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スレイン法国との戦争を決断したアインズは、これまで敵意を買うことを恐れ避けていた直接的な潜入による調査を開始した。
レベル49で不可視の能力を持った魔物の
そしてその結果を報告するため、アインズのもとにデミウルゴスとアルベドが現れた。
「報告を聞かせてもらおう」
「はい、潜入させた者の内、かなりの数が討ち取られましたが、生還した者達から多くの情報が取得出来ました。残念ながら敵基地の中でも重要施設と思われるエリアには侵入出来ませんでしたが……」
「それは仕方あるまい。先ずは分かったことを報告せよ」
如何に諜報活動に向いているとはいえ、所詮はレベル49で使い捨ての魔物。低レベルな現地勢力ならともかく、ユグドラシルプレイヤーやそれに匹敵する存在の拠点最深部にまで入り込めないのは、無理の無い話だとばかりにアインズは頷く。
「はい、それでは先ずは国の成り立ちからご説明します。スレイン法国は600年前に誕生した国で、六大神と呼ばれる7人のユグドラシルから来たプレイヤーによって建国されたようです」
(やはりプレイヤーが関わっていたのか。
ユグドラシルのプレイヤーが関わっていると知って納得したり、逆に疑問が思い浮かんだりしたが、それよりもシンプルにおかしい部分があることに気づく。
「7人なのに六大神と呼ばれているのか?」
「はい。それについて、初めは6人だったため、そのように呼ばれるようになったとのことです。最後のプレイヤーである
「なるほど
「他のプレイヤーは人間種だったようなので、寿命で死んだのでしょう。法国の歴史では神の国に帰った等、色々と飾り立てられていましたがね」
愚かなものだと嘲笑うように言うデミウルゴス。
「なるほど。つまり、現在ではプレイヤーと思われる存在は二人だけということだな。それは朗報だ。NPCについては分かっているのか?」
「はい。NPCは従属神等と呼ばれているそうですが、その中で強いものは7体。六大神のNPC6体は力を合わせれば、生き残った六大神一人と実力では同等以上になると言われています」
(そうするとレベルは80代前半ってとこか?レベル100のNPCを持っていないってことは中堅以下のギルドな可能性が高いな)
聞いた話からNPCの実力とギルドの規模を推察するアインズ。
「そして、残る1体は斗和子です」
「斗和子もNPCだったのか。奴はレベル90の実力者だったな。下手をすれば前の戦いでは本気を見せて居なかった可能性もある。そうすると、
傭兵NPCはゲーム時代から拠点の外を連れ歩ける存在だった代わりに、拠点NPCよりも弱いのが普通だった。故にレベル90以上の傭兵NPCを連れていけるのは一部のプレイヤーだけ。与えられた情報から推測出来る部分、そして直接会った印象から
「しかしそれほどのプレイヤーならば、六大神が七大神に改められても良さそうなものだが」
ギルド、アインズ・ウール・ゴウンだって初めは9人のクラン、ナインズ・オウン・ゴールからスタートしたが、後から加わったメンバーに対して格差を付けたりはしなかった。
実力が上ならば尚更、同格以上に扱われなければおかしい。そう疑問に思うアインズに対して、二人は答えを用意出来ていた。
アルベドが1歩前に出る。
「それについては私から。アインズ様のおっしゃる通り、改名は議論されたことがあるようです。しかし
(なんだその理由は!! 惚気かよ!!! くそっ、リア充爆発しろ!!)
下等生物にしては洒落た事を言う、自分もモモンガと一つになりたい等と思いながら答えるアルベドと、21世紀から続くネットスラングを内心で叫ぶ
ちなみにこの発言自体は情報操作でもなんでもなく、実際にあったことである。
二対一のタイマンという理屈を持ち込んで来た宿敵達のことがとてつもなく羨ましくて悔しかったので、スルシャーナと結ばれた時から、絶対にこのフレーズを使ってやろうと企んでいたのだった。
「仮にこの発言が無ければ中興の祖としての貢献も大きかったため、
(中興の祖って何だっけ? まあいいや。多分、国内で活躍して、慕われてるってことだよな?)
難しい言葉については分かったふりをし、リア充への嫉妬を抑えて、話を進める。
「プレイヤーとNPC以外に警戒すべき相手はいるか?」
アインズの問いかけに、説明役がデミウルゴスに戻り答えた。
「プレイヤーの子孫で神人と呼ばれる者達がいます。しかし血が薄くなり過ぎたためか、現在では僅か3名。1名は老齢で現役を退いており、残り2名も六大神のNPCと同等かそれよりも弱い程度の強さだとか。後は例のくらぎですね。これについては
「っと、いうことはレベル100と思われるプレイヤーが二人。特に一人は上位陣クラス。レベル90以上のNPCが1体。レベル80以上が4体。これと同等以下の神人とやらが2人。後はレベル100の魔物と思われるくらぎか……」
並べ立ててみると、この世界では絶大な戦力であるが、ユグドラシル基準では物足りない。予想よりも敵が弱いことが、逆にアインズの猜疑心を刺激し、何か裏があるのではないかと考えさせた。
(他に隠し玉があるのか?後、1人か2人、レベル100の戦力が……。いや、相手はワールドアイテムを強請りとろうとしてくるような奴等だ。その程度では……。んっ?)
「ワールドアイテム」
そういえば何故、相手はこちらがワールドアイテムを持っていることを知っていたのかと、ふと疑問に思い呟く。
そしてその呟きを聞いたデミウルゴスとアルベドがはっとした表情を浮かべ、数瞬、考え込んだ後に二人して頷いた。
「なるほど、そういうことですか」
「ええっ、納得がいったわ」
「流石はアインズ様」
「ええっ、私達の、何手も先を言っておられるわ」
(えっ、何が分かったの!?)
突然何かに気付き、自分を持ち上げ始めた二人に慌てるアインズ。
「待て。お前達が考えていることが私の考えていることと一致しているか、確認したい。順を追って詳しく話すがいい」
そこで言い訳を述べて、説明してもらうことにする。
それに応じてデミウルゴスが口を開く。
「はい。先ずは辿り着いた結論として、敵はワールドアイテムを所有している。それも複数。最低でも3つ以上と思われます」
「!?続けよ」
飛び出した脅威に動揺しつつも、それを表面に出さず続きを促す。今度はアルベドが答える。
「はい。判明した敵の戦力はナザリックに敵対をするには脆弱過ぎます。愚かなだけとも思いましたが、相手は曲がりなりにもアインズ様と渡り合い、シャルティアを捕縛している。愚かなりに、自分達が勝てると錯覚する要素、自信の基となるものがあるのでないかと私達も考えていました。しかしそれが何かまでは、断定が出来ていなかったのです」
「しかしアインズ様にいただいたヒントで分かりました。敵の切り札はワールドアイテム。しかしそれだけではこちらもワールドアイテムを所有している以上、弱い。ですが何故、我々がワールドアイテムを所有していたのを知っていたのかまで考えると、答えが見えて来ます」
「ここで一つの仮定をあげさせていただきます。それは、この世界に転移したプレイヤーは、必ずワールドアイテムを所有しているのではないかということ」
デミウルゴスとアルベドが交互に語る。その内容と、二人の頭の回転の速さに衝撃を受けながらアインズはそれを隠し、黙って話を聞くことにした。
「そう考えれば全てに辻褄が合います。六大神と
「
「六大神が所有していたものと
「相手が私達、ナザリックで無ければ、よね?」
アルベドの言葉に我が意を得たと、デミウルゴスがニヤリと笑う。
「その通りだよアルベド。アインズ様が保有するワールドアイテムは11。これは圧倒的な数だ。仮に相手が3つよりも多いワールドアイテムを所有していたとしても、これを大きく超えるということはないでしょう」
両手を広げ、誇るように語るデミウルゴス。そこで黙っていたアインズが口を開いた。
「お前達の考えは私とほぼ同じだ。しかし、これはあくまで仮定。そうだな?」
「はい」
「おっしゃる通りです」
頷く二人を見て、アインズは手を前方に振るい、指示をする。
「ならばその裏付けを取るがよい。スレイン法国が一つでもワールドアイテムを所有していることを確認出来れば、この説の信憑性は大きく高まるであろう」
「はっ、早急に!」
「かしこまりました」
そして退出する二人。残されたアインズは誰もいなくなったことを確認すると、手で顔を覆った。
「プレイヤーはワールドアイテムとセットで現れるだと……それが確かなら……」
そして鎮痛な声を漏らし、躊躇うように押し黙る。
数秒間の沈黙の後、彼は再び口を開いた。
「11個のワールドアイテムが欠けずに残っているってことは、仲間達にはもう会えないってことじゃないか……」
孤独な支配者の呟きが、その場に響き渡るのであった。
次はクズハサイドです。
あまり引っ張らず2話後位から開戦予定。