呪いに対抗する為に呪術と術式を教えると言われ、皆は学校の校庭に一纏めに集められていた……何やらコンクリのブロックを多数持ってきてはいるが。
「よし、そこに置いてくれ、そうそこ」
“一体何すんの、今から”
「百聞は一見にしかず、言葉で説明するより実演した方が早い事もある」
「と言ってもコンクリのブロックとハンドガンで何をしようってわけ?」
「呪術や術式の説明に入る前に、根本的な……呪いの力、呪力に関してサクッと説明しておこうか、あそこに置いてるコンクリを見ろ」
そう言い残しマコラがブロックの方に全員の視線を誘導させ、そのまま所持している銃を発砲した。
その弾丸はコンクリを貫通させるだけに留まり、有り体に言えば普通の結果が起きたと言える。
「見ての通りだ、『何もせず』、『普通に』撃ったら通常はこうなる、それで次だ」
マコラはまた同じ様に銃を構えてブロックに狙いを定めて発砲する、その際マコラからもやの様な物が出て銃に篭められていくのがわかる、エネルギーを注入している……?
そして放たれた弾丸はブロックを貫通させるだけに留まらずそのブロックそのものを粉砕する威力を見せた。
俺の目から見た違いは明白だ、最初は何にもしてなかったが二発目は明らかに何かしらのエネルギーを注入した、恐らくアレが呪力という奴なのだろう。
「これが呪力を篭めて撃った時に起きる事、まぁ世間体的には神秘とも称されるがな、これをお前達は“無意識下”で使ってる」
“……ん?なら良いんじゃないの?その呪力って奴の使い方を教えるんだろ?”
「確かにこのままでも雑魚の呪いを狩るには使える、が一定以上には絶対通用しない、必要なのは呪力の出力調整とそこから派生して扱える数々の簡易術式の習得が肝だ」
「簡易術式?」
「そう、簡易術式ってのは呪力制御で出来る基礎的な呪術の総称、肉体の強度を上げたり、今みたいに呪力を弾丸に篭めて呪力を撃ったり、まぁ用途は様々、簡単な式神術や結界術なんかもこれに該当する」
「簡易って事は別のもあるの?」
「そうなんだが……
そう言いマコラはスッと指先をさっき打ち砕いたブロックの破片とそれが散らばる台の方に向ける。
瞬間、マコラから電流が走った、否、最早その破壊力は雷に打たれたに等しい、当然そんなものを喰らったソコにあったモノ達は消し炭になり、そこにあった痕跡だけを残す事になった。
「今のが生得術式と言われる物だ、まぁさっきも言ったが
「えっと……どう違うんでしょうか?」
「そうだな、簡易術式が『技術』とするなら生得術式は『外付け』の力と言った所か、超能力の類だと思ってくれていい」
「確かに今の電気は技術どうこうの話じゃないものね……」
アヤネの問いに対してマコラが返答しそれをまたセリカが反応したのだがその一連のやりとりを見てホシノを始めとしたノノミとシロコの三人の表情が少し陰ったように見えた……気がした。
「生得術式に関してはこれはもう生まれつきの才能に等しいからどうこうは言えん、仮に持ってたとしても生得術式の数は十人十色が基本、個人個人の解釈で鍛えるしかない」
「じゃあ今から私たちがやるのは……」
「簡易術式を可能な限り伸ばす、下手な術式より基礎的な事でゴリ押しする方が実は強かったりする、単純な話だがホシノが身体能力を強化して攻撃力が上がった状態でこっちに強行突破してくるってのを想像してみろ」
「あー……納得」
「ちょっとセリカちゃん?」
ホシノのジト目がセリカにぶっ刺さってるがセリカは全力で顔を逸らしてる、仲が良くて大変結構。
“それで、その、簡易術式だっけ?それの習得が最優先な理由は?”
「まず第一に呪力の制御の精度を上げる事、これは不要な呪力のロスを減らす事を意味する、5の力で足りる所を10の力を流しても無駄だからな、今のお前たちがこの状態というわけだ、そして簡易術式の習得の最大限のメリットが反転術式を扱える事にある」
“反転術式?”
「早い話が+の呪力操作だ、呪力ってのは負の感情から生み出されるから当然エネルギーとしては−の位置付けだ、それを呪力操作で反転させるから+になるって理屈」
「それができるとどうなるの?」
「これも実はお前たちは無意識下に使用してるんだ、普通なら治らんような傷も少し寝たら治ってたりするだろ?普通は全治何ヶ月とかの怪我でも、要はその時に身体の防衛機能として反転術式が半ば全自動で使われてんだ」
「つまり意図的に使うって事だね」
「そう、そして反転術式を意図的に使えるようになれば、肉体が吹っ飛んでもトカゲの尻尾みたいに生やす事も出来るし、個人差に程度はあれど他人の傷を治す事も可能になる、ついでに言うなら反転術式によって生成される正の呪力は呪霊達にとっての最大の毒だ」
“因みに聞くんだけどそれって俺も使えたりすんの?”
「理屈はな、だがアンタは根本的に呪術の才能が無い、こればっかりはどうにもならんから諦めて指揮能力の向上を目指してくれ」
──だからこそアンタに六眼が宿った理屈とあの指揮能力のバフの効果が呪術と一切関係ない事実に驚愕してるんだがな。
“それで?どうやって簡易術式を鍛える訳?”
「そうだな、訓練方法は幾つかあるがこいつ等には特にキツイのをやってもらう、ホシノ、両手を差し出せ」
「え?こ、こう?」
「よし、そのまま、リラックスして」
「えっと、一体何を──」
ホシノが言い切るより先にマコラがホシノの手首周りで呪力で輪を作ったと思えばそれがホシノの手首を締め付け手錠のようになり、そしてホシノの腕にとてつもない重さが付与されたのか、ホシノが体勢を崩してしまった。
「重ッ──‼︎」
「コイツは呪力制御ギプスとでも言える物で、まぁ速い話がそれを使って一気にお前たちのレベルを引き上げる」
「待って……‼︎これ滅茶苦茶重いし……‼︎バネに引っ張られてるみたいで、全然引き剥がせないんだけど……‼︎」
「力で引くんじゃない、呪力を篭めて引くんだ、そうすりゃ糸みたいに軽い」
そうしてホシノが腕に呪力を集中させゆっくりと錠を引っ張っていく、しかしその表情からわかるようにかなり辛そうだ。
「……あのさ、常日頃からこうしたらっての?かなりキツイんだけど」
「自然呪霊に返り討ちに会いたくなきゃな、取り敢えずそれを付けたままで普段の生活が送れるくらいに慣れろ、そうすれば今の2、3倍は強くなれる、という事なんで……」
「え゛……」
「まさか……」
「全員仲良くこれ付けろよな」
鬼かコイツ、全員にしっかり装着させた所でこれの外し方をを伝授していた。
「解除の言葉は教えておくが……そう何度も付けれる物じゃない、疲れるし。解除の言葉は……そうだな、
「そうは……言うけどさぁ‼︎」
「あ、一応明日になったら外していいぞ、その時にこっちで用意した相手と実戦してもらうから、じゃあ頑張れ、あ、先生はこっちな、別件で会わせたい奴がいるから」
そう言ってマコラは皆に続ける様言った後に俺を連れて何処かへ向かうことになった。
「鬼畜すぎる……‼︎」
生徒達のその悲痛な叫びが耳に残る、無力な先生でごめんね……
先生を連れ目的の場所へと向かう、アイツはこの時間なら丁度目的地に居るはずだしな。
“で?どこ向かってんの、これ”
「あぁ、キヴォトス最大にして最悪の市場、ブラックマーケットさ」
“ブラックマーケットって……本来君が取締まる場所じゃないの?”
痛い所をついてくるな、尤もその通りなので何も言い返せないんだが、ブラックマーケットを完全に取り締まらない理由もあるにはあるんだが全部言い訳にしかならんのよな……
例えばこういう場所を作って呪いの発生を一つに留めたりするとか、いかにもな事を言ってるが実際機能してる訳じゃない、言葉にすりゃ簡単だが実際は呪いの坩堝になってて人間側の対処まで手が回らん、というか勝手にそうなってたし。
早めにここ全体の呪いを祓いたい所ではあるが、今回はそれが目的じゃないんだよな。
“会わせたい奴が居るって言ってたよな、誰なのよ”
「んー……もう入り口には入ってるしそろそろ出向いてくれてもいいんだがな……
「おい」
お、来たか、相変わらず肌に突き刺さる声だぜ、コイツは。
「埒外な呪力を察知して飛んできてみれば……お前か、マコラ」
「そう言うお前も相変わらず不気味な体質してやがる、
マコラがホシノ達に付けたのは幽遊白書で幻海が幽助につけた奴を原作呪術の例の呪骸風に改造したものです。
・マコラ
ホシノ達に枷を付けた上で先生をブラマまで連れて行きスオウと会わせた。
・先生
呪術の才能ない癖に六眼が顕現した意味わからん奴、しかも指揮能力のソレも術式と一切関係ない、マジ物の本人の素質。
・アビドス勢
相当無茶な鍛錬やらされてる、いつかマコラをぶん殴る所存。
実は生得術式を持っておりしかも発現までして使用できる生徒は1人いる。
・スオウ
ご存知朝霧スオウ、この時点ではまだハイランダーの生徒ではなく傭兵業を営んでいる、依頼成功率は100%(本人が遂行可能な依頼、遂行してその後の社会に悪影響を及ぼす人間は基本的に受けないので、各学園の首脳陣とか)
彼女は呪力が全くない、つまりそういう事。
・簡易術式
呪術原作でいう所の身体能力の強化、物に呪力を篭める、呪力放出、反転術式、簡単な式神や結界術等を一纏めにした物。