プレジデントウォーズ2016 ━最後の希望━ 作:TREBOR SAX!
シーン5
アームの眼の前に、白人女性が腰掛けている
ミンシュー党候補者【ヒダリー】だ。
カメラがゆっくりとヒダリーの上半身をズームする
年は70近いが、その顔のおかげでもっと若々しく見える
自信にあふれた表情。才気と思慮に富んだ眼光 見る者に強い印象をあたえる
貫禄があった。まるで女帝か、もしくは学校の先生のようであった
反対に首から下はひどく痩せている。ゆったりとした服装からのぞく首や手足は棒のようにか細い。
彼女の人生は完璧だ。弁護士から、政治家に転身。
着々とキャリアを積みあげてきた
国務長官もつとめた政治的エリートだ。
彼女は明日何もなければ、次期お米の国初の女性大統領となる。
シーン6
ヒダリーが軽く笑って、アームに語りかける
ヒダリー「ご機嫌いかがかしら。アーム監督。直接会うのは初めてだったかしら……」
アーム 「……」
アームは返事をしない。下を向いている。ヒダリーは気にしない様子で話を再開
ヒダリー「あなたは確かカミナリーズを支持していたはずね。招待を受けてくれたということは、私の陣営に鞍替えしたと考えて――」
ビシッ!
突然アームが手のひらを突き出し、ヒダリーを制止する。
アーム「ミス・ヒダリー、挨拶の方はもうよろしいでしょう。本題に入る前にお聞きしたいことがあります」
アームが、手を横に振り、周りを示す
アーム 「この馬鹿騒ぎは一体何なのです。酒を浴びるように飲み、舞台の上で芸能人が歌っている。招待客の中に良からぬ者がいるのか大麻の臭いまで漂っている。我々は、ミンシュー党はこの国の命運をかけて戦っているのではなかったのですか!?」
ヒダリーはため息をつき、失望したような感じで喋る
ヒダリー「わからない? 前祝いよ。私達はもう勝っているのだから。これまで戦ってくれた恩人たちに慰労が必要でしょう」
そういってヒダリーは手近にあった酒の入ったグラスを指で軽くつつく。不敵な笑みで。
アームが、ングフゥと強い鼻息を噴出する。堪忍袋の緒がプッツンする音が聞こえる。
カメラがアームの口元を映す。大きく息を吸い込み、
会話をぶったぎって興奮しながら声高に叫び始める。両腕をファイテングポーズにして拳をゆらしながら。
アーム「あなたは崖の上に立っている!!。破滅的な未来が降りかかり、あなたは地に叩き落されドランプが勝利をつかむ!!」
と真っ向から言われ、ヒダリー はぁ?意味がわからない、というほうけた顔
ムーア 「どうか私の言葉を信じて下さい! 私には聞こえるのです。ハンニバルが門を叩く音が! 今も絶え間なく聞こえる!」
ヒダリーの余裕があった微笑みが消え、目尻と口のはしに力が歪む。
アームは関係ないとばかりに言葉をまくし立てる
アーム 「このまま何もせず明日を迎えれば、あのノンデリ男を大統領と呼ぶことになってしまうでしょう。どうか私の進言を受け入れ、行いを改めるのですっ!!」
突然の発狂に、周囲は静になる。客の談笑、歌声、環境音が全て止む。
ヒダリーのうっとりとしたいい気分は、空気を読まない太った男によって台無しになりつつある。
ヒダリーの顔はこわばり、鋭く敵をにらみつけた
次回 シーン7 自画自賛
作者メモ
ここからずっとアーム・ヒダリーの対話が続きます。作品中でここが一番長くなりそう
寓話的な感じで、登場人物のリアリティはほとんど放り投げられてます。