プレジデントウォーズ2016 ━最後の希望━ 作:TREBOR SAX!
シーン9
ライトアップされた木馬を前ににして、二人の会話が続く
厳しい表情のアーム。
アーム「どう言われようとあの円グラフの数字は無意味です。私は信じない。あの者たちの仕事は、下から上がってきた情報をパソコン画面で眺めているだけです。人々の目を、……人々の生の感情を見ていない」
ヒダリー「ミスター・アーム。あなたは映画監督でありジャーナリストでもあるでしょう。同業者の【CMM】をそこまで手ひどく扱わなくても良いのではなくて?」
アーム「私の使命は、人々に気づきをあたえる事。その過程で誰に好かれようが、怒りを買おうがどうでも良いことです。私はやるべき事をやるだけだ」
アームは自分の胸に手を当てる
ヒダリー「いいえ。全然良くない。彼らマスメディアは私達の友人であり頼もしい味方よ。友への侮辱は訂正してもらわねば」
両手を大きく広げ、会場にいる人々を指し示す
ヒダリー「CMMのジャーナリストは本当に素晴らしい人々よ。首都D.Cやニューヤークの中心部に住み、知識と思考能力をもち、立派な学歴とキャリアを積んだ社会的に正しい人々よ」
ヒダリー「そして何より、彼らは悪と戦う崇高なる精神を持っている。馬鹿で愚かなドランプとキョーワ党一味を毎日こき下ろしている。私も毎日かかさずテレビを見ているわ! テレビを見ることによって人々を真実に目覚めることができる」
上をむいて目がキラキラ光るヒダリー
ヒダリー「ミンシュー党とCMMの共通点はそれだけではないわ。
恵まれた環境と高い教育レベル、立派なキャリア持ったホワイトカラーのエリートである私達は、それとは真逆の恵まれない人々を善の道に導く社会的使命があるのよ。
何も持たない、学力もない可愛そうな社会的弱者に、庇護をあたえてあげる。その先にリベラルな多様性あふれる理想社会が待っている」
テンションが上がってきたヒダリー。返事をまたず続ける
ヒダリー「そうよ! キョーワ党とドランプが見捨てた黒人 不法移民 LGBT イスラム教徒!!
社会と歴史の被害者と言える彼らを、私達の長く大きな手で包み込みこんであげるの。
その理想社会では、彼らは優遇され、持ち上げられ、他の者たちよりも一段高い位置にある椅子にすわる。
これら少数派の人々が生き生きと生活をおくれる社会。彼らは私達ミンシュー党を、子が親を慕うように大いに感謝してくれるでしょうね!」
カメラがズームアウトする
まわりの聴衆がワーパチパチと歓声と拍手を送る 得意満面のヒダリー。アームは映らない
ヒダリーが係の者に指示をする
ヒダリー「さ、この見世物もいい加減見飽きた頃合いでしょう。木馬をあった場所に戻しておいて頂戴」
指示を受けた者が伝令に走り、木馬がゴトゴトと動き出す。
ホワイトハウスは、高所にあるため坂を降りることになる。
斜面はなだらからで、木馬の車輪は木製のゴツゴツした作りなので速度がでない ゆっくりと進む
目的地はDCの城壁だ。
アームがそれを睨んでいたが、係の者が、窓とカーテンを締めたので見えなくなった。
バタンと窓がしまる音。
カメラが数秒、閉ざされた窓を映し続ける
次回 シーン10 クッキー
作者メモ
選挙で誰に投票するのかは、まず政策が真っ先にきます。経済とか物価とか治安とか生活の不安などなど
しかし人間はやっぱり感情の生き物なので、最終的判断は、その政治家が好きか嫌いかという事になるでしょう
特に大統領選では、人気投票の側面が強くなる
そこで問題になるがのその人に対する、大衆が持つイメージ。
2016年の両候補者のパブリックなイメージはマジで最悪でした
ドランプのイメージが悪いのは誰もが知っていますが、ヒダリーも比肩するくらいクッソ悪いイメージを持たれていました
ここらへんは外国人である、我々日本人には理解できないところですが、ぜってぇヒダリーには投票しない、っていう人が男女問わず山程いるくらい嫌な女の代名詞的な存在でした。アメリカ国内では。
具体的に言うと
冷血で血も涙もない、口うるさい学校の先生みたい、エリート然とした上から目線がムカつく、などなど
そんなイメージを引っさげて、ドランプと対決したもんで、
当時ワイドショーでは、今回の大統領選は全米嫌われ者決定戦だ、みたく報道されていました。
ヒダリー陣営もイメージアップ作戦を色々やっていました。
だけども一度定着したステレオタイプなイメージを変えるのは難しい、という結論を反映した今回のエピソードでした