呪いの方陣は透き通る世界でも循環する   作:Another2

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だいぶ独自解釈あるヨ‼︎

※彼女達は結構立体的な障害物がある広めの所で戦ってます。


便利屋68─弍─

 アビドス高等学校の生徒と便利屋68の戦闘は開幕から飛び出した烏の群れという起こりから始まった。

 烏の群れの襲来という出来事に生徒は混乱しつつも指揮を取る先生は冷静に現状を見据える。

 

──40……50……68って所か、かなり多いな、制空権を抑えられた、まず間違いなく彼方の術式……(多分アルだろうけど)

 自由に操作出来ると考えるべきか?あり得なくはないがこれだけの数を同時に操作するには相当負担の筈、ある程度は自動操作と信じたい。

 それでも視界の共有はされてると考えて良いな、となると問題は奴らにぶら下がってる鉄の板……ありゃなんだ?態々重い物背負わせて速度を落とす理由はなんだ?

 クソ、考える事が多すぎる、ただでさえ他三人の術式が影も形もわからねえってのに、空からの高精度の監視カメラ込みでやらねえといけねえってのが最高にクソだな。

 

“アヤネ、支援用のドローンは?”

 

「烏が行方を阻んで難しくなってます、おそらく偵察も……」

 

“となると……ノノミ、弾幕を張って烏を撃ち落としていこう、ホシノ、シロコ、セリカの三人で攻め落とす、アヤネは道が出来次第ドローン飛ばして”

 

「それじゃあ皆、手筈通りに攻めるわよ」

 

『了解』

 

 お互い指示を出したのは同時、答えた時間も同時、ならば必然に戦況も動くのも同時だ。

 

「私はあの子を……‼︎」

 

「やっほー‼︎私と一緒に遊ぼうよ、三年生さん‼︎」

 

「うへー……ムツキちゃんだっけ?そこ、退きなよ」

 

「やぁだよ‼︎だってアンタが一番楽しそうだもん‼︎」

 

「昨日から鬼みたいな訓練させられてたからさ、手加減とか期待しないでよね」

 

 立ち振る舞いから只者ではないと察していたカヨコの元は向かうホシノに立ちはだかるは遊びたい盛りの浅黄ムツキ。

 アビドスの最高戦力たる小鳥遊ホシノは、昨日から付けられた例の枷による鍛錬の所為でほんの少しばかり、されど冷静にキレていた。

 怒りは呪術を扱う者にとって重要な起爆剤(トリガー)である、故にホシノの身体を呪力が満たす。

 元々我流なりに下地があったとはいえ小鳥遊ホシノは既に精密な呪力操作を可能としていた‼︎

 軽い気持ちで藪を突いたムツキは飛び出したのが蛇ではなくその実恐ろしい龍虎の類であると知った、そこらの奴なら尻尾巻いて逃げるだろう、しかし自分は便利屋68所属の浅黄ムツキである、目の前の龍虎を見て湧き上がるは恐怖ではない、愉悦だ。

 そもそもの話()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ、故にムツキに撤退の二文字は皆無、寧ろ相手よりも獰猛に笑ってやれ、だってそれがゲヘナの生徒たる所以なのだから。

 

 黒見セリカは空を埋めんばかりの烏を見て状況的証拠からそれが相手の陸八魔アルと名乗った生徒の仕業であると看破していた、*1そして先日聞いた生得術式という概念から察するにあの烏達はアルを倒せば止まるだろうという事も目星も付けていた、故に自身が取った行動は一気に距離を詰めてアルを倒す事。

 事実それは正しい、陸八魔アルの術式、黒鳥操術は読んで字の如く烏を操る、ならば術者である本体を叩けば上の目障りな烏も止まりアヤネの支援やノノミの援護も期待できる、故にその行動は間違いではなかった。

 問題があるとするならば……

 

「あぁ、いけません、アル様への危害は……誰であろうとアル様へ危害を与える者は私が許しません」

 

「……まぁ、当然読んでるわよね、その辺は」

 

 今回の相手はそういった対策をするという超戦術的基礎を当たり前の様に行っている、という点ではあるのだが。

 

「道を開けてはくれなさそうね、アンタ」

 

「アル様の身を護るのが私の役目ですから、アル様に危険を及ぼす者を排除するのが私の仕事ですから、だから……死んでください」

 

 井草ハルカの虚な目とわずかな微笑みから溢れる圧倒的な殺意の言葉、セリカは即座にコイツはやべえ奴であると認識する。

 

──持ってる武器はホシノ先輩と同じ散弾銃(ショットガン)。…下手に距離を詰めて落とすのは辞めた方がいいわね、相手の術式?も分かんないし、だけど……得物の射程距離(レンジ)なら(アサルトライフル)の方に分がある、けど多分それは相手も分かってる、要警戒はスラグ弾、ホシノ先輩が持ってる奴と違ってポンプアクション式だから再装填の時と一発撃つ事に実包を排出しなきゃいけない、距離を積める隙はそこね。

 

 共に一年、最年少同士の戦いの火蓋は今切られた。

 

「はあ……ハルカは兎も角としてムツキまで好きに動いちゃって……今回の仕事の意味分かってないでしょ」

 

 便利屋68に所属する鬼方カヨコは苦労人である、何かと見栄を張りたがる社長(アル)にそれを止めるどころか本質を理解しつつも煽るその幼馴染(ムツキ)、そしてその社長の為ならば文字通りなんでもやるある意味でかなりゲヘナらしい子(ハルカ)、この三人の行動で頭を悩ませたり胃痛に苛まされたりする頻度は多い。

 それでも()()()()()()()()()よりはかなりマシな方、なんだかんだ言って便利屋は居心地が良いしあの三人の行動を共にするのは楽しいのだ。

 前の組織の自分は文字通り死んでいたに等しい、上からの命令を只管遂行するだけの日々、自我を殺し組織に律する、なんてつまらない人生。

 だからだろう、目の前の生徒──砂狼シロコ──に対して、僅かばかりの不快感を感じたのは、かつての自分を思い出す……訳ではない、ないが……自分を殺して只管上の命令に従った人間の末路は嫌になる程見てきた、ならば目の前の、他校とはいえ後輩にはそんな出来事を経験して欲しくはない。

 言ってしまえば鬼方カヨコは砂狼シロコに対して、どうしようもなくお節介をかきたくなった。

 

「まぁ、自由に動いてるのは私も同じか……悪いけど、此処は通行止めだよ」

 

 セリカと同じ考えでアルに別口から向かっていたシロコにカヨコは手持ちの銃で足元を撃ち抜きシロコを制止させる。

 

「ん、なら倒してから行く」

 

「倒せるならね、アンタ……術式(本気)出さないと負けるよ?」

 

 これまでの経験でカヨコは察しがつく、砂狼シロコは自分達と同じ、持っている側であると。

 


 

──へぇ……随分動けるじゃない、カヨコが事前に注意してた小鳥遊ホシノは勿論として、他の子も大した機動力と判断力ね。

 依頼者(マコラ)からは呪術戦はズブの素人と聞いてはいたけどそれ抜きにしたってかなりの立ち回り、昨日今日で基礎的な呪術は教え込んではいるのね、だったら……

 

「見せてあげようじゃない、一流の呪術戦ってものを」

 

 アルが銃を構える、当然その情報を先生は見逃さない。

 

──向こうの大将が動いたか‼︎だが何処を狙ってる?その辺には烏しか──まさか‼︎

 

“皆、前ばかりに気を取られるな‼︎()()が来る‼︎”

 

──恐らく板持ちの役目は跳弾による新たな弾道の確保、アヤネの視界を封じて弾幕を張れるノノミを封じた、なら後は狙い撃ちすれば当てられる‼︎

 

──気づかれた⁉︎いいえ、でももう遅いわ‼︎

 

 先生の警告はベストであった、然し『烏を利用した跳弾戦法』という頭の片隅にも入れない戦法を用いた事により、アビドス側は動きに混乱が生じる、そして当然だが彼女達はそういった場合の対処法を知らない。

 

「うぐ……烏の跳弾かぁ、流石に予想できなかったかな」

 

 必中ったのはホシノ、ダメージは少ないが衝撃はある、そしてそれは致命的な隙に繋がる──‼︎

 

「アルちゃんナイスアシスト‼︎」

 

 一瞬よろけたホシノにムツキは遠慮なく自身の得物である爆発物を投げつける、回避はない、防ぐタイミングすら崩した、故にこれは直撃である。

 

「ん〜‼︎最高‼︎さてと、他の子の所に向かって遊ぼっかなぁ〜、カヨコちゃんは大丈夫として……ハルカちゃんの方かな‼︎*2

 

 確実に仕留めた、死んではいないはずだが気絶はしてるだろう、そう思い他の戦場へと足を向けるムツキに、身に覚えがありすぎる呪力が襲う、この感覚はついさっき爆破した生徒の物だ。

 

「ケホッ今まで散々爆発は喰らってきたけどさ、今回のはとびきりに痛かったよ、お陰で制服がボロボロだよ」

 

──制服だけで済んでるのがおかしいんだけどね、それ、おかしいなぁC()1()相当の呪力は篭めてた筈なんだけども、殆ど軽傷、もしかして風紀委員長と同じくらい固かったりするのかな?となると最低でもC()2()を使わないといけなくなるじゃん……‼︎

 

「あぁ……‼︎本ッ当に最高だよ‼︎君さぁ‼︎」

 

──恐らく相手は風紀委員長に匹敵する程の猛者、ならば何故他の戦場へ移せようか、こんなに強い生徒は滅多に戦えるものじゃないのだから存分に味合わないと不謹慎ってものでしょ‼︎

 

「呪力が篭ってたね、でもそれだけじゃ今の威力にはならない、となると可能性があるなら術式……多分爆弾を作る術式かな?なんにせよかなり危険なブツ持ってるね、益々後輩の所に行かせるわけには行かなくなったよ」

 

──へぇ、今の一瞬でもしっかり()()()、私の術式を一部見破るなんてやるじゃん、これ以上隠し通すのは無理かな、向こうにいる大人……先生だっけ?その人もかなり目が良いみたいだし。

 

「正ッ解‼︎私の術式は自分の呪力を篭めた物を爆弾にする、術式対象は生物以外、これだけ言えばもう分かるでしょ?」

 

「この辺は君の武器庫って事じゃん、怖いねぇ」

 

──爆弾術式……となると距離を置くのは益々不味いね、あの子が持ってる機関銃の弾丸全てがその術式対象、爆発威力はさっきのと同じとするならそれが連射されるのは正直キツイ、ならどうするか。

 

──当然、距離を詰めてくるよねぇ、バレバレだよ、勿論それの対策はしてるし()()()も済ませてる、後は突っ込んできた所を……

 

「地雷かな?違うにしても罠は仕掛けてるよね、私でもそうするし」

 

──えぇ……なんでバレたかなぁ、まぁバレても問題ないけどね、詰めてこないならその間に呪力を篭めてC2を……

 

()()()()()()()()()()

 

「ははっ、マジか?」

 

 ホシノが自身の肉体強度と呪力強化にて敷かれた爆弾地帯をゴリ押しで突き進む、ムツキにとってその戦法をされると非常に苦しい、何故ならばムツキの術式は爆弾を作る際ある程度の溜めがいる。

 

──距離を離して弾幕を張る?いや間に合わないね、C1で足止めになる程度ならそれ以下の爆弾なんて足止めにもならない、ならばどうするか‼︎

 

 手持ちの得物にありったけの呪力を篭める、ムツキの術式によって引き起こされた爆発はムツキ自身にも影響を及ぼす、しかし構う事はない。

 

──一か八か‼︎C1とC2の同時爆破‼︎

 

 浅黄ムツキの術式、【爆弾創術】は物質に呪力を篭めて爆弾と化す、威力は篭めた呪力量によって変化する、通常通り呪力を練り込んだ爆弾を『C1』とし、ムツキはこれを主に様子見や牽制等に扱う、そしてそれの倍呪力を練り込んだ『C2』がムツキの主力である、当然これ以上の威力を誇る爆弾もあるがどちらも破壊力、殺傷力が高過ぎる故に奥の手として封印し、それを縛りとする事によってC1、C2の威力を底上げをしていた。

 

 その底上げされたC1とC2による同時爆破、当然ムツキ自身もタダでは済まない訳だが、ムツキ自身はそれを一切考慮に入れていない。

 そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「嘘⁉︎ホシノ先輩⁉︎」

 

「うえ⁉︎セリカちゃん⁉︎」

 

「ダメです‼︎ムツキさん‼︎」

 

「んぇ⁉︎ハルカちゃん⁉︎」

 

 突如現れた黒見セリカと井草ハルカの二人、そして乱入によりホシノは爆発からセリカを、ムツキはそもそも爆破させない為に術式を解除する……

 

──無理‼︎間に合わな──‼︎

 

 解除は──間に合わない、瞬間そこに飛来したのは()()()()()()()()()()()()だった。

*1
だって露骨に肩に烏乗せてたし

*2
なんで私を守る選択肢がないのよー‼︎byアル




先生の指揮によるバフと身体能力と呪力強化でゴリ押ししてくるアビドス
VS
術式を駆使して相手に沢を強いらせる便利屋68

・マコラ
 宿儺宜しくずっと戦況を見てる、ムツキが“C3”を切ろうとしてたら即座に止めに入ってた。

・先生
 実はホシノが即座に呪力操作を物に出来たのは先生の指揮による擬似的な黒閃のバフ効果が高い、影の功労者。

・アビドス
 初経験の術式持ちの相手に苦戦中、一部が基礎でゴリ押してくる。

・アル
 烏を使って観測すると同時にセックス・ピストルズみたいな事し出した、この技は殆ど一発芸みたいなものだが本人は滅茶苦茶練習して習得した。
 裏設定としてこの跳弾は跳ねさせる程威力が上がるので実質ピストルズ、最大限跳弾させたらバードストライクと同等の威力が出る、それをヒナに喰らわせたがヒナは軽傷だった、アルは泣いたがヒナに負傷させれるというヤバさを彼女は理解していない。

・ムツキ
 櫨黄と殆ど同じ術式だが運用方法が異なる。
 アルの烏と併用する事でデイダラ戦法を取る事が可能、ちなみに彼方の彼と違い芸術家というわけではないので爆弾にする物は問わないし雷で無力化出来る訳でもない。
 流石にそのままの性能は特級過ぎるので相当ナーフした、C4は領域前提の強さだがムツキは領域を会得していないので必中C4は避けられた、セーフ。

・カヨコ
 独自解釈の塊の女、公式で情報が確定してないのでなんとも言えないがこの世界ではそうなった。
 術式の影響で非常に耳が良い、アルの“眼”とカヨコの“耳”が合わさり便利屋68はキヴォトスでもトップクラスの索敵能力を持っている。

・ハルカ
 術式の関係で実は便利屋68の縁の下の力持ち、詳細は次回。
 実は便利屋の中では一番ステゴロが強い。
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