あなたなら、どうしますか?   作:お犬さん

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2話:プロローグ2

 

 あなたは自分が一旦落ち着いた事を認識したため、次の項目に移る。

 

 


 

 

 特殊アイテム。

 

 生まれてから生きてきた間に幸運にも得たアイテム。

 

 S:世界級アイテム

 戦闘用であれば使用すれば一発逆転も余裕で可能。国家レベルの軍勢を相手にして勝てるかもしれない。

 防御やその他であればペナルティの一切ない完全なる死者の蘇生、ありとあらゆる傷や病気、毒からの回復、絶対なる防御など。

 おそらくそのアイテムを使用した場合、使用者に勝てるのは真なる竜王やプレイヤーぐらい。

 

 A:ユグドラシル産、もしくは真なる竜王が作った一品。

 十数か国レベルで名が知れ渡るような一品で、差し出せば著名人ですら願いを聞いてくれる。真なる竜王でも同じ。

 5レベル差とかならきついかもしれないがものによっては覆せる。

 

 B:名工の手によって作り出され、高位の魔法詠唱者によって魔化が施されてある名品。

 数か国レベルで名が知れる一品。売れば数代にわたって裕福な暮らしが可能。

 

 C:一品もの。親から子へ、代々受け継いできたもの。

 凄い力があるわけでも、有名な伝説が残っているわけでもないが、魔法の力を宿し、購入するとかなり高額。

 ものによっては身分を保証する。

 

 D:魔法のこもっていない一品。

 駆け出しの冒険者では手に入らないような、例えば全身鎧、それなりに名の知れた名工の鍛えた剣などがそれに妥当する

 

 E:逆に借金

 親の所為なのか、自分の所為なのか、もっと別の所為なのかはともかく借金がある。もしくはあった。

 傭兵であれ、冒険者であれ、満足のいく武装が整わない。

 限界レベル-10%と同等のペナルティを受ける。

 これはそのレベルに応じた武装をしていないため、同等の相手を敵に回した際にそれだけ劣る、ということを意味する。

 そのため、実際にレベルが下がっているということではない。

 

 


 

 

 まず、Sを選ぶのは自殺志願者だ。

 殺されて奪われる道しかないだろうとあなたは考えた。

 仮に、あなたが人生をギャンブルか何かだと見做し、博打を打ってナザリックを打倒してやる──のような意味のない野望を抱く狂人であれば、特殊アイテムでSを選ぶのがいいだろうが、あなたは自分がそのような狂人ではないと思っている。

 そもそも、人生を1つのアイテムに全て賭けるというのは……どの道選択しない以上、これ以上否定要素を挙げるよりA以下を検討した方が無難だとあなたは考え、Sに対する思考を打ち切る。

 

 とはいえAも同様だ。あまりにもリスクリターンが見合ってなさすぎる。貴重なAを割いた結果が、5レベルの差を埋められるかどうかのアイテムで、そして持っていると狙われる危険もあるというならば、普通に限界レベルをAにした方がいいだろう。

 

 B、C、Dに関してだが、そもそもこの辺りであれば、実力があれば普通に手に入る範囲だとあなたは考えた。

 例えば、今あなたが最有力と考える能力値がSの天才であれば、Bの品は十分実力で入手できるだろう。というか、別に無理して手に入れる必要性は低い。あれば勿論嬉しいとはいえ、結局、そのくらいのアイテムであれば、有無によって事態はそう大きくは変わらないからだ。

 そのため、B、Cを選ぶ理由は極めて薄く、Dを選ぶのが妥当とあなたは考えた。

 

 いや、むしろその理論であれば、Eすら選択肢に入れるべきだとあなたは考えた。

 何故なら、借金がどの程度かわからないが、仮に天才かつ限界レベル35だとしたら、借金など余程じゃない限りは返済可能であろうからだ。

 借金の形に売り飛ばされる可能性に関しては、出身がEでないならば低いというか、それがあるならば出身の意義が危ぶまれるとあなたは考えた。傭兵や冒険者にはなれそうだというのもそれに拍車を掛ける。

 

 とはいえ、借金による不確定要素は多いため、可能ならばDを選ぶべきだろうとあなたは考えた。

 

 


 

 

 タレント。

 

 生まれ持った異能。

 

 S:『やばい』もの。

 炎に無敵、殴打に無敵など。

 使用回数制限や条件などがあればあるほど強くなる。

 例えば一日に一回だけ人間では到達不可能な第八位階魔法の一つを行使可能とする。もしくは一週間に一回だけ第十位階魔法の一つを発動可能とするなど。

 魔法行使の基準になるのは能力値なので、高レベル者に比較してかなり弱いなどのデメリットがある可能性がある。

 

 A:『凄い』もの。

 50%耐性など。

 一日一回だけ第六位階魔法を発動可能とする程度。一週間に一度なら第八位階。

 特別な目を持っているなどであれば全系統を見抜ける。

 

 B:『有益』もの。

 例えば筋力が普通の人よりも25%ほど強い、特別な目を持つ(魔力系統だけ見抜ける)、など。

 

 C:『無益ではないが、さほど有益でもない』もの。

 例えば水面を五歩だけ沈まずに進める、的中率70%で明日の天気を予報できる、など。

 

 D:『なし』

 

 E:『なし』

 

 

 


 

 

 

 あなたはEを二度見した。

 

 そして、またEを繰り返し見た。

 

 結論。

 ──こんな物、E以外あり得ない、とあなたは思った。

 なにせデメリットが全くない。

 一体何故なのか……あなたは困惑していた。

 

 何度も何度も見返したが、結局『なし』以外の記載がないため、あなたはタレントを、Eを選ぶ第一候補とした。

 

 ちなみにブレインがB、ンフィーレアがSよりのA、イビルアイはEXらしい。まあ、あなたにとってはどうでもいい話だ。原作においても、タレントなんて一部を除けば精々がおまけ程度の活躍しかしていない。

 勿論、有用な一部であるアンティリーネのようなタレントならば欲しいし、ンフィーレアのようなタレントもくれるならば欲しい。ただ、それらもあくまで強力なアイテムを保有している事が前提のタレントであり、単品で強いわけではないのだ。

 

 つまり、デメリット皆無な条件下でEを消費できる機会を捨てた上でSやAを注ぎ込むほどの価値をあなたは感じない。

 

 特殊アイテムをSにし、タレントをAにするというのは、先程も述べたように博打志向が過ぎる狂人の行動であり、あなたは自身を安定志向の常識人だと認識している。

 

 そして、あなたは遂に最後の項目に入る。

 

 


 

 

 コネクション。

 

 中級職以上への転職、優れた武具の購入、日々の生活における様々なメリットが隠れて存在。

 実力があるのにこれを高いレベルで持っていない場合は……世渡り下手なのか、利用されるだけなのか、旅人ですぐに居を移すからなのか、はたまたは未完の大器だからか。

 

 S:世界トップクラスの実力者組織のまとめ役とのコネを保有。

 要はアインズやツアーなどへのコネクション。

 泣きつけばありとあらゆる状況をいとも簡単に打破してくれる。しかし、頼り続ければ、恩が積みあがったころに返してくれと言われる可能性あり。

 仮に住んでいる国に魔導国が攻めてきた場合、組織の方針を覆し、「お前の孫の代まで関与しないことを約束しよう」ぐらいの100年程度の平和は維持可能。

 

 A:世界トップクラスの実力者一人とのコネを保有。

 相手が組織として動いている場合は無視されるが、それを除けばSのカードを使ったコネクションに匹敵。

 シズの1円シールを張られたネイアなど。

 デミウルゴスが殺すと判断しても「許してあげて」ぐらいは言ってくれるが、上位者や組織の決定には逆らわないレベル。

 

 B:数か国に顔が利く人物へのコネクション

 国王クラスのコネ。

 他国への移動が手軽だったり、その国内での手続きが非常にスムーズだったりする。

 場合によってはフールーダなど英雄でも逸脱者よりの個人。

 暗殺や敵対の抑止にもなる。

 

 C:国家に顔が利く人物へのコネクション。

 上級階級、それも辺境伯、公爵など。

 場合によっては隣接している国に対しても使えるかもしれないがその効果は数段劣る。

 アダマンタイト級冒険者とのコネもこのクラス。

 

 D:ライバル。

 基本的に役に立つことはないが、本当にどうしようもなくなった時、きっと味方をしてくれる。

 ただ、命を張ってまでは決して助けてくれない。

 

 E:逸脱者よりの個人か、大国が敵。

 かなりの確率で命を狙われることになる。

 追手から逃げたり、すべきことが満足にできない、などのことから、生活レベルは一段階落ちる。

 もしくはあなたはその敵との謀略などを含んだ、争いにそれなりの時間を割く必要が出てくるかもしれない。

 

 ※Cまでのカードを使う場合、一段階落として、命を懸けて一度ぐらいは助けてくれるという設定を追加する事も可能。例えば、Cのカードを使うけど、Dのライバルを設定すると、そのライバルは命を懸けて一度は助けてくれる。

 

 


 

 

 とりあえず、最後の注釈については論外である。あなたはそれを使う意味をまるで見出せなかった。リスクリターンがまるで釣り合っていない。

 多くのメリットが見込める公爵やアダマンタイト級冒険者へのコネと、普段役に立たないライバルが窮地に1度だけ命を懸けて助ける事が等価に見える人はなかなか珍しい人だと思われるし、あなたは自分がそのような人材ではないと思っている。

 普通に考えて、公爵などへのコネがあれば、それがない状況下よりも命の危険が減るだろうからだ。謎の不利益マッチポンプを自ら起こす理由は皆無である。

 

 その上でどれを選ぶべきかというと……とりあえずEは論外。

 出身Eと同じく、文字通り議論に値しないから除外するとして、Dも選ぶべきではないだろうとあなたは考える。

 ライバルと言えば聞こえは良いが、普段役に立たないというならばそれは単なる足枷でしかないからだ。

 

 そして、Sもない。

 能力値Sと比較してメリットをあなたは見出す事が出来ない。もしあなたが愛国心溢れる人間ならば、自分1人しか助からないだろう能力値Sよりも国ごと助けられるコネクションSを選ぶのかもしれない。だが、あなたは愛国心がないわけではないのだが、比較して自らの人生が明らかに豊かになるであろう能力値Sを選ぶ。

 コネクションしかない凡人と、あらゆる超越者から一目置かれる天才のどちらが人生が豊かになるのかなど言うまでもないからだ。

 

 残るはA、B、Cだが、これが最後の項目であり、そうなるとあなたの中では既に能力値Sは確定している以上、それを踏まえて考える必要がある。

 そうすると、コネクションはCだろうと、いやむしろCもあればどうとでもなるとあなたは考える。無論、高いに越した事はない項目ではある。とはいえ、A、B、Cの範囲で選択するのであれば、優先度は低くして問題ないとあなたは考えた。

 

 何故なら、何度も言うように超越者から敵対してもなお欲しがられるような天才ならば、コネクションは自然と入手出来る……というか、むしろ相手側からコネクションを構築しようと働きかけてくるだろうからである。

 特殊アイテムと似たような理論である。故に、C以上であればどうとでもなるのだとあなたは考えた。

 

 

 

 ──随分と長くなってしまった。

 先程述べたように、この空間において時間制限は設けられていないから、あなたはもう一度息を吐いて落ち着く必要があると考えた。

 

 

 そうして冷静さを取り戻したあなたは、これまでの考えをまとめる事にした。

 

 

『限界レベル』

 

 高ければ高いほど良いが、最悪Eでも可。しかし、ここが高ければ特殊アイテムやコネクションを補う事が可能であると思われるし、他項目におけるボーナスの基準もこの値になるため、優先度は高い。

 

『出身』

 

 Sが良かったが、後述の能力値に比べたら劣る。

 Aは地雷臭がし、D以下は避けるべき。つまり無難なのはBかC。

 可能ならばBが望ましいが、Cも許容範囲ではある。

 

『能力値』

 

 S一択。他とはメリットの次元が違う。

 

『特殊アイテム』

 

 D。他で補えるため。

 最悪Eでも良いが、不確定要素が高過ぎるため極力は避けたい。

 

『タレント』

 

 E。デメリットがない事に加えて、ランクを上げても大したメリットは見込めないためE一択。

 

『コネクション』

 

 能力値がSであれば、コネクションはC以上の範囲から選べばさほど変わらないように思える。

 しかし、D以下は避けた方が無難。

 

 

 ここで、確定するのは

 

 S:能力値

 D:特殊アイテム

 E:タレント

 

 である。

 

 残るはA、B、C。

 

 この中で、出身はA以外を選ぶ事が決まっている。

 

 ならば、Aは限界レベルかコネクションになるわけだが……あなたはまず、限界レベルをAに決定した。

 

 理由として、何度か述べているように、限界レベルがAかつ能力値がSならば、コネクションがAで得られるような利益は自然と手に入る事が予想されるからだ。それ以外にも、限界レベルが高い事によって得られる利益は今あなたが思うよりも多いだろう事が想定されるから。

 

 残るはコネクションと出身。

 

 こうなると、コネクションはむしろCで構わないとあなたは考えた。

 何故なら、あなたは超越者から認められる世界屈指の天才であり、限界レベル35レベルという国家レベルの暴力を持ち、数カ国から王族との婚姻を求められる存在で、コネクションをCにするならば生まれは上流階級となる。

 

 ──それはもう既にコネクションB以上の恩恵を受けているのでは? とあなたは考えたからだ。

 それを抜きにしてもコネクションはCあれば十分活動できる範囲だと考え、あなたはコネクションをCにする事に決定した。

 

 すると、最後に残った出身はB。上流階級生まれで教育に金をかけて貰えるというのは現代日本人的に素晴らしい事だ。中級職を確実に習得出来る点も素晴らしいし、レベル補正も1.5であるのだが35が36.5になると考えたら普通に嬉しい。

 

 あなたは天才であるため、補正が50%かかる事を考えると、35×1.5=52.5であるため、あなたは事実上52.5+1.5=54レベル相当の実力という事になる。

 

 これは、ナザリック勢や真なる竜王、神人などの一部の強者以外にはまず負けない実力である。実力的にはイビルアイすら討伐可能なレベルだ。

 更に言えば、何度も言うようにあなたは天才であるため、それら超越的な強者には敵対しても許されるのだ。

 

 レベル差補正を貫通したりは出来ないため、本当の54レベルの実力者と同じ振る舞いはしてはならないから、先程述べたイビルアイと本当に敵対したりするのは避けるべきなのだが、それにしても破格が過ぎる。

 

 やはり、能力値Sはあまりにも強すぎる。

 バランス崩壊は原作再現といった所だろうか? 

 

 

 つまり、結論として。

 

 S:能力値

 A:限界レベル

 B:出身

 C:コネクション

 D:特殊アイテム

 E:タレント

 

 となる。

 

 

 あなたはこの選択を、安定志向かつ個人主義が過ぎる選択であるとは自分自身でわかっていた。

 だが、それは仕方のない話である。

 あなた自身が人生を歩む事を考えたら、運要素は可能な限り排除すべきなのだし、過酷なオーバーロード世界で自分以外の事など考えてはいられないのだから。

 

 以前軽く述べたように特殊アイテムをS、コネクションとタレントをAとBのどちらかにし、出身をCにするなどの、いわゆる姫プレイこそが世界への影響力は一番高いのかもしれない。王国や聖国で起きる虐殺を防ぎたいと思うのであれば、そういったルートを選ぶ方が可能性は高いだろう。自分の生存可能性を度外視するならば、という注釈は付くが。

 

 しかし、やはりあなたは自分の人生において、他に安定した選択肢を与えられている中でわざわざそんな事をするほど自分は頭がイカれてはいないと思っている。

 それをやるなら、あなたではなく見ず知らずの誰かがやれば良い。

 

 あなたは一度死の絶望を味わっているのだ。2度目の生は安全に過ごしたいと思う事は至極自然な思考である。

 

 

 あなたは自分の考えをまとめ、これがやはり自分にとっては最善の選択であると確信し、カードをそれぞれの台座に差し込む。

 

 

 最後にEのカードをタレントの台座に差し込んだ所で、あなたの意識は白く霞んでいき──

 

 

 

 

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