表現したいことも書ききれない自分の文章力の無さが憎い……
初めて小説かいてるんだからだからしょうがないね
気づいたら自分でもびっくりするくらいポエミーになっちゃったよ
3000万年。ドラゴンにはほんの少しの、人間には永い永い時間を経て相対した〈かがやくいのち〉は、生まれた時と何も変わらない姿で私の前に現れた。
その体から発せられる、明るくも決して眩しくはない暖かな光が私にはどうしようもなく眩しく感じられた。己のうちに沸き上がる仄かな感情たちを押し込めるように、精神を覆う人を模した人格を消し去り砂に横たえた体を起こす。翼に触れた砂たちがほどける様に消えていく。そんな私にとっては当たり前のことですら、何故だか無性に感情が揺れ動くのが分かった。
「……感心しないな、〈かがやくいのち〉。今のお前はこの世界を生きる全ての命にとって、いなくなることなどあってはならぬ天の光なのだぞ。軽々に月の裏に隠れるなどしては、無用な混乱を生むばかりだ」
「そうなのかな。僕にはまだよく分からないけれど、君がいうのならそうなんだね。でもね、僕は君に会いたかったんだ」
簡単に、無邪気にそう話す〈かがやくいのち〉。大いなる力を持って生まれ、思うままに振る舞うその姿は、永劫を生きる存在とは、ドラゴンとはこういう存在だと見せつけるようだった。お前はそうではないと突きつけてくるようだった。そんな被害妄想と小さな苛立ちを振り払うように私は〈かがやくいのち〉に問いかけた。
「では何用だ〈かがやくいのち〉。まさか忘れたとは言うまいな。お前がこの世界に命を産み落としたあの時、この月を生み出したあの時、私はお前に告げたはずだ。もう私に近づくな、二度と私に関わるなと」
私の問いに〈かがやくいのち〉は少しのあいだ眼を閉じ、ゆっくりと開いてから答える。
「忘れないよ。君の話も、声も、今まで少しだって忘れたことなんてないよ」
まるで感情を出さないゆったりとしたその語り口が、どうしようもなく癇に障った。
「ならばなぜここに来た!私のようなまがい物のところに!お前も分かっているだろう!見えているだろう!私のこの魂が!歪み、ひび割れ、いずれ砕け散るであろう、この脆く弱い魂が!」
私がこの世界に生れ落ちる前に私の中に混ざりこんだ異世界の人間の魂は、私が死と消滅を司る存在として定まったその時に、死の力によって消え去った。だがその魂は消え去る前に、私に異界の知識と人間の記憶を残していった。
未だ無垢な私にとってその色鮮やかな未知たちは、魂の奥底の感情を動かすには十分に過ぎた。
そうして本来なら希薄だったはずの感情は大きく揺れ動き、私の生まれたばかりの未熟な魂を、ほんの少しだけ歪ませてしまった。
果て無き時を生きるドラゴンの精神であれば何も感じなかったはずの時間が、
この世界には未だ何もないと知ってしまったが故に生まれた倦怠が、
魂を守るためには刺激が必要だった。だから〈かがやくいのち〉に多くの事を教えた。命を、大気を、大地を、水を、炎を。
だがその全てに私は触れることすらできなかった。
風の感触を、水のせせらぎを、土の匂いを、火の熱を、私は知ってしまっていた。
故に分かってしまった。風の淀みが、水の濁りが、土の渇きが、火の冷たさが。
そして、
悲しいことに私はそれらを楽しめるように狂うこともできなかった。魂が歪もうともドラゴンの精神は変わらず強靭であるようだった。
私の最後の希望は〈かがやくいのち〉だけだった。この世界で私が唯一触れられる存在。共に生まれた分かち難い半身。私が〈かがやくいのち〉に依存するようになるのは時間の問題だった。
だが私は考えてしまった。このままでよいのかと。このまま私が〈かがやくいのち〉に依存すれば、いずれ私は〈かがやくいのち〉が愛する命全てを滅ぼし、〈かがやくいのち〉の全てを独占するようになると私の残った理性が囁いた。
そんなことはあってはならない。まがい物である私が、正しく純粋なあの子の脚を引くなど。
故に拒絶した。手遅れになる前に。魂を人間の記憶と知識から作り上げた人格で覆い隠し、私の心を眠らせた。
このまま魂が砕け散るまで眠り続けるのだろうと覚悟していた時だった。作り上げた人間の人格が、倦怠を埋めるために動き始めた。
最初は魔法という技術の開発を始めた。だが一万年ほどで研究し尽くし、人格は燃え尽きるように壊れた。
次に作り直した人格は、〈かがやくいのち〉と同じように、しかしそれ以上に緻密に地上の生命を観察し始めた。魔法で多くの命の情報を記録し続け、ある程度経つと限界を迎えてやはり壊れた。
その後作り直して何度目か人格が地上全ての命を調べ終え、「人間がいない」と言い残してやはり壊れた。
"人間"。私の中に紛れ込んだ魂。生命体が活動するには不要なほどの感情を抱えて生きる非合理な存在にして、46億年続いた世界をわずか数万年で喰らい尽くす邪悪な種族。
たとえこの倦怠を埋める可能性があろうとも、この世界に誕生したならば管理者として滅ぼすと決めていた存在。
だがこの世界で初めて人間を目にした私は、何故か彼らを見守っていた。
主人公を端的に表すなら頑固で意地っ張りななマセガキです。
たぶん来週で完結させます。