そういえば、今まで人類の様子ばかり話していたけどこの世界についてはあまり話してなかったっけ。いい機会だからちょっと説明しよう。
この世界、というか生き物が生きている場所である空、大地、海はドラゴンが作っている。大気のドラゴンの〈かたちなきそら〉が空を、鉱石のドラゴンの〈ゆるがぬだいち〉が大地を創り、その境に水のドラゴンの〈ながれゆくしずく〉が水を満たして海を創る。なんなら現在進行形で作り続けてるから、この世界の空も大地も海も少しずつ広がっていってるよ。言ってなかったけどこの世界、惑星じゃなくて平面だから。
ただ、三体が作ったそのままの状態だとただの大海原でしかない。なので大地の下部分にある溶岩のエリアで眠っている、前に話した火のドラゴンの〈ほとばしるちから〉が大地の下から飛び出して新しい陸地を創るわけだ。
この世界の空、大地、海についての説明はこれくらいかな?
で、今まさに〈ほとばしるちから〉が目を覚ましそうなわけだけど。この時、当然ではあるがこの世界の自然環境は大きく変化するのね。
〈ほとばしるちから〉がおおよそ千年かけて増幅、蓄積してきた熱エネルギーを放出するから、地下から溶岩が火山の噴火口に漏れ出して、噴火やら山火事やらがいたるところで起こる。
〈ゆるがぬだいち〉が大地にあけられた大穴を塞ぐために周りの土を派手に動かすから地震も発生する。
〈ながれゆくしずく〉は蒸発したり衝撃で飛び散って目減りした海水位を元に戻すために大量に水を生成するんだけど、その勢いで津波もできちゃう。
〈かたちなきそら〉は大量に発生した水蒸気を散らすんだけど、その時起こした風と散らした雲が自然と嵐になっちゃうと。
うーん、まごうことなき天変地異だね!
これだけの災害となると影響を受けるのは人類や動物だけに収まらない。魔物たちの縄張りも滅茶苦茶になる。まあ当然だね。
でもそうなった場合、魔物たちはどうするのか?そうだね、新しい縄張りを探して大移動だね。
しかもこれが一つ二つじゃなくて数十の群れが一斉に動き出すから、生き物同士の生存圏も大きく変化するわけで。
より具体的に言うと、国一つで下級魔物の群れ一つと戦うのがギリギリだった人類が、中級魔物を含めた複数の群れが同時多発的に襲い掛かってくる大乱闘に巻き込まれるってことだね。
いや滅ぶが?余裕で人類滅ぶが?
以上、この世界の仕組みと今起ころうとしてる事、及び人類に迫る危機についての説明でした!やばいよ人類史上最大のピンチだよ!戦争とかしてる場合じゃないって!
とにかく人類の険悪ムードを解消して一致団結させないといけないんだけどどうしたものか……。天変地異が起きたら戦争どころじゃなくなるだろうけど、そこから準備したんじゃ到底間に合わない。つまり俺が人類を早いところ仲裁しなきゃいけないわけだ。
手っ取り早いのは不和の原因を取り除くこと、つまり人類にとっての神である俺が何の神か、という疑問に答えを与えてしまうことだろう。
ただ人類の主張する神のどれかを選んでしまうと、また争いの種になったり間違ってた国の人たちがショックを受けてモチベーションが下がってしまう可能性があるからこれはボツだ。
今まで人類に見せてきたのは魔法や前世知識だけだったおかげで、俺が『本来持っている力』の神だという意見は無い。説得の際にボロが出ないようにするためにも、俺が『本来持っている力』の神として人類を仲裁するのが手っ取り早いんだけどねぇ……。
ぶっちゃけると、俺の『本来持っている力』が今まで人類に対して
しゃーない。今まで人類を見守って来た慈悲深い神っぽいカバーストーリー話して、後は今までの実績と勢いでごまかすかぁ!人類の信仰心メチャメチャ高いしなんとかなるだろ!
それではさっそく叡智の石板を起動してと。人類の皆ー、ちょっとお話あるから聞いてー。
実は今、人類のみんなにとんでもない危険が迫ってきています。今まで戦ってきた魔物とは比べ物にならない、人類全員が協力しないと乗り越えられないような災禍が近いうちにやってきます。
だから俺としてはみんなに仲良くしてほしいけど、今みんなが言い争っているのも知っています。その原因が俺だっていうことも含めてね。
ああ、そんなに申し訳なさそうにしないでいいよ?俺が今まで名乗ってないのも事実なわけだし。それもあって今日は人類の皆に自己紹介しようと思ったから、今回はそのために集まってもらったんだ。
では改めて名乗るとしようか。
俺の名は〈あまねくおわり〉。海も空も、大地も命も無い、何もなかったこの世界に初めて生まれた原初の二頭の片割れ。この世界に存在するあらゆる物、すべての命の終着点。死と消滅を司る黒い
主人公は魔法を使うことで物体を動かしたり光らせたりできます。
物体の消滅と生物の死滅はちょっと念じたり触るだけでできます。
前回に引き続き、ちょっとだけ設定公開
・この世界に太陽は無い。代わりに輝きながら世界の周りをぐるぐるしているドラゴンはいる。