異世界をグリードアイランドのカードと共に… 作:設定厨なテンシ
睡眠中ですら手に持ち、温め続けた2つの卵がやっと羽化した、[超一流魔法使いの卵]と[超一流格闘家の卵]である。
最初に割れたのはブルース・リーの肉体改造が影響したのか格闘家の卵だった、卵がひび割れ中から光の粒子が全身を包み武術の知識が雪崩の様に頭の中に入って来た。
また肉体が武術の動きを全てを覚えている様で呼吸をするレベルで技を繰り出す事が出来るようになった…あと見た目には変化はないが、力と頑丈さがかなり上がったと実感出来る…さすが超一流である。
魔法使いの卵が孵化した時は更に劇的な変化を感じた…魔力が手に取る様に分かるのだ…。
今まで感じる事がなかった謎の力…身体から溢れる魔力と世界に満ちる魔力それを操り、混ぜ合わせ、それに情報を与えると形を持ち魔法となる。
超一流魔法使いだからか、情報を大量に詰め込む様な儀式がいる大掛かりな魔法以外は詠唱の補助も要らず、魔力の操作と思念のみで魔法が放てる全能感が気分を高揚させる…。
試してみたい…
引きこもり宣言から1ヶ月半、流石にいろいろ飽きてた、[複製(クローン)]のカードは24枚まで増えている…。
一度外に出て頑張ってみても良いのでは無いかとと思う今日この頃…、 となれば、さっそく準備開始である。
「ブック」
バインダーを取り出し必要カードをピックアップする。
[No.002 一坪の海岸線]
[No.017 大天使の息吹 ]
[No.022 トラエモンの革袋]
[No.084 聖騎士の首飾り]
[No.085 身代わりの軽鎧 ]
[No.095 秘密のマント]
くらいかな? このうち[身代わりの軽鎧]は異世界初日に「ゲイン」したので、ほぼ新品が残ってるいるからそれを装備すれば良い。
俺は[身代わりの軽鎧]以外を[複製(クローン)]する。
「[複製(クローン)] 使用(オン)」
[同行(アカンパニー)]
[No.017 大天使の息吹 ]
[No.022 トラエモンの革袋]
[No.084 聖騎士の首飾り]
[No.095 秘密のマント]
[複製(クローン)]されたカードが5枚出現する、まずは装備から確認していこう。
まず[聖騎士の首飾り]身につけた者は呪いをはね返すことができ、触れた物の呪いも解くことができる首飾りだ。
今回、俺が需要だと思ったのは天使様が異世界用に追加したと思われる追加の1文「浄化の力で一部状態異常を軽減する」点だ、ゲームに置いて状態異常対策は大事、さっそく「ゲイン」して首にかける。
次に[秘密のマント]身につけていると永続的に「不可視」「無音」「気配遮断」の効果が得られる装備、この装備は奇襲や何かあった時の逃走用に使う予定である…安全管理は大事。
一応[身代わりの軽鎧]も再度確認する、物理と魔法による攻撃を全て無効化してくれる鎧、 ただし攻撃の耐用回数は1〜100回のランダムで突然壊れるから注意という装備だ、それでも確定一発は攻撃無効にしてくれる鎧である、不意討ち対策だ。
[トラエモンの革袋]は簡単に言うと虎柄のスペアポケットである。それなりに物が入り、いわゆる異世界モノの定番アイテムボックスである…今回は[黄金天秤]などの荷物をこれに入れて持ち運ぶつもりだ。
あとは保険に[大天使の息吹]による回復手段と[同行(アカンパニー)]のスペルカードによる帰宅手段で一旦準備は大丈夫だろう。
一応 秘密兵器 もあるし心配はいらない…たぶん。
「おーい、トッポ。ちょっと出かけて来るから留守番よろしく」
木の上にいるトッポに話しかける、トッポは今回お留守番だ、[同行(アカンパニー)]の目印となってもらうつもりである。
[同行(アカンパニー)]
半径20m以内にいる自分と仲間を指定の街もしくは人物の元へと移動させる、ただし指定する街や人は一度訪れるか会うかしてバインダーにその情報が入力されていなければならない。
天使様の能力改変により[No.002 一坪の海岸線]のカードを[複製(クローン)]すると手に入る、いわゆるドラクエのルーラである、ルーラより優秀な点は指定した人物にも飛べる事だろう。
バインダーの目次みたいな部分に人物を登録出来るようで、試してみたらトッポも登録が可能だったのですぐに登録しておいた、つまり帰りはここに飛んで帰れるのだ。
準備出来た俺は、そっと扉を開ける、出てすぐに不意討ちが来ると嫌だしさっそく魔法を使う。
「サーチ 〈索敵〉」
俺は、扉周りに敵がいるかどうかを魔法にて確認する500m範囲には、強い反応は無いようだ。
安全を確かめた俺は、外に出て[黄金天秤]を使用…。
「丁度よい魔物がいるのは右方向?左方向?」
天秤が傾いたのは左側方向、以前俺がこの世界に転移して来た草原の方角だ。
[黄金天秤]を[トラエモンの革袋]にしまい俺は、草原向けて出発する。
魔法で索敵しながらの徒歩移動だ…、いずれ本格的に長距離を移動して街などに行く時は[No.091 プラキング ]でオフロード用のバギーでも作ろうかなと思う。
そんな事を考えながら約10分、使用した索敵の魔法に反応があった、500メートル先に2匹 相手はこちらには気付いた様子は無い[秘密のマント]を羽織っているから隠れる必要は無い、真っ直ぐ近付いて行く…デカくね? あっ そうだ!
「ブック」
「[複製(クローン)] 使用(オン)」
[No.001一坪の密林]→[解析]
「解析(アナリシス) 使用(オン)」
俺は相手の情報を見る為に[解析]を使用する、相手の情報は大事なのに…忘れてた、超一流の卵が孵ってから気が大きくなってたんだろう、気を引き締めないと…。
ーーーーー
種族 : 魔物 獣種
名称 : ホーンオックス
状態異常 : 無し
解説 : 3メートルを超える凶暴な牛型の魔物、その体格と頑強な2本の角を使い全力で突進をして来る危険な魔物、皮膚も分厚く耐久力に優れる
ーーーーー
…異世界初のエンカウントモンスターがめっちゃ強そうだ…、3メートルの凶暴な牛て………
元の世界だとヘラジカが確か2.5メートルくらいだったような…、それよりもデカいとか本当にヤバイ…、前にヘラジカの画像検索したときにCGかと思うくらいサイズがバグってたのに…。
作戦タイム…
俺は最初の敵をゴブリンくらいに想定していた、超一流格闘家の拳と無詠唱の魔法を使って疑似念能力みたいな状態にして、 ジャジャン拳 で「グー(近距離)」、「チョキ(中距離)」、「パー(長距離)」とかいう戦闘方法を考えていた。
…無理無理無理無理
これは、距離取って魔法を放つのがきっと正解だ[黄金天秤]は俺にとって有益な未来を選ぶもの、だからこれは後衛魔法使いになりなさいと言う天啓なのだ…、けしてビビってるわけではない。
ただ魔法で遠距離攻撃するにしても、巨大牛を2頭同時に戦闘するのは流石に怖…リスクがあるので「秘密兵器」の実験兼ねてさっそく使おうと思う。
「来い メルティー 」
「はーい ご主人様♡」
目の前に広がるピンク色の魔法陣、そこから現れたのは紫ツインテールの美少女小悪魔 メルティー である。
[No.018 小悪魔のウインク] このウインクを受けた者は、この世のものとは思えない程の絶頂感を味わうことができる、 呼べば何度でも現れてウインクしてくれるが中毒に注意。
興味本位で自分に使ったら大変な事になったカードだ…何がヤバイって正常な自分に戻る為に完全回復のカード[大天使の息吹]を使用しなくてはいけない状態になった。
「ゲイン」した小悪魔は呼べば何度でも現れてくれる為、分類は生物系のカードみたいだ「メルティー」と名前をつけた…、ついでにメルティーには土下座をおこない「俺へのウインクは禁止」にしてもらっている…トラウマである。
「じゃあ前に説明した通りで、片方のホーンオックスを頼んだ」
「了解ー ご主人様♡」
蝙蝠のような羽を広げ、ホーンオックスに近付いて行く、メルティーは[秘密のマント]をしていない為、ホーンオックス達はメルティーに気付き戦闘態勢だ。
そんな中メルティーは片方のホーンオックスの前に行き、ゆっくり小首をかしげ…、パチンと可愛くウインクをおこなう。
「ブモォォォーォォォアォォォォホォォー」
大きな鳴き声を上げながら凄い勢いで痙攣し始めるホーンオックス、口からはヨダレを垂らし、身体から汁という汁を撒き散らしながらガクガクと震える…
改めて見るとヤベーな…俺もこんな感じになっていたのだろうか…、実際脳が焼き切れて死ぬかと思ったし………考えるのはやめておこう。
取り敢えず1頭のホーンオックスは状態異常「快楽?」にて動きを封じる事に成功した。
少し鳴き声が五月蠅いが残りの1頭を俺がしっかりと魔法で倒そうと思う。
自分の仲間が凄い状態になって動揺しているホーンオックスに対して俺は無詠唱で魔法を展開する。
「フレイムランス」
現れる火焔の槍、この世界では初級上位に位置する単体攻撃魔法である。
「それを 50…」
俺は超一流の魔法使い、故に同時に魔法を起動する事が出来る、無数の火焔の槍を空中に展開する。
「行けっ」
目標物であるホーンオックスに向かい次々に放たれる火焔の槍、初級と言っても流石は単体攻撃魔法、かなりの威力とスピードでホーンオックスの厚い皮膚を貫きに何発も突き刺さる。
「…ブッモォッ…………」
20発程を耐えたホーンオックスはきっと頑丈なのだろう、ただ今回は数の暴力により見るも無惨な焦げた肉塊へと変貌していた。
「俺ツエーーーー」
完全なオーバーキル、魔力のコスパなど気にせずカッコ良さ重視の魔法の乱打、これは気持ち良すぎる…、だって心はいつまでも少年だもの。
魔法…最高……
「さて、足止めしてもらった奴も実験兼ねて違う方法で倒すか…」
ふと目を向けた先にもう立てなくなっているホーンオックスがいる…、パチンとメルティーからの5度目のウインク…身体が更にビクンッと跳ね上がる…そのまま死ぬんじゃ無いだろうか…。
可哀想になってきた為、俺がトドメを刺してあげよう。
「メルティーありがとう。また呼ぶまで自由にして良いよ」
「面白くなってきたトコなのに〜♡ じゃあまた呼んでねご主人様♡ バイバ〜イ♡」
俺の指示に素直に従い、メルティーは手を振りながら再度展開されたピンク色の魔法陣の中に帰っていった。
白目をむきビクッビクッと痙攣するホーンオックス…、俺がメルティーに命令したのだけれどウインクを5回もか…可哀想に。
すでに無力化され半殺し状態のホーンオックスに近づき拳を握り込む…、超一流格闘家の戦闘実験である。
「最初はグー… ジャンケン」
特殊な構えから繰り出される一撃、まるで念能力のようにオーラ(魔力)を纏った拳がホーンオックスの腹部に炸裂する。
「 グー 」
ボッ
空気を震わす低い音、その後にホーンオックスの身体に大きな窪みが出現する、ベキバキと遅れて聞こえてくる骨の音がこの一撃に込められた威力を物語る。
「…超一流って凄いな…」
あの巨体が10数メートル吹っ飛んだ、魔力を属性変化する事なく、念能力のように純粋なエネルギーとして纏ったおかげか威力がおかしい事になってる…。
今回の自分の強さ実験の結果を見て俺は早くも引きこもり生活からの卒業を考える
「まあ、それよりも帰るのが先だな」
実はさっきホーンオックスを殴った際にヨダレ等が飛び散った為、俺はさっさと帰ってシャワー浴びたい。
俺はバインダーから[同行(アカンパニー)]を取り出し掲げる。
「[同行(アカンパニー)] 使用(オン) トッポ 」
こうして俺の異世界での初戦闘は問題もなく無事に終了した。