プレジデントウォーズ2016 ━最後の希望━ 作:TREBOR SAX!
シーン10
カメラがホワイトハウスから移動し、遠ざかっていく木馬を上空から映す。
ゆっくりと木馬にズームアップ。木馬の胴体をに向かって
カメラが木馬の体内に入る
そこには数十人の人間が声を押し殺して潜んでいた。
暗いのでシルエットしかわからないが、かろうじて武装した兵士たちであることがわかる
光がない場所なのに、なぜか目だけがはっきりと浮かび上がり判別できて、たまに瞬きをする(カートゥーンアニメ的な表現。)
ゴトゴトと揺れる車内。静かに燃え上がる闘志。
カメラが場面転換、外から木馬の頭部を映す。
サーチライトの光がなくなった木馬は、不気味で陰鬱なオーラを出している
ロープで引っ張られた木馬がどんどんホワイトハウスから離れてい行く。
シーン11
カメラがホワイトハウスへと戻る
カメラが閉められた窓と、アームの後ろ姿を映す
長い間外を見ていたアームがゆっくりとこちら側を振り返る。
アーム「……」
無言。思い悩んで苦悩する表情。左手をアゴに当てる
その顔を明らかに疲れ、やつれていた。まるで十歳は老けような面相。目のハイライトが消えてしまう
ゆっくりとヒダリーがいる場所に歩き出す。その姿もヨタヨタと足取りが危ない
これ以降、アームは精彩を欠くようになり 受け答えも覇気を失う。まるで魂が半分ぬけてしまったように
戻ってきたアームにヒダリーが話しかける
ヒダリー「あら監督、顔色が悪いようね。ここは一つ出し物でもやりましょう。楽しい気分になれば調子も戻るでしょう」
ヒダリーがサッと手を上げて合図をだす
カメラが場面転換 歌手が歌っていた舞台を映す
舞台の袖の方から、マイクを持ったタキシード姿の白人の司会が出てきてハキハキと話し出す。
「レディース&ジェントルメンの皆さん。お待たせいたしました
これより本日のメーンイベント、ドランプをやっつけろ大会を開催いたします」
拍手と共に、会場に1mほどの長さのコック帽をかぶったホワイトハウス専属のコックたち5,6人がはいってくる
彼らは手にキッチンミトンをつけ、大きい長方形の金属のトレイを持っている
トレイには、焼き立てクッキーらしき物が山盛りになっているが、カメラが遠景から撮っているので詳細はわからない。
コックたちがズラリと横一列に並ぶ光景
アームに、隣りにいるヒダリーが解説する
ヒダリー「ウチのコックたちが腕によりをかけて作ったデリシャスなクッキーよ。表面にはあいつの顔がプリントしてあるわ」
お盆の真上にカメラがきてズームイン。クッキーが大写し
デフォルメされたドランプの横顔の似顔絵。
典型的ないじめっ子のようなイメージ。前髪や唇のかたちが強調された面白おかしい変顔。
司会がマイクを持っていないほうの腕をバッと横にふって注目をあつめる
司会「それではプレーヤーをお呼びしましょう。さぁいい子のみなさん出番ですよー!」
十数人の小学校低学年くらいの子ども十数人ほどが登場し、ワーワーキャーキャー子供らしく騒がしい
彼らは全て肌の色がバラバラで違う人種だ。
白人・黒人・ネイティブアメリカン・ヒスパニック・中東・各地域のアジア系
その中でも目立っているのが、七色の虹色の服を来た男の子と、片足に包帯を巻いた松葉杖をついて歩いている女の子だ
子どもたちは、コックの列の前までやってくる
アーム「何を……、子どもを集めて早食い大会でもやるのですか?」
興味なさそうな、ボソボソとした声でアームが尋ねる
ヒダリーが不敵に笑う
ヒダリー「もっとエキサイティンで、政治的な正しさにあふれたイベントよ」
司会が開始を告げると、
コックたちがトレイを振り上げて、中身のクッキーをブチ撒ける。
カシャカシャ軽い音を立てて、山盛りのクッキーが全て白い大理石の床にばら撒かれた。
そこに子どもたちがワーキャーと走りより、元気よくドランプクッキーを踏み潰し行く
特に虹色の服を来た男の子は、踊るように手足をバタつかせてドランプを踏み割っていく
司会「一番クッキーを踏み潰した子が一等賞ですよー!」
会場は、拍手や歓声で大盛りあがり、「hates trump!!(トランプが嫌い)」という掛け声も聞こえてくる
気を良くした子どもたちが笑顔を振りまきながら汗水たらしてパキパキとクッキーを踏んでいく。
カメラが松葉杖をついた女の子をクローズアップ。不安定な体勢を苦労して浮かせてクッキーを一枚踏み潰す。とても大変そうだ
粗方のクッキーが破壊されつくす。
司会が、ドランプをやっつけろ大会が滞りなく終了したことを宣言して、舞台袖に去っていく。
床にバラまかれた踏み割られたクッキーのゴミは、回収されることなくその場に残ったままだ
自信満々にヒダリーがアームに問いかける。
ヒダリー「ああなんて素晴らしい光景かしら! 涙ぐんじゃったわ。これこそが私が大統領になり、ミンシュー党政権になったお米の国の未来よ! どう?アーム監督。感想を聞かせて?」
アームは信じられない、といった表情
アーム「馬鹿げています。これほど胸糞が悪くなるイベントは見たことがない。これを企画した人間は、大馬鹿者か悪魔に精神を乗っ取られているのかどちらかでしょう」
ヒダリー「はっ?」
アーム「吐き気がすると言ったのです。まったくもって、この光景を見て笑顔になる人間も、無垢な子にこのような邪悪な行いを強制した人間も呪われて地獄に落っこちろと強く思いましたよ」
怒りを発するヒダリー
ヒダリー「な、な、なぜそんな事を言えるの!? この全米のミンシュー党員とリベラルエリートが夢想するような喜びに包まれた光景だったでしょう? それを罵倒するなんて理解できない!!」
金切り声が会場に木霊し、温まっていた観客の空気も極寒となる。
顔面を引きつらせれたヒダリーがアームを睨みつける。
アームは額を手でつかみ、頭を上下にふっている。呼吸も絶え絶え。明らかに体調を崩している。精神的ショックが健康に打撃をあたえたようだ
次回 シーン12 あの映画
作者メモ
このお話には元ネタが2つ
ヒラリーの「家庭に入ってクッキーなんか焼かないわ」発言。家庭に入って子育てしてる専業主婦をガン無視した、駄目なフェミニズムって感じの失言です。かなり昔の出来事なのに忘れさられず、今現在でもコスられています。
D社が作った100年記念アニメ映画のワンシーン。
メインヴィランが白人の悪い王様で、誰がどう見てもドランプがモデルだろこれ、ってルックスをしています。
主人公とその仲間たちが、悪い王様が悪い事してると判明したからみんなでぶっ倒そうぜ、と誓い合う場面において、その景気づけに行われるのがクッキー踏み潰しシーンです。
このクッキーは、仲間の一人が焼いたもので、悪い王様の横顔が描かれています。憎き敵役を踏み潰すことにより溜飲が下がり、仲間との一体感を強めるという、かなり物議を醸すシーンとなっております。
アメリカ文化・歴史だとたぶんOKな表現なんでしょうが、やっぱり食べ物を粗末にするのは基本敵側であるべきで、味方側がやるとなんかモヤモヤしますねぇ。
というクッキーつながりの連想でこのお話ができました。