あなたなら、どうしますか?   作:お犬さん

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妄想の極みです。

そして皆様も一緒に妄想してくださると大変嬉しいです。








1話:プロローグ1

 

 

 あなたは何らかの事情により死を迎えた。

 それは病気であったかもしれない。あるいは事故であったかもしれない。もしかしたら、あなた自身把握しないままに、いつの間にか死を迎えたのかもしれない。

 しかし、そんな何もわからぬあなたにも、自分が死を迎えたのだという本能的な確信だけはあった。

 

 自身の不幸に絶望するあなた。

 しかし、ふと気付く。

 

 何故、自分は死んだはずなのに、こうして自我を持って絶望出来ているのか? と。

 

 冷静になったあなたは、周囲を見渡す。

 

 そこはひたすらに白が広がる空間であり、あなたは自身が浮いているのか地に足付けているのかすらわからなかった。

 しかし、そんな前後不覚のあなたにも、ここには何かが書かれている紙と、6つのカード、そしてカードをはめ込む台座がある事だけはわかった。

 

 あなたは紙に記載されている内容を読む。

 

 内容はこう。

 

 


 

 あなたはこれから、丸山くがね様作の『オーバーロード』の世界に転生します。

 

 その際、あなたには

 S、A、B、C、D、E

 のカードが与えられます。

 左にいくにつれて価値は高くなり、カードは1枚ずつしか使えません。

 各項目にカードを1枚ずつ使用してください。

 項目は、

 限界レベル、出身、能力値、特殊アイテム、タレント、コネクション

 となります。

 あなたの生誕時期は、アインズ・ウール・ゴウンが転移する20年前です。

 


 

 あなたは、これは丸山くがね様の

 

『あなたの分身がオーバーロード世界にいたら』

 

 という企画に酷似していると気付く。

 生前オーバーロードのファンであったあなたは、興奮しながら紙を読み進めた。何故なら……2度目の生を与えられるというあり得ない幸運の上に、いくら過酷な世界だとしても自分の大好きな世界に行けるならば、それは大歓迎だからだ。

 

 


 

 限界レベル。

 

 S:41レベル

 A:35レベル

 B:31レベル

 C:28レベル

 D:24レベル

 E:19レベル

 

 このレベルは異性をどれだけ引き付けるか、という指標にもなる。

 

 S:10か国以上から嫁婿入り希望される。同性からもモテる。

 A:数か国ぐらいから嫁婿入り希望される。

 B:あなたの住む国の大貴族、王族から嫁、婿の話が来る。

 C:大貴族から嫁、婿の話が来る。

 D:大都市で一番と言われる異性と結ばれる可能性は非常に高い。

 E:小さな都市で一番と言われる異性と結ばれる可能性は非常に高い。

 

 個人戦闘能力は

 

 S:国家レベルの暴力(替えがない)

 A:国家レベルの暴力(替えがあるかも)

 B:周辺複数都市レベル

 C:大都市クラス

 D:中都市レベル

 E:小都市レベル

 

 


 

 オーバーロードの愛読者たるあなたは、原作におけるこれらレベルの具体例を考えた。

 Sの例として、フールーダが40レベル以下。

 Aの例として、デスナイトが35レベル。

 Bの例として、ハムスケが妥当だろうか。

 Cの例として、ラキュース辺りか。

 Dの例として、エルダーリッチが22レベル。

 Eの例として、ザリュースが20レベル。

 

 ハムスケやラキュース辺りは確証はないのだが、おおよそこの辺りだろうとあなたは考えた。

 こうすると、それぞれのレベルにおける人生が大体どうなるかを考えやすくなる。

 

 結論として──他との兼ね合いもあるし、高ければ高いほどいいが、Cもあれば余裕を持って立ち回れるだろうとあなたは考えた。

 

 むしろ、他次第ではあるが……Eすら選択肢に入れるべきだろう。

 ナザリックから見ればSだろうとEだろうと大差ないわけだし、Eを選択した場合、危険な戦場にはなかなか出られないが、小さな街で腕自慢として生きる分には問題ないレベルである。

 

 とはいえ突発の何らかの危機で死ぬ可能性が高まるから、可能なら高めにはしておきたい。

 加えて、あなたが転生してからナザリックがやってくるまで20年。それまでの立ち回りに幅を出すには、やはり高いカードを使った方がいい。

 例えばだが、フールーダ以上の強者の意見を袖にするアホはオーバーロード世界にほとんど居ないだろう。しかし、ラキュースくらいの実力であれば、権力者に対して意見を押し通すのは少々難しいだろうから。

 

 という風に、やはり高いほど良い理由は沢山思い浮かぶわけだが……

 

 まあ、まだ他を見ずに断ずるのはあまりにも早計だろう。

 

 あなたは次の項目を見る事にした。

 

 


 

 

 出身。

 

 S:ユグドラシルの知識持ち。

 

 また、その特別な生まれよりくる知識によって、20レベル以降最上級職を習得できるチャンスを得られる。

 及び、基本職からのスタートを可能。

 能力が高いだけではなく、切り札を持っている可能性が高く、上手くやれば格上にさえ勝てる。

 能力が知られていない状況に限るが、上限レベルから20を引いた数字に0.6をかけて、出てきた数字を限界レベルに加算する事が出来る。しかし知られれば知られるほど倍率は下がり、最後は0.1ほどになる。

 

 A:特異。

 

 暗殺教団かもしれない、特別な修道会かもしれない生まれを持つ。

 20レベル以降の上級職を習得できるチャンスを得られる。

 及び、基本職からのスタートを可能。

 能力が知られていない状況に限るが、 上限レベルから20を引いた数字に0.3をかけて、そして出てきた数字を限界レベルに加算する事が出来る。

 しかし知られれば知られるほど倍率は下がり、最後は0.1ほどになる。

 

 B:上流階級

 

 貴族かもしれないし、豪商かもしれない。どちらにせよ高い教育をかけられる。

 20レベル以降中級職を得られる。

 及び、基本職からのスタートを可能。

 上限レベルから20を引いた数字に0.1をかけて、出てきた数字を限界レベルに加算する事が可能。

 知られれば知られるほど、倍率は下がっていき、最後は0になる。

 

 C:中級階級

 

 それなりに裕福な、ある程度子供の教育にお金をかけられる家庭。

 基本職からのスタートを可能。

 ただし、中級職を得られるかは運次第。

 

 D:市民

 

 有益な一般職業を強制的に2レベル習得してしまう。

 一般職業は自由に選択できるが、市民由来の職になる。

 

 E:奴隷などの自由に職を選べない階級。

 

 この場合、無益な一般職を強制的に5レベル習得。

 職業は自由に選択しても構わないが、鞭うたれて習得するような職業だということを忘れないようにしなければならない。

 

 


 

 

 まず、Eはあり得ない。

 あなたはそう考えた。

 これでEを選ぶくらいならば限界レベルでEを選んだ方が間違いなく良い。

 あなたはEは考察に値しないとし、D以上を考える。

 

 Dは事実上のマイナス2レベルと考えられる。魔法職になるのも厳しそうだ。何より、文明レベルが低い世界の中における一般市民の生活は、あなたのような現代日本人には少々厳しそうというのもある。まあ我慢出来なくはないだろうが……Dは可能な限り選びたくないとあなたは思った。

 

 A、B、Cは、一見高ければ高いほど良いように見える。しかし、あなたはAには地雷臭を感じた。何故なら、暗殺教団で産まれた場合、確かにスパルタ訓練の果てに強くはなるだろうが、Bでの生活と比較して幸せな人生かと言われたら話は変わるだろう。

 使える中で上から2番目のカードであるAを割いて、わざわざ不幸になるのは意味がわからないとあなたは感じた。

 

 BかCの中だと、勿論Bの方が明確に嬉しいが、まあCでも我慢は可能だとあなたは考える。

 BとCを比較してまず最初に挙がる補正は、多少のおまけ程度だとあなたは考える。なにせ、限界レベルSだとしても、得られるボーナスは2.1となる。限界レベルAだと1.5になる。とはいえこうなると、出身より限界レベルの方が多少は優先度を高くした方がいいのかもしれない。

 

 生活に関しては、上流階級であれば当然いいが、裕福な一般家庭であれば大体どうにかなるとあなたは踏んでいた。

 

 職業に関しては、勿論確実性のあるBの方が嬉しい。自分の人生が決まる以上、運任せは可能な限り排除する方向が望ましいため、これが一番あなたの頭を悩ませる。しかし、さりとて例えば限界レベルとどちらをBに、どちらをCにするかと言われたら、限界レベルを上げた方が強くなれるだろうとあなたは考える。

 

 つまり、可能ならBがいいが、Cでもまあ問題はない。それが結論だとあなたは考える。

 

 そして、S。

 ユグドラシルの知識持ち。

 しかし、あなたは気になった。

 ユグドラシル? オーバーロードではなく? と。

 

 そもそも、ユグドラシルの知識があったとして、活かせるのだろうか? とあなたは思った。何故なら、アイテムや魔法の知識があったとして、そのアイテムはどうやって入手するのか? 魔法を使うにしても最高でも35レベルだと(出身をSにするならば限界レベルは必然的にAが最高になる)多少のボーナス値や知識があろうとも使える位階は低いのでは? と考えたからだ。

 つまり、ユグドラシルの知識は、オーバーロードの原作知識があるならば不要ではないのかとあなたは考えた。

 

 更に言えば、生まれる身分にも記載がない。

 もしや、Aと同じくSも地雷なのだろうか? 

 あなたは訝しむ中、恐るべき記載を見つけた。

 

 なんとあなたは転生の際に、

 

 オーバーロードの知識及び、この空間の記憶を失う

 

 ようだ。

 

 この場所の事はともかく大好きなオーバーロードの知識が失われるのは悲しいが、それ以上に切実な問題がある。

 あなたは原作知識を活かした先回りはできず、この場所にて自分が何を選んだのかもわからない、と。

 

 こうなると、ユグドラシルの知識にも価値が出てくるとあなたは考えた。

 あなたの転生先であるオーバーロードの世界に20年後に降臨するアインズ様と友好関係を築くためには、原作知識を使えないならばユグドラシル知識を使うのがいいだろう。

 

 逆に言えば、あなたから原作知識が失われるという事はつまり、原作知識に加えてユグドラシル知識もないあなたから見たアインズ様は、超越した神のような存在でしかなくなる。有用性を示せば部下にはなれるかもしれないが、友として理由なく優遇される道は減るだろう。

 

 日本の知識を共有すれば……と考えたが、そもそも骸骨の神を相手に日本の話をする機会があるとは思えない。それはあくまで相手が転移者であるという前提があって初めて成り立つ話であり、ユグドラシル知識がないならば、そこに行き着く事はないとまでは言わないが、期待するには望みが少々薄く思える。

 

 つまり、あなたは先程までは無難に行くならばBかCだと思っていたが……これは産まれる場所がよくわからないリスクを踏まえてもSにするしかない。あなたはそう考えた。

 とはいえ、他をまだ見ていないから断定は出来ない。

 

 


 

 

 能力値。

 

 これは、筋力や知力などあらゆる面の才能の高さを意味する。

 ここで高いカードを使った場合、限界レベルにプラス何%かされる。

 例として、限界レベル41レベルの人間が25%ボーナスを得た場合、限界まで鍛え終わるとトータル51レベル相当の強さになる。

 その他にもそれだけの速さで成長し、生き残る確率が高まる。

 ただし、レベルはオーバーロードにおいて絶対の指標であり、能力が高くなっていようと、レベル差によるダメージ減衰効果や使える技の数、魔法の位階までは変化しない。

 例の場合であれば51レベルの技や魔法が使えるというわけではない。

 

 S:天才。レベル+50%

 

 一を聞けば、十を理解する。

 レベルだけを絶対の指標とする相手と戦った時、相手は目を見開き、あなたの才能から生じる、レベルを超えた能力に驚愕するだろう。

 

 A:秀才。レベル+25%

 

 天才には劣るものの、それでも非常に優れた才能。

 努力する秀才なら努力しない天才に勝つ。

 

 B:才人。レベル+10%

 

 ある程度の才能を持ち、小規模の集団であれば頭角を示す,

 教師役に見どころのあると見做される。

 中規模、大規模になると天才や秀才が入ってきてしまうので、二位や三位になることは避けらない。

 

 C:平凡。変化なし。

 

 世間一般の人の領域。

 

 D:鈍才。レベル-10%。

 

 人と同じだけの努力をしても、習得できるのは他の人々よりも劣ったものでしかない。

 

 E:劣才。レベル-20%。

 

 その道を選んだのは失敗だったのではないだろうか? 

 生き残る道はたった一つ、運である。

 もしそれに見放されれば……人生は非常に悲しいものになるだろう。

 

 そして能力値は絶対的な強者(真なる竜王やナザリック勢力など)がどれだけあなたのことを勧誘するか、にも現れる。

 

 S:まず間違いなく一度は勧誘される。敗北したとしても命を助けられ、もう一度勧誘される。

 A:一度は勧誘される。敗北した時は殺されるかどうかは運次第。

 B以下は勧誘される確率はほぼない。自分から売りこむ場合は、限界レベル次第。

 

 


 

 

 あなたは先程の意見を撤回した。

 あなたはSは能力値一択だと考えた。

 理由はあまりにも簡単。

 

 ナザリックや竜王といった高位の存在から

 

『まず間違いなく一度は勧誘される。敗北したとしても命を助けられ、もう一度勧誘される』

 

 である。

 

 ──ナザリックと敵対しても許されるなど、破格を超えている待遇だ。

 

 比較として挙げられる物の1つとして、やはり先程の出身Sがある。

 

 しかし、やはりまず最初に立ちはだかるは、オーバーロードの原作知識ではなく、ユグドラシルの知識という点。

 この時点で、使い道は極めて限られる。

 

 その知識の使い道は、大きくは2つ。

 用途その1は自らの戦力を高める事。

 用途その2は対ナザリック。

 

 しかし、用途その1は大して有益にはなり得ない。先程述べたように出身をSにした時点で、レベルは35が限界なのだ。そして、そうすると能力値も才人以下になってしまう。これで位階魔法やアイテムや職業の知識があった所で、だからどうした? となるだろう。

 正直な話、この条件で知識を一体何に使えばいいのだろうか? とあなたは考える。

 

 つまり、ユグドラシルの知識を得る最大の理由は用途その2──対ナザリックにおける安全確保である。

 しかし、先程も言ったようにそれは能力値がSならばより確実な形にて担保される。なにせ敵対しても許されるのだから。

 

 ならば、レベル上限が35以下である以上、対ナザリック以外ではまるで役に立たない事が想定されるユグドラシル知識などよりも能力値Sの方が余程有益である。

 

 更に言えば、そもそもユグドラシル知識があったからといってナザリックと上手くやれるかと言われるとかなり疑問が出る。

 運良く初手でアインズ様本人と関わる事が出来るならばいいが、そうでないならば……例えばデミウルゴス辺りと頭脳戦をする羽目になりかねない。それどころか、アルベドに知られてしまうと死が見えてくる。

 まあ、守護者統括である彼女がデミウルゴスやアインズ様より先にそれを知る可能性は低いだろうが……とはいえ、命がかかっている以上は軽視出来ない話だ。

 

 オーバーロード知識ならば、カルネ村やエ・ランテルに張り込むという策が使えるのだろうが、それも確実性に欠ける。

 

 あなたという異物が居るのに陽光聖典がカルネ村に来るのか? 

 あなたが仮にガゼフ以上の人材だとしたら恐らく来ないのでは? 

 エ・ランテルにアインズ様は来るのか? web版のナーベではないのか? 

 

 などという風に、どうしても不確定要素による運が絡む。

 

 対して、能力値Sならば確実に勧誘が来るし、仮に何らかの理由であなたがしくじった果てに敵対したとしても、再度勧誘されるのだ。比較にすらならないだろう。

 まあ、そのレベルのしくじりを犯す者が天才かと言われたら、少なくともあなたのイメージする天才はそんな事はしないわけだが。

 

 オーバーロードの原作知識ですらこれなのだ。ならば、ユグドラシル知識ではそれ以前の問題である。

 

 むしろ、情報が悪い方向に行く可能性すらある。

 なにせオーバーロード世界には魅了などの精神操作系もあるのだ。

 怪しまれた末に暴かれてお仕舞いなんて事も容易に想像出来る。

 

 仮に出身Sで得られる知識がユグドラシル知識ではなくオーバーロード知識であったとしても、自分ならば能力値Sを選ぶ。あなたはそう確信していた。

 

 それに能力値Sに関しては、ナザリックと同じく絶対に敵わない相手たる竜王相手にも通用するし、そもそも普通に考えて、天才というのは言うまでもなく有用だ。

 

 オーバーロード世界が現実になる事を考えた場合、いくらレベル上限が高かろうとも剣や魔法の修行が必要になる。それを苦もなく熟せるかどうかは人生のモチベーションに直結する。──まあ、それはかつてあなたが生きていた世界でも全く同じ話ではあるのだが。

 才能というのはありとあらゆる物に言える話で、それは生きやすさに直結する。そんなのは今更言うまでもない当然の話でしかない。

 

 とにかく、これまでに提示された情報だけを考えるならば、Sを使うのは能力値一択だ。他と比較して利点があまりに大きすぎて、仮にゲーム化するならばナーフがかかるだろう──などとあなたは考えた。

 

 まだ項目は残っているが、Sは能力値だとあなたは確信を抱いていた。

 

 

 ──少し興奮しすぎているかもしれない。

 ただ、オーバーロード世界に転生する際の最大の懸念事項にほぼ確実な解答を見つけたのだから、仕方ないとあなたは考えた。

 

 幸いにも、この空間において時間制限は設けられていないから、あなたは一息吐いてから、次の項目に移ろうとあなたは思った。

 

 

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