白面inオーバーロード   作:史上最弱の弟子

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ラスト3話の予定です。


17話 蹂躙

 今から述べるのは、一瞬の間に起きた出来事だ。

 デミウルゴスは石化の尾で貫かれた。

 マーレはその両腕を、所持していたワールドアイテム『強欲と無欲』ごともぎ取られた。

 ルベドは尾で弾かれ、それだけで半壊させられた。

 そして全高200メートル、全長1キロ。あまりにも巨大な白き狐が現れたのである。

 

「あっ、ああ……」

 

「マーレ!!」

 

 両腕を失い、規格外の怪物を目にする。二つの衝撃的な出来事に恐慌状態に陥った弟に対し、アウラは叱咤すると共に、最高位の回復ポーションを振りかける。

 同時に全速で魔物を飛ばし、白面(くずは)から距離を取ろうとした。

 

「お、お姉ちゃん」

 

 ポーションの効果により、マーレの両腕が再生する。

 そして半壊させられたものの、まだ完全には停止していなかったルベド。当人が意図したものでは無いだろうが、アウラ達が逃げる時間を稼ぐかのように白面(くずは)に飛びかかってく。

 

「しっかりして!! 急いで”逃げる”よ!!」

 

「えっ、でも……」

 

 逃走を主張するアウラに対し、マーレが躊躇するのは石化したデミウルゴスと奪われたワールドアイテムの存在があったからである。

 しかしそんな弟に対し、アウラは先ほどよりも強く叱咤する。

 

「馬鹿! あれのことをアインズ様に報告しないと!!」

 

 その言葉で、元々頭が悪い訳では無いマーレは自分のやるべきことを理解する。アインズも遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)でこの戦場を見ているだろうが、それだけでは伝わらない白面(くずは)の異質さ、情報を少しでも伝えなくてはならない。

 そう判断した二人は帰還用の転移アイテムを使う。

 しかし何も起こらなかった。

 

「無駄だ。お前たちは既に我の掌の上だ」

 

 声は二人の直ぐ後ろから。反射的に振り向くとそこには白面(くずは)の巨大な顔が存在していた。

 そしてその尾の一本が輝いている。

 8番目の尾、対プレイヤー用の最後の切り札ともいえる『結界の尾』である。白面の宿敵の一人、『お役目様』の能力を模倣したものであり、対プレイヤー用に改良して、転移・通信阻害という能力を付け加えたものであった。

 そしてその結界は、この戦場全体という広範囲を包み込んでいる。

 

「お前たちの言葉で言えば、転移禁止エリアといったところか?」

 

 絶望を喰らうため、敢えて状況を理解させる白面(くずは)

 限界に達した二人が叫び声をあげる。

 

「うっ、うわあああああああああ」

 

 それから数秒後、更に負の感情を喰らった彼女は、次の獲物のもとへ向かうために飛び立つ。

 後には石化され、ワールドアイテムを奪われた二人が打ち捨てられるのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ダアレハ!?」

 

 交戦した怪物、かふらたいの巨大さにも驚愕したコキュートスであったが、白面(くずは)のサイズはそれを大幅に上回っている。

 戦場の何処に居ても目視出来る巨大な存在が突如現れたことにコキュートスの視線は釘付けになる。

 そして彼は気づく。その存在が真っ直ぐに、物凄い速さで、自分めがけて近づいて来ることに。

 音速を遥か超える速度で飛来した白面(くずは)はコキュートスの眼前で停止。それが白面(くずは)の真の姿であることを知らぬコキュートスは、問いかけをした。

 

「貴様ハ何者ダ」

 

「我が何者でもあったとしても、お前がこれから滅びる事に、代わりはあるまい」

 

「ソウカ」

 

 その答えを聞いたコキュートスは何時でも発動出来るようにし、仮に白面(くずは)が停止しなければ何も聞かずに放っていたであろう幾億の刃を撃とうとする。

 そんな彼に対し、彼女はあるものを見せた。

 

「デミウルゴス!!」

 

 それは白面(くずは)の手に握られた石化したデミウルゴス。彼女はそれを粉々に砕いてみせる。

 

「キ、キサマアアアアアアア!!」

 

 基本悪であるナザリックであるが、仲間意識は強い。

 そしてそんな中でもコキュートスは善に偏った中立であり、そして創造主同士が親密であったことから、特にデミウルゴスには強い友情を抱いていた。

 そんな存在が目の前で粉々にされたのだ。彼の心は憎しみに包まれ、その感情を込めてワールドアイテムを発動させる。

 

「ウオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 名前通り億にも届きそうな、そして一本一本が強力な刃が白面に叩きつけられる。

 しかし如何にワールドアイテムだろうが、どれ程強力な攻撃であろうが、憎しみが強く込められたその攻撃では白面(くずは)には届かないのである。

 

「しょうこともなし」

 

「バ、馬鹿ナ」

 

 レベル100の存在でも確実に殲滅出来る攻撃をまともにうけたにも関わらず、相手が全くの無傷であることに驚愕するコキュートス。

 そして彼は一瞬で敗北する。石化の尾が貫かれ、石の塊に変わった。

 

「さてっ、次は……。むっ!?」

 

 次の獲物を狩ろうと振り向いた白面(くずは)は、そこであるものを見て舌打ちをする。

 

「順番を間違えたか」

 

 彼女の見たものは、自分と反対側の結界へと飛行するアルベドの姿だった。一見すれば行き止まりに向かって逃げているようにも見える。しかし白面(くずは)とて、戦場をまるまる覆いつくす結界を強度は維持して張ることは出来ない。それでも超位魔法単発位であれば耐えるであろうが、ワールドアイテムで攻撃されれば高確率で破壊されてしまう。

 

「逃がさぬぞ」

 

 白面(くずは)は飛行し、全速でアルベドを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあっ」

 

 シュムナを振り切ったアルベドは、息を切らしながらも全力で飛行し、結界に攻撃が届く位置を目指していた。白面(くずは)の真の姿を見て、彼女はようやく気づいていたのだ。「あれはプレイヤーでは無い」と。

 では何かとまでは分からないにしろ、ナザリック大墳墓さえも凌ぐ巨体を持ち、ルベドさえも容易く制した彼女は間違いなく脅威であると認識していた。

 

(アインズ様と通信出来ない! くっ、あれは外との連絡をも妨害するのね!)

 

 思い通りにならない状況に、アルベドは白面(くずは)が張った結界を睨む。彼女が考えた通り、結界の特殊効果は転移全般の阻害と外との通信妨害だ。結界内同士であれば通信は可能で、それにより、アルベドはセバスと自分以外のNPCが全滅したことを把握していた。

 

(恐らく外からも中の光景は見えていない。何としてでも生き延びて、奴のことをお知らせしないと)

 

 アインズに情報を届ける。

 そしてパンドラとデミウルゴスが倒れた今、アインズをサポート出来るのは自分しかいないと考えるアルベド。

 彼女はそこで、敵の位置を把握する魔法の効果により、白面(くずは)の接近を察知する。

 

(速い!! だけど、これならギリギリ逃げ切れる!!)

 

 ワールドアイテムの射程距離、敵との速度、仮に通行上にいる魔物が一切の足止めも出来なかったとしても逃げ切れると計算する。

 そして少しでもロスタイムを無くすため、真なる無(ギンヌンガガプ)を飛行しながら変形させた。

 

(速く、もっと速く)

 

 念じるが速度は上がらない。しかし必死の飛行の結果、遂に目標地点に辿り着く。そこで彼女は減速せぬまま、真なる無(ギンヌンガガプ)を振り下ろした。

 

(壊、れ、な、さ、い!!!!!)

 

 顔面を歪ませ、結界に叩きつける。これで破壊できなければ、彼女は高速で結界に叩きつけられるだろう。しかしどの道、減速すれば直ぐ後ろにまで迫ってきている白面(くずは)に追い付かれると考えての行動。

 そしてその一撃は功を結び、結界の破壊に成功する。

 

(やった!!!)

 

 解放された彼女は、即座に転移アイテムを使用しようとする。

 そこで空が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 白面(くずは)がスルシャーナを戦場に出さないのは、過保護という以外にも理由がある。

 要因の一つとして、スレイン法国には彼に適したワールドアイテムが無いというのがあげられた。

 傾城傾国(けいせいけいこく)は見た目からして女性装備。

 聖者殺しの槍(ロンギヌス)は魔法詠唱者であるスルシャーナには装備不可。

 そして最後の一つ。白面(くずは)がリクから命を救った礼として譲り受けたそれは、彼女ですら忌避する程に危険なものであり、とてもではないが迂闊に持ち出すことは出来なかったのである。

 しかし白面(くずは)は今回の戦いで、敵から4つのワールドアイテムを奪い、それをスルシャーナのもとに転送していた。

 つまり、スルシャーナが援軍として駆けつけることも可能になったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〈失墜する天空(フォールンダウン)〉」

 

「!!!!!」

 

 結界が破壊された瞬間、何時でも発動出来るように準備されていた超位魔法が炸裂する。

 流石のアルベドもこれには耐えきれず、地面に叩きつけられた。

 そして彼女が動けるようになるまで10秒。この時間は致命的なものであった。白面の尾が放たれ、1本目で鎧が砕かれ、2本目で石化の尾が突き刺される。

 そして白面(くずは)は3本目の尾で兜を砕くと、表情の見えた彼女の耳元に口を近づけ、囁いた。

 

「どうだ? 我の夫は頼りになるであろう? 助けにも来てくれぬお前の主と違ってな?」

 

 その言葉でアルベドは表情を歪めた。しかしそこで彼女がどのような感情を抱いたかは、口を開く前に石化してしまったため分からない。ただ一人、彼女の感情を喰らった白面(くずは)を除いて。その当人は満足したように凶悪な笑みを浮かべる。

 それを見て「うちの嫁、また悪い顔してるなあ」という顔をするスルシャーナ。「白面(くずは)様だけは、やっぱ敵にまわしちゃ駄目だよねえ」という感じのクレマンティーヌ、顔をひきつらせる漆黒聖典の面々。

 

「さて、最後の仕上げをするとしよう。あまった分、景気よく返してやるとするか」

 

 そう言って白面が視線を向けた先にいたのは、残された召喚魔物達。結界が破壊された事により、唯一生き残ったナザリックNPCのセバスは帰還を果たしていたが、彼が最後に残した指示により、魔物たちはナザリック大墳墓へと逃げ帰ろうとしていた。

 そんな彼等を見下す白面(くずは)

 

「くくっ、散る姿はまるで虫けらのようだな」

 

 陰の気、負の感情を喰らうという規格外な存在な白面(くずは)であるが、一応は生物らしく、一度に吸収出来る量には限界がある。

 故に恒久的なパワーアップに使える限界を超えたエネルギー以外を、まとめて使って放出する。

 

「オギャアアアアア!」

「オギャアアアアア!!!」

「オギャアアアアア!!!!!」

 

 特大の火球。1発1発が超位魔法の数十倍の破壊力を秘めた攻撃を3連発、3方向に発射する。

 それにより、魔物の大半は跡形も無く消滅。生き残ったものもほとんどは黒炎によって、狩られ、ナザリックまで辿りついた魔物は僅か十数体であった。

 




当初はしょうこともなしを喰らうのはアルベドの予定でしたが、彼女のワールドアイテムが対物専用だったので、仕方なく変更しました。
しょうがないので、ラブラブアタック喰らった後、煽られて、反論することもできずに石化されられるというソフトなやられ方です。

参考にしたいので、本編完結後に読みたいエピソードが下にあれば、回答お願いします

  • 前日譚:八欲王編
  • 前日譚:十三英雄編
  • IF:ビジネスパートナー編(成立後のみ)
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