もしそうだったら消して次からやらないようにします。
「姫?」
「はい。リ・エスティーぜ王国の姫は力こそ無いものの知恵においてはかなりの高さである可能性があります」
「なるほど。そちらも引き続き調査してくれ。それで冒険者ギルドと言うのは?」
知恵者の姫というのも気にはなりはしたが、それよりも冒険者ギルドというのがアインズの好奇心を刺激した。
そのため話を終わらせて、次の話に移らせようとする。
その反応を見たデミウルゴスは、もしや黄金の姫には大きな価値が無いのかと考えながら、主の要求に応えた。
「冒険者ギルドは幾つかの国にありますが、王国のギルドは群を抜いて規模が大きく、また実力も高いと言われています。また自主性も強く国家に対しても隷属的ではないようですね」
「なるほど。……実力は高いということだが、どの程度なのだ?」
「はい。他国では1組いればいい方のアダマンタイト級に認定された冒険者チームが2組おり、更にその上のクラスであるヒヒカネ級の称号を得た冒険者が存在します」
(ヒヒカネ級? ヒヒイロカネのことかな?)
ユグドラシルでもそこそこ高ランクな金属、それが由来かと思われるランクがついた冒険者。その存在はアインズの興味を強く惹いた。
「そのヒヒカネ級の冒険者とやらは、レベルはどの位かわかっているのか?」
「はい、凡そは。2人組の冒険者チームでは一人は過去の実績からして、レベル50代と推定※1されます。プレアデスと交戦した場合、万一があるので危険かと。相棒の方はレベル30程度ですが、魔剣
「なるほどな」(うわっ、なにそれ!! すげぇロマンあるんじゃん!!)
デミウルゴスの話を聞き、アインズは興奮する。
人類未踏破地域の探索、新種の金属の発見、発見した金属が新たな称号に。
どれもロマン溢れるエピソードとしてアインズの好奇心を大いに刺激した。もともとそういったことが好きな上に、現在退屈に喘いでいることもあって、強い憧れを抱く。
「この世界は素材から低ランクなものばかりですが、もしやすると希少な素材が手に入るかもしれません」
あくまで実利からヒヒカネ級冒険者を興味深いと語るデミウルゴスに対し、ロマンに惹かれるアインズ。
今日も順調に主従はすれ違っていた。
(流石に今の状況で、冒険者とか無責任過ぎて駄目だと思うけど……。もう少し落ち着いたら俺も冒険者になりたい!!)
未来を思い描くアインズ。彼の希望が適う日がやってくるのかどうか、それは未だ誰にもわからないことであった。
荘厳な神殿のような場所。そこに佇む白き、威厳ある白き一体のドラゴン。
そんな彼のもとに人間形態の
「久しぶりだね。
「久しいな。リグリット」
「ああ、久しぶりだね。相変わらず美しいこって。まったく羨ましいよ」
年を取らない
「相変わらず塩対応だね。200年前は仲間だったじゃないか」
スルーされたことに文句をいう白き竜。アーグランド評議国、永久評議員にして最強の竜王であるツァインドルクス=ヴァイシオン、通称ツアー。
そんな彼に対し
「お前がリクを殺そうとしなかったらそう思えていたかもしれんな」
「ああ、それには私も同意だね。リクが許していなければ、私等全員、あんたと縁を切ってたよ」
「うっ、リグリットまで」
長年の付き合いのある老婆、リグリットにまで敵に回られ、追い詰められたような表情をするツアー。
今から200年前、八欲王のギルド要塞であった天空城が崩壊し、その中にいた30体の100レベルNPCと、それ以外の大量のNPCや召喚モンスターなどが暴走し世界を危機に落とすという事件が起きた。
これらの存在は魔神と呼ばれ、その大半は
しかし彼等は彼女が苦手とする機械のように感情の無い強者であった。流石の彼女も連戦により傷つき消耗をしてしまうことになったのだ。
そんな状況で自分たちの力で魔神を討伐しようとする集団が現れたのである。
彼等は後に十三英雄と呼ばれる者達で、
そして共に冒険したのだ。
リグリットやツアー、正確にはツアーが遠隔操作で操る鎧はその時のメンバーであった。
最初こそ目的遂行のために、十三英雄を利用するだけのつもりであった
そしてそんな大切な思い出を、最後に台無しにしようとしたツアーを
「まあいい。本題に移るぞ」
とはいえ、何時までも恨み言を述べていても話は進まないし、やるべきことをさっさとやって帰りたいとでも言わんばかりに、
「新たなプレイヤーが現れたことは事前に伝えたな?」
「ああ、どんなプレイヤーなんだい?」
「種族は
婢妖をナザリック大墳墓に入り込ませての調査と、スルシャーナから得た情報を聞かせる。それを聞いたツアーは絶句した表情を浮かべた。
八欲王は全盛期のドラゴンたちが苦戦して勝利した相手だ。今の評議国単独で挑んだとしても、勝ち目はゼロに近いだろう。非協力的な態度を示している評議国所属以外の全ての竜王が結集して力を貸してくれれば、あるいはといったところである。つまり現れてしまった時点で、ほぼどうしようもない絶望的な相手ということだった。
ツアーはまるで祈るかのように、声を絞り出して尋ねた。
「じょ、冗談だろう?」
「くくっ、別に驚くことはあるまい。前例があるのだ。同じことが起きても何も不思議はあるまい」
過去に現れたプレイヤーはほとんどが単独だった。だからそれに慣れ切ってしまったのだろう。
そうして最悪の可能性から目を逸らし続けたツアーを
(最も、多少は気持ちもわかるがな。我とて獣の槍の再来の可能性は低いと思いたい部分はある)
ほんの少しだけ同情した内面は億尾にも出さず、話を続ける
「プレイヤーの対処は我がする。どのみち、貴様等には手におえんだろう」
発した言葉は嫌味では無く、単純な本心だった。本体なら未だしも、鎧を操った状態のツアーの実力は漆黒聖典上位陣や六大神のNPC、人間形態の斗和子などと同レベルである。
そして信頼という点では彼等の方が圧勝だ。質でも信頼でも勝るところの無いツアーと協力をする意味など、
「いや、だが、しかし……」
「それともまさか協定を破るつもりではないであろうな?」
抵抗を示すツアーを
協定とはスレイン法国とアーグランド評議国との間で結ばれたものだ。
八欲王との戦いの後、プレイヤーに対する警戒をより一層に高めた評議国はスレイン法国に対し、プレイヤーの子孫に制限をかけようとしてきたことがある。
しかしそこで彼等に立ち塞がったのは転生したばかりの
それは
この協定が結ばれたことで、両国の関係は断絶に近いものとなった。
そしてこの約定は現在まで一度も破られたことは無い。
「我と戦争をしたい訳ではあるまい?」
ただしツアーは遠隔操作した鎧、
そして200年前に分身は協定の対象外と互いに言質をとっている。最もこの時、
そういった背景はともかく、どんな理由があろうが協定を破ることは両国の休戦状態を破壊することになりかねない。それを理解しているツアーは引き下がるしかなかった。
「わ、わかった。だが、そういうのならば責任はちゃんと持ってくれよ」
負け惜しみのように責任を押し付けるツアー。
そんな彼を
「ふん、言われずともな」(まあ、いくら釘をさそうとこいつは鎧を使って勝手に動くのだろうな。まあよい。場をひっかきまわすようであれば、上手く誘導し、捨て駒として使ってやろう)
ツアーの行動を予想し、内心で策をめぐらす
こうしてこの世界のトップ同士の非公式の会談は終わるのであった。
※1:あくまで推定。実際はそれよりも強く、パワードスーツ有のアズスやイビルアイよりも明確に上だったりします。
※2:筆者の実体験。普段大勢で遊ばない人間が陽キャ集団に混じると、「早く終わってくれ」となる時と上手く嵌って凄く楽しい思い出として残る場合がある。
来週、海外に行くので次の更新は2週間後位になるかもしれません。
注釈について
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※1いらん
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※2いらん
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両方いらん
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あってもいい