白面inオーバーロード   作:史上最弱の弟子

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今回は設定に関する独自考察とそれに基づいた設定多めです。
特に六大神のNPCについては完全に捏造です。



12話

「あら、久しぶりですわね。白面(くずは)様」

 

「ああ、久しいな」

 

 リ・エスティーゼ王国で黄金の姫と言われるラナーは、白面(くずは)とは彼女が幼少の頃からの知己である。

 あまりに優秀過ぎる頭脳を持つが故に他の人間を同種と思えず、孤独を感じていたラナー。そんな彼女に対し、王国にも婢妖を張り巡らせていた白面(くずは)は興味を持った。白面(くずは)の方から接触をはかり、紆余曲折を経て、現在ではたまに談義したりボードゲームで遊ぶ仲になっている。

 そして本日のゲームとして選ばれたのは将棋である。砂時計を使って、1分指しのルールで勝負する。

 しばらくは無言で指し続け、終局に近づいた所で、ラナーが口を開いた。

 

「最近は尋ねて来ていただけなくて、寂しかったですわ」

 

 拗ねたような口調で言うラナー。彼女の美貌でこんなことを言われれば、並の男が相手ならそれだけで何でも言う事を聞いてしまうかもしれない。しかし当然ではあるが、白面(くずは)相手には全く効果は無い。

 ドライな口調で答える。

 

「少々面倒なことになっていてな」

 

「あら、白面(くずは)様でも苦労されるようなことがあるのですね」

 

 ラナーの言葉に対し、白面(くずは)は嫌そうな顔をして答える。

 

「新たなプレイヤーが現れた。こちらとしては警告し、二度目のチャンスまで与えてやったのだがな。結局、敵対することになった」

 

 八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジアサシン)の侵入については当然察知している。

 そして彼女はそれを敵対宣言と受け取っていた。

 

「手ごわいのですか?」

 

「今までのプレイヤー以上に厄介な相手である可能性は高いな」

 

「ふむ力があるのですか? それとも知恵が?」

 

「力は確定だな。それと”知能”に関してもお前と同等程度の者がいると思っている」

 

 スルシャーナから聞いたギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の在り方や、彼以外にもリク等からも聞いたリアルの情報から推測し、件のギルドには『設定厨』なる人種が所属している可能性が高いと白面(くずは)は推測していた。

 そしてそうであるなら『人知を超えた頭脳の持ち主』だとか『IQ2000』とかに設定されたNPCが居る可能性は高い。

 その上でそのNPCの知能をラナーと同等としたのには理由がある。

 

「あら、私を『上限』と設定していただけたのですね。光栄ですわ」

 

 白面(くずは)の言葉を聞き、あることを察したラナーは普段見せない本心からの笑顔を見せる。

 

「500年の間、この世界を隅々まで調べたが、お前を超える知能を持つ者は見かけなかったからな。とはいえ、同等の者や近いレベルの者ならば、何人か目にした」

 

「その方達にもお会いしたかったですわ」

 

 NPCや位階魔法は、ユグドラシルでフレーバーテキストに書かれた内容が具現化した存在だ。しかし所詮は、竜帝の始原の魔法(ワイルド・マジック)により実体化した存在である。当然の理屈として、始原の魔法(ワイルド・マジック)の限界を超えることは出来ない。つまり設定が完全には実現されないケースが存在するのだ。

 そして白面(くずは)はその限界は、この世界の上限と合わせられていると推測していた。分かりやすい所として強さ。ユグドラシルの頂点であるレベル100の存在とこの世界の頂点である竜王ーーどちらもワールドエネミーや竜帝といった例外が存在しはするがーー強さの幅が広い両世界の頂点がほとんど一致しているというのは、偶然としては出来過ぎている。

 

「スレイン法国に居るNPCの中にも一人、賢い者が居た。しかし創造主を失った今はその知恵は使えなくなっているな」

 

「残念ですわ」

 

 スルシャーナの仲間であった輝煌天使ねこにゃんは『厨二病』を患っていた時期があり、彼の作ったNPCは『普段はその力を抑えているが、輝煌天使ねこにゃんが解放を命令した時には、全知全能に限りなく近い状態になる』という設定がされていた。

 しかしねこにゃんが命令しても力は変わらず、知能もラナーよりやや劣るレベルにまで上昇しなかったことを白面(くずは)は”目撃している”。

 

「我の知るお前と同等の知能の者は、人間に限っていない。恐らくはこの世界の生物全体の知能の限界がお前レベルなのだろう」

 

「なるほど。しかし私と同等いうことでしたら、今回の戦いは白面(くずは)様の勝ちですね」

 

 ラナーが『王手』を仕掛けながらそう呟く。白面(くずは)は逃げ筋を探すが見つからない。

 

「ほう、何故そう思う?」

 

「だって白面(くずは)様は私よりもずっと”頭が良い”でしょう?」

 

「たった今、お前は我に勝ったばかりだろう?」

 

 白面(くずは)の方が賢いというラナーに対し、白面(くずは)は負けた将棋盤を指差して答える。

 

 それに対しラナーは頷いて答えた。

 

「そうですわね。知能ならば負けていないと思っていますわ。ですが”知識”の量において、私と白面(くずは)様では比較にならない程の差がある。そうでしょう? そのプレイヤーがこの世界に来たばかりなのでしたら、少なくとも今は未だ、あなたに敵うとは思えません」

 

 頭の良さ、知力とは知識と知能の合算だ。知能があっても、土台となる知識がなければその能力は十分な力を発揮しない。

 そして知識の量において、この世界に白面(くずは)に比肩する者は居ない。彼女にはこの世界と最初に産まれた世界、そしてスルシャーナ等を通して知ったユグドラシルと『リアル』、4つの世界の知識がある。これは絶大なアドバンテージだ。

 そして数千年生きた経験、これもまた知識だ。

 例えば白面(くずは)は最強だ。これは宿敵すらも認めた純然たる事実であるが、それでも無敵という訳では無い。元居た世界では2度の痛み分けと1度の敗北を経験している。この世界でも何度か痛み分けを味わった。これらの経験から彼女は、自分に匹敵する力を持った個体が産まれうること、弱者であっても団結すれば大きな力を持つこと、陽の心より産みだされる強さ、迂闊に恨みを買う事の怖さ、ワールドアイテムや始原の魔法《ワイルド・マジック》の脅威等を知ったのである。

 だから白面(くずは)は竜王やプレイヤーを自分よりも下だと思いつつも侮らないし、それどころか現地の人間、その中でも一般人にすら最低限の敬意は払うようにしている。なにせ獣の槍のもととなった二人は、一介の刀鍛冶とその妹に過ぎなかったのだから。

 

「喰えぬことを言うようになったな。まあ、いい。いずれにせよ我に敵対する者は、全力を持って叩き潰すだけのことよ」

 

 ラナーを軽く睨むと、そう言って白面(くずは)は席を立つ。

 そして去っていく彼女をラナーは見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人前に出る際、白面(くずは)は必ず同じ服を着ている?」

 

「はい、このようなデザインのものです」

 

 アルベドが、絵を見せる。潜入させた魔物には何人かスレイン法国の国民を連れ変えさせようとしたが、その方法は全て失敗した。代わりに国内で書かれた白面(くずは)の肖像画を持ち帰ることに成功し、それを見せる。

 アインズは机に置かれたその絵を覗きみる。彼にはその書かれた姿に見覚えがあった。

 

「私が初めて奴と会った時に来ていたものと同じデザインだな」

 

「スルシャーナの方は時折、衣装を変えるそうです。ただその代わり、古めかしい槍を必ず携えたNPCを必ず脇に置いているとか。敵がワールドアイテムを所有しているとしたら、別のワールドアイテムでの襲撃に備え、特に人前では何時でも備えていることでしょう。しかし不甲斐ないことに、我々はワールドアイテムには詳しくありません。アインズ様の知る中に、このような見た目のワールドアイテムはないでしょうか?」

 

 デミウルゴスの言う事はつまり、白面(くずは)の服とスルシャーナの槍がワールドアイテムではないかということ。

 それを聞いて少しアインズは考え込む。

 そして思い出したように叫んだ。

 

傾城傾国(けいせいけいこく)聖者殺しの槍(ロンギヌス)か!! 」

 

 ワールドアイテムの中でも、上位に位置する厄ネタとして有名なワールドアイテムに思い至る。実際の映像は出回っていなかったために、直ぐには分からなかったが、神話の元ネタや断片的な情報から推測された見た目と、特徴が一致していることに気づいたのだ。

 

「特に聖者殺しの槍(ロンギヌス)は20の内の一つ。知らずに接触していたとしたら危なかったな」

 

「どういった効果を持つワールドアイテムなのですか?」

 

 ワールドアイテムとほぼ確定されるアイテムが確認されたことで、仮説が正しいことを前提に話をすすめるアインズ達。デミウルゴスの質問に答える。

 

傾城傾国(けいせいけいこく)は耐性を無視し、他者を永続的に支配する。使用者が解除するか、かけられた対象が一度消滅しなければ、洗脳を解くことはできない。そして聖者殺しの槍(ロンギヌス)は使用者と刺した者との両方を完全に消滅させる槍だ。消滅させられた相手は別のワールドアイテムでの再生を除き、如何なる方法でも蘇生は不可能になる」

 

「「!!!!」」

 

 アインズの言葉に二人は顔を青くする。それはあまりに恐ろしい話、後半の聖者殺しの槍(ロンギヌス)については特にだ。

 その槍を使われ、アインズが完全消滅する、それを想像するだけで彼等は身が凍る以上の恐怖を味わっていた。

 

「これが奴等の自信の源のようね。他にシャルティアを石化させたのも、恐らくはワールドアイテムでしょう」

 

「アインズ様ですら未知の現象ということはその可能性が高いね。他にプレイヤー以外で我々に匹敵する力を持つ竜王達が持つ力である可能性も無くはないが……。スレイン法国と評議国は険悪で国交が無いことが確認されている。可能性は低いだろう」

 

「国民の大多数が、評議国のことを嫌っているみたいですしね。国内の教育もその方向性のものが多いわ」

 

 裏で繋がるにしても国民感情が反対方向を向いていれば、いざという時に障害になる。仮に偽装だとしても、教育までして反評議国感情を国民に根付かせるのは悪手だ。

 そのため、両国の不仲は真実だと判断を下す。

 そしてアルベドはある可能性について確認するために、アインズに問いかけをした。

 

「アインズ様、その傾城傾国(けいせいけいこく)は多数を洗脳することも可能なのでしょうか?」

 

「いや確か一度に洗脳できるのは、一体のみだった筈だ」

 

「でしたら多数の敵に対応したワールドアイテムも所持している可能性が高いですね。シャルティアを石化させたワールドアイテムも、解除できないという性質を考えれば対個人用である可能性が高い」

 

 アインズの答えを聞いてデミウルゴスが判断する。

 運営が狂っていると言われるユグドラシルだが、一応ゲームである。如何にぶっ壊れと言われるワールドアイテムとて、最低限、本当に最低限のゲームバランスはとられているのだ。

 例えばこの世界の始原の魔法(ワイルド・マジック)には滅魂の吐息という、自身の消滅というデメリットも無しに多数の相手に対して聖者殺しの槍(ロンギヌス)と同じ効果をもたらせるものが存在する。それに対して、ユグドラシルではそのレベルでの無茶苦茶さは流石にありえず、自重されている。

 故に、効果の永続と広範囲はどちらかに制限されている、もしくは相応のデメリットが設定されている可能性が高いのだ。ワールドアイテムには詳しくないとはいえ、他の魔法やアイテムの常識、聞いた範囲のワールドアイテムの効果からデミウルゴスはそう推測した。

 

「こちらの召喚魔物に対抗するにはスレイン法国の人間達では力不足。対軍用に召喚系か広範囲攻撃、どちらかは持っていると考えるべきでしょう」

 

「そうすると数は全部で4つ。事前の予測では3つ以上だったから、予想通りね」

 

 自分達が的確だったと思い、ニヤリと笑うアルベド。

 そこでアインズが立ち上がった。

 

「なるほど。基本戦力と合わせ強敵だ。我々としても中途半端に戦力を投資していては、勝てないだろう。だが、我々が本気を出せば決して破れない相手では無い」(正直不安はある。だけどこれ以上、奴等の手の中にシャルティアの首を置いておきたくない)

 

 そしてこれまで聞いた話をもとに、アインズが結論を下す。相手も警戒しているため、これ以上は情報を得ることは難しいだろう。ワールドアイテムの壊れ具合を知っているアインズとしては、単に数で勝っているからといって楽観できない部分もあった。しかしワールドアイテムにはワールドアイテムを装備しておけば、その特殊効果を無効化できるという特性がある。そのため少なくとも、階層守護者たちがいきなりやられるということは無いという安心感もあった。

 

「開戦だ。お前たちは戦いの準備をせよ!!」

 

「「はっ!!」」

 

 そして最後の境界線が破られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず奴らが侵攻をしかけて来た場合、我とその配下、そして漆黒聖典の内の3人が打って出る」

 

「それと俺の配下も2名と、それに加えて召喚した魔物も同行させる」

 

 アインズ達が戦争の最終決断をしていた頃、白面(くずは)達の方も、上層部と漆黒聖典、他の六色聖典の隊長等を集め、作戦会議を行っていた。

 白面(くずは)が作戦を告げ、スルシャーナが言葉を続ける。

 

「わかりました。しかし我等の代で神の同胞を相手にした戦いが起こるとは……。覚悟はしていたつもりですが、いざとなると震えてきますな」

 

 それを聞いて神官の一人から漏れる言葉。

 不謹慎ではあるが、咎めるものは居ない。プレイヤーの集団との戦争ということで面々には緊張感もあるし、厭戦感情だって無い訳でも無い。多かれ少なかれ、同じ気持ちはこの場のほとんどの者が抱いていた。

 

「しかしやるしかあるまい。奴らはこちらに一方的に攻撃を仕掛けてくるような奴等なのだ」

 

「八欲王の同類。ならば逃げ場は無い、そう覚悟を決めるしか他ないだろう」

 

 しかし前向きな言葉を発言した者が現れたのをきっかけに、それに同調して彼等は気力を高めていく。 

 白面(くずは)とスルシャーナへの信仰と信頼。そして普段より抱いていた、自分達は神と共に人類を守護する集団という意識が彼等を支えていた。

 そしてそんな中、不満を口にするものが一名。

 

「えーっ、3名ってことは、白面(くずは)様、もしかして私は留守番?」

 

 声を漏らしたのはクレマンティーヌ。

 この場にはアンティリーネも居る。唯一の魔法詠唱者のティーナは外せないし、隊長とティーナは基本セットだ。そうなると上位4名の中で外されるのは自分だと判断し、そのことに不満を覚えたのである。

 

「控えよ!! クレマンティーヌ」

 

 許可を得ずに発言したクレマンティーヌを自身も神人であり、引退したとはいえ実力者な評議長が叱責する。

 そこで白面(くずは)が仲裁に入った。

 

「よい。クレマンティーヌよ、お前は未だ本調子ではあるまい」

 

 子供に言い聞かせるように言う白面(くずは)

 紅煉と似た姿への変身を限界近くまで使った上に、蘇生により1だけではあるがレベルダウンしたクレマンティーヌ。そういった背景があるが故、彼女は戦線から外されていた。

 自身が力を分け与えた経緯もあり、我が子の中でも比較的可愛がっている対象であるというのも関係しているが。

 

「お前にはスルシャーナの護衛を任せる。頼んだぞ」

 

「はーい。まあ、しゃーないか」

 

 護衛とか退屈だとは思いつつ、白面(くずは)に言われては仕方が無いと承諾するクレマンティーヌ。

 

「他の漆黒聖典も同様だ。NPC二人と共に護衛せよ」

 

 守りのメンバーを選出する白面(くずは)。スルシャーナはレベル96でプレイヤースキルも高い方である。ナザリック大墳墓に比べれば遥かに脆弱とはいえ、ギルド拠点も残っているので、スルシャーナの安全性はかなり確保されたと言っていい。

 

「他の六色聖典は国の防衛だ。まあ、街に被害が出る所まで侵攻させる気は無いがな。それでも完璧な防衛は難しいやもしれん。漏れが出た時は任せるぞ」

 

「はっ、お任せください!!」

 

 隊長陣の中で代表してニグンが敬礼し、答える。彼の手には六大神が残した秘蔵切り札として、威光の天使(ドミニオン・オーソリティ)を超える天使が封印された魔封じの水晶が握られていた。

 プレイヤーに対抗するための切り札として一時的にそれを与えられた彼は、その責任感を深く噛み締め、重圧を感じながらも信頼に応えられるよう決意をしていた。

 

「後は敵がひきこもることを選んだ場合だが……」

 

 想定される色々なケースについて話し合う。

 そしてそれから数日後、ついに戦端が開かれたのであった。

 




製作者が異なり、表現を合わせた訳でも無い、デミウルゴス、アルベド、パンドラ。更に自然発生のラナーの知能が全員知能1位という不自然さからしても上限は設定されてるんじゃないかと考えました。
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