはカキキエ隧道にたどり着くと私は結論づけた。後は方向の調整に手を加えれば私の出番はおしまいだ』

 

『失敗しかできない君とは違って私には権能があってね忌々しい物だが、無限の可能性を持つ未元物質(ダークマター)なら私の可能性の領域から逸脱し新たなる人類の進化を見せてくれる!今起きている地獄など人類の進化に比べれば些末なことだよ』

「権能」それは飽和がどうあがいても捨てきれなかった魔術の残骸、運命という事象を見通す権能だった。

「それが貴様の目的か」

天草式の面々が何とも言えない表情で俯く中、アレイスターが言葉を漏らす。

「今いる人類では先が見えないからと言って新たな人種を生み出そうとは随分と短絡的なものだ」

培養ポッドから不気味な電子音が響き渡る、まるで貴様らの方が滑稽だと嘲笑っているかのように。

 

――僕はね、新たな人種を、私の目指す人類の進化を促す事ができるのならば既存の人類がどうなろうと構わないんだよ。

 

 

そう言って木原飽和は沈黙した。木原飽和の言葉によって決着が着きダキニは培養ポッドを大事そうに抱えていた。

 

「待ちやがれってのよ。話はまだ終わっちゃいねーのよなぁ!」

天草式十字凄教の教皇代理建宮斎字がちょっと待ったと声を上げる。

ダキニは邪魔臭そうにそちらに視線をやった。

「周りを見てみろよ、肉のアメーバが地下に戻っていってる。地上のあれやこれやも時期に収まるカブトムシ05(こいつ)が割り込んできた時点であたしの役目は終わったんだよ」

「だからこのまま終いにしてお家に帰れと言われて帰る馬鹿はどこにもいねぇのよ」

「生首については科学サイドに渡っても文句は言えねぇがダキニ、お前さんだけは野放しにするわけにはいかねぇのよなぁ!」

建宮の啖呵にダキニは面倒そうにため息を吐くと立ち上がろうとすると、その動作に天草式は一斉に刀や槍をダキニに向ける。

「役目は終わったって言っただろうが、やりあうつもりはねぇよ」

そのまま立ち上がり、ふてぶてしい態度で天草式を睨みつける。

「で?あたしをどうしたいんだよお前ら、封印でもしようって?それとも比叡山の爺どもに引き渡そうって?」

「その爺さんたちがお前をご所望なのよ、依頼を受けた限りお前さんを引き渡さなきゃならんのよ」

比叡山に引き渡す、そう聞いてダキニは一種の諦めのような顔をした。

ただ…と神裂が言葉を続ける。

「あなたが必要悪の教会(ネセサリウス)、もといイギリス清教に亡命を望むのであれば話は別です」

亡命…その言葉にダキニはためらう、確かにイギリス清教に亡命をすれば命は助かるかもしれない、かといって比叡山に大人しく引き渡されても狐憑きと荼枳尼信仰のバランスが崩れ仮本尊としての役割を失った今となっては翁達がダキニを処分するのが目に見えている。

ダキニがためらう理由、それはイギリス清教への亡命に対するメリットがいまいち足りない…というより魅力が今一つ足りないと思っているからだ。だが我儘を言って学園都市の中に潜もうが外に逃げようが死の逃避行になるのもダキニは理解している。

諦めて亡命をするかと受け入れようとした時カブトムシ05が待ったと引き止めた。

 

「待ってください、私達には彼女も必要です」

「何故ですか」

「私達の目的はDNAマップだけじゃない、彼女の知識も必要です。学園都市の技術ではない外の技術それが必ず必要となる、彼女もこちらに引き渡してもらいます」

「外の技術・・・魔術についてでしたら私達天草式でも事足りるのではないですか」

「必要なのはこの二人の知識です代わりはいりません。」

ぴしゃりとカブトムシ05は断言する。代わりは要らない智沙音の願いを叶えるにはこの二人の知識が必要なのだ、例えそれが仕組まれた道だとしても。

ひと時の沈黙の後神裂から提案があった。

「でしたら天草式として条件があります…」

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